C.C.さんの言葉に対して、疑問に思う。
この森の中で、気配と言われても、周囲を見ても何もなかった。
だが、それが間違いであった事がすぐに分かった。
月の光に照らされるように、木の陰から現れた人物。
腰まで届く黒い髪に、その腰には日本刀を持っており、血のような赤い目をした少女が、現れた。
僕は咄嗟に、その腰にある王の剣を持ちながら、構える。
「君は一体」
「……」
僕の問い掛けに対して、答えずにこちらを見つめている。
夜の闇の中で、僕達が追われている事もあり、警戒する。
「……なぜ、邪悪の王と名乗るんだ」
「えっ?」
そこから出てきた言葉に、僕は思わず呆けてしまった。
「なんで、そんな事を」
「あの村に、暗殺対象が来る事は分かっていた。だから、待ち構える為に、村には潜伏していた」
「えっ!?」
それはつまり、僕が気づかなかったけど、ずっと前からいたという事か。
「その時のお前は、悪人ではなかった。だが、なぜあの戦いでは、自ら邪悪の王と名乗ったんだ」
その問いかけに対して、僕は、そのまま息を吸う。
「……ならば、帝都の正義とはなんだ」
「……」
「僕は、この村の外の光景なんて、見た事なかった。だけど、村の皆を傷つける事が、正義だと、領主も、軍の人も行っていた」
「あぁ、そうだな」
「だからこそ、僕は、いや、俺様は邪悪を名乗ろう!」
同時に、王の剣を、地面に突き刺す。
「俺様の目の前にある全ての正義を斬り、民が笑顔になる世界! それを実現する為ならば、俺様は邪悪の王となろう!」
「……それが人を殺す事になってもか」
そう、僕に対して、問いかける。
だが。
「殺すなど、生温い。全ての罪を曝け出し、完膚なきまでに生き恥を晒させよう」
「……そうか」
それだけ言うと、彼女は、そのまま頷く。
「……ギラ、君は良い人間だな」
「えっ」
その言葉に、僕は思わず戸惑いを隠せなかった。
「えっと、なんで」
「君は、殺す事を考えていない。それは正直に言えば甘い」
「そうだね、甘い考えだとは理解出来ている。だからこそ、それがもしも正しいんだったら、俺様は邪悪の王として全てを敵に回してでも、成し遂げてみせるさ」
「……君は、どうしてそこまで?」
「えっ? うーん、やっぱりこの国の人達の為かなぁ。僕は、皆が幸せになって欲しいからかな」
「そうか、ならばこそ、私達の仲間にはなれないな」
それと共に、言葉とは裏腹に、殺気はまるでない。
「君は一体」
「アカメ」
「えっ?」
すると、C.C.さんは、少女の名前を呟く。
「帝都で騒がれている指名手配犯だ」
「そうだな、私自身、殺しに手を染めているのは、否定はしない」
そう言ったアカメの表情は暗く、どこか寂しげであった。
「そうか」
「それで、ギラは信頼出来た。だが、お前は何者だ」
それと共に殺気は、そのままC.C.さんへと目を向けた。
「私か、私はC.C.だ、ただの不老不死の魔女さ」
「不老?」「不死?」
それは、僕もアカメも首を傾げた。
「特に気にする必要はない。
何よりも、今後は、目的の為に、帝都を離れる必要があるからな」
「帝都を? なんで?」
「決まっているだろ、キングオージャーを復活させる為だ」
その言葉を聞いて、アカメは目を見開いた。
「やはり、まだ実在していたのか」
「それって、クワゴンの事?」
「クワゴンとは、あの危険種の事か?」
「あぁ、そうなんだ、けどクワゴン以外は、どこに」
「……少し南の国を探る。まぁ、運が良ければ」
そう言ったC.C.はそのまま、王の剣を見つめる。だがその瞳からは、先程までの悲しげな雰囲気は消えていた。
いや、それどころか.まるで新しい玩具を与えられた子供のように楽しげな光を放っているではないか。
その様子に俺は嫌な予感を覚えて口を開く。
こいつはヤバイぞ.何かとんでもない事をしでかすつもりだ。 そんな俺の直感を証明するように、C.C.はにやりと笑みを浮かべる。
「そう言えば、アカメ、お前、何やらギラが気になっているようだな」
「……」
「んっ?」
C.C.さんの一言に対して、アカメの様子が変わった。
「これからの為に、ギラと行為を行うか」
「えっ、なんで、そうなるんだよ、C.C.さん!?」
俺は思わず叫んでしまう。
「……敵がいつ、来るか分からない場所では無理だ」
「安全な場所ならば良いんだな」
「C.C.さん! アカメさん!?」
その二人の言葉がどういう意味か分からない。
困惑を余所に、なぜか話が進んでいく。
「……あの頃から、本当に変わっていない」
その時のアカメさんの言葉が聞こえなかった。
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