はんなり言葉の後輩女子が実はチンカス大好きの妖怪アカナメであることを俺だけが知っている件 作:37級犬築士
猫っ毛の黒髪ショートな女の子。インナーカラーを紫に染めていて、だから一見そんな彼女は少し遊んでそうといった印象を得てしまう。黒ギャル? ミステリアス系ギャル? 知識がない自分にはよくわからない分野だし、無理に当てはめるよりもそれが彼女なんだと思うことにした。
木山清香、後輩女子はいつも底知れない何かを秘めて、俺の後ろをついてくる。
振り返って見る彼女は俺に口を開けた笑顔を見せるのだが
「……(なんか、故意に見せてるよな)」
「先輩やぁ、おはようさん……今日も一日おおきにえ♡」
生唾を思わず嚥下してしまう、はんなり言葉が色気を醸す不思議なギャルの後輩が声を上げたものだから、周囲の目を集めてしまった。
通学や通勤の道中で人混みが激しい場所。電車を降りて連絡路を行く速足の流れの中、木山は一層早い足取りで俺に追い付き
そのまま、思いっきり抱き着いてきた
「!?」
「先輩はいけずやねぇ、ラインしても返事せえへんから先行った思ったんよ……うち、寂しがり屋
なん、切ないわぁ♡」
「……ッ」
あわあわ、そんな擬音が体中から溢れ出ていた。ここは大きな駅の中の連絡路で、人の流れは前後から左右に分かれて絶えない。だから、全方向から視線が突き刺さる、朝から何盛ってんだと、気づけば人の流れは俺と木山を避けて中洲のようになっていた。
ら
「あ、皆ごめんなぁ……うちの彼ピがあかんたれやさかい、お仕置きせんとね♡……せ~んぱ~い、無視するんはひどいわぁ♡ 後輩女子から逃げてみっともなくないん?」
「……に、逃げたわけじゃ……っく、ネクタイ締めるな、死ぬ」
「鬼の首根っこ捕まえたウチの勝ち、観念してね……やないと、折ってまうよ♡」
間違っても語尾にハートを付けても許されない言葉を吐く、浮かべる笑みは変わらず別嬪はんで、それ故に質が悪い。
「ごめんな、二人先行ってて……ウチ後から行くし」
「キヨ、また見せつけてやんの」
「あーしも彼氏欲し~」
名も知らぬギャル二人、派手な金髪二人が木山と俺を見て受け流すことこの現実をいまだに受け止め切れない。
というか、俺はまだ色々と受け止め切れていないのに、俺は木山清香の彼ピなる存在として認知されているとか、色々とおかしい。だってそうだろう、こっちは陰キャ、こいつは明らかに陽の側の、それも光源を放つ中心と言ってもいいぐらいの存在だ。
なのに、なのにだ
「あ、あの!!」
木山と一緒にいた同年代のお友達二人に助けを求めるが、二人とも素知らぬ顔で去っていく。
振り返り、それぞれ茶化すような所作で
「お幸せに~」
「よ、ウチの学校の名物カップリング!」
「————ッ」
出来ることなら異を唱えて欲しい。そっちのほうが現実的だからだ。
だが、彼女の周囲は俺を認めてしまっている。この、今現在進行形で抱き着いて服越しに匂いを嗅いでいる変態さんに、対して
……すん、すんすん
「おい、人前でやめろ」
「い~や~や♡ 彼ピやのに、可愛い後輩彼女が甘えてるんよ、逃げんとってなぁ……せやないと、痴漢やって叫ぶかもしれんよ」
「い、今は男女平等だ……お、俺の方から痴漢って叫んでやる」
「無理や、先輩は意気地なしの可愛いマゾやもん♡」
「……ッ」
「図星♡」
憎らしく、だが憎みきれない魔性の魅力。懐で体を寄せる小さな女の子は、俺の魂の根っこまで掴んで従えてしまえる。
ここ一月、まともに主導権を奪えたことは無い。情けない話であるが
「……ここやと目立つね」
「だから言っただろ」
「せや、一緒に行こ……やないと遅れてまうね」
「……どの口が言ってんだ」
先輩呼びをしながら、その言葉の先で俺の弱い所をくすぐってくる。京言葉とはんなりした振る舞いが醸す独特のサディズムが恥部をくすぐるのだから、やはり憎らしいほど憎らしい、質の悪さは一級品だろう。
京都生まれらしい声の使い方、上がって下がるその独特なイントネーションを隠すことなく口に、結果周囲の目を集める。木山との関係を得て俺の平凡は変わってしまった。周囲との距離感は変わらないまま、その視線だけが妙に集中して落ち着かない。
それでいて、そんな居心地の悪そうな顔をする俺に、木山は満面の笑みを向けて抱き着いたり、大声で名前を呼んでまた視線を集めてくる。
そう、今日のこのやりとりのようにだ。
「……木山」
「名前で呼ばんと痴漢やゆうて叫ぶね♡」
「……き、きよ……清香ッ」
「ふふ、お利口さん♡……先輩はええ子やね、ええ子ええ子♡」
駅のホームを下りる階段でいきなり頭を撫でられる、一段後ろを歩く彼女にはちょうどいい位置なのだろう。
けど、これにしてもこいつは場所を選ぶことはしない。路上だろうと学校だろうと関係なく、年上で身長差もある相手の頭を撫でようとする彼女は、いつものことながら先輩後輩の関係を軽視しているとしか思えない。
というより、自分には元来先輩ぶるなんてマネはしたことが無いわけで、先輩なる扱いをされたのも彼女が無理やり任命したから。
そう、全部この木山清香が、突然こっちの世界に入ってきて全部を作り替えた。今この身にかかる負担は全部、こいつが
「先輩、お顔真っ赤……あははは、後輩女子に意識しすぎやわ、もっと気楽にしてええんよ♡」
「……無理だ、俺は陰キャのオタクだし」
「自称してまうんや、なんや逆に妖しう聞こるわぁ」
「……お前ほどじゃない、お前の自称の方が……って、おい!」
セリフを聞き終える前に清香は手を引いて歩きだす。
駅を出て、学校まではほんの少し、なのにその道とは真横にそれて、向かう先は通学路とは関係のない住宅に挟まれた細道。
まだ朝早い通学の時間、清香に連れられてたどり着いたのはぽつんと置かれた地域の児童公園。そこまできて、俺は木山の狙いを、その淫らな意図を理解してしまった。
「ええ場所やろ、そこの公衆トイレの多目的、鍵も締まるし音も漏れん……色々するんにぴったりやね」
「お前、そういうことするから問題になったって……ニュースあったろ」
「知らへん知らへん、ウチは妖怪娘やから世情のことなんてなぁんも知らへん♡」
「あ、おい……本気かッ」
公園のすぐそばにあるトイレ、木山にとって餌場となる場所に映ってしまった。
朝の散歩で老人がここを通ることもあるし、なにより普通に条例的なナニカでアウトなはず。だが、快楽を目的としてしまった者の行動力はそういったしがらみを容易く踏み砕いて進んでしまう。
「先輩のおちんちん、垢の匂いがぷぅんとしとるよ……ええの?そのままで、辛くないん?」
「……ぁ、そういう話は」
「嫌やったらええんよ、そん代わり、先輩以外の垢舐めたくなるけど……それでええ?」
「————……木山ッ」
ずるい質問をする。
「清香♡……名前で呼んで欲しいわぁ、やってウチは先輩の……お口便器になるええ女、なんやから……名前で呼んで欲しいわぁ、愛おしく思ってくださいな♡」
語り掛ける言葉は卑劣で、されど魅力的。男を蕩かして手玉に取る夜の女を思わせる、そんな言葉の音が耳にこびりつく。
実際、こいつの発する音は妙な力もある。その、人よりも長く伸ばせてしまう舌が、彼女が自称する妖怪のアカナメであることの特性が、随所に現れているのだろう。
「ダイエットやし、朝ご飯あんまり食べれへんのよ……やから、代わりのもんで気ぃ紛らわせんと、ウチ倒れてまうわ……せやから、先輩のおちんちん、食べさせてぇ♡」
「————ッ」
開いた口、伸ばした舌。細く伸びた舌の表面は唾液がたっぷりと絡んでいる。てらてらに光るその舌は、彼女の顎の先にまで伸びる。
一見すれば優美で可憐な女性、だけど開けば異形の舌
否定したいけども、否定しきれない。やはり、認めざるを得ない。彼女が、人非ざる存在であることを
「……学校、遅れるぞ」
「大丈夫や、ちゃぁんと手短に終わらせます……ふふ、先輩のおちんちんは早ぅ漏らすさかい……問題あらへんね♡」
扉が閉まる。まだ閑静な時刻の住宅街で、その音は果たして個室に収まるかどうか。
中にいて、快楽で溶かされた本人にはどうやっても確かめるすべはない。
次回、チンカスフェラ抜き描写。