【書籍化】大司教の権力を悪用して純真無垢な聖女とセックスしたら、毎晩イチャラブご奉仕されるようになった話 作:月見ハク
別棟の奥まったところにある浴場。
一度に十人は入れるだろう石造りの堀にはお湯が溜まり、白い湯気が立ち込めている。
俺は遠視の術で、お湯に浸かるマイとロレンティアの姿を映し出していた。
ロレンティアはマイの背中に回り込み、美しい黒髪を手ぐしで整えている。両手のひらで束ねると、マイの頭の上で器用に重ね合わせ最後に紐で結ぶ。
マイの綺麗な首筋と、艶めかしいうなじが露わになった。
「はい、出来上がり」
ロレンティアは白い両肩に手を置くと、胸をマイの背中に押し付けた。
「ありがとうございます、ティア姉さま」
マイが照れた感じではにかむ。
王国一の美少女と美女が裸で密着する姿は、世の男たちが見たら一瞬で心を射抜かれてしまう情景だ。しかも戯れているのは聖女と元聖女。あまりに背徳的な光景に、興奮しない人間などいないだろう。
「ふふ、マイの髪は艶があって触り心地がいいわ」
ロレンティアが、マイの耳の横に垂れ下がった前髪をすくう。
「そんな……ティア姉さまの髪のほうが素敵です。金色が透き通っているみたいで、私たちみんなの憧れでした」
マイが目を伏せて微笑む。
「そう? マイにそう言ってもらえると嬉しい」
ロレンティアがくすぐったそうに口角を上げる。
二人の様子は、本当に姉妹のようだった。
マイはどこか姉に甘える妹のような口調で、ロレンティアのほうも肩の力が抜けている。どちらも俺といるときには見せない素顔だ。
「あの、ティア姉さま……大司教様のお話って――」
「マイは聖女になって本当に綺麗になったね。大司教様のおかげかしら?」
「えっ……?」
ロレンティアがマイの両肩に置いた手を胸元へと滑らせていく。その指の先、豊満な上乳にはほんのりと薄桃色のあとが残っていた。
昨日、村に向かう馬車の中で俺が付け直したキスマークだ。この証だけは、消さなくてもいいと言ってある。
ロレンティアが吸引のあとを愛おしそうに指先でなぞる。
「ぁ、んっ……ティア姉さま、くすぐったいですっ……」
「大司教様がマイのことをすごく大事にしているのが分かるわ。さっきだって、一番にマイの様子を聞かれたのよ。すごく心配そうな顔でね」
そんな表情をした覚えはないのだが、ロレンティアにはそう見えたのだろう。聖女は嘘をつかない。
「そう、なのですか……嬉しいです」
マイがうっすらと微笑む。頬を赤らめるその表情には、世の男を一瞬で虜にするほどの色香がにじんでいた。
しばしマイの横顔に見惚れていたロレンティアだったが、はぁと大きなため息を漏らす。
「……大司教様も、このくらい素直になれるといいんだけど」
「え?」
「マイも苦労するわね……」
ロレンティアが後ろからぎゅっと抱き締め、密着を強くする。
「あの、ティア姉さま、どういう意味ですか?」
「大司教様はね、ああ見えて……というか、あなたも気づいていると思うけど、とっても不器用な方なの。複雑な権力争いの中で、自分の気持ちをずっと押し殺して生きてきたせいかしらね」
「そう、ですね。でも……とっても優しい人だと思います」
「……そうね。私もそう思うわ」
ロレンティアが懐かしむように目を細める。
優しい人、か。
買いかぶっているというよりも、錯覚しているのだろう。ただでさえ俗世と隔絶され男を知らない彼女たちだ。下劣な司教連中と比べれば俺は――少なくとも俺の表向きの顔は、たいそう優しく映ることだろう。
「大司教様のお心は容易には図れないけれど、マイ……あなたには分かるのではないかしら。大司教様と時を過ごし、触れ合い、通い合う気持ちがあるでしょう?」
「気持ち……」
マイは自分の唇に触れ、恥ずかしそうに目を閉じる。
「自ずと感じる……ものは、あります。でも、それがどういうものか……いまいち、分からなくて。確かめるのが、すごく恐い……です」
マイがぽつぽつと、思いを口にする。
「マイ、私もね……ずっと教会で暮らしているから分からないことのほうが多いわ。でもこれだけは分かる。あなたは、大司教様にとってかけがえのない存在なの。だから……自信をもって」
ロレンティアが白い背中に口づけをする。
「ひゃっ、ん……ティア姉さま? あっ、やめっ……」
細い指先がマイの乳房をツーっと円を描くように撫でる。もう片方の手がマイの滑らかなお腹を滑り落ちていく。
「あんっ、もぉ……ティア姉さまっ、どうして」
「大司教様はずっと一人で闘ってきたの。ずっと孤独で……それが当たり前に思えるほどに。でもそんなあの人にとって救いとなっているのがマイ、あなたなの。それを素直に感じて」
ずっとマイの乳輪をくすぐっていた指先が、桃色の乳首にツンと触れた。同時に下腹部に伸びていた手がマイの大事なところへと滑り込む。
「あぁんっ、んッ……やぁっ……ッ」
マイが肩を震わせ、内股をきゅっと閉じた。彼女の甘い嬌声が浴場に反響する。
やがてロレンティアがゆっくり手を離すと、マイがはぁはぁと息を荒くしながら振り向いた。その目にはうっすらと涙がにじんでいる。
「ティア姉さま、いじわるです」
「ああ……ごめんなさいっ、ごめんね……マイが可愛くて、つい悪戯したくなっちゃって。ごめん、許してね」
ロレンティアが焦ったような笑顔を浮かべる。本気で許してほしいという顔だ。
マイはロレンティアのほうに向き直ると、うつむきながら息を整えた。
「ティア姉さまだって」
「え?」
「ティア姉さまが、私のこと……すごく大事に思ってくれてるって、感じてます。姉さまは私の恩人で、私は勝手に……か、家族だと思っています。大司教さまだけじゃなくて、私にとっては姉さまも、救いだから……私も、姉さまの救いになりたいです」
マイがロレンティアの手を握る。ロレンティアの瞳が大きく見開かれ、やがて慈しむように細められた。
「……ふふ、ありがとう。マイ」
ロレンティアが目端に浮かんだ涙を指先で拭う。いつも気丈な元聖女の、初めて見る泣き顔だった。
聖女と元聖女が二人そろって涙を浮かべる姿は美しく、神々しささえ感じる。
「ところでマイ、大司教様もあなたにとって家族かしら?」
「かっ……」
意表を突かれて固まるマイに、ロレンティアが悪戯好きそうな笑みを浮かべる。うっかりマイに泣かされてしまった意趣返しなのだろう。
「か……感謝は、しています。あと、あの……私にとっては」
するとロレンティアの指がマイの唇を塞いだ。
「その先は、大司教様に直接伝えてあげなさい」
マイがうつむきながらコクリとうなずく。
「さて、そろそろ出ようかしら。マイのおかげで火照ってしまったわ」
「あ、じゃあ私も」
「マイはもうしばらく浸かっていなさい。魔力をかなり使ったのでしょう?」
「あ、はい……」
姉にたしなめられる妹のように、マイが肩を縮める。
聖女たちの浴場のお湯には、治癒の力を回復する薬効がふんだんに混ぜられている。彼女たちが修練の終わりに長湯をする理由の一つだ。
ロレンティアが立ち上がると、湯面が小さく波立つ。
完成された美体が静かにお湯の中を進み、堀の縁に上がる。
するとその視線がわずかに見開いた。
「あら、ニーナもこれから?」
「え、ティア姉さまはもう上がるんですかっ」
浴場の入り口に立っていたのは桃色髪の聖女見習い――ニーナだった。
髪の毛をマイと同じように頭の上で結び、おでこを露出させている。胸も尻も控えめで、マイやロレンティアに比べると体の凹凸はなだらかだが、肌は白磁のように透き通っていて色気よりも清らかさのほうが勝っていた。
一見するとだが。
「マイ様はまだいますか?」
「ええ」
「やった!」
「ニーナ、今日湯浴みは二度目じゃない?」
「はいっ……でもさっきティア姉さまとマイさまがここに入るのを見かけて、急いで湯浴みの準備をしてきたんですっ」
悪びれもせずにはきはきと答えるニーナに、ロレンティアがはぁとため息をつく。
「ニーナ、マイは遠征で疲れているんだから、わかっているわね?」
「はい、わかってますっ!」
嬉々とした声が浴場内に響きわたる。
ロレンティアが再び小さいため息をついた。
「じゃあ、またあとでね」
「はい、ティア姉さま、またあとで」
ニーナは小首をかしげてロレンティアに微笑むと、足早にお湯のほうへと向かった。
「マイ様っ、遠征のお話聞かせてくださいっ」
ニーナが、マイの豊満な谷間越しに見上げた。
彼女は今、マイのお腹にしがみつくようにお湯の中に浮かんでいた。小ぶりな尻が湯面からぷかりと顔をのぞかせている。
「もう、ニーナは甘えん坊さんだねー」
マイが困ったような笑みを浮かべ、ニーナの桃色の横髪をすくう。
「だって今は他の子がいないんですもんっ。ほんとはみんな、マイ様を独り占めしたくてうずうずしてるんです。こうやって」
ニーナがマイのお腹にすりすりと頬を寄せる。大きなおっぱいが頭に乗っかり、ニーナもその圧迫を楽しんでいるようだ。
「ぁん……もう、くすぐったいよニーナっ」
「だってマイ様ってすごく柔らかいんですもん……匂いもすっごく落ち着きますし」
確かに頬と頭でマイの感触を堪能できるあの空間は気持ちがよさそうだ。
マイは仕方ないなというふうに眉尻を下げると、しばらくニーナのされるがままになった。時おり湯面から露出した肩にお湯を掛けたりして、優しい眼差しで彼女を見つめる。
その姿は、妹に甘えさせる姉のようだ。
「私が遠征に行っているあいだ、元気にしてた?」
「はい、すっごく元気にしてました」
するとマイは口をきゅっと結んでから、意を決したように口を開いた。
「ニーナ、あのね……もし言いたくなかったら、言わなくていいんだけどね」
「ん? なんですか」
「もしかして……ゴーゼ司教様に酷いことされていたり、する?」
マイの胸の下で、ニーナがピクリと震える。
俺も少し驚いていた。
マイが、勘付いていたとは。
かつては聖女見習いへの悪逆が蔓延していたものの、マイが教会に来る頃には俺がほとんど粛清した後だ。司教連中からの邪な視線や卑しい接触からは徹底的に守っていたし、そういう話も金髪の元聖女と連携してマイの耳には入らないよう気を配っていた。
聖女見習い同士でも「自身が手籠めにされている」なんて話はしないのが通常だ。誰かにバレて、聖女見習いでいられなくなることを彼女たちは一番に恐れている。
だが、マイはニーナの様子の端々から不穏なものを感じ取っていたのだろう。
「はい……されてました」
ニーナが小さく答えると、マイはくっと息を止めた。唇を薄く閉じ開きし、ふっと息を吐いてから言葉を紡ぎ出す。
「どんな、こと?」
どうやら無理やり処女を奪われ、淫らなことを強要されていたことまでは思い至っていないらしい。
いや、うっすらとは気づいているのかもしれない。
「……」
ニーナは沈黙した。俺が尋問したときも、彼女はマイだけには知られたくないと泣いて訴えていた。マイを心配させたくないからと。
「私が、なんとかするね」
マイが表情に決意を込めて言う。
「なんとかって……?」
「ゴーゼ司教を、止める。大丈夫……私、聖女になったから、聖女ならきっと、止められる。みんなを守れるよ」
ニーナは鼻をすすり、マイのお腹に顔を埋めた。
「ありがとうございます、マイ様……でも、もう大丈夫です。大司教様が、わたしを助けてくれたから」
「え?」
「大司教様が、相談に乗ってくれて、それで……もうゴーゼ司教に会わなくて済むように、してくれたんです。お部屋もティア姉さまと同室にしてくれて……だからもう、大丈夫なんです」
「そう、なんだ……そっか、大司教さまが……」
マイが深く胸を撫で下ろす。目をつぶり、胸の前で祈るように手を握りしめた。その表情は微笑んでいるようにも泣いているようにも見える。
「マイ様、わたし……大司教様にお礼がしたいです」
ニーナが柔らかい空間から顔を離し、真剣な顔でマイを見上げた。
「うん、そうだね」
「大司教様は、どんなお礼をしたら悦んでくれるでしょうか? 近くにいるマイ様なら、何か知りませんか」
「え、うん……えっと、大司教様の喜ぶこと……」
マイが視線を泳がせ思案顔になる。
俺が喜ぶこと。
自分でもよく分からない。聖女を抱くことに生涯を捧げてきた俺にとって、それ以外で喜びや悦びを感じることはない気がする。
「えっとね……お芋のシチューは、好きかもしれない」
「シチュー、ですか?」
予想外の答えにニーナがキョトンとする。
「うん。遠征のときね、シチューを美味しそうに食べていた気がして」
マイがふんわりと微笑む。その顔には妙な色気が宿っていた。
「……大司教様は、どんなご奉仕が好きなんでしょう?」
ニーナが甘い声色で聞く。マイを試すような表情を浮かべている。明らかに淫らな行為を指しているのだろう。
「ご奉仕……首を揉んであげるとか、かな。大司教さま、いつも眉間に力が入っていて首が凝ってそうだから」
「そっか……よかったです」
じいっとマイの表情をうかがっていたニーナがにこりと微笑む。さっきまでとは打って変わりその笑顔はハッとするほど妖艶で、女の色香を含んでいた。
「よかった、の?」
「はい、やっぱり大司教様は他の人と違って清廉でお優しい方なんですねっ」
ニーナがいつもの快活な調子に戻る。
彼女は今のやり取りから、俺がマイには手を出していないと思ったのだろう。
顔に疑問符を浮かべるマイをよそに、ニーナは元気よく体を起こす。ささやかな胸の前で手を組むと、上目遣いにマイを見つめた。
「あのマイ様、ご相談があります」
「ん? なあに」
「わたし、治癒の力がちょっとずつ弱くなっている気がするんです」
「そんな……」
マイが一瞬で悲愴な顔になる。
おそらく、嘘ではないだろう。尋問した際にはニーナの魔力の流れに異常は見られなかったが、その後徐々に弱まってしまう前例がないわけではない。
そもそも彼女たちは嘘がつけない。よほど特殊な、マイのような子でなければ。
「わたし……聖女見習いでいたい。いつかはマイ様のような立派な聖女になりたい」
「うん、ニーナならなれるよ。私もめいっぱい協力するから」
マイは今にも泣きそうだ。一方ニーナのほうは、表情を変えることなく淡々と話している。
「ありがとうマイ様。だからわたし、大司教様に魔法の特訓をしていただきたいんです」
「え?」
「マイ様から、お願いしてもらえないでしょうか?」
「あ……」
マイが言葉を詰まらせた。
下唇を噛み、眉間にシワを寄せている。頭の中でいろんな思いがぐるぐると駆け巡っているようだ。
マイの困惑気味の視線と、ニーナのまっすぐな視線が交差する。
やがて。
「……うん、いいよ。私から大司教様に聞いてみるね」
マイがぎこちない笑みを浮かべた。
「やったっ、ありがとうございます!」
ニーナがマイに飛びつく。お湯がバシャンと跳ね、彼女たちの顔や髪が濡れる。
その光景が、グニャリと歪んだ。
「ぐっ……」
目頭に鈍痛が走り、俺はまぶたを開いた。
見慣れた執務室の風景がぐらぐらと揺れている。
疲労が抜けきっていない状態で遠視の術を使い過ぎたらしい。
「ふぅ……これ以上は無理か」
硬くなった眉間を指でほぐす。
――大司教さま、いつも眉間に力が入っていて首が凝ってそうだから。
先ほどのマイの言葉を思い出す。
首の後ろを揉んでみると、確かに凝り固まっていた。
「ニーナの特訓か。好都合だな」
これで彼女と二人きりになる大義名分ができた。ゴーゼ司教から秘かに届いているという密文について聞くことができる。うまくすれば、あの男を罠に掛けられるかもしれない。
開いている窓からヒュウと、涼しい風が吹いた。
そこで初めて、自分の頬が火照っていることに気づく。頬だけでなく全身が発汗し、胸は熱く心臓がドクドクと脈打っている。
股間もいつの間にか硬く勃起していた。
その理由は、分かっている。
――感謝は、しています。あと、あの……私にとっては。
ロレンティアに誘導される形でマイが口走った言葉。
マイにとって、俺はなんだと言うのだろう。
あの言葉の先を想像しようとするだけで妙な焦燥感と、期待と不安が押し寄せてくる。
振り払うようにソファーから立ち上がり、窓を閉めた。
窓の外には、中庭を挟んでマイのいる別棟が見える。
真っ白の外観が、今は夕陽を浴びて赤く染まっていた。