ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
ユニコーンとバイコーンに先導させる、馬たちはどんな気持ちだろう。
「しかし、魔王様っていうのはどの程度強いんだ? 人間が手も足も出ないのはなんとなくわかるけど」
兎角、騎乗しているスパーダはのんきだった。Sランク冒険者がフェラフッド領近郊で脅威など感じるものだろうか……。
「今のところ僕は、魔力が潤沢でなんとか淫獄の一般騎士といい勝負です」
もったいぶってみる。アスモデウス様が強いという話で、彼女が不都合を被ることはないだろう。
しかし、僕も成長したものだ。このままなら、数年のうちにふたりの騎士団長ともいい勝負をできるようになるだろう。あと、レジーナの成長も著しい。彼女の場合元々の戦闘経験が豊富なのだ。淫魔の身体能力への順応速度は僕を圧倒的に凌駕する。
「あんたで、一般騎士とどっこいかよ……」
その時点で、スパーダは引いていた。でも、僕はそういう立場になったのである……。
「ついでに、淫獄の騎士団長が全力だと一般騎士が10人がかりでも勝てません」
こんな話をしているのは、アスモデウス様達がちょうどいないからだ。街中を歩くわけにはいかず、遺跡に入ってから再度合流する。コルビナ商会の倉庫でブリーフィングができたのは、アスモデウス様たちが僕たちに合わせてくれたのだ。
「あんたが10人がかりで!?」
でも……だ、今話しているのはもっと強い存在の話だ。
「はい! 淫獄には騎士団が二つあって、それぞれ20名づつ。それを、アスモデウス様に全部ぶつけます。しかし、勝てません。魔王同士で戦った日には、世界が終わると思いました……」
そう、魔王同士の一対一の戦いは人間の目には黙示録に見えるのだ。凄まじい魔力の奔流がいくつも放たれ、それがぶつかり合って消滅する。
「あはは……確かに、そう思いましたね」
と、アルトリアは同じく目撃したもの同士のよしみで、笑いかけてくれた。
「それに、今回荷物持ちさせんのか……」
なんて、苦笑いしていた。
「……仕留めた」
なぜ、こんなのんきに話していられるかというと鷹の目が僕たちを守ってくれているから。ラルクは危険な敵対生物を、無造作に射止めていく。彼は矢を二種持っている。
一方は通常の矢、それは道中で使うために多少量を確保している。
もう一方は、Sランク冒険者くらいしか持てないであろう矢。ダンジョン内で回収しつつ使う予定のものだ。現在これも最新の聖遺物と化している。
「見事!」
DやCランクにとってはちょうどいい稼ぎ場のここも、彼らにとっては大したことがない。
ラルクの報告を、ローランスは褒めた。
「いつもありがとうございます、ラルク」
そんな、獲物を放置して行ってしまうのだ。
「アルトリアさん。回収しなくていいんですか?」
しかし、それもそれでちょっとした仕組みがあるようで……。
「今日ここを通ることはギルドに申請しています。数時間もすればDランクの冒険者が回収してくれていますから」
Sランク冒険者にはここの獲物を解体しても、矢の一本すら調達できない資金にしかならないのは明白だった。せいぜい一頭が10シリング程度だ。対して、ラルクのダンジョン用の矢は一本1デナルは下らない。
「そうそう、狩場を荒らしちゃいけねぇのさ!」
アルトリアとスパーダによって、その仕組みを知ることができた。
「なるほど、しかし1シリングも受け取らないのは……」
それはそれで、下位の冒険者たちに罪悪感でも芽生えるのではと心配した。
「後で、冒険者ギルドから討伐報酬の半分を受け取ります。ご安心を……」
という、アルトリアの言葉に僕は安心したのであった。
「しかしなぁ、人類主席がSランクになり立てで、つい一ヶ月とちょっと前まではFランクときた。人生何があるか、わからんねぇ!」
嫌味はなかった。スパーダは愉快そうにカカと笑うのだ。
そうつい最近まで僕は冒険者末席程度の戦闘能力だった。淫魔に力をもらって、ズルをして今の主席の僕がある。それを考えるなら、純粋な人間のままSランクに上り詰めた松明持ちのメンバーこそ本当の怪物だ。
「そうですね……。正直、幸運でした」
冒険者の才能はいくつかに分類できる。戦闘の才能、勤勉の才能、臆病な才能。しかし、多くが見落としてしまうのが、心根の才能だ。ここを見落とす冒険者の消息は、時折消えるらしい。それこそ、冒険者としての絶頂期が近づいた時に……。
謝ればいいのか、それともそれは嫌味なのかはわからない。
「まぁまぁ、ビクビクすんな! 幸運も、才能だ!」
そう、スパーダは笑ってくれた。
「いかに血のにじむ努力をしようとも、運はどうしても外せません。私なんて、トーチャーに生まれた幸運で、ここに居ます。そして、彼らもそれなりに己が幸運を自覚しているでしょう……」
アルトリアに言われてふと、後ろを振り返る。
「死線を越えるためには、最後はやはり幸運だ……」
「うん、たまたま生きてる……」
「それも忘れちまうと、足をすくわれるのさぁ!」
彼らは各々、自分の幸運を語った。
全ては努力と語りたいだろうに、彼らはそれをしない。自分が幸運なことを決して忘れない……。それは、彼らがそれに何度も命を救われているからなのかも知れない。
「私だけが、生まれに幸運を保証されています。よって、トーチャーに生まれたことが、私の幸運の全てであり。私の才能の全てです」
それを言うために、どれほどの苦難の道があったのだろう。努力努力と周囲には言われている。
レジーナも言っていた。“私は努力に耐えられる丈夫な体と心に恵まれた。しかし、それにあぐらをかいたから味方の矢に打ち抜かれたのだ。”と……。