ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
淫獄に帰ると、すぐにベッドルームへと向かった。いつもどおりえっちして、いい気分で眠る。そんな風に思っていた。
「あのね、私待つよ……。話してくれるまでずっと、いくらでも。魔王は気が長いの」
ただ、それとは違う雰囲気で。ただ、抱きしめられた。アスモデウス様の胸に埋まって、僕は混乱していた。
「えっと……何の話?」
そう、何を待っているのかわからなかったのだ。
「私の大切な人全員から祝福されて、みんな結ばれるのを期待してくれた。アレンちゃんを逃したくないっていうのもあるんだけどね、私も逃げられないよ? だから、もうなにも怖がらなくていいから。何を言われても、アレンちゃんを嫌ったりしない」
アスモデウス様は寂しそうにいうのだ。なのに、僕はなんでだろう。
「ごめん、何を話せばいいかわからなくて……」
返せるのはそんな言葉だけだった。
アスモデウス様の驚いた顔が僕を見ていた。その驚きはどうしてわからないのかという叱責じゃなくて……。
「過去の話だよ! 前に話したくなるまで待つって言ったじゃん」
困った顔をしていた。
言われてみれば、そんなことしかなかった。これからどうしたいだとか、どうやって貢献したいかなんてたくさん話してきた。
「すっかり忘れてた……。いろんなことがあって、楽しくて、つまんないこと考えたくなくて」
僕は過去の話なんて、これっぽっちも思い出さなかったんだ。でも、最近感じた微かな疎外感はそのせいかもしれない。あるいは僕が、新参だからというなら仕方がない。でも、魔王たちは受け入れてくれている。
「じゃあ、そのまま忘れちゃう?」
そんな選択肢も確かにあったし、悪くなかったと思う。
でも、僕はもっと能動的になりたかったのだ。受け入れてくれた魔王たちに、少なくともアスモデウス様に僕から歩み寄りたい。そのためになるならいくらでも思い出そう。だって、もう全て過ぎたことだ。
「話すよ! どこからにしようかなぁ……」
過去に思いを馳せた。
アスモデウス様とこの寝室と、この環境は僕にとって絶対の安全だ。心の底から辛いと思ったことなんて無い。悦楽か安らぎか、そのどちらかの記憶しかない。
「えっとね……、僕が大変な思いをしたのは14歳の時だったかなぁ。お父さんが倒れちゃってね……あ、僕は農民の子供だったよ。普通の病気だったら良かったんだけどね、お父さんの体は暗い紫色の痣がいくつも現れていった。それで、どんどん弱っていって、最後は死んじゃうんだけど……。その時、お母さんが魔女にされちゃったんだよ。お父さんに呪いをかけたってね。それで、僕は魔女の子になった。僕も火炙りって言われたりもしたなぁ……。地獄に落ちるっても数え切れないほど言われた。でも、その時教会でも意見が割れてね。子供は神様のものだって。だから土地は没収、僕は身分を失ってお母さんは火炙り。でもね……でも……あれ、おかしいな……。ここから……冒険物語が……始まるのに……」
途中から僕は語れなくなってしまった。喉がつっかえて、あの時の無力感が湧き上がってきて。何もできなかった、僕には何もなかった。
火の中で苦しみ叫ぶ母から目を背けて、耳をふさいでしまった。誇れることの何一つない人生だった。
それでも、僕は生きて生きた。自殺は最も重い罪である。その言葉をただ盲信して。
「いいよ! ごめんね、言わなくていいよ。本当に、そんな、なんでそんな……」
アスモデウス様もその惨劇を表す言葉を持ち合わせていなかった。
「何も……何もできなかった……。お母さんが最後に僕の命を守ってくれたのに、その最後すら見れなかった!」
忘れてた、本当に忘れたかった。でも、思い出した。理由なんてわからないけど、鮮明に。耳をふさぐ手を突き抜ける悲鳴を。かけられた、地獄へ行くという声を。
あぁ、本当に地獄に来たなんて冗談を言おうとしたのに……。
「できなくて当たり前だよ! そんなの、そんなの……。辛かったね、苦しかったね……」
アスモデウス様は僕を抱きしめた、泣いてくれた。僕と一緒になって、涙を流してくれた。頭を撫でていてくれた。
「どうして!? どうしてあんなことできるの!? みんな、女の人から生まれてきたのに! みんなお母さんがいるのに!」
あぁ、だからなんだ。僕が女性蔑視がひどく気に食わないのは。いろいろ理由をつけたけど、だからなんだ。これが心のどこかにずっとあって、糾弾したくて、ぶち壊したかった。だから、それがないこの世界がキラキラして見えた。
母の最後の言葉“忌々しい神の子め、私に犯せぬ忌子め”。それがを、焚刑の業火から守ったのだ。
「そうだよね……。そうだよね……」
そう、ただ頷いて抱きしめて、ずっと撫でてくれる。悲痛な声で、僕を必死になだめながら。
「ごめんなさい! 守ってくれたのに、辛くて最後が見れなかった……」
そう、記憶にある次の母の姿は焼け落ちた白骨だった。
「それでいいの……。そんなの、無理だよ……。きっと、お母さんも許してくれるから……」
アスモデウス様は言ってくれた、許してくれるのだと。どうして生きるのか、その理由を償いに求めたりもした。そして、生きてきたのだ。