それは、南のとある村。
その村で、二人の夫婦がくつろいでいた。
「最近ここらに新型の危険種が出るって話だ。絶対一人で出歩くんじゃないぞ」
「えぇ、分かっているわよ」
そう、皿を磨きながら、彼の女房が呟いた。
次の瞬間だった。
ドアを突き破り、その存在が、姿を現す。
「「っ!!」」
現れたのは、人の形をした何か。
新型の危険種という噂の存在であり、その肩には、金属が埋め込まれていた。
その危険種に向けて旦那は即座に猟銃を放つが、その危険種にはまるで意味はなかった。
口を開いた危険種は、そのまま男を掴む。
そのまま、床に血の池が瞬く間に広がる。
「あっあぁ」
その光景に、彼女は驚きを隠せなかった。
なぜならば、旦那の足元が血で覆われていた。
だが、その血は、彼の物ではなかった。
彼を掴んでいた危険種は、掴んだまま、真っ二つに切り裂かれていた。
それは、他の危険種も同様だった。
「ふん、雑魚共が」
それと共に、その危険種の影から現れたのは、一人の男。
その男の名は。
「ぎっギラっ」
帝都を騒がす邪悪の王であった。
「あっ、無事だった!」
その横から現れたのは、村人にとっては馴染みのある人物だった。
「えっシスティーナ様っ、そこにいるのはっ」
「事情は後でっ。それよりも避難をっ、危険種の群れが迫っています!」
その言葉と共に、夫婦もまた、すぐに出ていく。
「…さて、他に避難が出来ていないのは」
「いえ、いません」
そのまま、ギラの言葉に対して、システィーナは俯きながら言う。
「ギラ、ありがとう」
「別にたいした事はない、バッタの食事できる場所を教えてくれた礼だ」
「ギラとシスティーナ。
二人が出会ったのは、ある意味偶然。
バッタこと、ゴッドホッパーを見つけた際に、その領主であるシスティーナに見つかる。
始めは真面目な彼女はギラに対して疑問を持っていたが、彼の誠実な態度に、彼女も心を許した。
そうして、交流を深め、後に会う約束した今日、まさしく新種の危険種によって、村に危機が訪れていた。
それを救う為に、ギラ達は立ち上がったとさ」
「ジェラミー、あなたも早く手伝いなさいよ!!」
そう、これまでのいきさつを語っていたジェラミーに対して、システィーナは、怒りに震えた声で叫ぶ。
「まぁまぁ、落ち着きたまえ。幸い、奴らは一ヶ所に集まっている。
バラバラにいる仲間がギラによって倒された事で、集合しているようだ」
「そうなんですか、本当に」
「あぁ、俺を信じたまえ。システィーナは、そのまま避難を続けてくれ。奴らは、俺達がなんとかする」
「分かりました。では、頼みましたよ」
そう言い、システィーナは、すぐにその場を立ち去る。
同時にギラとジェラミーは目を向ける。
「それで、覚悟は出来ていたんだね」
「…あぁ、この手を血に染めた時にな」
そう言いながら、王の剣を見る。
「そうか、君に対して慰めになるか分からないが、奴らは既に元の人間に戻る事は出来ない。
このまま、放っておけば、間違いなく被害は大きくなるだけだ」
「…ならば、俺様は覚悟を決めている。人を殺したくないのは本当だ。悪人にもやり直させたいのも本心だ。だけど、彼らにはそれも出来ず苦しむならば」
そう言って、彼らが見つめた先。
そこには新種の危険種が待ち受けていた。
「この手で、せめて成仏させる」『クワガタ』
「ならば、俺も付き合おう」『解放』
それと共に、ギラの隣で、ジェラミーもまた構える。
その手には紫色の短剣があり、そこに白い鍵を装填する事で、構える。
「「王鎧武装」」『スパイダークモノス!』
鳴り響く音声。
同時に、ジェラミーの姿も変わる。
それは、他のキングオージャーとは違う白い蜘蛛の戦士。
その名を、スパイダークモノス。
クワガタオージャーと、スパイダークモノス。
二人の戦士は、ゆっくりと、眼前にいる新種の危険種に向かって、構える。
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