※この作品はR-18です。

ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで―   作:暁深夜

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最悪の兆し

 ロストが発生している状態では入り口付近が弱く、奥に行く程強くなる状況ほど危険だ。魔術の知識があると、ロスト化した時に徐々に死霊術の知識に目覚めていくからだ。

 その場合、周囲に漂う魂魄を引き寄せたりする。

 

「ゴースト……ハウンド……」

 

 非人外型のロストはさらに最悪だ。それ単体はとても弱い、でも人間以外の魂は未練を断ち切り安いのだ。

 野生で生きる生物にとって、死は人間にとっての死より身近なもの。だから受け入れやすいのだ。人間でも、周囲の知り合いが死んで行くと受け入れ安くなる。よって野生の生物はロスト化しにくいのだ。

 

 それが、ゴーストの状態。死霊術を使った魂魄の管理が遺跡外の広範囲に及び、さらに管理の強度も高い理由である。

 ゴースト・ハウンド自体は、ローランスの盾に当たった瞬間に霧散した。天使長の祝福は本当にありがたい。

 

「なるほどなぁ……アズちゃんに言っておくべきかも……」

 

 人間にとっては常識でも、悪魔や天使にとってそうじゃないことなんてたくさんある。アスモデウス様にとって、今回のことはまさにそれだった。

 そもそも霊魂の世界に存在する、天使や悪魔に死霊術のことはわからないのである。

 

「アズちゃん?」

 

 そして、僕も知らない天使が居た。

 

「幽界を支配する天使長だよ! リリィっぽくて可愛いよ!」

 

 リリィっぽい、天使や悪魔に大人や子供という区別がないためそういう言い方になっているが、要するに子供っぽい外見という意味である。

 

「最奥にはかなり最悪に近いロスト……おそらく、リッチのロードかあるいは未確認の上位種が存在すると思われるのですが……」

 

 人間なら脅威だ。むしろ、国なんてリッチ・ロードなら簡単に滅ぼすことができる。そして、原理上ロストの力に上限はない。時と共に、無念が募ればやがて最悪の惨禍になる。アルトリアはそれに震えていた。

 

「大丈夫ダ、安心シテホシイ。私ガイル……」

 

 しかし、同じく無限なのが天使。神の理によって、与えられた美徳に従い生きる限り無限に力を増していく。ましてや、魂の運行の管理を行う側の存在。アルトリアは、メタトロンの使徒とも言えるのだ。

 

「心強すぎる味方がいるのでしたね……」

 

 僕たちは、しっかりと遺跡の地形や罠を把握しながら進んできた。そのせいで意識がついつい人間だけでの攻略になったりする。

 

「幽界かぁ……どんなところなんだろう……」

 

 思い出すと、意識が弛緩する。

 

「あ、あの子ちょっと松明持ちっぽいかも! ほら、魂が死んだあとの旅をサポートしてくれる!」

 

 アスモデウス様はそのアズちゃんについて少しづつ教えてくれる。

 

「ちなみに、アズちゃんっていうのの本名は?」

 

 アスモデウス様が知り合いの名前を略するのはもうよく知っていることだ。メタトロンなんてメタくんである。

 

「アズライールちゃんだよ! たださっき天使長って言ったけど、よくわからないんだ……。天使として産まれて、半分は私たち悪魔と同様の性質。静謐で寛容な、輪廻の天使だよ!」

 

 アズライールとは謎多き存在なのだ。

 

「待って……そこの地面なにか違う……」

 

 そう何か違う、それが罠を発見するための頼り。罠がどういったものかという学問は役に立つ場合もあるけど、それに頼ると死ぬことがある。そのため、知識より臆病さと視力、それから注意力が大事だ。

 

「観察してみましょう……。えっと、天井の様子から浸食による変化のようには思えません。水の痕跡はありません。矢を……」

 

 よって罠に関する学問は後方支援のポーターが担当することが多い。

 

「ラルク、お願いします」

 

 しかし、普段はどうにもアルトリアが担当しているように見える。本当に彼女は超人的だ。

 

「うん……」

 

 罠の実態は実に様々だ。感圧式だったり、トリップワイヤーだったり、一番厄介なのは生体感知である。

 ラルクの矢がそこに落ち、感圧でないことが分かる。感圧なら、その時点で少し変化がある。人間の体重が発動に必要な調整でもだ。

 同時に、アルトリアが魔法的痕跡を探して地道に仕掛けをある程度特定する。遠隔での解除の必要があるものか、作動すれば一回で終わるものなの……。

 

「あぁ、これは魔法式のタイプです。しかし、既に効力を失って……あ、失礼しました。今、解除しました……。こちらの魔石はダミーです」

 

 魔石は、魔物の体内に生成される。そもそもそれが何かと言うと、それについては謎だらけなのだ。

 しかし確かに魔力が含まれていて、魔法式に供給する役割を持たせることができる。しかし、魔法式への魔力供給の方法はそれだけじゃない。

 

「コフィン……なんてことを……」

 

 魔石というダミーによって隠されていたのは、考えうる限り最悪の死霊魔法だ。魂を奴隷化し、魔力を吸い上げるためだけに利用する。魂への配慮は一切なく、その中に閉じ込められている限り永遠の退屈と孤独の中で魂が歪んでいく。

 それは、見る限りなんの変哲もない石なのである。

 

「ごめん、それこっちに渡してくれる? すぐ、アズちゃんのところに持っていきたい……」

 

 そんなものを見て、アスモデウス様が何もせずにいられるわけもないのだ。一秒でも、彼女にとっては胸糞悪い。

 

「もちろんです、よろしくお願いします」

 

 それは、松明持ちにとってもだ。しかし、コフィンを利用しようとする魔法学者も存在する。それを押しとどめているのは、宗教だ。原典のままなのであろう教義“何人も、死を愚弄すべからず”の一節である。

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