セックスでチート付与できるならハーレムができるのは必然です~ただし、私はTS聖女でハーレム入りするほうです~ 作:恋偲川幹
私の名前はミシュリーヌ。
前世は日本人、生まれた世界はファンタジーというありふれた異世界転生者です。
裕福な貴族の令嬢に生まれ、レアジョブである「聖女」を授かり、前世から引き継いだ大人の精神で「神童」の名を欲しいままにしてきました。
前世でさしたる人物ではなかった私ですが、1歳児、2歳児で前世の精神レベルで振る舞えば「神童」なのですからチョロかったです。
前世のレベルを考えれば、いずれは「神童も二十歳過ぎればなんとやら」に落ち着くでしょう。
それまでに資産や名声や人脈などを色々と稼いでおきたいものですね。
前世の記憶、精神を受け継いで神童状態であった以外には、この世界の常識を超えるようなチート能力は持ってはいません。
裕福な生家とレアジョブも「常識の範疇での勝ち組」であると言えました。
そうであればこそ、私は
誰にも見える形で優秀であったからです。
ですが、これはうっかりすると破滅フラグだと私は自戒自重を心がけてきました。
異世界転生モノや追放もう遅いモノでは、本当はすごいチートを持っているのにあまりにも常識の範疇から外れすぎて「無能力者扱い」されるパターンがあります。
そういう時、主人公と諍いを起こして破滅するのは、わかりやすい優秀さで天狗になった増上慢と取り巻きであると相場は決まっているのです。
それでも、周囲からチヤホヤとされることで育った自己肯定感は、前世の卑屈さを霧散させ、少しだけ私を天狗にしていたのです。
神童と呼ばれて、聖女のレアジョブであった私は、それを広告塔として利用したい神殿から優遇を受けていました。
10歳で特例として冒険者に登録させてもらった私は、神殿騎士団のベテランの皆さんと一緒にダンジョンに挑んでパワーレベリングをさせてもらうことになりました。
はやくレベルを上げさせて、より具体的な奇跡を民衆に示したい神殿の思惑ですが、私にも異存はありません。
ダンジョンに挑戦するにあたり、私は神殿と両親から高級・高性能な装備品をプレゼントされました。
レベル1には不相応な装備ですが、貴族の両親と神殿からの期待を受けている子供に与えられる装備としては順当でしょう。
銅の剣と皮の鎧で放り出される王子とは違います。
・聖女の
山伏の持っているシャランと鳴る錫杖を、異世界ヨーロッパ風にアレンジしたような杖です。
先端部の輪形は純潔の象徴であるフルール・ド・リス(百合の紋章)があしらわれ、音を鳴らすための遊環がとおされています。
神聖魔法の効果を上げる効果に加えて、弱いモンスターを近づけさせない効果もあります。
・聖女の旅衣(たびころも)
神聖魔法で時間をかけて強化された糸から織り上げられた冒険用の法衣です。
私自身の聖属性の力に反応して、布とは思えない防御力になります。
デザインはケープ付きのローブといった感じの衣装で、儀式用の正装に比べるとかなり簡便にデザインされていて動きやすく、それでいて神聖さも感じさせる美しいデザインになっています。
鏡の前で装備を固めた私を眺めます。
年相応に小柄な幼児体型であるので、身にまとっている聖女の旅衣はブッカブカです。
袖から手が出ない感じはいかにも子供が背伸びをしている感じで愛らしいですね。
成長するから大きめのサイズでという中学生の制服みたいな理由で、このサイズになっています。
さすがに糸から特別製法になっている聖女の旅衣は成長にあわせて誂えるのは大変なのですね。
「さすが私。冒険者の装備でもかわいいですね。さすがに袖や裾は縫わないと危ないでしょうけれど」
鏡を見ながらナルシストなセリフを口にする美幼女というのはあざといでしょうか。
銀髪の長いストレートロング、美形のお父様を美幼女に変換したような気品のある美しい幼顔をした二次元美少女が鏡の中にいます。
私は前世が男性なので客観的に現世の容姿を評価することができるのです。
「何より二次元デザインなのがよいですね!」
私がこの世界に来てから何度も何度も噛みしめてきた言葉です。
私が生まれ変わった世界のキャラデザは前世でいう二次元、マンガやアニメ、ゲームのようなデザインであるのです。
もちろん、奥行きはありますよ。平面ではありません。
「二次元に生まれ変わりたい」と願ったときに想起される世界がここにはあるのです。
「お前を二次元の世界に送ってやる。そう、奥行きのない世界にな!」などと言ってくる邪神の類はいなかったのです!
ともあれ、私は侍女に裾と袖をなおしてもらうと、冒険者として旅立つ準備を整え終えました。
「ミシュリーヌお嬢様、どうかお気をつけて」
「ありがとうございます」
私は侍女の見送りを受けて、神殿の入り口で待機しているエスコート役の皆さんのところへ向かいます。
「聖女ミシュリーヌ様、お待ちしておりました」
挨拶をしてきたのが神殿騎士のベテランさんで、私のパワーレベリングのエスコートを引き受けてくださった方です。
渋いオジサマで歴戦の猛者という感じがとてもよくでています。
「この度はお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」
私が丁寧に挨拶をすると、ベテラン騎士さんはちょっと感心したような様子です。
10歳にしてはしっかりとした挨拶ができていると思ってくださったのでしょうか。
前世の甥っ子を思い出すと、10歳前後の子供というのは大人が過去の自分を振り返った時の自覚よりもずっと自制心も落ち着きもないものです。
お行儀がよい子もいるにしても、曲がりなりにも前世で成人していた私の態度は「普通の子供」には見えないでしょう。
私としては普通に制度的コミュニケーションをしているだけで尊敬されたり、神童扱いされるので、元コミュ障なのにイージーモードという気分です。
私が集まっているメンバーを見回すと、見事に神殿関係者で固められていました。
神殿騎士のリーダー、神官戦士が2名、神官が1名、退魔師が1名という構成になっています。
女性はこのうち、神官戦士2名と退魔師1名の3人になります。
退魔師というのは攻撃魔法を得意とする神官のバリエーションジョブで、神官はそのまま回復魔法や補助魔法を得意とするジョブです。
神殿騎士、神官戦士も神官の戦士職という扱いで、十分に一般的な冒険者パーティーの構成といえます。
「ダンジョンに潜るのに盗賊職の方はいらっしゃらないのですか?」
私はパーティーメンバーに罠の回避や斥候を担当する盗賊職がいないことに疑問を投げかけました。
「今回はすでに十分な探索がなされている浅い階層で魔物討伐を行います。罠の位置もすでに把握されておりますから盗賊職は必要ありません」
「そうですか。ジョブ差別で追い出しているのでなければ構いません。ジョブはすべての人々が神から賜る神の恩寵そのものです。ジョブを理由に人を避けるのは神の御心に背くのですからね」
「……あ、いや、それは」
私が釘を刺すとベテラン騎士さんは視線を泳がせています。
ジョブは半ば先天性の特徴であるため、それによる差別は神殿の教義の上では禁止されています。
しかし、一方で盗みも当然に教義や法律で禁止されていますから、そちらを重視して盗賊への差別を公然と行う聖職者もたくさんいるのです。
「ジョブはそれを持つ人の性質まで規定するものではありません。盗賊職のジョブを持つものが悪事を生業にするわけではございません。逆に私とて聖女のジョブを悪用しないとは限らないのですよ?」
「まさか、そんなことはっ」
それにジョブやスキルによる差別は破滅フラグです。
今回だって盗賊職無しにダンジョンに潜るなんて無茶もいいところです。
きっと罠にハマって酷い目にあうのです。
「ですが、今日は階層の浅いところを軽く回るだけとのことですから、差別の意図があるはずなどありませんね。しかし、危険は少ないに越したことはありません。次回からは盗賊職も連れていきましょう」
騎士さんのメンツをこれ以上潰すのもはばかられましたので、私は今日のところは妥協することにします。
まあ、メンツがどうこうと面倒な人は今の私の態度だけで面倒になるのでしょうけれど。
しかし、それが甘い判断であったことを私は嫌というほど思い知ることになるのでした。
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