【書籍化】大司教の権力を悪用して純真無垢な聖女とセックスしたら、毎晩イチャラブご奉仕されるようになった話 作:月見ハク
魔獣討伐遠征の初日。
王都から半日ほどの距離にある街道を、討伐隊の馬車が進む。
二十を超える馬車に百を超える騎兵。
そうそうたる隊列の真ん中に、俺とマイの乗る馬車があった。
正面に座る彼女は窓のカーテンを少しだけ開き、ずっと外の景色を眺めている。
その横顔が、どこか曇って見えた。
前回の遠征のときは好奇心に目を輝かせていたものだが、今日のマイは寂しそうに目を細めている。
その姿も一枚の絵画のように美しい。
憂いを含んだ金色の瞳で、物思いにふける黒髪の少女。
体の
俺は股間がそそり立っていくのを感じながら、平静を装って問いかける。
「マイ、具合でも悪いのか?」
「え……いえ、大丈夫です」
「少し顔色が暗く見えるが、昨日はたくさん眠れたのか」
「はい、たくさん寝ました」
「ならばよい」
昨晩、中庭から自室に戻った彼女は遠征の準備を手早く済ませ、早くに床へついた。
遠視の術で確認済みだ。
隊列は街道から逸れ、脇道へと入っていく。
しばらく進むと、鬱蒼と木々の茂る森が見えてきた。
この森の縁をもうしばらく進むと、今回の目的地だ。
俺は再び彼女に話しかける。
「マイ、今回の日程は頭に入っているか?」
「はい。今夜は森のほとりで野営し、明日の朝、兵士の方々に祝福を授けてから討伐に同行して日が暮れる前に帰還。三日目は、私たちだけ王都に戻る……ですよね」
「ああそうだ。そこで第二王子殿下の隊とは別れることになる」
本来なら、三日目も第二王子と近隣の村々を視察することになっていた。彼の強い要望で。
だが、俺は出発直前にその要求を突っぱねた。
マイに
襲撃者にこちらの予定が知られている可能性がある以上、常に裏をかく必要がある。
「聖女は初の討伐遠征ゆえ早くに休息が必要」だと言ったら、第二王子も渋々ながら了承した。
「マイ、明日の儀式も朝が早い。今夜は私の――」
――テントに来なさい。
俺はその言葉を飲み込む。
彼女が悲しそうに目を伏せていたからだ。
やがて、その形の整った桃色の唇が開かれる。
「大司教様」
「……なんだ」
「この近くに、村はありますか?」
村。
この辺りにはないはずだ。
いや、確か地図から消された村がある。
「数年前に滅びた村があったと聞いているが」
まさか。
「そう、ですか……そこは多分、私が生まれた村です」
マイは幼い頃に帝国軍の侵入によって村を焼かれ、その後、近隣の教会に引き取られた。
確かにこの森を挟んだ向こう側は帝国領だし、ここから馬車で一日ほどの距離に、彼女の育った教会がある。
「風景を、覚えていたのか?」
「……森を見て、はっきり思い出せました。森のほとりに小さな村があって、私はそこで、多分三歳くらいまで暮らしていました」
「そうだったか」
そのとき、窓の外がカッと光った。
次の瞬間、パァンッと稲妻の落ちる音が響く。
カーテンを開けると、空は暗雲に覆われ閃光が縦横無尽に走っていた。
この分だと今夜は雷雨だろう。
ドンッと、今度は腹奥に響く重低音が鳴った。
俺は咄嗟にマイに手を伸ばし、その両膝に置かれた手を握る。
「大丈夫か?」
なんとも間が悪いことだ。
ただでさえ彼女は雷が苦手だ。村が焼かれたときの記憶が蘇るのか、昔は修練中に雷が鳴り出すと、怯えるマイの手をよくこうして握っていた。
まさか彼女のトラウマであるこの場所で、雷に見舞われるとは。
するとマイは、ゆっくり顔を上げた。
「平気です、大司教様」
彼女が穏やかな笑みを浮かべる。
「私はもう大司教様に心配されるような聖女見習いではありません。聖女に、なりましたから」
それはいついかなるときも慈愛の微笑みを崩さない、まさに聖女の顔だった。
「そうか」
俺は手のひらの中で小刻みに震える小さい手を、そっと離した。
***
「よく来てくれました、聖女殿……!」
「お久しぶりです。セダイト王子殿下」
恋焦がれる相手に会えた喜びか、第二王子が両手を広げて歓迎の仕草をした。
マイはふんわりとした笑顔で王子に頭を下げる。
俺たちは今、王子の野営テントに招かれていた。
外はまだゴロゴロと雷音が響き、滝のような雨が降り続いている。
荒天を理由に討伐隊は目的地に向かうのを諦め、急遽この場所で野営することになった。
そのため明日は夜明け前に出立し、朝には目的地に着くようにするのだという。
俺は心の中で舌打ちをする。
夜明け前までに十分睡眠を取る必要があることを考えると、処女検査に費やしている時間がほとんどない。
前回の遠征から一週間以上。
その間に溜まりに溜まった情欲をマイに注ぐには、あまりに短い時間だ。
「本日は突然の雷雨に見舞われてしまった。聖女殿をこのような場所にとどめ置くのは心苦しいが、どうか辛抱してほしい」
「問題ございません、王子殿下」
マイが再び穏やかな笑みを浮かべる。
「しかし、風雨を避けるためとはいえ森に近すぎる。こんな物騒な場所では聖女殿の心を乱してしまうと、部下には言ったのだが」
「王子殿下、聖女は大地の恵みを尊ぶ存在です。自然豊かな森は聖女にぴったりの場所なのです。それに……」
彼女は一呼吸置くと、懐かしむようにふっと微笑んだ。
「この森は、とても落ち着きます」
マイの優しさと物悲しさの同居した表情に、王子がはっと息をのむ。
「……なんて美しいんだ」
王子がそうつぶやくのが、口の形で分かった。
俺は一歩前に出る。
「王子殿下、聖女は長旅で疲れています。申し訳ございませんが、このへんで」
「あ、ああ、すまない……では聖女殿、明日はよろしくお願いします。祝福もそうですが、討伐への同行についても」
「はい。しっかりと聖女のお務めを果たさせていただきます」
「それは心強い。まあ同行といっても最後尾ですし、魔獣は私が蹴散らしますから、聖女殿は安心していてください。私が、全力であなたを守ります」
第二王子が身を乗り出す。銀色の前髪が揺れ、緑色の瞳がマイをまっすぐ見つめた。
「ありがとうございます。私も、聖女として皆さまをしっかりお守りしますね」
マイが慈愛にあふれた笑みを浮かべる。
「いや、私のほうこそ――」
「王子殿下、このへんで失礼いたします。ではまた明朝」
放っておくと話が永遠に続きそうだったので、間に入る。
マイとともに頭を下げ、王子のテントを出た。
二人でフードを被り、自分たちのテントへと歩く。
兵士たちが嵐の中を走り回り、明日の討伐の準備を進めている。
野営の一番森に近い場所に、俺とマイのテントが並んでいた。
その出入口を隠すように白い衝立が数枚置かれている。これで彼女が俺のテントへ来る場面を目撃されることはない。
「ではマイ、少し体を休めたら私のテントへ来なさい。儀式の前の検査だ」
「……はい」
マイは頬を染めて下を向いた。
***
自分のテントで、俺も体を休める。
小さいベッドに腰掛けながら、持ち込んだ書類に目を通していた。
ふと、懐から一枚の紙を取り出す。
『ゴーゼ司教の姿なし』
今朝、金髪の元聖女から届いた
急いで確認したところゴーゼ司教は今朝、懇意にしている地方の教会の要請で出かけたらしい。
あまりに怪しい動きだ。
もしかしたら、あの男自ら襲撃の指揮を執るのかもしれない。
王都に戻るまで、また寝ずの番で防護魔法を展開しておいたほうがいいだろう。
俺は防護魔法を発動すると、自分とマイのテントを包んだ。
「マイがいない」
俺は急いで立ち上がる。
防護魔法の内側に彼女の魔力を感じない。
外に出て、隣のテントへ飛び込む。
やはり彼女の姿がない。
――遠視の術。
まぶたの裏にマイを映し出す。
「……森か」
彼女は暗い森の中を一人、歩いていた。
周囲に人の姿は見えず、どうやら誘拐されたわけではなさそうだ。
俺は安堵するより先に、走り出していた。
誰にも見つからなかったとすれば、テントの真裏から森の奥へ入ったのだろう。
裏に回ると、ぬかるんだ泥にマイのサンダルの跡が続いていた。
しばらく足跡を追っていると、先ほど遠視の術で視た風景があった。
やがて、真っ暗な草木の先に淡く光る空間が見えてくる。
茂みから飛び出すとそこは――泉だった。
「マイ……」
その光景に、目を奪われる。
月明かりに照らされる泉。
その真ん中に、湯浴み着姿のマイがいた。
彼女は泉から水をすくうと、白い肩に掛ける。
そのまま細い腕のラインに添って、手のひらを滑らせていく。
しなやかな指先から、雫がポタリと落ちた。
水面に静かな波紋が広がる。
息が止まるほど、幻想的で妖艶な姿だった。
「マイ」
「大司教様っ……」
再び声を掛けると、マイが即座に振り向く。
その金色の瞳は見開かれ、どうしてここに? という顔をしている。
「君は、何をしているんだ?」
「あ、あのごめんなさいっ……嵐が止んだので、お役目の前に体を、清めたくて……」
最後のほうは聞き取れないほど小さい声だった。
瞳は潤み、叱られる直前の少女のような顔をしている。
嵐が止んだ?
空を見上げると、満点の星空が広がっていた。
丸い月が白く輝き、泉に降り注いでいる。
マイを探すのに夢中で今の今まで気づかなかった。
彼女に視線を戻すと、ビクッと肩を震わせる。
きっと森で魔獣に出くわしたらこんな顔をするのだろう。
俺は黙って歩みを進めた。
ローブを着たまま泉へと入り、じゃぶじゃぶと水面をかき分けマイに近づく。
「あ……大司教さま、ごめんなさい、勝手に……んんッ」
俺は彼女に手を伸ばすなり、抱き寄せて唇を奪った。
「んむっ、んッ……ぁ、んっ、ちゅぅ……んくっ……」
黒髪の後頭部をつかんで動けないようにし、柔らかい唇を押し開く。
緊張して強張っている体を力いっぱい抱き締め、全身でマイの感触を確かめた。
「んん……ぁ、だいしきょ、さまっ、ごめんなさ……んむッ、んっ、んッ……」
彼女に口を開く隙を与えない。
俺は心の奥に沸き立つ苛立ちをぶつけるように、キスをむさぼった。