ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
天使や悪魔、誰も彼も至高天には行きたい放題だ。転移の一つ、魔力を纏って指をただ鳴らすだけ。覚えていればいつだって入ることができる。だからこそ、この能力は魔王や天使長たちにしかないのだろう。
そこは無機質な天界とは違った。木々のざわめきを、まるで妖精が飛ぶようにすら見える天使たちの空を望める。あぁ、ここは本当に天国だ。止まっていない、いつも安らかに涼しい時間が流れているのだ。
僕は気づいた。この世界において僕がまるで蟻のような小ささであることを。そんな世界の縮尺の中で神様がいかに大きいかを。
手を取り合って空を行く。天使と悪魔に飛び方を教わる雛鳥のように。そして、空の道を歩く途中アスモデウス様が指差す巨大な聖堂。そこが、僕たちの結婚式場となるのだと言われた。どの天にも聖堂があり、神とは本来そこに座すものらしい。だが、戒律に定められていないことはしない神はもういない。悪魔と和解し、世界のありとあらゆるものを眺めては微笑みをこぼす翁が神だったのだ。
そう花畑に
「ガブリエルや、お客さんだねぇ」
神様は、好々爺だった。間延びした喋り方と、ニコニコとした笑顔を浮かべている。
「いらっしゃい、アスモデウスちゃんにメタトロンちゃん! それから、そっちの子は?」
ガブリエルは、とにかく豊満な胸を持っていた。淫獄の女王を超えるほどだ。
「アレンちゃん、ガブちゃんこんなこと言ってるけど、どっちかと言うと妹だからね?」
しかも、年上のような雰囲気を醸し出しておきながら……。やっぱり、全天使中唯一女性と明示される天使は少し癖が強いのだ。
「妹だけど、ママだよ!」
混乱した。あまりに混沌とした名乗りを彼女は上げたのだ。
ただ、七つの美徳の中彼女は博愛と慈愛を司っている。全生物に母性を向ける形で、その在り方を満たしたのかもしれない。
「いくらガブちゃんでも無理あるよ!」
そう言ってアスモデウス様は笑った。
「無理じゃないよ! 神様と結婚すれば、ママだよー!」
そう、神様はマキネルたちの父だ。だから、アスモデウス様の義母には確かになれる。ただ、そうなるとガブリエルの義母がガブリエル自身となるわけで……。
「これこれ。それは、君が幼かったから約束したと言っておろう。これ以上虐めないでくれんか?」
ガブリエルと神様の間にもあったのだろうか。“大きくなったらお父さんと結婚する”という幼い少女のアレが。
「いじめてるわけじゃないよ! でも、未婚でしょ? 誰かを愛するのって素敵だよ!」
なんだかんだ家族なんだなって思った。ガブリエルの性格は、なんだかアスモデウス様から性欲を奪ったような感じがする。
「それは同意だけど神様は私たちマキネルを愛してるからいいの!」
父の特別を奪われたくない姉と、とにかく愛に奔放な妹。そんな感じで、いつものアスモデウス様と違う一面を見た。淫獄の女王ではなく、マキネルという最古の兄弟の一人としての姿を。ちょっといつもより子供っぽい気がした。
「嫉妬しないのー! みんな特別よ! みんな、すっごくすっごーく愛してるんだから!」
逆にガブリエルは大人びて見えた。というか、存在するだけで周囲の精神年齢を吸い取っているみたいだ。
「だから! ガブちゃんは私の妹でしょ……」
そう言って、最後に笑った。そして、アスモデウス様は改めて口を開く。
「これ、久しぶりだね!」
満面の笑顔で。
「うん! ところでそっちの子は?」
きっと仲のいい姉妹だったのだろう。でも、お互い一つの領域の主。忙しくて会えないということもあったのだろう。
「アレンちゃんだよ。私の……今のところは婚約者!」
アスモデウス様が言うと、ガブリエルは手を叩いて喜んだ。
「素敵! アレンちゃんね! 可愛いね! うちのアスモデウスちゃんをよろしくね!」
あくまでガブリエルは母のような態度を崩そうとしない。
「妹だからね!」
とアスモデウス様が念を押してくる。すごく、可笑しな姉妹でもあった。
「はい! 不束者ですが……」
でもなんだか、勢いで義母に挨拶するような気分になってしまって。
「妹!!!」
と、アスモデウス様に怒られてしまったのだった。
「私からも頼むよ……。うちのアスモデウスをよろしく頼む」
そう言って、朗らかに笑う神様。でも、確信犯だった。
「弟!」
アスモデウス様は勢いで言ってしまったのだ。
「デハアリマセン!」
なんて、メタトロンが。歯車が取れてから、彼の態度はちょっと人間味を増したように思える。
「はははは! 愉快愉快! 慶事を聞くのはいつでも良い気分だ……」
神様も神様で、とても博愛の人だった。
「あの……ごめんなさい。つい、勢いで……」
と、アスモデウス様は申し訳なさそうな顔をしたけど、この神様がそんなことで怒るとは思えなかった。
「良いのだ良いのだ。いくらでも冗談を言っておいで。待っているよ……」
と、神様は一度言葉を切って、真面目な表情をすると話題を変えた。
「今日は、どうしたんだい? 困り事があれば聞かせておくれ」
それでもなおも朗々と問いかける。