ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
開始を告げるかのような、空を埋め尽くす魔弾。全ての元素を網羅する幾多の魔法。それを瞬時に構成するアルトリア。確かに、規格外。でも、この程度の弾幕なら……。
身体強化魔法を発動させ、その隙間を縫う。
「ッ!」
そこに、極大の魔法が用意されていた。
「ヴォイド・ディザスター!」
真っ黒な重力の塊。全てを吸い込む破滅の星が、そこにあった。こんなの、記録ではマーリンが使って以来とされている。でも、トーチャーはきっとずっと使えたんだろう。だって、天使の聖痕を持つ一族だ。
「シェル・ジャミング・ショット!」
ルシフに教わった魔法。魔法式を分解して再構成して、魔弾の弾頭を極限まで硬化させる。その中に炸薬として、魔法式を破壊するジャミングの式を書き込んだ魔力を閉じ込め、それをショットで射出する。
ヴォイド・ディザスターは確かに強力な魔法だ。相手が、ルシフの魔法体系を知らなければ……。
「リリース!」
その魔法原理はこう。強烈な物理的及び魔法的エネルギーで、術式を邪魔する魔法も砕いてしまえというもの。だから術式の中心核は無防備で、狙いが甘くても核に到達する。
「……願うッ! ホーリースマイト!!!!」
しかし、消されるのも織り込み済み。僕がヴォイド・ディザスターに気を取られている間にも、彼女は詠唱をしていた。まさに神話の魔法。黙示録に描かれる、神の奇跡が僕に向けられている。対悪魔の特攻でありながら、同時に純然たる威力でも他を圧倒する魔法。しかも、これに回避手段はないのだ。
「トーチャー! 殺す気か!」
スパーダが、叫ぶ。そうアルトリアは一切手加減していない。
手加減してく欲しい……だったなぁ……。
「アンチスマイト!!」
天使と悪魔の戦争の歴史にこの魔法有り。ホーリースマイトを反転させたかのような魔法。ルシフが作り、全悪魔が知る、ホーリースマイトだけを消滅させる魔法。
あぁ、僕こんなに強いんだ……。無能なんかじゃない。今、僕は英雄相手に手加減している。
強い相手ばかりでわからなかった。淫獄騎士団や、魔王ばかりが僕の訓練相手。主導権は渡しておこう。
「彼は! この程度ではッ!」
そしてきっと、アルトリアもメタトロンと訓練をしたのだろう。そのつもりで僕にぶつけているのだろう。
また、幾多の魔弾が殺到する。
「シェル!」
ジャミングを守った式の魔力量だけをいじって単体で展開する。魔力が僕を包み、幾多の魔弾を受け止める。
「当たったぞ!」
死んだって思った人がいたかも知えない。逃げ先もないし、とにかく多彩な魔弾のせいで打ち落とすのは大変だ。
「頭上注意です! コメットコール!」
アルトリアが攻撃の手を緩めたのをみて、攻勢を差し込む。
「くっ!」
煙をかき分けると、避けようとするアルトリアが見えた。でも、これじゃあまた隙ができる。
「テレポート!」
思い出がなくても、今見ている場所くらいは転移できる。僕は魔王や天使長たちの持つ権能でアルトリアの回避先に転移した。
剣は抜かない。カーテナは殺傷能力のない剣だ。
「あっ……」
僕の勝利の瞬間だった。
「リリース」
呼び出した彗星は落とすわけにいかず、そのまま消してその勝負はなんともあっけなく幕を閉じたのである。
「参りました……」
アルトリアは、僕の腕の中で言う。
「すっげー!!!!」
一番に上がった声は、マックスのものだった。
そして、次々と冒険者たちがそれに続く声をあげる。中には拝み出す者すらいた。
やっかむ者たちは、目を背け酒場へと帰っていく。やっかみの声を上げることすらできなかったのだ。なにせ、神話の魔法がいくつも飛び交った一戦だったから。
「あぁ、楽しかった……。全力で、ねじ伏せられた……。もったいない……」
気が付くとアルトリアが涙を流してた。あぁ、きっとこれまでの人生で一番拮抗した戦いだったのだろう。
「良かった……。また、やりましょうよ! その内お互いに手加減なしで!」
淫魔と拮抗するのが先か、彼女が僕に拮抗するのが先か……。ともあれ、僕も楽しかったのだ。生まれて初めて挑戦を受ける側になれた。そう、僕は受けていたのだ。
手加減を求められ、全力をぶつけられる。でも、強者はわがままだなぁ……。挑んできてくれる人がいるのに、孤独感を詩篇に書き記すなんて……。
でも、もうそれを感じる機会もなさそうだ。なんでもできる。それだけの力はとりあえずこの手の中にある。
「魅力的なお誘いです! あぁ、産まれてよかった……」
本当にわがままだ。でも、そんなわがままを満たすことができる幸せを、僕は噛み締められる。産まれてよかったって思えることがまた増えた……。だから生きよう。生きてるんだから。
「あぁ……。こんな光景が……。松明持ちが新たな原典となるのだ……」
その戦いを見ていたローランスがつぶやいた。
「いいや、原典にはならねぇ。もう終わらねぇ……。俺たちの神話だ……。ガキも、そのまたガキも紡ぎ続ける……」
松明持ちにとって、それがどれほど眩しく見えたのだろう。スパーダは、胸を押さえていた。
「うん……終わらせない……」
ラルクは深くうなづいていた。
きっと松明持ちにとってもそうなのだろう。マックスが居る。彼の輝く未来を思い描きたい……。
ここに証明された、僕のSランクの証。人類主席の戦闘能力が……。