ホロライブインドネシア3期生の鍛冶屋である『Kaela Kovalskia(カエラ・コヴァルスキア)』といえば、ホロライブ全体を見ても屈指の長時間配信者である。
配信時間は基本的に長時間、始めたゲームはトロコンするまで継続、時にはやり直したりもするくらいのゲーム好きであり、特にMinecraftのホロライブ鯖では神として崇められるほどの長時間に渡る作業を当たり前のように熟したりもしている。
体力や集中力もそうだが、何より継続力が文字通り桁違いであり、とにかく一つのことに集中して続ける事に長けている彼女。どうやらショートスリーパーである事もその一端を担っていそうである。
『……それでね!ようやくこのゲームもトロコン出来たんだよ!』
『おめでとう。今回は無理しなかったかい?』
『勿論よ!もうすぐ日本に行くんだから、こんな所で倒れてられないってば!』
現在インドネシアの自宅にいるカエラは、某連絡ツールにて、日本に住むパートナーと雑談をしていた。
『日本とインドネシア間なら、時差もそこまでないから、貴方と通話する時間をあまり気にしなくて済むのはいいわね』
『そうだね。EN勢はそのあたり結構辛いって聞くよ』
『私達みたいに話したいって思っても、どちらかが無理しないといけないのは辛いわ』
大体1〜2時間程度の時差であるため、それほどズレを感じないのは救いである。
『この時期は雨がきついんじゃなかったかい?』
『まだ乾季の最中だから過ごしやすいわ。本格的なのはもう少し先かな。でも、雨季でも日本の梅雨よりジメジメとしてないから、貴方の想像よりは過ごしやすいはずよ』
一方で、インドネシアは赤道直下に存在するため、日本とは違って四季が存在しない。代わりに雨季と乾季があるため、時期によって湿度が大きく変わる国である。乾季のほうが全体的にカラッとした陽気で過ごしやすく、観光に適した時期と言われる。雨季はザーッとした雨が降っては止むスコールを繰り返す期間なため、特に午後は湿度が大変なことになるが、来日したIDメンバー曰く『日本の夏の方がキツイ』とのこと。
『日本はもうだいぶ秋の気温になったよ。ご飯が色々とおいしい季節だ』
『日本食は美味しい!今度またそっちに行ったら食べたいものがたくさんあるわ!』
『言っておいてくれたら、良いところ探しておくよ』
『嬉しい!楽しみだわ!』
手を叩いて喜ぶカエラ。
『貴方もまたインドネシアに来てよ!まだ行ってないところたくさんあるわ?』
『そうだね。また長期で休みが取れるタイミングあれば行きたいよ』
『ママも貴方にまた会いたがっていたわ?パパも気に入ってくれてたし、いつでも歓迎するって』
『それはうれしいけど、お酒は控えめにお願いしておいてね?お義父さん、すごい飲ませてくるから断りづらくて……』
『貴方が人を乗せるのが上手いのよ』
カエラが彼を両親へ紹介した際、彼の想像とは裏腹にかなりの歓迎ムードだった。しかも、英語がかなり出来る+インドネシア語も挑戦している彼の事を気に入ったのか、特に父親と意気投合した結果、かなりの量の酒を空ける羽目になったのを思い出していた。
『ビジューとかこぼも貴方に会ってから早くに懐いてたし、貴方は本当に人誑しなんだから』
『……ココだけの話、昔から何とは言わないけど子供には好かれやすいんだ。遊ばれてるだけかもしれないけどね』
『フフッ、それは彼女たちには言わないことにするわね』
微笑むカエラ。
『あー、早く日本に行きたいわ』
『さっきも言ってたけど、もうすぐ来る予定なんだろう?』
『ええ。でも、お仕事メインだからすぐに遊べるわけじゃないのよ』
『それは仕方ないよ。僕も日程は聞いてるけど、休みが取れるわけではないし、お互いに頑張るしかないさ』
『それもそうだけど、最後に会ってから結構経つのよ?』
そう言うと、カエラはカメラに映るお腹を擦って、意味深に笑った。
『そろそろ、新しいモノを補給しないといけないじゃない?』
『……んんっ、いきなりそっちに話題が移るのかい?』
少しだけ顔を赤らめた彼に、笑みを深くする彼女。
『あら、海外勢の子達は来日の度にそれが楽しみなところあるのよ?皆、昔はホテルで宿泊だったのに、今はそれぞれ泊まってる場所が違うのがその証じゃない?』
『まあ、その事は君から聞いたことあるけど、そんな露骨な……』
『そんな事言ってる貴方だって、会う度にあんなに情熱的にシてくれるのに』
『うっ……』
図星を突かれる彼。
『貴方だって我慢してくれてるんだから、そうなるのも当然よね。皆も大体そうだって言ってたから理解してるわ?』
『その情報共有は必要なことなのかな……』
『皆パートナーの可愛いところ自慢してるのよ』
カエラは笑い過ぎで肩を震わせていた。
『はー……、笑いすぎでお腹痛いわ……。貴方はほんとに面白い反応してくれるから楽しい』
『そうかい……』
『あら、怒った?』
『まさか。カエラが楽しそうで何よりだよ』
ため息をつきつつも首を横に振る彼。
『そろそろ明日に備えて僕は寝るけど、君は?』
『んー、次の配信で遊ぶゲームの確認だけしたら、私も寝ようかしら。どうせすぐに起きるけどね』
『そっか。明日は僕の方が忙しいから、ちょっと話せないけど。ごめんね』
『大丈夫よ。お仕事頑張ってね?』
『ありがとう。カエラも配信頑張って。僕もちゃんと観てるから』
『嬉しいわ。それじゃあまたね!』
そう言って通話を終了するカエラ。そのまま後ろのベッドに倒れ込むと、ジタバタし始めた。
『……思ったより限界かも』
彼の興奮を煽るためとはいえ、わざとそういう事を言った事で、自分が思ったより我慢していたことを改めて自覚してしまったようだ。
『はぁ、早く会いたいわね……』
暫くは悶々とする日々を過ごす事になりそうだった。
遠距離恋愛って実際会話がメインみたいなところあるので、なかなか難しいです。
その分会えた時の感動は大きいですけど。