長身巨乳エアと巨根ショタ621 作:匿名希望ドーザー
「エア、ちょっといい?」
「…どうしましたか?」
休暇9日目の朝食後、621は真剣な顔でエアを呼び止める。
「エア、僕と恋人になって欲しい」
「えっ、すでに恋人では?」
「えっ」
2人は硬直した。
「…以前、性処理中に言ってくれましたよね。大好きだからずっと一緒にいて欲しいと。私はあれがいわゆる『告白』だと思っていました」
「…あ、うん、そうだよ。そうなんだけど…改めて、ちゃんと向き合って言いたくて…」
「あっ、そうですか…」
部屋に気まずい空気が満ちる。
「…えっと、その…わかりました。改めて、私はレイヴンの恋人になります。嬉しいです」
「う、うん、ありがとう。僕も嬉しいよ」
若干ぎこちなく言葉を交わし、2人は自分たちの関係性を再確認した。
「…レイヴン、今日は誰かと模擬戦の約束をしていますか?」
「してない。何かあるの?」
「はい。今日は訓練を休んで、恋人らしいことをして過ごしませんか?」
「いいよ!…でも、恋人らしいことってなんだろう」
「…調べてみましょうか」
エアは手元に画面を投影し、ネットで恋人らしいことを調べ始めた。
「代表的な例として『デート』があるそうです。恋仲の男女が共に娯楽施設に行き、楽しみを分かち合うそうですが…」
「今、僕らが遊びに行けるような娯楽施設はないね」
「企業やルビコニアン、惑星封鎖機構が争っている中で、誰でも問題なく行けるような娯楽施設を運営するのは難しいでしょう。えぇと…他には『共に食事を取る』があります」
「いつも一緒に食べてるね」
「…他にも色々ありますが、要するに『同じ場所で同じことを楽しむ』ことです」
2人は顔を見合わせた。
「…今まで通り、一緒に過ごして、一緒に遊べばいいんだね」
「はい、たくさん遊びましょう」
「じゃあ早速遊ぼう!まずは――」
様々な遊びを楽しみ、美味しい料理を談笑しながら食べ、ありふれた内容の映画をのんびりと見る。エアが体を持たない頃からしてきた、何気ない平和な休日を過ごした。
「…ねぇ、エア」
「なんでしょう、レイヴン」
「絶対に争いを終わらせて、ウォルターたちとも一緒に、こうやって楽しく遊ぼうね」
「もちろんです。その願いを叶えるため、明日からまた頑張りましょう」
「うん、頑張ろう」
◇ ◇ ◇
休暇10日目の昼。グリッド086からウォルターが帰還した。
「ウォルター、おかえり!」
「ただいま、621」
拠点の入り口で、621は満面の笑みでウォルターの胸に飛び込んで抱きつく。ウォルターはそれを受け止めつつ、微笑みを浮かべながら621の頭を撫でた。
「有意義な休暇を過ごせたか?」
「うん!楽しいこといっぱいできたよ!」
「そうか…621、聞きたいことがある」
ウォルターは、少し離れていた場所で立っていたエアを睨みつけた。
「…あれは誰だ。見たところ、ただの人間ではなさそうだが…」
「エア、自己紹介をお願い」
エアは1步前に出て、丁寧にお辞儀をした後、真っ直ぐウォルターの目を見て口を開いた。
「こうして会話するのは初めてですね。私はルビコニアンのエア。コーラルから生まれた『Cパルス変異波形』です。訳あってコーラルで稼働する義体を利用して活動しています」
「…Cパルス変異波形だと?」
ウォルターの表情が厳しくなる。
「聞いたことはある…コーラルが人並みの知性を備えた存在だと。お前がそうだと言うのか」
「はい」
「とても信じられんが…仮にそうだとして、何が目的だ」
「私の目的は、人類とコーラルの共存。そして、貴方と仲良くなることです」
「…何?」
返答を受け、厳しかった表情は一瞬面食らったものに変化したが、すぐに元に戻る。
「…目的についてはひとまず置いておこう。621と親しげだが、いつ出会った。今はどういう関係だ」
「私とレイヴンが出会ったのは、ウォッチポイントで起きたコーラル逆流の直後です」
「…621が『頭の中で妙な声が聞こえる』と言っていたが…」
「はい、それが私です。その時は実体を持たない存在でした。以後、コーラルを用いてレイヴンと『交信』をして、ミッションや生活のサポートをしています」
ウォルターは少し考え込む。
「…お前は俺を知っていたのか」
「はい。私はレイヴンと出会ってからずっと共にいました。生活やミッションでのやり取りを通じて、貴方がレイヴンをとても大切にしていることは理解しています。同じく、カーラやチャティについても…」
「いつから義体を利用して活動している」
「先日、ザイレムに調査に行った際――」
エアはザイレムで義体を手に入れた経緯をかいつまんで説明した。
「…わかった。他にも色々と聞きたいことはあるが、細かいものは後にしよう。だが、次の質問には今ここで答えろ」
ウォルターの目線が鋭くなる。
「俺がコーラルを求める理由を言ってみろ」
対するエアは、淀みなく答えた。
「コーラル全てを焼き尽くすためです」
ウォルターの胸元にいた621は目を丸くした。
「…ウォルター、本当?」
「…あぁ、本当だ。エア、ついて来い。621、お前もだ」
ウォルターは2人を置いて歩き出す。
「エア」
621はひどく不安げな震える声でエアを呼ぶ。
「大丈夫ですよ、レイヴン」
エアの声は優しげで、なおかつしっかりとしたものだった。
◇ ◇ ◇
「これに座れ」
2人が連れてこられたのは、ウォルターの自室。部屋の片隅でホコリを被っていた来客用の椅子が2つ差し出された。
621とエアは椅子を受け取り、隣り合って座る。ウォルターは仕事用のイスを持ってきて、2人の正面に向き合って座った。
「…知っているかもしれんが、コーラルの危険性と『オーバーシアー』について話そう」
ウォルターは、コーラルの危険性と、その増殖傾向を測って「破綻」が訪れる前に焼き払う使命を持った、観測者たちの結社について語った。その組織に、自分やカーラが所属していることも話した。
「じゃあウォルターがコーラルを探してたのは、お金のためじゃなくて…」
「そうだ、621。焼き払うためだ」
ウォルターはひと息つき、どこか遠くを見る。
「…ひとつ昔話をしよう」
語られたのは、家族を捨ててコーラルの研究に没頭した男と、男の罪を肩代わりして全てに火を点けて死んだ、善良な科学者の話だった。
「この話には教訓がある…1度生まれたものは、そう簡単には死なない」
「ウォルター、貴方は…」
冷たく燃える力強い目線がエアを貫く。
「エア。お前の目的は『人類とコーラルの共存』だと言ったな。今の話を聞き、企業がコーラルを求めて争う現状を見てなお、それを目指すのか?どうやって共存を実現させるつもりだ?」
エアは口を開いた。
「まだ明確な方法はわかりません。ですが、手がかりはあります」
「…続けろ」
「私が動かすこの義体に備わった、惑星ルビコン3の内にあるコーラル全てを高度に制御する機能と、義体の制作者が残した技術データ。この2つを利用します」
ウォルターの目がわずかに見開かれる。
「コーラルを燃やさず、破綻を抑える手段が手元にある。私はそれを活かしたい」
エアが少し身を乗り出す。
「ウォルター、お願いです。共存の方法を探すのに協力してください」
「…何故、俺なんだ」
「レイヴンが、そう望みました」
「621が?」
621も身を乗り出した。
「僕は、ウォルターやカーラ、チャティと一緒に生きていたい。だけどそれと同じくらい、エアと…コーラルとも一緒に生きていきたいんだ。平和に、穏やかに、笑って楽しく生きていたい」
「…」
「みんなが幸せになれる『都合のいい選択肢』を、エアと一緒に作るって決めたんだ。ウォルターも手伝ってくれたら、絶対にできると思う。だから――」
――お願い…助けて、
ウォルターは目を閉じ、うつむいた。
「…わからないことが多すぎる。まずはお前の言う技術データを渡せ」
「…!」
「本格的に協力するかは、カーラと相談してからだ」
「わかりました。データが入った情報端末を持ってきます」
エアが立ち上がり、部屋を出る。
「621。明日の惑星封鎖機構の拠点を襲撃する作戦概要について、お前にメッセージを送った。自室でブリーフィングを確認しておけ」
「えっ…」
「お前の願いについては、カーラを交えてまた話そう」
「…うん、わかった」
621が部屋を出た後、ウォルターはひとりつぶやく。
「621…お前にも…友人ができた…」
◇ ◇ ◇
「ウォルター、昼御飯は食べましたか?」
「まだ食べていない」
「なら3人で一緒に食べましょう。レイヴンがお腹を空かせて待っていますよ」
「…そうか」
「んぐ、んぐんぐ…」
「621、そんなに食べて大丈夫か。エア、この料理に使った食材はどうやって手に入れた」
「んぐ…ぷはっ、平気だよ!」
「レイヴンがアリーナでACの訓練をして手に入れたCOAMを使い、惑星外から取り寄せました」
「ウォルターも食べてみて!すごく美味しいよ!」
「エア、621が激しい運動をしているが大丈夫か」
「私が考案した、レイヴンの肉体強度に合わせた最適な筋力トレーニングです。決して無理はさせていないので安心してください。ウォルター専用のトレーニングメニューも作りましょうか?」
「…遠慮しておこう」
「621、シミュレータで行った模擬戦のログを見たが…」
「どう?僕、強くなったでしょ!」
「ラスティの上司だという奴は、おそらくアリーナ1位のフロイトだ」
「え」
「621、明日に備えて早めに寝る準備をしろ」
「わかった。おやすみ、ウォルター」
「おやすみ…待て、どこへ行くんだ」
「あっ、えっと…エアの部屋?」
「…何故あいつの部屋があるんだ」
「ウォルター、私は誰かのぬくもりを感じていないと眠れなくて…」
「…わかった、621と寝ることを許そう。部屋の改装についても、お前が交渉して稼いだ金を使い、621が納得しているなら許そう。部屋で何をしているのかは、あいつにもプライベートがあるから聞かないが…夜ふかしはさせるな」
「心得ています」
◇ ◇ ◇
『
「…カーラ」
『冗談さ』
夜遅く、ウォルターはカーラと通信をしていた。2人の様子を聞かされたカーラが茶化すが、ウォルターの厳しい表情は崩れなかった。
「渡したデータの解析はどうなった」
『今チャティが夜なべしてやってるよ。私もこの後参加する』
「いつまでかかる」
『実は解析だけならもう終わってるんだ。ただ、出てきた情報と技術がやたらと難解でね…真偽の確認に最短で3日は必要だ』
「了解した。急がなくていい、確実に頼む」
『任せな。ウォルター、あんたは目を離すんじゃないよ』
「あぁ、わかっている」