※この作品はR-18です。

ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで―   作:暁深夜

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昔噺

 その日は夕食を淫獄で摂ることになった。件の知り合いの淫魔の話を聞くためである。

 

「これはこれは、お初にございます! 手前、これと名乗るほどのものでは御座いませんがペネムと申します! いやはや懐かしいお話頂きまして、これに手前の口から一つ語って聞かせて来いと師匠に言われて此処へと参りましてございます! どうぞ皆々様、修業中の手前の話、お聞き届け頂きたく!」

 

 そう、その知り合い淫魔とは語り家師弟の弟子の方だったのである。ついでに、ご主人様の方だったのである。そして、グリゴリの天使団の一員である。そのペネムが、舞台の上に座っていた。

 グリゴリとは天国と地獄が仲直りした証拠のような天使団であり、欲望に忠実だから地獄の方が似合うだろうと説得された一団らしい。淫獄の二号住人らしい。

 師匠の方は、アスモデウス様と一緒に堕天したらしく古い天使だそうだ。

 

「さてさて、五千年ほど前の物語にございます。遠い遠い昔の物語、まだ皆様が影も形もなかった頃のお話です! 私当時、人間界の繊維植物を育てる係りでした。そこへ、なんと可愛らしいことか、人間の少女が迷い込んで来たと思ったわけでございます!」

 

 彼女の話し方が何故か勢いがあって楽しい。引いたり押したり、畳み掛けたり間を空けたりだ。

 

「ええ、“思った”とはどういうわけかとお思いでしょう。これなる少女こそ、かのソロモン! てっきり少女かと思ったのですが、男性だったわけでございます……。さてさて、任期は百年。足取りおぼつかぬ年端のいかぬ少女を見捨てるは、悪魔の名折れ! 借りていた家に匿って、彼を育てることとしました。しかし、思いのほか聡明! 私がやる事なす事全てに興味を持って、なぜなぜと尋ねられて答えていくと……。彼は、私の仕事を手伝うようになったのです! 斯くして、人に農業がもたらされ、私とソロモンとの関係が始まりました。しかし、彼もまた人! 失って悲しみに千年ほど暮れ、今の仕事に落ち着いたのでございます!」

 

 なんというか時間スケールの大きな話だった。しかし、文明とは何なのだろう。聞いてる限り、ペネムがソロモンに教えたのは農耕だけ。いや、淫魔だから快楽を教え込んだ可能性は高いけど……。

 ……抱かれたのだろうか。すごく気になった。

 

「本当に、言ってくれればバビちゃんに淫紋刻んでもらったのになぁ……」

 

 と、アスモデウスは腕を組んでしみじみと言った。

 僕もちょっと同感だ。ただ、事は五千年前である。

 

「そうだったんですけどねぇ……当時まだ悪魔って怖かったので……」

 

 語り家としての態度から、ありのままの自分の態度に切り替えるペネム。

 しかし、だから人間界での仕事を選んだのかもしれない。

 

「文化侵略してるじゃん!」

 

 ただ、間違いなくそれは石器文化だった人類を、文明時代に押し上げてしまったのだ。

 

「それを反省して、駐在を置けなくなりました……」

 

 よよよと、アスモデウス様が泣き真似をする。でも、そう考えると僕たちはその恩恵を受けていると言えなくもないのだ。

 

「しかし、千年暮れたのですか!?」

 

 アルトリアはその長さに驚いた。

 

「たった百年とは言え、本当に大好きだったので……」

 

 驚いたことにペネムは未亡人だったのである。しかし、悪魔への恐怖も薄れたのであろう。

 

「トコロデ、彼ノ最期ノ言葉ハ?」

 

 メタトロンは訊ねた。

 

「いつかきっとまた会える。魂はきっと覚えてるから……でした」

 

 それは、なんとも感動的だ。

 

「だから……千年も?」

 

 訊ねずにいられなかった。その言葉が呪縛となって、千年も彼女を泣かせてしまったのであれば……。

 ソロモンともあろう者が、なぜそれを覚えていられなかったのか。

 

「それも有ります。それ以上に、彼以外と恋をする気になれなくて……」

 

 あぁ、彼女も元天使らしい一途さを持っていたのだ。

 

「姦通ノ戒律……少シ考エルベキカモシレマセン」

 

 あるいは、その呪縛が天使としての教育によるものかも知れない。メタトロンはきっとそう思ったのだろう。

 

「でもまぁ、今は幸せになれたわけだろ? ならいいんじゃね?」

 

 ただ、今は悲壮さを感じない。だからスパーダはそんなことを笑って言えるのだろう。

 

「はい! 今はお師匠様がいますからね!」

 

 おそらく、みんなペネムの言い方から普通の恋人を想像しただろう。ただし、彼女たちの関係は淫獄流の夫婦関係だと思う。だって、二人で農場に入っていく姿を僕は忘れられないのだから。

 

「ペネちゃん! 今日はありがとう! 迫力満点だった!」

 

 なんて、アスモデウス様はペネムを褒めた。

 

「ありがとうございます! みなさんもどうでしたか!? 淫獄の芸能の一種なのですが……」

 

 こうして感想会へと移る。ペネムはまだ修業中、反応が欲しいのだろう。だって、僕だって貰えたら嬉しい。

 感想は概ね、好意的なものだった。詩歌とは違う芸能だけど、冒険者たちも楽しめたようだ。

 それはそれとして、食後は地図を確認しておかなくてはいけない。両賢者が作った遺跡だ、きっとまたその遺跡にも何かがあるのだろう。

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