※この作品はR-18です。

ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで―   作:暁深夜

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葬送の天使

 遺跡探査中にパーティーメンバーが増えるという話を誰が信じるだろう。

 

「ジプシエルです……どうか、霊魂の安寧のため麾下に……」

 

 そして誰が信じるだろうか。それが天使だなんて……。

 メタトロンやアスモデウス様には導けない魂がある。それが歪みを持ってしまった魂だ。歪みの中から学びだけを取り出し、そして癒すのは幽界の役割だ。その代わりにありとあらゆる生産は必要ない。

 その天使は、静謐な声を持つ少女のような姿で、背には白と黒の羽を一枚づつ持っていた。

 

「なんかね、コフィンの解体なんて一瞬でも早く終わらせたいから、この子も連れて行ってってアズちゃんが!」

 

 しかし、納得させるだけの説得力がその言葉にはあった。アスモデウス様が言うコフィンの解体は魂の開放のこと。コフィンという魔術を僕はアスモデウス様に聞いている。本物の禁術として、禁術が禁術たる所以として。

 

「コフィンは、本当に恐ろしい術です……。空白でしかない現実を、妄想が埋め尽くす……」

 

 そう、それは本当に恐ろしいのだ。最初は幸せな妄想が埋め尽くすこともある、でもそれは次第に歪んでいくのだ。

 

「ソシテ、コフィンハ、神ニモ感知スルコトガデキマセン」

 

 だから禁忌であるとされている。まともな感性なら、その術式を知ったところで使おうと思わない。使おうと思ってしまうのは、功利主義に人間としての芯まであずけてしまうからだ。

 そういった人間は支配者に多い。常に、反乱を起こしかねないプレッシャーに晒されて、苦しみから逃げるために感性がゆがんでしまう。

 

「ほんと、考えられる中で最悪の魔術だな……」

 

 スパーダは吐き捨てるように行った。眉間に深い皺を寄せながら。

 

「はい……アズライール様共々、一刻も早い開放を望みます……」

 

 ジプシエルは、切望し今にも涙を流さんばかりの表情で言う。慈愛に満ちているのだ、苦しみを放っておけないのだ。

 アスモデウス様が幽界に行く間も、僕らは探索を続けていた。

 

「では、こちらをお願いできますか?」

 

 この遺跡にはコフィンを利用した罠がいくつもある。

 

「分かりました……」

 

 ジプシエルはそれを受け取ると、握り締め祈りを捧げる。黒いモヤが立ち上り、彼女の頬を一筋の涙が伝った。

 その表情は、あまりに悲しそうで、苦しそうで……。

 

「ジプシエル様!?」

 

 アルトリアは彼女を慮るのである。

 

「今、ジプちゃんは魂とお話してるみたいなものなの。行く先を教えなきゃいけないから……。共感しすぎて、泣いちゃうだけだから大丈夫だよ……」

 

 アスモデウス様はそう言って、アルトリアをなだめていた。

 

「ホラ、旅路ニ戻リマス」

 

 メタトロンが口を開くときにはモヤの色は晴れていき、淡い光を放ちながら天へと登っていく。

 きっとそれが魂なのだろう……。

 

「魂の旅路を照らす……か……。確かに、我々らしい……」

 

 ローランスが言うように、その役割は道を照らすもの。どこか、松明持ちが出会うのは運命だったように思える。

 

「どうか、ゆっくりと……」

 

 その光の尾にそんな言葉をかけてから、ジプシエルは立ち上がった。

 

「私も、あなた達に親近感を感じています……」

 

 そう言って、彼女は微笑んだのだ。

 小さな体では有り、少女のようでもある。なのになぜか、慈母のような温かみを感じるのだ。

 

「心強く思います……」

 

 と、アルトリアは彼女の参入を受け入れた。

 

「よかったぁ! やっぱり、その場で開放したいもんね……」

 

 アスモデウス様はちょっと心配していたみたいだ。松明持ちにその心配は不要だと思う。アルトリアは普通で優しくて、他は一癖あっても優しい。そんな人たちだ。

 そんな会話を終えて、再び歩き始める。今までどおりの牛歩で。

 僕はある程度しっかり遺跡の状況にも目を向けないといけない。とはいえ、最大の警戒要員はラルクである。

 

「他に、コフィンの開放ができる場所は人間界にありますか?」

 

 アルトリアはそれが気になるようであった。苦しんでいるなら、手を差し伸べたい。そのために松明持ちをやっているのである。

 

「教会で祈って下されば、手を貸しに参ります……」

 

 聞こえるジプシエルの声は優しげで、微笑むような顔が浮かんで見える。

 

「良かった……。私たちの対応は間違っていなかったのですね?」

 

 アルトリアの声は心底安心したようなものであった。

 Sランク冒険者ともなれば、コフィンを見つけることもあるのだろう。見つかるのは、大抵最悪のロストが存在する遺跡だ。

 

「でもよぉ、賢者たちと一緒にいた奴がそんなの作ると思えねぇ……」

 

 なんて、スパーダは疑念をこぼした。危険がない限り、出番がない立場だ。

 

「うん、作らないよ! 大抵はロスト化した後に作ってるだろうって、神様が言ってたよ!」

 

 本当に、実際に見てきた魔王は言うことが違う。勝手に最初の王朝の成立を祝ってくれたのだから。

 

「そっか! 思ったとおりの賢者様だな! これで、原典を見つけても安心して喜べるってもんだぜ!」

 

 もしも賢者たちが、コフィンを作るような人物であれば、教義は最初から歪んでいただろう。もっと醜い世界になっていただろう。

 今でも充分醜さはある、それでも美しさだってあるのだ。例えば、松明持ちのような……。

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