ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
豪勢な分厚いステーキは、熱された金属のプレート上で赤みの残る肉汁を滴らせている。別のプレートでサラダが乗せられいていて、見るからに彩豊かだった。
「はーい、殿下ぁ! ソースかけますよー!」
プレートの下には大きなナプキンがかかっていて、それを持ち上げてシェフ淫魔がソースをかけた。
瞬間、ソースは弾け、沸騰し、これでもかというほど香りが食堂全体に立ち込める。
こんなに美味しそうなのに、僕は不安だった。
「これ、まだ赤いですけど食べて大丈夫ですか?」
既に淫獄の食べ物の媚薬作用を消す薬は服用している。食事を純粋に楽しむために。
「大丈夫ですよー! 淫獄ではお肉は生で食べることもあります! そうだ! 切ってきましょう!」
人間界では、考えられないものだった。肉といえば、よく焼くか、しっかりと燻して酒に深く漬けるのが普通だ。でないと、ひどい目にあう。
「どうせだからさ、生食用の調理実演してあげられる?」
淫魔の……特に交際相手が居る者は魔力が非常に豊かだ。そして、年齢の高い淫魔は大体結婚をしている。結婚の形が、不定形なだけで。そうではないのは、黄金天の天使だった経験を持つ淫魔だけだ。そういった淫魔の結婚は、生涯一度きりであり、深く悩んで決められる。アスモデウス様がそうだった。
そうではない、シェフ淫魔は年長で、そして豊富な性体験を持つ。だから魔力も豊富だった。
「じゃあ、道具持ってきますね!」
もちろんシェフ淫魔は彼女だけではない。アスモデウス様の横にもついて、ソースをかけ目の前で切り分けていた。
断面からは、美しいピンク色の肉が見える。こんな美しい色の肉を人間界で見ることが出来るだろうか。
「そういえば、このお肉初めてだったねー! ごめんね、たまたま……」
たまたま献立として、ステーキがなかったのだ。淫獄の料理は非常に多彩で、豪勢な料理と一口に言ってもいろいろある。肉だって、いくつも種類があれば、海鮮はもっと豊富だ。
淫獄の食文化の豊かさは狂気の域である。そのどれもこれもが新鮮で、安全だ。
「なんのお肉なの?」
僕はアスモデウス様に聞き返した。
「ローパーだよ! この国のお肉では一番高級!」
そもそもである、食用とされる動物すら人間界とはそのバリエーションが違うのだ。アスモデウス様の言葉に、思わずつばを飲んだ。
「あ、あの……?」
これこそあの、永劫刑の執行者かと……。その繁殖には淫魔の胎が必要不可欠なため、王宮でしか飼育できていない高級畜産品。そもそも、畜産というのが人間界からしたら高度極まりない行為なのだけど……。
そう、人間界で畜産によって生まれる肉は超贅沢品だ。多くは、野生の肉が使われている。畜産の肉、それだけで僕には垂涎ものだった。
「うん! そのお肉!」
アスモデウス様と話しているうちに、ソースが飛び散るのが落ち着いてナプキンが下げられる。何度見ても美しい色だ。平民として生活していたら、こんなに新鮮なお肉を目にすることはそうそうない。
「大丈夫ですか? もっとしっかり焼いて提供することもできますよ?」
なんて、シェフ淫魔は聞いてくれるのだけど、メイド淫魔たちもアスモデウス様もそれを食べるのになんの躊躇もなさそうだ。となると、これを怖がっているのは、未知の食材に躊躇しているのと何も変わらない。それに、そんなことは何回も乗り越えてきた。
「大丈夫です! 食べてみます!」
アスモデウス様もアリストも居る。魔法に学問、例え病気になってもすぐ救ってもらえる。
それに、豪勢な食事がこれなのだ。楽しまなければ損だ。
僕は意を決して、切り分けてもらったお肉を口に運ぶ。その様子をその食堂に居る全員で息を飲んで見守ってくれていた。ありがたかったけど、ちょっと食べにくかった。
「うわ、おいしい!」
まさに驚愕。食べづらさを殴り飛ばす旨みの暴力。
噛み締めると舌の上で肉汁が弾け、口の中を香りと旨みがソースと絡んで暴れまわる。噛もうとすると、ホロホロ解けてすぐに肉のジュースになってしまう。
ソースの方も品がいい。根菜類の甘味に、スパイスの香りと刺激。一体になって、完全なバランスだ。食事で得ることのできる、喜びをこれでもかというほど濃縮したのが肉のジュース。無くなると、寂しさすら感じる。
「よかったぁー! どんどん食べてね! お刺身も来るよー!」
半ナマの肉を警戒したけど、これは危険であっても食べたくなる味だ。危険じゃないなんて言われて止められるものじゃない。アスモデウス様の言葉にさらに探究心が掻き立てられる。
「腕をふるいませんと!」
シェフ淫魔は、貴族の専属シェフとはイメージが違う。僕のイメージでしかないけど、宿屋の女主人に近いと思うのだ。格調高いというより、もっとフランクな雰囲気だ。なにせ、ただの料理好き淫魔が持ち回りで宮廷料理人を請け負っているに過ぎないから。
「ありがとうございます!」
それは心地よくて、余計に食が進む。
淫獄は、身分階級が娯楽目的で使われるような場所だ。そもそもが人間界に比べて圧倒的に、垣根が低いのである。だからだ、海辺で炭火焼している淫魔たちの食事が王宮クラスなんてこともよくあるのだ。
肉の刺身、後に出てきたそれはこれでもかというほど贅沢だった。表面を茹で、切り落として、中の生の部分だけ食べる。こうすると、安全に生肉を食べられると聞いた。人間界では王様だってここまでの贅沢をしたことがないだろう……。