ふたなり淫獄女王の幸せメス奴隷な婿―冴えない男の娘冒険者の僕が貞操観念狂ってる淫獄でふたなり淫魔女王のメス堕ち快楽調教に屈して実質王妃な国婿になるまで― 作:暁深夜
しかし、目的があまりにスピーディーに終わってしまった。あと、やること言えばランク上げくらいになってしまう。僕たちは裏路地を歩いていた。
「さて、アレン殿。このあとどうしますか?」
隠しても仕方がない。
「こっちでやることは、とりあえず冒険者ランクをあげたいですね……」
そのくらいだ。しかし、アルトリアも分け隔てない。自分より背の低い僕を敬ってちゃんとした言葉遣いをしてくれる。
「Sランクへの挑戦ですか?」
こんな化物みたいな魔力を持っているせいで、そう思われてしまったんだと思う。
でも僕は……。
「まさか、EかせいぜいDですよ!」
冒険者ランクをあげるときのやり方は簡単だ。上位冒険者に、討伐の証人になってもらうこと。
「Fランクなのですか!?」
その場合、上位ランク冒険者を雇うことになる。それが試験費用だ。
上位冒険者に賄賂を渡して、証人になってもらってもギルド的には問題ない。ただし、試験監督推奨冒険者というのが存在していて、その冒険者が証人になってくれるとそのランクでのパーティー募集の最低条件だ。
「はい……」
照れ隠しに頭を掻きむしりながら笑った。
「分かりました、証言しましょう」
その試験監督推奨冒険者の要件を十二分に満たす伝説の前で。
昇格試験の中で最も一瞬で終わらせられるのがDランクの、マッドボア討伐だ。Fランク冒険者を目印にして、見つけるのも容易。毎日これは数件起こっている。そうじゃなくても痕跡からも見つけられる。
その日のうちに帰れない冒険者も普通に居る。
ただ、相手は松明持ちのアルトリア。彼女が言えば、ある程度はギルドは言いなりになってしまう。
「え!?」
それは、ちょうど都合のいい情報が転がっていたのだ。
「あなたが受付で受け取った金額は7シリング。マッドボアの通常個体の完全剥製等級討伐のではありませんか?」
きっと、それを僕が手切れ金を渡そうとした時に見たのだ。
シリングは銀貨の通貨単位。まだ物々交換の延長に通貨があるだけだ。その中で金を物々交換の中心になって、最初に金の通貨が産まれた。それがダカット。金貨一枚を1ダカットとしてしまったから、銀を通貨にするときに別の通貨単位が必要になった。そうしてできた銀貨通貨単位がこの国ではシリング。
「まぁ、4~7シリングってマッドボアですもんね……」
この国でダカットを使ってしまうと、シリング銀貨で帰ってくる。それ以下の細々とした取引は未だに物々交換だ。国際交易ではダカットを使う。というより、金なら使える。ダカットはそれを単位化下に過ぎない。本質は物々交換なのかもしれない。
「ですので、証言しておきます。これで、Dランク冒険者です」
アルトリアだと事実かどうかはどうでもいい。松明持ちの誰かがDランクごとき倒せるに決まってると言えば、それは絶大な信頼を得る。
この信頼のカラクリは、松明持ちとギルドの歴史と呼んでいいほど長い付き合いによるものだ。松明持ちは、ギルドの最終兵器を創設当時からずっと続けている。
「正直……助かります」
実際、そのマッドボアは倒せるわけだし。
「他に、用事なとは?」
よく考えれば、既にやることがなくなってしまった。
「淫獄に帰るくらいですかね……」
となれば、早く帰りたい。だって、糞便が降る街にいたいとは誰も思わないから。
「分かりました。では、少しだけ。あそこでも、話せない話です」
そして、僕は更に神話の人間には知られざるところを知る事になる。
「はい……」
息を飲み、僕は言葉を待った。
「これはアスモデウス様に伝わっているかもしれませんが、マーレボルジェが動き出したそうです。それを、アスモデウス様にも一応」
よく考えれば、僕は勉強が足りない。人間界では地獄は九つと言われている。でも実際は七人の魔王が居て、七つの地獄がある。だから、なぜか二つ空白が存在する。
「マーレボルジェって何ですか?」
僕は知らなきゃいけない。この世界のこと、地獄のこと、天国のこと。
「すみません、まだ日が浅いのでしたね……。魔法の完全詠唱に現れる文言、四界。それは神と天使の天界、私たちの現界、多くの死者が禊を行う冥界、アスモデウス様たち悪魔の地獄界の四つを指します。しかし、それに属さない世界があるのです。それがマーレボルジェ別名、辺獄です。そこには、神がいくら和解を持ちかけても応じることのない、存在がいるそうです」
アルトリアが語ったのは、きっと真実の神話の断片だ。マキネルの天使を知る彼女ですら知らないこと、そんなのはきっと人間界のどこを探しても見つからない情報だ。
「……それは、全く知りませんでした。一体、そこに何がいるのでしょうか?」
しかし、人間界で地獄のことを学ぶとは思っていなかった。
「それは、メタトロン様ですら知らないようです。ただ、メタトロン様は冥界の天使マスティマのようなものと思っているそうです」
また、知らない天使の名前が出た。
「その天使は?」
だから、僕は尋ねてみる。
「冥界で禊を行ったり、若い天使や悪魔の喧嘩を見守る役目だそうですよ?」
なんだか、すごく変わった天使に思えて仕方ない。ともかく、アスモデウス様に聞いてみよう。
「それより、ここら辺なら大丈夫でしょう。帰還なさいますか?」
そこは、裏路地の中でも少し奥まった場所だった。
「そうですね。忘れないうちに伝えます」
裏路地を広く取るのは糞便を浴びないためだ。でも、荷馬車は裏路地を通れない。ノクターンでギリギリだった。
僕は転移魔法を発動させ、淫獄に戻る。僕が戻れる場所がどこだったかを、僕もきっとアスモデウス様も忘れていた……。