※この作品はR-18です。

ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで―   作:暁深夜

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奴隷商には見えない

「寛大なお言葉、ありがとうございます。ところで、お連れの……あなた様。差し出がましいかもしれませんが、私をお買い上げいただけませんか?」

 

 そして、ベンジャミンは僕を見て言ったのだ。

 

「なぜ、僕なのでしょうか?」

 

 ここでの資金はアスモデウス様が元々持っていたデナル金貨をルーカにあずけている。ルーカの金融の客としては第一号だ。

 さらにただの金であっても、純度と重量を調べることができる人が居れば使える。デナル金貨の刻印は、要するに計量済みの証なのだ。

 

「なぜなのでしょう、あなたと行けば懐かしい人に会えるような気がするのです。会いたい人なんていないはずなのに……」

 

 奴隷の過去は大抵寂しいものだ。親なんて、存命だとしても助けてくれなかった親だ。食事の面倒くらい見てくれていたなら、奴隷にはならない。五体満足ならなおさらだ。

 

「それは僕に、あなたの人権を譲渡するということになりますよ?」

 

 それに、彼の特徴に心当たりがある。もしもその心当たりが正しければ、彼は僕自身にではなく僕に刻まれた淫紋によって保持することになった僕の魔力に反応している。

 

「構いません。ルーカ様と一緒にいらっしゃるのです。それが、非人道的な扱いをするのが苦手である証左です」

 

 一時とは言え、その人権が完全に僕に譲渡される。ベンジャミンは、ルーカが横に居るという事実を理由にその賭けが分の悪いものでないと思ったのだろう。

 

「マティアス様、彼は僕が買い受けていいですか?」

 

 覚悟は決まった、彼を淫獄へ連れて行く。きっとそれが、彼にとって最良の人生なのだ。実証をはじめよう、彼が何者なのかを暴こう。

 

「かしこまりました。千デナルになります」

 

 やはりルーカが隣にいるということは、ものすごい信頼になるのだ。少なくとも商人の世界では。

 しかし、千デナル。それが相場の倍程度なら、彼のような奴隷の相場は五百デナル。僕もそのくらいで売られたのかもしれない……。

 

「コルビナ商会につけておいてください。あとは、今前に出てらっしゃいます方々をお売りいただきます」

 

 つい数ヶ月まえまで、売られるのを危惧していた僕は奴隷を買う側になった。ルーカはさらに数人の奴隷を買い、彼女らはおそらくコルビナ商会の従業員となる。

 旅をしたいと願う奴隷は、御者としての訓練を積んでいくのだろう。算術をしたいと願う奴隷は、在庫管理などから徐々に会計士としての信頼を築いて行くのだろう。

 

「では、首輪を変えますよ! 皆さん、こちらへ!」

 

 マティアスは購入される奴隷たちを呼びつける。そして、腰についた鍵束を机に広げた。

 最も先頭は、最初から近くにいたベンジャミンであった。

 

「マティアス様。お世話になりました……どうか、お元気で……」

 

 本当にしたわれているのだとわかる、ベンジャミンの声は涙で震えていたのだ。

 

「ベンジャミン、あなたはよく学びました。あなたは努力を惜しまない人でした……。胸を張ってお行きなさい……。どこに在ろうとあなたは役に立つでしょう……」

 

 そう言って、首輪の鍵を外して宝石の意匠が描かれた首輪に付け替えた。

 

「あの首輪はコルビナ商会の奴隷であることを示すもので、将来人権を取り戻すという意味を世俗的に持ちます……」

 

 その首輪の意匠の意味をアルトリアが僕に教えてくれた。

 世俗的、つまり首輪自体がその意味ではないのだ。ただ、これまでコルビナ商会に属した奴隷たちは奴隷階級を脱していったのだろう。だから勝手にそういう意味を持ち出した首輪なのだろう。

 

「マティアス様……。今までの事、なんといって良いか……」

 

 次の奴隷の番になる。あぁ、本当に信頼されている。マティアスの言葉を一切疑っていないのだ。

 

「ソフィア。あなたは計算板が大好きでしたね? あなたは将来きっと、立派な会計士になるでしょうね」

 

 一人、一人と別れを告げていく。それは売られた奴隷を見送る姿としては異質を極めた。奴隷を見送るというより、孤児院から巣立つ子供たちを見送る姿に近いのだ。

 

「マティアス様! 私、またここに来たいです……」

 

 利発な女性が、彼の前でまるで願うように言う。

 

「エリザ、あなたは広い世界をみたいといつも言っていたのに。しかし、もちろんいつでも私や旧友に会いにいらっしゃい……。歓迎いたします」

 

 驚くことに、マティアスは奴隷たちの全ての名前や願い、普段の言動まで覚えているのだ。

 こんな奴隷商なら、教会のすぐ横にあっても司祭が何も言わないわけだ。むしろ、貧困に対する救済でしかない。人を人と思わない残酷な商売ではない……。

 

「ここ、本当に奴隷商なのかなぁ……」

 

 という疑問は尽きないのである。少なくとも、僕が持っていた奴隷商のイメージとは違う。

 そうして、一人一人別れの言葉をマティアスに告げた。その会話でそれぞれどんな願いを持った人なのかがよくわかったのである。

 

「「「これからよろしくお願いします! ご主人様!」」」

 

 奴隷たちが全員整列して、頭を下げる。

 

「では、最初の命令です。皆さん、私のことは主人ではなく会頭と呼びなさい!」

 

 その命令は、奴隷として扱う気は毛頭ないと言っているようなものだ。従業員見習いとして、扱う宣言のようなものだ。

 ルーカはまるで奴隷商を、仕事に困った人材を見つけるための目として活用しているようにしか見えない。これから彼女らは商会にふさわしい人物として育てられ、奴隷を脱していくのだろう……。

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