※この作品はR-18です。

【書籍化】大司教の権力を悪用して純真無垢な聖女とセックスしたら、毎晩イチャラブご奉仕されるようになった話   作:月見ハク

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第47話 聖女見習いの夢

 マイを何度も抱き潰してから、あっという間に三日が過ぎた。

 

 あの夢のような聖衾から外へ出ると、現実が待ち受けていた。激務という現実が。

 

 およそ一週間ぶりに執務室に戻り、机にうず高く積み上がった書類を見て……呆然としたのを覚えている。

 

 日中は、ヌべリエに破壊された温室の修復工事の打ち合わせ。

 夕方は、粛清した司教や聖騎士の代わりを決める打ち合わせ。

 夜になって、やっとたまった書類に手を付ける日々。

 

 この三日間は一睡もしていない。

 

 なのに少しも眠くならないし疲れない。それどころか思考が冴えて体力が無限に湧いてくる。

 

 これも聖女の力なのだろう。

 王家の血を引かなくとも、何度も聖女を犯し、抱き潰すことで得られる力だ。

 

 ただ、力を得るにはほとんど休みなく、立て続けに抱かなくてはならない。

 俺のように、常人離れした絶倫でなければ無理だろう。

 

 その力も、この三日間でわずかに減衰している気がする。

 どうやら一定期間の間を置くと、増大した魔力が元に戻ってしまうらしい。

 

「リンゼさま、もう一度お願いします」

 

 執務室の真ん中に立つ、マイの後ろ姿を眺める。 

 

「では、いくぞ。重心を落とすことを忘れるな」

 

「はい」

 

 緊張に体を強張らせる彼女に、背後から静かに近づく。

 おもむろに腕を伸ばし、思いきり羽交い絞めにした。

 

「んッ……ぅ……」

 

 身動きの取れなくなったマイが、苦しげな声を漏らす。

 

 俺は今、マイに体術を教えていた。

 

 聖女の力のおかげで仕事がひと段落ついたので、お礼とばかりに「護身術を教える」と彼女を呼び出したのだ。

 

 後ろから拘束しながら、ローブ越しに乳房を鷲掴みにする。

 

「ぁっ……ん、くぅッ……」

 

 劣情をたぎらせた暴漢のごとく乱暴に揉み込むと、マイが肩を震わせる。

 硬直した股間を彼女の柔らかい尻に押し当て、乳房をさらに押し潰す。

 

「マイ、両手で俺の腕を引き下げろ。顎もしっかり下げて気道を確保するんだ」

 

「は、ぃ……」

 

 マイが俺の両腕をつかみ、ぐいっと引き下げる。そのまましゃがみ込むように重心を落とすと、俺の体が前かがみになる。

 

 体勢を崩した俺の腕をつかみながら彼女が振り返った。俺の腋の下をくぐりぬけて背後に回ると、ドンと背中を押す。

 

「っ……」

 

 二、三歩、倒れ込みそうになる。

 振り向くと、離れた位置まで移動したマイが手をかざしていた。

 

「ふむ、上達したな」

 

 素直に褒めると、彼女は緊張の糸が切れたようにふっと表情をゆるめた。

 

「ありがとう、ございます」

 

 汗をにじませ、肩で息をする姿が色っぽい。

 

「相手がヌべリエのような手練れの場合、すぐにやり返されてしまうだろう。その場合にやっと奥の手である、麻痺の術を使うんだ。そうして一目散に逃げる。いいね」

 

 まあ、マイが拘束されるような事態を二度と許すつもりはないが。

 

「はい、リンゼさま」

 

 なぜか嬉しそうに微笑むマイへ近寄り、汗で湿った前髪をどかしてやる。

 

「んっ……」

 

 もうさほど驚かなくなったが、当然のように護身術を覚えてしまう聖女など前代未聞だ。

 

 普通の聖女なら、抵抗しようと思っても行動に移せない。やめてと口にするのがやっとだろう。

 護身術といえど、それは攻撃的な性質をあわせ持つからだ。

 

(つくづく面白い子だな)

 

 マイに、どんどん魅せられていくのを感じる。

 

「先ほどは強くつかんでしまった。痛かっただろう」

 

 ローブをこんもりと押し上げる胸に、優しく触れる。

 

「んッ……大丈夫です。真剣に教えていただけて、嬉しかったです」

 

「もうあんなふうに乱暴な触り方はしないから、安心しなさい」

 

 するとマイが俺の手に、手のひらを重ねてきた。

 

「リンゼさまなら、乱暴でも……いいです」

 

 求めるように見上げてくる眼差しに、全身がゾクリと奮い立つ。

 

「……つくづく煽ってくれるな」

 

「え……?」

 

「なんでもない。これから毎日、日が落ちたら執務室に来なさい。護身術と、それから麻痺の術の修練を進めよう」

 

「あ、はい……っ!」

 

 はあっと花が咲くような笑みを浮かべるマイに、見惚れてしまう。

 

「最後に魔力に乱れがないか確かめる。マイ、顎を上に向けなさい」

 

「はい……」

 

 少しの警戒もなく差し出された唇に、そっと唇を重ねる。

 

「ん……ぁ、んむ……んっ、ん……」

 

 三日ぶりのマイのしっとりとした唇を味わい、開かれた隙間へと舌を入れる。

 迎えにきた舌先を舐め、絡め取り、濃厚な口づけへと移行していく。

 

「ん、ちゅっ……ぁ、ぇぁぇぁ……んれ、ん……ふっ、ぁっ……」

 

 ねろねろと舐め合いながら、舌を通じて魔力を流し込む。

 布越しにおっぱいの丸みを撫で、輪郭を確かめるようにふんわりと揉む。

 

「ぁっ、ぁッ…………んっ、ぇぁっ……あ゛ぁっ――ッ」

 

 彼女が口内でかすれた悲鳴を上げた。

 柔らかい体がビクビクと震え上がり、絡んでいた舌がピンと硬直する。

 

 キスとわずかな胸への愛撫だけで、マイはイってしまった。

 

 彼女の体もこの三日間で焦らされたのだろう。感度がさらに上がっている。

 本当に、全身で俺を欲情させてくれる子だ。

 

「……魔力に異常はないようだ」

 

「はいっ……ありがとうございます、リンゼさま……」

 

「訓練でだいぶ汗をかいただろう。浴場でゆっくり身を清めるといい」

 

 下着の中も、ぐっしょりと濡れてしまっているはずだ。

 

「はい、あの……リンゼさま、眠れていますか?」

 

「ん? ああ、ほどほどには寝れているよ」

 

 マイに心配を掛けないための嘘をつく。

 

「そうですか……あの、ご無理をしないでください」

 

 彼女が眉間にシワを寄せ、潤んだ瞳で見つめてくる。

 

 聖女の力で絶好調だと思っていたが、気付かぬうちに疲れが蓄積しているのだろうか。

 マイが心配するのだから、きっとそうなのだろう。

 

「ああ、今日はもう寝ることにするよ」

 

「ん、はい……では、また明日。おやすみなさい、リンゼさま」

 

 挨拶を交わし、彼女が執務室を出ていく。

 

 

「……ふぅ」

 

 扉を見つめながら、体の力を抜く。

 

 まいったな。

 マイといると、心臓と股間がもたない。

 彼女と言葉を交わすだけで、一日と置かず抱き潰したくなってしまう。

 

「少し寝るか」

 

 マイの言うとおり、仮眠を取ることにする。

 起きるころには、この下腹部の火照りも収まっているだろう。

 

 ソファーに腰を埋め、目を閉じる。

 

 意外にすんなりと、俺の意識は眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 ――ゴーゼ様、なんで……裸に。

 

(ん?)

 

 暗闇の中で、小鳥がさえずるような声がした。

 

 マイではない。

 

 これは、ニーナか。

 

 意識をそちらに向けると、その声が鮮明になっていく。

 同時に、漆黒の中で情景が浮かび上がる。

 

 そこはゴーゼ司教の部屋だった。

 

「フフ、命じたとおり下着を付けずに来たか?」

 

 全裸のゴーゼ司教がでっぷりとした腹を揺らしながら、目の前に立ったニーナのローブを脱がそうとしている。

 

「ゴーゼ様っ……やだ、恥ずかしいですっ……」

 

 ニーナは体をよじりながら、必死に脱がされまいとローブをつかんでいた。

 

 執務机の上には麻縄や鎖でつながった手錠、ロウソクに鞭、何に使うのか分からない棒状のものなど、いかがわしい道具が置かれている。

 

 ソファーの上にも、露出の高い修練服や聖女の衣装、果ては町娘が着るような質素な服まで並べられていた。

 

「いやいやと鳴くのもそそるがな、限度があるぞニーナ。お前の家族、村は俺の管轄だということを忘れるな」

 

「それって、どういうっ……」

 

「大事なものを大事に扱ってほしいのなら、ほれ、分かっているだろう」

 

 ゴーゼ司教が高圧的な声を発する。ニーナはビクッと目をつぶると、抵抗をやめた。

 

「ふふ、それでいい。従順な小鳥はうんと可愛がってやる。なに、これも聖女になるために大切なことだ。身を任せているうちによくなる」

 

 ローブの前紐が解かれ、すとんとローブが落ちる。

 

 ニーナのなだらかな乳丘や無垢な割れ目がさらされた。

 

(……夢、か?)

 

 それにしては俺の記憶にも願望にもない光景だ。

 

 違う。

 これはニーナの夢だ。

 

 意識を集中させると、彼女との魔力的なつながりを感じた。

 

 どういう仕組みか分からないが、俺は今、ニーナと夢を共有しているらしい。

 

 なるほど。

 彼女が言っていた悪夢とは、これのことか。

 

 よく見ればニーナの顔立ちは、今よりほんの少し幼い。

 初めてゴーゼ司教に凌辱されたときの記憶なのだろう。

 

「んちゅぅっ、ちゅぱっ……ほおぅ、小ぶりだが瑞々しい、好い乳だ」

 

「あ、やぁっ……やめ、おっぱい、くすぐったいっ……」

 

「反応もいい。ふふ、可愛がって育ててきたかいがあった。ちと早いが、この熟しきっていない体も俺好みだ。……ニーナ、聖女になるには奉仕を学ばねばならんぞ」

 

「奉仕って、なんですかっ……?」

 

 体を震わせ、大粒の涙を流しながらニーナが聞く。

 

「それをこれから教えてやる。とても気持ちのいいことだぞニーナ。ふふ……この無知な体に、男の悦ばせ方をみっちり仕込んでやるからな」

 

 ゴーゼ司教は執務机に向かうと、麻縄を手に取って下劣な笑みを浮かべた。

 

 この日から、ニーナは毎日のようにゴーゼ司教の欲望のはけ口になったのだ。

 

 散々に犯され、無理やりに性の快楽を芽生えさせられ、性技を教え込まれ。

 やがて彼女は、これが家族や村を救う方法なのだと、聖女になるために必要なことだと自分に言い聞かせ、ゴーゼ司教からの寵愛だと錯覚するようになったのだろう。

 

 心優しい聖女見習いは、どんなに酷いことをされても相手を憎むことができない。

 

 その性質を利用した、卑劣な行いだ。

 

 俺も……やっていることはゴーゼ司教とそう変わらない。

 

 だが。

 

(見てられないな)

 

 ゴーゼ司教の醜い裸体も、脅されるままに好き勝手をされるニーナの姿も、見るに堪えない。

 

 俺は魔力を集中させると、ニーナの細腕に縄を巻き付けているゴーゼ司教へ放った。

 

「ぐおっ!? なっ……邪魔を、おおおぉぉっ……!」

 

 ゴーゼ司教の体が醜く膨れ上がり、パンと弾けて消えていく。

 次の瞬間には、ニーナの周りを漆黒が覆い始めた。

 

 どうやら、夢に干渉できるようだ。

 ならば。

 

「ニーナ」

 

「ッ……大司教、様っ……?」

 

 声を掛けると、驚いたようにニーナがこちらを見た。

 

 彼女に近寄り、羽織っていたマントを掛ける。

 

「ニーナ、もう大丈夫だ。あの醜悪な男は打ち消した。もう君に手を出すことはない」

 

「でも、でもっ……ゴーゼさま、ぜったいに離さないって、お前はずっと俺に飼われるんだって……」

 

「私は大司教である限り、君は私が守ると誓う。だからこんな悪夢に囚われるな。それとも、私のことが信じられないか?」

 

「ううん、信じてますっ……誰よりも。でも、夜になるとこわくて、こわ……大司教様、こわいよっ……」

 

 ニーナが俺の胸に飛び込んでくる。

 

 涙を流す彼女の桃色髪を、俺はポンポンと撫でた。

 

「なにが恐いのか言ってごらん。安心しなさい、ここは女神に守られし聖域だ」

 

 イメージを魔力に乗せると、周囲の風景が切り替わる。

 温かく、色とりどりの花に囲まれる聖域が映し出された。

 

 ニーナは顔を上げると、「ほんとだ」と少女のような笑みを浮かべる。

 

「……わたし、嫌われるのが、こわいんです」

 

 彼女がポツポツと本音を語り始める。

 

「ゴーゼ様に、ご奉仕しているとき……すっごく嫌なのに、気持ちいいって、なっちゃうときがあって……そんなわたしが、嫌いで、汚いって思うときがあって……こんなの、マイ様や大司教様に知られたら、きっと嫌われちゃう。だから、誰にも話せなくて」

 

 そう言いながらも、ニーナは心の内を話し続ける。

 

 なるほどな。

 夢の世界では、心の奥にとどめていたことを隠し通せないらしい。

 

 なら俺がこれから紡ぐ言葉も、嘘偽らざる本心なのだろう。

 

「ニーナ、私は君が汚いなどと思ったことはないし、嫌うこともない」

 

「うそですっ、だって」

 

「本当だよ。ここでは嘘をつけないんだ」

 

「え……」

 

「ニーナ、私にとって聖女は、聖女見習いたちは、この世で最も清らかな存在なんだ。たとえ穢されようともそれは変わらない。だから君が過去に何を感じようと、今がどうあろうと、私が嫌うなんてことはあり得ない。ニーナも、私の大切な聖女見習いの一人だ」

 

「……ほんと、ですか?」

 

「ああ。私は嘘で塗り固められているが、これだけは真実だ」

 

 はっきりと断言する。

 

 ニーナは俺の胸に手を添えると、ふんわりと体を預けてきた。

 

「うん、信じます……ありがとう、大司教様」

 

「こちらこそ、信じてくれて嬉しく思うよ、ニーナ」

 

 桃色髪を、もう一度ポンポンと撫でる。

 

 さっきから言葉遣いがなっていないが、ここは彼女の夢の中。本音がだだ洩れになってしまう世界なのだから目をつむろう。

 

「わたし、大司教様のこと、大好きです。すごく、すっごく好きです」

 

「そうか」

 

 それが親愛なのか家族愛なのか、はたまた恋慕なのかは、聞かないほうがいいだろう。

 聞けば、彼女の本心が分かってしまう。

 

「大司教様を、うんと悦ばせてあげたいって、いつも思っちゃうんです」

 

「そうか」

 

「聖衾のとき、やっと大司教様にご奉仕できるって、恩返しができるって、嬉しくて、興奮して……早く治ってほしいって思って、一生懸命ご奉仕して、気持ちよくて……大司教様の大きいから、口に入るかなって――」

 

「ニーナ、これで悪夢は消え去った。他に望みはあるか?」

 

 独白の方向性が危うくなってきたので、急いで話題を切り替える。

 

「望み? えっと……嫌いになったりしないですか?」

 

 ニーナが何かをねだるような表情で聞いてくる。

 

「嫌いにならないと言っただろう」

 

「そっか……なら、あの……大司教様のこと、縛ってみたいです」

 

「は?」

 

「縛って、動けなくなった大司教様に、うんと気持ちいいことしてあげたいなって」

 

 体をもじもじさせながら、ゾクリとするほど妖艶な視線を送ってくる。

 そこに、さっきまで泣きじゃくっていた少女の面影はなかった。

 

 どうやら、質問を間違えたようだ。

 

「……ふむ、聞かなかったことにしておこう。ところで同室のペトラの様子はどうだ?」

 

 話をまったく別の方向へ切り替える。

 

「ペトラですか? すっごく可愛いです。ちっこいマイ様みたいで。知ってますか、ペトラったら寝るときいっつもマイ様の話するんですよ。今日のマイ様はどうだったとか、昔村に来てくれたときにマイ様にこんなこと言ってもらえたんだとかって、自慢げに」

 

「そうか、よく面倒を見てくれているようだな」

 

「えへへ……わたしもムキになって、マイ様と一緒にお花の世話したことあるよって自慢したりして。妹ってこんな感じなのかなって……わたしの家、わたしがこの神殿に来たあとに妹が生まれたらしいんですけど、会ったことないから」

 

「寂しいか?」

 

「ううん、ぜんぜんっ。だってわたしにとっては神殿のみんなが、家族だから」

 

「ああ、それは私も同感だ」

 

 和やかに本音を語り合っていると、徐々に風景がぼやけてきた。

 

 夢の時間は終わり、本当の眠りが訪れるのだろう。

 

「大司教様」

 

「なんだ?」

 

「またこうやって、お話できますか?」

 

「そうだな、話をしたくなったら夢の中で呼ぶといい。頻繁には困るが」

 

「やったっ……ありがとう、大司教様」

 

 ニーナが桃色髪を揺らし、満面の笑みを浮かべる。

 それはもう年相応の少女のものだった。

 

「そうだ。起きたらその言葉遣いを直す――」

 

 不意に目の前のニーナが薄れ、消えていく。

 どうやら時間切れらしい。

 

 あたりが暗闇に覆われ、そのまま意識が遠ざかっていった。

 

 

 

 

「……朝、か」

 

 目を覚ますと、明るい窓の外から小鳥のさえずりが聞こえてきた。

 

 ソファーに沈んでいた体を起き上がらせると、俺は思考を巡らせる。

 

 あれは確かにニーナの夢だった。干渉もできた。なぜだ。

 

 魔力的なつながりが要因なら、マイやロレンティアでも同様の現象が起こったはずだ。

 

 彼女たちとニーナとの違いは――。

 

「なるほど、呪いか」

 

 かつてゴーゼ司教が襲撃する前、俺はニーナに大量の魔力を流し込んであの男に掛けられた呪いを打ち消した。正確に言えば、俺の魔力で呪いを上書きしたのだ。

 

 だが、これまでも同様の方法で呪いを消そうと試みた者は大勢いる。

 なのに夢を共有するなどという珍事は、どの文献でも報告されていない。

 

 では彼らと俺との違いは――。

 

「遠視の術」

 

 大司教である俺に与えられた恩恵。

 抱いた女を遠くから視るという不可思議な術が、ニーナに対しては夢の共有という形で作用したのだろう。

 

 でも呪いを打ち消したのはずいぶん前だ。

 なのになぜ、昨夜初めて発動したのか。

 

 これまでと、今の違いは――聖女の力だ。

 

「魔法というのは、奥が深いな」

 

 呪いを自分の魔力、それも大量の魔力で打ち消すという行為。

 遠視の術という唯一無二の固有魔法。

 聖女の力によって増大した魔力。

 

 それらの条件が偶然重なったことで生みだされた、奇跡の術。

 

 これは、大きな武器になる。

 

「急ぎ検証しよう」

 

 この術を自分のものにする。検証は早ければ早いほどいい。

 

 俺は急いで執務机へ向かうと、ロレンティア宛ての文を書き始めた。

 

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