※この作品はR-18です。

ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで―   作:暁深夜

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故郷への跛行

 そんな主従プレイの次の日朝食を終えたあと、久しぶりに布の服を着た。

 そして、日帰りなのに出立式が中庭で行われている。

 

「……本当のことを言うと、殿下に人間界に帰って欲しくないです」

 

 と、メイド達が涙ながらに訴える。……一体何だろう、日帰りのつもりなのに。

 

「ええっと……?」

 

 そして、メイドから一本の剣と小瓶を手渡される。媚薬の原液の小瓶だ……。

 もう一つ、剣。それは、仕立てからして美しく、僕の身なりからは少し浮いていた。

 

「それは、魔杖剣カーテナ。淫獄十宝剣の一つにして、最高峰の守りの剣。それ自体が一種の概念であり、所持者はその剣を用いて殺すことはできませんが、所持者自体も殺されることはなくなります。どうか、ご無事で……」

 

 淫魔たちは一体人間界をなんだと思っているのだろう。いや、国王であるアスモデウス様が過保護だったのだ。淫魔たちも過保護に違いない。

 

「あの……日帰りですよ! 夜には帰ってきますから!」

 

 大体、人間の強さなんて淫魔たちと比べたら大人と子供だ。淫魔たちは人間の弱さを知らないのだと思う。

 人間界の戦闘能力のヒエラルキーにおいて、最下層にほど近い僕はここに来てすぐにとんでもない魔力を身につけてしまった。多分そのせいだ。

 

「でも寂しいんですうぅぅぅぅ!」

 

 メイド、大号泣である。今生の別れでもあるまいに……。

 でも、こんな見送りも嬉しいと感じる。こんなにも、愛してくれるんだから。

 

「はいはい! メイドちゃんたち! 私も寂しいけど、アレン君が……旅立ちにくく……」

 

 ダメだこりゃ……日帰りなのにアスモデウス様まで涙ぐんでいた。

 僕が思うに淫魔の最大の弱点は、寂しさに弱いことだと思う。だれかれ構わず全力で愛情をぶつける種族は流石だ……。

 

「ところで、アスモデウス様はちゃんとした剣を持ってるんですか?」

 

 僕も僕で少し過保護になったかもしれない。僕がいない間に他の地獄から攻められたらと考えてしまった。

 

「私は……レーヴァテイン……が……」

 

 またまた、聞いたことのある名前が出てきた。神話の話を鵜呑みにする限り、世界の礎すら両断する力を持っていると言われている。

 

「なら、安心した! 淫獄がなくなるなんて想像できないや!」

 

 底抜けに安心しきってもはや笑いすら出てきた。だって、ここに戦争を仕掛けたら最悪世界ごと壊してしまうから。でもきっとそれがここにあるということは、すべての魔界にそれがあるのだろう。

 世界そのものを崩壊せしめる力。その力同士が牽制しあってるうちに、それぞれの地獄の住人たちが互いの国を行き来して、現在の姿になったんだろう。戦争を起こす理由は、境界が存在する以上必ず存在する。戦争をしない理由でそれを上回る以外の方法はきっとないんだ。平和なんて、戦争をしない理由を国同士の間に大量に作ってやっと出来上がるんだと思う。

 この考えも、もし持ち込めたなら人間界に持ち込もう。

 

「うん! ここはッ! アレン君の帰るところだからねッ!」

 

 アスモデウス様は涙を隠せないまま、そう宣言した。

 

「うん!」

 

 必ず帰ってくる。例え何があっても。じゃないと、今履かされて自分では脱げないパンツが起動されちゃう。

 アスモデウス様の安心がこれで買えると思ったのになぁ……。

 

「ブルルッ!」

 

 いよいよ旅立ちの時は近づいて、ノクターンは僕に顔を摺り寄せてきた。

 

「準備はいい? ノクターン」

 

 彼もまた恋人をこの淫獄に残して行く。それはアスモデウス様の愛馬、ケルピーだ。

 

「ホーフ!」

 

 ノクターンは頼もしく息を吐く。まるで、任せろと言わんばかりに。

 彼にとっては初めての世界。

 

「最後に、これ……」

 

 アスモデウス様はそう言って、ノクターンに袋をくくりつけた。そこには、1キンタルに及ぶ黄金と淫獄のシェフが作ったとみられるお菓子が入っていた。しかも丁寧に、黄金は小さな粒に分けられている。

 これだけあったら向こうでお金を用意する必要がない。

 

「こんなにあったら僕向こうで何するのさ!」

 

 過保護すぎて不満だ。でも黄金1キンタルなんてアスモデウス様にとってははした金なんだと思う。

 

「何かあった時のために……」

 

 あれこれ言っても人間界の知識が不足している淫獄。何があるかわかってないのだろう。

 

「そっか!」

 

 ここから、僕は人間界まではアスモデウス様に送ってもらうことになっている。場所は、僕の住んでいた街の近くの森。

 

「送るね……」

 

 たった一日だって寂しい。そんな風に思ってもらえるなんて、光栄だ。

 でもこれから長いのだ。僕はもうすぐ淫魔になって、彼女と永遠を過ごす。ならそのうちのほんの瞬きの間の別れ。僕に寂しさを感じる理由はなかった。

 

「うん!」

 

 アスモデウス様が僕とノクターンに手を置く。

 思い出の多い魔王城へは自分で帰れる。逆に僕にとっては人間界こそ思い出が薄かった。

 

「「「行ってらっしゃいませ……ッ!」」」

 

 メイド達の涙ながらも大合唱。本当に、どれだけ過保護にすれば気が済むのだろう。

 魔力が僕とノクターンを包み、そして視界が切り替わる。

 なんの印象もありはしない、無機質な森へと……。

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