ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
その日、アルトリアは冒険不可能であった。僕も、実感を得るほどに魔力を消耗した。
今僕の強さは、魔力に釣り合っていない。主に出力に問題があって、魔力を十分に活かせてないないのだ。
ここが僕の、そしてアスモデウス様の強さのボトルネック。殺傷のために全力になれない淫魔の性である。
戦闘能力を得ることに関して、性格的な資質を淫魔は欠いている。悪魔のくせに残酷になりきれないのだ。
だから、
ぶどう踏みの祭りの間、女性を街で見かけることは本当に少ない。なぜなら、皆ここにいる。
フェラフッドの修道院のぶどう農園。今だけは、ここは女性たちの楽園。これが、サバトと呼ばれたこともあった。
ぶどうの実を入れた桶の上で女性たちが歌い踊る。ぶどう踏みの歌を。転んでしまわないように二人一組、手をつないで踊るのだ。スカートを少したくしあげて。
人間の宗教は、少し潔癖すぎる。これのどこがハレンチなのだろうか……。否、そういうことにしたいのだ。教義を捻じ曲げる発端になった人は、女性に裏切られてしまったのかもしれない。
「おぉ、お二人も来ましたか! 見てください! 妻が踏んでいます!」
ここは、同時に一部の立ち入りを許可された商人にとってはぶどうジュースを買う場所だ。立ち入りを許可される商人とは、きっと異端である。だが、その証拠はどこにもないし、許可をしているのは修道院。神の妻たちである。だから、教会権力はそれを理由に罰することができないのだ。
ルーカの妻イザベラも、女性らしい装いで自身を開放していた。
「あぁ、忙しい時期だったのですね。ごめんなさい、こっちの商売に呼んでしまって」
そう、ルーカがここにいるということは立ち入りを許されている商人であるということ。彼はぶどうジュースを仕入れて自分の醸造所に持ち帰らないといけないのだ。それなのに、僕たちのためにきっと時間を割いてくれたのだ。
「いえいえなんの! 実りの多い商談でしたから! それよりも、どうなのですか? あなたと、その女王様とは……。付き合って長いのですか?」
ルーカの商売は他人を幸せにする商売だ。それをこの時に、深く知ることになった。
「まだ一ヶ月と少しですよ……」
と、僕が言うとルーカが目を輝かせるのだ。
「なんと! それはそれは! いい時に出会えました! ここで買ったぶどうジュースを、一樽あなたに贈らせてください! それか、私の方であなた方二人の名前で醸造してもいいですよ! いい記念になります!」
情熱的に語りかけてくるのだけど、それはもの僕にとってすごくいい案だった。
考えれば考えるほど、それは名案だ。僕と、アスモデウス様が恋人になった年に醸造を始めたワインがある。それだけで長続きしそうだ。だって、ワインの飲み頃が来るのは十年とかそのくらいは先のこと。一年は樽に入れっぱなしだから、もっとだ。
「いいんですか!?」
そんな話をしていた時である。
「ほらほら、あなたたちも踏んでくださらない? 今年はぶどうが取れすぎちゃって!」
と、修道女に声をかけられてしまったのである。
「……えっと、彼は男性です」
アルトリアさんがフォローしてくれるのだけど、彼女は逃げられない。
ぶどう踏みの祭りは、女性ならフリーパスで入れる。女性に連れてきてもらえば男性でも入れる。僕は多分、女性に見えるから入れてもらえた気がする。今は、女性だけど国籍は男性のものだ。
「あらそうなの? じゃあ、あなたは踏んで! ほら、座ってね!」
こういう時、魔術師は無力だ。身体能力が一般の女性とどっこいどっこいってこともある。
「あ……え……」
よってアルトリアはあれよあれよと椅子に座らされ、靴を脱がされて足を拭かれている。
「あははは! アルトリアさん、いい機会ですよ! やっていらっしゃるといい!」
ついでに味方もいない。僕も女性に生まれたら、これは経験してみたかったからルーカに同意だ。
「そうですそうです!」
でもそれは、今僕がこういう体だからかもしれないし、自分と違う人生は想像でしか語れない。
「うぅー……」
今更唸ってももう、アルトリアに選択肢はないのだ。
「ふふっ、初めてかしら? 知り合いはいる?」
知り合いと一緒の桶でぶどうを踏む。そうして井戸端会議ならぬ桶上会議なんていうのも、女性たちの楽しみなのだろう。
「彼女は私の知り合いでしてね。イザベラとも、面識がありますので」
ルーカはアルトリアの交友関係の一部だ。だから、そういうことも言ってしまった。
そんなアルトリアは、ルーカの妻イザベラと一緒の桶に放り込まれてぎこちないながらぶどう踏みを始めていた。
「楽しまないと損ですよ! ほら、手を取って! 思いっきり!」
正直に言うと、思いっきり楽しんでいるイザベラはいつもより生き生きとして見えた。
「さて、先ほどの話ですが……答えは是非にです! 情熱溢れる初々しい恋人を祝福するのは、趣味のようなものでして……」
本当にルーカは気持ちのいい人だ。本当に付き合えば付き合うほど思う、悪魔の商売の話をした相手が彼で良かった。僕の目は間違えていなかったし、彼を紹介してくれたアルトリアの目はさらに正しい。
「ありがとうございます! そういうことであれば遠慮なく! お礼ではないのですが、おいしい話があればあなたに回しましょう! 他に、持ちかける相手もいませんし!」
もう、淫獄の取引相手は彼だけでいい気がしてきた。
「これは、棚から金塊が落ちてきた気分です!」
と喜ぶルーカだけど、彼の人徳が招いた幸福である。
「それは、頭上注意ですね!」
なんて、僕たちは笑いあったのだった。