【書籍化】大司教の権力を悪用して純真無垢な聖女とセックスしたら、毎晩イチャラブご奉仕されるようになった話 作:月見ハク
視察からとんぼ帰りをして、一週間。
俺はこれまでにないほど雑務に追われていた。視察の準備を優先し過ぎたせいで、大司教としての仕事が溜まりに溜まっていたのだ。
「ふぅ……」
執務机に積まれた書類を片づけながら、周囲に聞こえないようため息をつく。
思えばここ最近は、俺もマイも第一王子に振り回されっぱなしだった。
第二王子から借り受けた陰の女…………ヌべリエによると、第二王子は王の命令により、一カ月ほど北方地方の視察に行かされているのだという。
それと入れ替わるように王都へ帰還した第一王子。
赤髪の王子があそこまで好き勝手ができたのも、反目する第二王子が派閥ごと飛ばされたからだろう。
その命令を下した王が、兄と弟のどちらを
(くだらない)
教会としては王、兄、弟のいずれの派閥にも恩を売りつつ、くだらない跡目争いには関わらないのが正解だ。
マイを、欲に狂った王族や貴族に近づけたくない。
「――マイ様、そろそろ再開いたしましょう」
「はい、ヌべリエさん。よろしくお願いいたします」
ソファーに座っていたマイとヌべリアが立ち上がった。二人とも、手には木の棒を持っている。
彼女たちはこの執務室で、秘密の剣術訓練を行っていた。
かしこまって頭を下げるマイに、ヌべリエが頬を紅潮させながら「聖女様が私のような者にそんな」と興奮している。
俺も仕事を中断し、再び彼女たちの訓練に目を向けた。
ヌべリエがゆるやかな動きで棒を振り、マイがそれを棒で受け止める。
剣術というよりも護身術だ。あくまで身を守り、受け流す動き。攻撃性も極めて低い。
それでも、最初ヌべリエは「聖女様にそのような暴力的作法を!?」と困惑していた。
確かに護身術とはいえ、実際の戦闘を想定した動きを教わる聖女など前代未聞だ。
ちなみに聖騎士長はこの場にいない。
信用のおける男だが、彼もまた敬虔な教徒。聖女が棒を振る姿など見たら卒倒してしまうだろう。
もちろんマイが短剣を隠し持っていることは、ヌべリエにも明かしていない。
カン、カンと木の打ち合う小気味いい音が、室内に響く。
(……美しいな)
マイの動きは、まるで流麗な舞を踊りながら木の楽器を演奏しているようだった。
聖女見習いの普段使いのローブが、舞の衣装に見えてくるから不思議だ。
儀式の舞の修練にも一生懸命取り組んできたから、それが体に染みついているのだろう。
「ああマイ様、なんとしなやかな動き……美しい
ヌべリエが棒を打ち込みながら、うっとりとため息をつく。
汗で黒髪が頬に張り付いているマイに対して、彼女は少しも息が切れていない。
目隠しをしているというのに、的確にマイを誘導している。
魔力察知の応用なのだろうが、凄まじい腕だ。
「はぁっ……その柔らかな身のこなし、美しい……襲ってきた賊だって、きっと魅せられてしまうっ……」
いよいよヌべリエの様子がおかしくなってきたので、俺は一つ咳払いをした。
「マイ、そろそろ時間だ」
低い声で言うと、二人の動きがピタリと止まる。
「あ、はい、大司教さま……」
はぁはぁと肩を上下させるマイが、事後を連想させて色っぽい。
もっとこの妖艶な姿を見ていたかったが。
「これから陛下との謁見だ。しっかりと湯浴みを済ませてきなさい」
ここ最近で、一番
王陛下が直々に、視察の顛末を聞きたがっている。
大司教である俺と会談したいというのもあるだろう。
だがそれは
ロレンティアのときもそうだったが、王は無類の聖女好きだ。
だからマイを聖女に任命してからは、儀礼的な顔合わせ以外は一切近づかせないようにしてきたのだが。
先日のゴーゼ司教の襲撃時に御前会議をすっぽかしたことで、今回は断ることが難しかった。
(本当に、王族は揃いも揃って)
秘かに奥歯を噛み締めていると、額の汗を拭き終わったマイが執務机に近づいてきた。
「では大司教さま、失礼します」
彼女の汗混じりの甘い香りに、王族への煩わしい気持ちが一瞬で吹き飛ぶ。
「ああ、後ほど」
股間からゾクゾクと湧き上がる情欲を、平静な顔で隠す。
「はい、また後ほど」
にこりと微笑んだ彼女は、涼やかな聖女の雰囲気をまとっていた。
***
「……俺も着替えるか」
戸棚を開け、久しく着ていなかった謁見用のローブに袖を通す。
高級シルクに金糸をふんだんにあしらった、趣味の悪い服だ。
清貧を重んじる大司教にはふさわしくないと、常々思っている。
俺はため息をつきながら、気晴らしもかねて遠視の術を発動した。
まぶたの裏に、別棟の廊下を歩くマイとヌべリエの姿を映し出す。
「――マイ様、湯浴みですが、私もご一緒してよろしいでしょうか?」
「あ、はい、もちろんです」
にこやかに応答するマイだったが、笑顔が少しぎこちない。
ヌべリエの妙に熱のこもった雰囲気に、彼女もどこか引いているのだろう。
俺は念のため、ロレンティアに伝書鳥を飛ばすことにした。
浴場の脱衣所。
マイがローブを脱ぎ、透き通るような白い肌をさらす。
だがチラチラと顔を向けてくるヌべリエが気になるのが、彼女は手ぬぐいで体の前側を隠していた。
「うふふ、マイ様は奥ゆかしいのですね」
笑みを浮かべながら寄ってくるヌべリエは、一切恥じらうことなく裸体をさらしていた。
(意外だな)
なめらかな肌はマイやロレンティアには及ばないものの白く、シミ一つない。
隠密部隊出身なので、てっきり古傷でもあるだろうと思っていたが。
そういえば彼女は房中術――性技や性愛を駆使して相手を
ヌべリエが外に跳ねた紫色の毛先をいじり、蠱惑的に微笑む。
その目を引くような所作も体も、彼女の道具の一つなのだろう。
(目隠しはそのままか)
俺はその布の下こそが気になるのだが、ヌべリエは目を覆ったまま湯浴みをするようだ。
幻想的な魔導灯の光が、立ち込める湯気を照らす。
木桶のお湯はすぐにとろみが付き、彼女がそれを嬉しそうに手ですくう。
細い指から粘液がとろりとこぼれる。ゴクリと生唾を飲むほど妖艶な光景だ。
「まぁ、マイ様がそのようなものを
ヌべリエの色気を含んだ声が浴場内に反響する。
「これ、大司教さまがご褒美にくださったものなんです。……みんなにって」
慌ててマイが最後を付け足す。
「ふふ、なるほど。では大司教様もその用途はご存じなかったのですね」
「用途、ですか?」
「ええ、ふふ……マイ様、私が湯浴みの介助をしても?」
「え……?」
ヌべリエは木桶に手を入れると、ヌチュヌチュと音を立てながら粘液を
「あっ、ん……ヌべリエさん、あの……」
「こうして聖女様の湯浴みをお手伝いできるなんて……王子殿下に女性の護衛が必要だと進言した甲斐がありました」
王子殿下とは彼女の雇い主、第二王子のことだろう。
なるほど。マイの護衛の件は第二王子ではなく、ヌべリエの発案だったらしい。
そこにちょうど俺が、女騎士を借り受けたいと話を持ち掛けたわけだ。
「あのっ、自分で、できますから……ひゃぅ」
「なんてきめ細かい肌……柔らかい……聖女様はそのお体も、清らかなのですね」
ヌべリエがマイの首筋に粘液を塗り、背筋に沿って手のひらを下げていく。腰からお腹のほうへ手を滑り込ませると、いよいよマイが体をよじらせた。
「んッ……ぁっ、あのっ、くすぐったい、です……」
「これから王城へ向かうのですよね。聖女様があのような汚らわしい場所に……私も、ご一緒できたらいいのに」
ヌべリエがマイの背中にピタリと密着する。乳房を当て、ぬるぬると粘液を塗り広げているようだ。
思わず前のめりになるマイの下腹部に手を伸ばすと、太ももの付け根に指を這わせた。
ヌべリエの手からこぼれた粘液が、鼠径部に沿ってマイの閉じられた内股へと入り込んでいく。
「やっ、んっ……ヌべリエさん、やめ……」
「本当に、汚らわしい人たち。マイ様、中でも第一王子にはお気をつけください」
「王子殿下、ですか?」
マイはやんわりとヌべリエの手から逃れようとするも、ぬるりと絡みつかれてしまう。
体の前側を辛うじて覆っている手ぬぐいにも粘液が染み込み、彼女の豊満な胸の輪郭や、その先端の突起が透けていく。
「ええ、あれは軽薄で品性の欠片もない男です。視察をご一緒されて、何か不快な思いをなさいませんでしたか?」
「んッ……えっと、特には……」
マイがまったく心当たりがないという表情を浮かべる。むしろ全身を這うヌべリエの手に困惑しているようだ。
俺が大事に育ててきたためか、マイは男の欲望や下卑た視線に
「やはりマイ様は、体だけでなくお心までも無垢で清らかなのですね……私たちのような者とは違う、まさに聖女の中の聖女様……」
ヌべリエが感極まったようにマイを後ろから抱き締める。いつの間にかその腕が手ぬぐいの下に差し込まれ、マイのお腹を撫でていた。
ゆっくりと、手のひらが下腹部へ移動していく。
一方のマイはヌべリエの淫らな手つきに戸惑いながらも、思い詰めたようにうつむいた。
「……そう、なのでしょうか」
「はい?」
「私は誰から見ても、聖女の中の聖女……に、なれていますか?」
そこにはいない誰かへ問いかけたような言葉に、ヌべリエが即答する。
「もちろんです……! ああ、なぜそのようなことをおっしゃるのです。マイ様ほど心が澄んでいて、穢れを知らず、全てを受け入れ慈しみ、一心に他者の幸福だけを思い続けられる方を、私は知りません。マイ様こそ私たち
一気にまくし立てたヌべリエが、ほぅと悦に浸るようなため息をつく。
マイは呆気にとられたように彼女のほうを振り返っていた。
「だからご安心ください。あなたがその在り方に不安を持つ必要など、ないのですよ」
「あっ……」
マイのお腹を撫でていた両手が上下に離れていく。大きな乳房のふもとに添えられた手が、ふわりと下乳を持ち上げる。
「聖女マイ様……なんてお可愛いの」
もう一方の手がするするとマイの股下へと滑り落ちたとき、浴場の引き戸が静かに開いた。
「あら、マイにヌべリエさん。いつの間にか仲良くなったのね」
涼やかな笑みを讃えたロレンティアが、ヌべリエをじっと見つめる。
ヌべリエは目にも留まらぬ速さでマイから体を離していた。
「ティア姉さま……」
ほっとした様子で肩を落とすマイに、ロレンティアがふんわりと微笑む。
「そんなでは体が冷えてしまうわ。お湯に入りましょう」
「ええ、ロレンティア様」
ヌべリエがさらにマイから距離を置くと、ロレンティアがその空間にすっと腰を下ろした。
――三人の美女がお湯に浸かる様子を視ながら、安堵の息を吐く。
俺は今、別棟の入口に来ていた。
伝書鳥に気づいたロレンティアが浴場に向かわなかったら、男子禁制の別棟といえども俺は突入していただろう。
神殿内では、女同士の過度な交わりを禁じている。
ヌべリエは聖女マイに憧れを超えた感情を抱いていた。
それ自体は珍しいことではない。だからこそロレンティアを通じて釘を差していたのだが。
ヌべリエにはマイとの入浴や着替え、必要以上の接触も禁じることにしよう。
――再び遠視の術を発動する。
マイはロレンティアの隣で、全身に塗り付けられた粘液を手で洗い流していた。
「ティア姉さま、朝にも湯浴みをしていたから、今日はもう入らないかと思ってました」
「同室のヌべリエさんを探していたら、浴場に入っていく姿が見えたの。それにね、久しぶりにマイとお話したいなと思って」
可愛い妹を愛でる姉のような笑顔を浮かべるロレンティアに、マイも人懐っこいな笑みを返す。
「嬉しいです。私も、ティア姉さまと一緒に入るの……好きです」
はにかむマイに、その様子をじっとうかがっていたヌべリエが「ああッ」と愉悦じみた声を上げる。
「どうしたのかしら、ヌべリエさん?」
「いえすみません、あまりの光景に取り乱してしまいました……聖女様と元聖女様が、ああっ、なんて尊く麗しい、うらやましい……」
ヌべリエがのぼせた顔で吐息をはく。
布を外したら、その目はさぞや血走っているのだろう。
眉を寄せて困った顔を浮かべるマイに対し、ロレンティアは平静だった。同室でもう慣れてしまったのだろう。
ヌべリエの監視任務が終わったら
「あの、マイ様っ」
「はい……」
「私、聖女見習いとしては後輩ですが、マイ様よりも四つ年上なのです」
「あ、そうなのですね」
「ええですからっ、私のことも姉と呼んでいただけないでしょうか?」
「えっと、ヌべリエ……姉さま?」
「ああッ……!」
まるで絶頂したかのように体を震わせる紫髪の女にため息をつき、俺は遠視の術を切った。
そろそろ準備を再開しないといけない。
『聖騎士長、聞こえるか?』
『はっ、大司教様』
念話の術で思念を送り合う。
『王城内でも帯剣しているように』
『承知しました』
『隠し短剣も用意しておけ。謁見中も警戒を怠るな』
『はっ』
『馬車もすぐ出せるように待機させておくんだ。王城裏手にもう一台予備の馬車も忘れるな』
『……そこまで警戒されますか?』
『念のためだ』
別に王城に限ったことではない。
教会神殿の外にマイを連れ出すときは、いや神殿内にいるときであっても、もう一切警戒を怠らない。
信頼できる者以外は、全てマイを狙う敵と考えて行動したほうがいいだろう。
俺は執務室へ戻る道すがら、浴場でのヌべリエの言葉を思い出していた。
――あれは軽薄で品性の欠片もない男です。
彼女が第二王子直属の者というのもあるだろうが、あそこまで第一王子を悪しざまに言うとは意外だった。
ああいう悪感情は、大いに利用できる。
もし第一王子と対峙することがあったら、有用な駒となってくれるだろう。
俺は決してマイには見せられない表情を浮かべながら、執務室へ戻った。