ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
「本当に、天使か悪魔か賢者か。そんな姿でした……」
なんて、アルトリアはまるで感銘を受けたように言う。
「ええ!?」
僕としてはそんな大それた事をしたつもりはない。ただ、目の前の人が一番儲かりそうな仕組みを聞きかじったから言ってみただけだ。
「ええ、先月の誰かのために跛行するあなたも美しかった。ですが、今の自信に満ちたお姿よ、そのままどうかお行きください、あなたは導く者としての力をお持ちです」
そんな目の前の人、ルーカは言ったのである。言ったことは確かにルーカにとって有益だったかもしれない。でも、それでもなのだ。
「ただの受け売りですって!」
しかし賞賛攻撃は止むところを知らない。
「商人にとって、このような情報と出会えることは、至上の喜びです。なので、この人の喜びを受け入れてください」
彼の妻、イザベラのせいで僕はその賞賛から逃れることもできなくなった。
しかし、本当にこれは諸刃の剣だ。一歩間違えれば、誰よりも大きな恨みを買うことができてしまう。逆に、間違わずに続ければ何者も侵せないほどの名声を得るだろう。それこそ、利他の商人として。
「ところで、お支払いはどうしましょう? 前回、デナルではなく現物で払いましたが……」
それについてだ、前回はちょっとドジを踏んだ。だから今回こそである。
「今回は、綿花、糸、布……この優先順位でお願いしたいです。もしあれば、綿花の種も……」
淫獄に綿花の種を持ち帰り、綿花農場を作る。そうすれば綿花は淫獄で生産され、淫獄で布を作れるだろう。
バルバンデスの花を綿花と言う。ただ、正直この名前を知っているのは一部の人。ポーター向けの図鑑には一応書いてある。
「今回は2400デナル分ですからね、ものすごい量になりますよ? それこそ、馬車に満載するほどの」
言われてみればそうだ。どうやって運ぶかという問題があり、やっぱり考えが甘かった。
でも、答えはすぐに降りてきた。
「私が、トーチャーだと知っていますね? 実は、彼とは天界で会ったのです」
アルトリアも嘘は言っていない。ただ、最初に出会ったのは冒険者ギルドであるというだけ。天界の至高天で、しっかりと出会っている。
「なんとなんと! これはこれは、本当にソロモンの再来に出会ったのかもしれませんねぇ……」
二大賢者の中でもソロモンの扱いは分かれるところがある。悪魔との知己故に邪悪とする一派、原初の王として奉ずる一派だ。ルーカの言葉を聞いていると、ソロモンを奉ずる一派なのはよくわかる。
「ですので、私がメタトロン様経由で、彼の国の国王陛下へとお届けしましょう」
渡りに船とはまさにこのこと。アルトリアは、メタトロンから受けた聖痕を増やしている。よって、転移の魔王権能もおそらく使えるようになったのだ。
「手数料等は? アレン殿とはこれからも交友を深めたい。コルビナ商会が払いますよ!」
と、胸を叩いたルーカである。恩を売る……いっそ返すつもりかもしれないが、そのタイミングが来たと張り切ったのだ。
「いえ、メタトロン様にとってその程度の荷は何にもなりません。それに、七大天使はマキネルという兄弟姉妹です。会いにいく口実と喜ぶでしょう。手数料は不要です」
しかし、断られてしまったのである。
嘘は言っていない。僕の国の女王陛下、アスモデウス様は七大天使ではなく魔王というだけだ。
「私に何か、ごまかしていらっしゃいませんか? このルーカは信用に値しませんか?」
しかし、相手は商人。その、事実を誤認させる言い方は看破されてしまったのだ。
アルトリアは僕を見る。もう、いいだろうと思った。
「僕は、そうですね……。人間界で言う悪魔、色欲の魔王アスモデウス様の統治する淫獄の国婿候です」
彼なら、教義より見たものを信じる。進んで異端をやっているくらいだ。それに、恩も感じてくれているみたいだ。黙っててもらうこともできるだろう。いざとなれば恩を着せる。必要もなさそうだけど。
「合点がいきました。本当に、賢者様のような存在だったのですね。私は黙っていましょう。黙っていれば、いずれ魔王様と商売が出来るかもしれません……」
ルーカは強かで、やはり自分の利益だけを考える人物ではなかった。信じた僕の目は、間違っていなかった。もし、自分の利益を考えるならここで僕を脅せばいい。淫獄の商品をよこせと。彼はそうせず、待った。
アスモデウス様に報告しよう。これは間違いなく、淫獄と人間界の交易路樹立の足がかりだ。
「感謝します。ところで、魔王が怖くないのですか?」
それは言わずと知れた悪魔の王だ。
「あなたに会わなければ、恐れたままだったでしょう。あなたを見ればわかります、地獄はさほど悪いところではないのではないでしょうか? 幸せに暮らせる場所でございましょう。あなたのように」
なんで、アルトリアがルーカと知り合いなのかがわかった。彼ならおそらく、神話の原典を見たとして、それを焚書するリスクが一番低いだろう。見たままを信じる人だ。
「ご明察です。あなたを気に入りそうな魔王を僕は存じ上げています」
きっとマモンに気に入られる。マモンからはルーカを少し隠しておかないとならないと思う。絶対に彼の事を欲しがるだろう。良い強欲と叫びながら。