長身巨乳エアと巨根ショタ621 作:匿名希望ドーザー
スネイルは上層部から下された命令を理解するまで、しばらくの時間を要した。
「…は?」
『聞こえなかったのか?ルビコンから撤退しろ。何度も言わせるな』
通信越しに吐き捨てられ、湧き上がる怒りを必死に胸の内へしまい込む。
「理由をお聞きしたい。ここまで金や資材を注ぎ込んでおきながら、今更戻れと?」
『集積コーラルの反応が消えたという報告から3ヶ月経過した。その間、お前たちは何ひとつ成果を上げていない。カーマンラインに漂っていたコーラルすら何故か少しずつ薄れていき、今となってはどこにもコーラルが無いと聞いている。これ以上の投資は無駄だ』
淡々と告げられる事実に歯噛みをする。
アーキバスは、ルビコンを隅々まで探索し、何度かベイラムや解放戦線に強引な武力行使をしてまで探りを入れたが、集積コーラルがどこへ消えたかの手がかりは全く得られていなかった。
『お前が言う「駄犬」とやらも、散々調べたが何も無かったのだろう?』
「私の見立てでは、絶対に何かを隠しています」
『あくまでお前の勘で、それが外れただけだ。諦めろ』
「…っ」
明らかな侮蔑が込められた声が響く。
独立傭兵レイヴンと、飼主のハンドラー・ウォルター。スネイルは部下を差し向け、彼らの周辺や向かった場所を何度も調査した。しかし、怪しいモノは不自然なまでに見つからなかった。
『すでに帰還用の輸送船団を向かわせている。さっさと準備をしておけ』
「…了解、しました」
ブツリと通信が切られた瞬間、スネイルは仕事机に拳を叩きつけた。
「クソッ…何か…何かあるはず…!」
「どうしたスネイル、機嫌が悪そうだな」
軽薄な声がした方向に目を向ければ、フロイトがニヤニヤとしながら立っていた。
「上層部からの命令です。ルビコンから撤退することになりました」
「へぇ…まぁ、無理もないか」
「そういう貴方は、最近やけに機嫌が良さそうですね」
「あぁ、面白い相手を見つけた。おかげで退屈せずに済んでいる。…あぁ、そうだ」
フロイトはカラリと笑いながら、心の底から面白いものを見たような弾んだ声で告げる。
「ラスティを模擬戦に誘おうとアイツの部屋に行ったら、もぬけの殻だったぞ。ガレージを見たが、スティールヘイズも無かった。何か知っているか?」
「は?」
◇ ◇ ◇
『送信した座標へ向かえ。解放戦線の迎えが待っているはずだ』
「…了解した」
ラスティはスティールヘイズに乗り、フラットウェルの案内に従って
「それにしても、アーキバスの基地を抜け出すまで、本当に誰にも気づかれていないのが信じられない。何かの罠だと言われたほうが納得できる」
暗号通信を通してフラットウェルから合図を受け、アーキバスの基地にある自室から抜け出すまで、ラスティは誰ひとりとしてすれ違っていない。ガレージに向かえば、誰もいないにもかかわらず、スティールヘイズの離陸準備が完璧に整えられていた。
『スムーズに抜け出せたのも、こうして通信できているのも、協力者のハッキングによるらしいが…私にも詳しいことはわからない』
「その協力者は本当に信用できるのか?」
『帥父から直接紹介された人物だ。あの帥父が信用するなら大丈夫だろう』
「だといいんだが…」
『それと、協力者からひとつ伝言がある』
「伝言?」
『読み上げるぞ。「遊びに来れるようになったら教えてね、戦友」…以上だ』
「…は?…ふふ…そうか、そうか」
ラスティは、胸に抱えていた不安がスッと消えていくのを感じた。同時に、数々の疑問が湧き上がる。
「いつから解放戦線と協力関係に?…まさか、解放戦線に匿名で送られた支援物資も彼が?何を目的にそんなことを?」
『詳しく話すのは合流して安全を確保してからだ。落ち着いたら、物資を元に我々の手で作り上げた畑に案内しよう。作物は順調に成長しているぞ』
「それは楽しみだ」
モニター越しとはいえ、青く澄んだ空を眺める。見慣れていないが故に違和感を感じつつも、清々しい気分になっていった。
◇ ◇ ◇
「ようやく、いくらか肩の荷が下りるね」
「あぁ…まさか、こんな日が来るとはな」
グリッド082にて、カーラはウォルターと並び、遠くに見える星外へ飛び立つ数々の輸送船団を眺めていた。
中には、オールマインドのロゴが入った巨大な輸送船があった。数日前、オールマインドはルビコンでの傭兵支援を中止。企業と同時に撤退することを発表していた。
「まったく、情けなくなる話だよ。自分たちが消そうとしていたものから突然湧いて出たヤツに、ここまで御膳立てされるとはね」
「大きな犠牲を出さずに上手く収まった。それで良いだろう」
「おや、過去のあれこれで悩んでたアンタから出るセリフとは思えないね」
「…」
「冗談さ。なにはともあれ、吹っ切れたなら良かったよ」
カーラはニッコリ笑い、血の繋がっていない息子たちに思いを馳せた。
「もうしばらくすれば、毎日騒がしくなるよ。今のうちにしっかり休息を取っておくんだ、いいね?」
「…わかった」
「くくっ…ビジターたちから打ち明けられた時のアンタの顔…思い出すだけで何回でも笑えるよ」
「…」
クツクツとカーラが笑っていると、チャティが操作する人並みサイズの『サーカス』が近づいてくる。
『ボス、例の解析が終わった』
「おや、ようやく終わったかい。結果は?」
『ボスとエアの見立て通り、完全に同化していた。機能の最適化をする際に、義体を構成するコーラルと、エアを構成するコーラルが混ざり合い、完全に融合した可能性が高い』
「へぇ…詳しい仕組みがわかれば、色々と面白いことができそうじゃないか」
「カーラ、何の話だ?」
置いてきぼりになっていたウォルターが声を上げる。
「何でもないよ。いつの間にか義娘が本当の意味で身体を得ていた、ってことを確認しただけさ。…本人にとっちゃ、重要なことなんだろうけどね」
「…めでたいことなのか?」
「めでたいことだよ。なんせ、『借りものを経由して作られた』んじゃなくて『自分の身体で産んだ』ことが確定するんだからね」
カーラは優しく微笑み、遠い目で空を見つめた。
「自分の体をいじくってまで、長生きしたかいがあったってもんだ」
「…まだ、全てのコーラルを残らず確保したわけじゃない。やるべきことは残っている」
「言われるまでもないさ。だが、もう急ぐ必要はないだろ?ゆっくりのんびり、やっていくとしよう」
◇ ◇ ◇
「どうしたイグアス。心残りでもあんのか?」
「…あ?んなもんねぇよ」
ベイラムの輸送船に乗り、遠ざかっていく惑星ルビコンを窓越しに眺めていたイグアスに、ヴォルタが声をかけた。
「むしろスッキリしてるぜ。ようやく何にもねぇクソな星とおさらばできるんだからな。消えたもんをいつまでもしつこく探させてた上の連中にはウンザリだ」
「同感だ。ミシガンの野郎が見限るのも当然の話だな」
「見限る?」
ヴォルタの口から出た言葉にイグアスが振り向く。
「知らねぇのか?食堂で飯を食ってたミシガンとナイルと五花海が、レッドガンをベイラムから独立させるための方法を相談してたって噂になってるぞ。あの昔からいるミシガンと妙に仲が良い、食堂のババアまで相談に加わってたらしい」
「…知らねぇ」
「マジかよ…さてはお前、野良犬をどうやって倒すかしか考えてねぇな?」
「うるせぇ!」
ここ最近、イグアスはシミュレータ上で行う621との模擬戦に負け続けており、日々悔しそうに「次はあれを試して…」などとブツブツ言いながら過ごす姿が目撃され、周囲に気味悪がられていた。
「てめぇは悔しくねぇのかよ!?たまに俺たち2人がかりで挑んでるのに、1回も勝ててねぇんだぞ!?」
「悔しいに決まってんだろ。あんなガキにボコされて…クソッ、思い出したら腹が立ってきた」
「なら俺と野良犬を倒す作戦を考えろ。どうせ本社に着くまで当分暇なんだから付き合え」
「わかったよ。何か案はあるのか?」
「たっぷり考えてあるぜ。まずは――」
◇ ◇ ◇
「――っていう作戦だったみたい。本当にすごい連携だったなぁ。そのあと、レッドさんとも何回か模擬戦をしたんだ」
「勝敗はどうなりましたか?」
「全部僕が勝ったよ」
「流石はレイヴンです」
621はエアと晩御飯を食べながら、今日の訓練について振り返っていた。
「レイヴン、御飯を食べ終わったらカーラにオススメされた映画を見ましょう」
「いいよ!今まで
「はい、私も楽しみです」
無邪気に談笑しながら晩御飯を食べていた621が、ふとエアの腹部に視線を向ける。
「エアのお腹、ちょっとずつ大きくなってきたね。あとどれくらいだっけ?」
「およそ6ヶ月ほどです。ふふ…何度見ても愛おしいです」
柔らかく微笑んだエアがゆっくりと腹部を撫でる。
「まだまだ先だね。楽しみだなぁ…
「はい♡」
◇ ◇ ◇
後の世で、ルビコニアンは鮮やかな赤色の髪と瞳を持ち、美男美女が非常に多い民族として有名になった。
その赤色を、かつて惑星ルビコンに存在し、原因不明の理由で完全に消滅した『コーラル』に関係があるのではないかと研究する人々がいたが、何ひとつとして成果は出ず、次第に『コーラル』という名前さえ忘れ去られていった。
また、ルビコニアンにはこんな噂がある。
彼らとまぐわうなら、ひと晩で済むと思うな、と。