ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
奴隷商には二種類ある。適法奴隷商と、違法奴隷商だ。
原則奴隷は、本人の意思あるいは飢餓による気絶によってのみ奴隷に落ちる。要するに、それ以外に生きる方法がない人間だけだ。他に生きられる方法を見つけられた場合、開放する必要があることも多い。もちろん、奴隷商による保護期間の飼育費や奴隷買取金は本人が負担する必要がある。
違法奴隷は、本人の意思は関係ない。目の届かないところで誘拐が起こり、そのまま奴隷になる。そのような奴隷が見つかった瞬間、その奴隷商は多くの場合破滅だ。
最低男性で一万デナル、女性で三千デナル。それだけの金貨を本人へ。そして、顧客に対してもその奴隷を売った時の五倍の金貨を払わなくてはいけない。奴隷虐待が認められた場合、本人への金貨は虐待の程度によって変わる。
しかし、居るのである。適法奴隷商の中には、聖人君子が希に。そういった場所の奴隷は基本高いが、それでもルーカは言った。
「ここの奴隷商が私のお得意なのですよ! 相場の倍ほどしてしまいますけどね、彼が国中の奴隷を買い集めればいい。そう思っていつもここで買っています……」
魔王たちには申し訳なくも帰ってもらった。さすがに悪魔が白昼堂々外を歩くわけには行かない。
しかしコルビナ商会は今回の一件で既に目立っていた。
「私は見たのだ! コルビナ商会の馬車が清廉なる光に包まれた姿を! 以降、彼らの仕事の一切を邪魔してはならない! 慈悲の商人は神の国のめぐみすら我らにもたらせてくれるだろう!」
司祭が演説していたのだ。なにせ天使が乗った馬車を走らせたのだ。神聖なものだと感じられないようでは司祭の名が廃る。
適法奴隷商の中でも、特に適法であることが見抜きやすい奴隷商は教会のそばに店を構える。教会に貧困を相談し、奴隷となる決断をするものも少なくない。
「あはは……」
ルーカは苦笑いしていた。
しかし、気にせずに奴隷商の扉を開くと、紋章付きの首輪をした奴隷たちが働いていたのである。ほぼ全員女性だ。
ガッチャンガッチャンと、布を織る音が聞こえる。
「これはこれはルーカ様ではありませんか! 皆さん、訓練はやめにして一度お客様に挨拶を! この方もとても幸せにしてくれるご主人様候補でございます!」
正直、ここへなら売られても良かったと思った。ただ、多分適法すぎてここへ売っても僕はほとんどお金にならなかっただろう。奴隷買取金は、違法にならないギリギリでやっている商会の方が高いのだ。
「マティアス様! いつも助かっております! これが奴隷商の姿とは、知るものしか思いませんでしょうな!」
そのくらい扱いが慈悲深いのが見て取れる。だって、ここの女性たちは良妻賢母となる訓練を受けているのだ。楽しそうに談笑しながら。
これでは、売れたあとに奴隷としての待遇ではなく妻としての待遇が期待できてしまう。それに自分を買い戻す人も居そうだ。
「ええ、奴隷という名目なだけでございます! 彼、彼女らは私の弟子! 第二の人生をお与え下さる方にしかお売りしません!」
ほぼ職業訓練のための学校である。そりゃコストがかかるだろうし、奴隷も高くなっても仕方ない。それにこんな人が奴隷を買い占めれば、不幸な人が減りそうだ。
「私はまだ、お売りいただけますか?」
少し二人共芝居がかっていて、僕らに自分の仕事をアピールしていたのだ。
「マティアス様は慈悲の奴隷商で有名です……」
と、アルトリアが耳打ちで教えてくれる。慈悲の奴隷商なんていう言葉が存在したことが衝撃だ。
「ですよね……」
ただ、こんな光景を見たらその言葉が出来上がってしまうのもわかる。
「もちろんですとも! ルーカ様に売れなければ、もはや誰にも売れませんよ! いつものようにご注文ください!」
マティアスが言うと、彼の奴隷たちは立ち上がり平民の礼をとった。カーテシーなどは平民がやると問題になる。よって、平民の礼が作られたのだ。
優雅に美しく頭を下げる姿も、奴隷とは思えない。下級貴族に雇われている平民メイドのようだ。
「あまり多く買えなくてごめんなさい。算術をやりたい人が三人まで、旅をしたい人が十人まで。今回最大で十三人お譲り頂きたいです」
ルーカが言うと、機織りをしていた奴隷たちが前後に別れる。前の人たちは、今言った仕事と希望が会うようだ。
「この場にいるのは全員女性になってしまいますが……男性も必要ですか?」
基本的に機織りは女性の仕事だ。
「マティアス様……俺……あの……」
しかし、一人やらされていたのである。機織りを、男性が。
発言してくれなくては、わからなかった。だって見るからに小さな少女だったのだ。
「マティアス! あなたねぇ! 子供をッ!」
その姿を見て、ルーカはマティアスに詰め寄る。
しかし、その奴隷が間に割って入ったのだった。
「ルーカ様、奴隷の身分ながら出過ぎた真似を申し訳ございません。ベンジャミンと申します。このような身なりでございますが、成人しております。いかなる罰もお受けいたしますので、どうか主人をお許しください」
そう言って、深く頭を下げたのである。
「い、いえ……。ベンジャミン、ごめんなさい。私の早とちりでした。……マティアス様も、申し訳ない。あなたがそのようなことをするはずはありませんでした」
したわれている。彼が売った先の奴隷たちは人権の有無に限らず、人道的に扱われているのだろう……。
しかし、奴隷を買いたい人間の多くは、人権のない人間を求めているのだ。だからグレーゾーンの奴隷商は無くならない。