※この作品はR-18です。

セックスでチート付与できるならハーレムができるのは必然です~ただし、私はTS聖女でハーレム入りするほうです~   作:恋偲川幹

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TS転生聖女ミシュリーヌのダンジョン初体験

 神殿の権威発揚のために、まだ幼い聖女である私自らがダンジョンに挑みます。

 ……という筋書きを考えたのは神殿長か、神官長のどちらでしょうか。

 護衛のベテラン騎士さんや戦士さんにがっちりガードされながら、私は中級ダンジョンにやってきました。

 

「これがダンジョン……緊張します」

 

 聖女である私にはダンジョンの入り口で、そこから畏しい気配が感じ取れてしまい、自然と体が強張(こわば)ります。

 禍々しくもあり、神々しくもあり、聖邪いずれとも判断しがたい存在はただただ畏れ多い存在であると思われました。

 

 ダンジョンというのは、人間社会を脅かしている脅威であると同時に、この世界の人間社会の維持に必要不可欠の恵みももたらしてくれます。

 その二面性ゆえに禍々しくも神々しく、ただただ畏れ多いと感じてしまうのでしょうか?

 

「我々がミシュリーヌ様を守ります。どうか、ご安心ください。さあ、行きましょう」

 

 ベテラン騎士さんに促されて、私たちはダンジョンに入りました。

 十分に探索済みの中級ダンジョンは、パワーレベリングをするのに絶好の好立地といえました。

 ベテラン騎士さんとパーティーはがっちりと私を守ってくださります。

 そこそこの強さを持っていて、しかし、ベテラン騎士さんたちにとっては鎧袖一触のモンスターはわたしのレベルアップに多いに貢献してくださいます。

 レベルがあがるごとに自分の体が強くなっていくのを実感することができます。

 

 例えば、ダンジョンから漠然と感じていた畏れ多い気配は消えてはいませんが、その大きすぎる気配に掻き消されていた小さな邪悪の気配などが認識できるようになりました。

 小さな邪悪の気配、すなわちモンスターの待ち伏せなどを事前に察知することができるようになりました。

 聖女の知覚能力はもともと邪悪なものや聖なるものを探知することに優れています。その精度がレベルと一緒に向上したのだと実感できました。

 

「治癒(ヒーリング)」

「ありがとうございます、ミシュリーヌ様」

「ちゃんと効いてよかったです」

 

 レベルがあがって治癒(ヒーリング)などの神聖魔法の効果もあがり、解毒(アンチドート)、聖弾(ホーリーブリッド)などの魔法も覚えていきます。

 

 前衛職ではない聖女でもレベルがあがるほどに身体能力もぐんぐんあがっていきます。

 レベル50なら魔法使いでも最初の方のザコ敵は軽く殴り倒せるのと同じです。

 

「うう、気持ち悪いです。うっぷ」

 

 その結果として、私は酔いました。

 自己認識と実際の体の動きがバラバラなので、乗り物酔いのような状態になってしまったのです。

 身体能力の向上に合わせて体捌きなどもしっかりとインストールされているのもわかるのですが、あまりに急激な向上に自己認識とプレイヤースキルが追いついていないのでした。

 

 例えばテニスゲームのキャラクターがプロのスイングや身のこなしを再現しているのに、プレイヤーが下手くそだとプロが絶対にしないようなタイミングの空振りをするようなものといえば伝わるでしょうか?

 

「うおえええぇぇぇ……」

 

 美少女な聖女にあるまじきリバースでダンジョンの床を汚してしまいます。

 口の中から酸っぱい臭いが喉を通って鼻に抜けてきます。

 

「ミシュリーヌ様、大丈夫ですか? レベルアップ酔いですかな。急激にレベルアップをすると体と意識のズレが生じて酔いが発生するのです」

 

 女性の神官戦士さんが水筒を差し出して口を濯ぐように薦めてくださいました。

 私は水筒を受け取ってクチュクチュペッとすると、酸っぱい臭いがいくらかおさまりました。

 しかし、それだけではレベルアップ酔いはおさまりません。

 

「申し訳ありません。これ以上の探索はもう無理そうです。目標のレベルに達していませんが、撤収をお願いできますでしょうか?」

 

 私は情けないなと思いつつも、早く家に帰りたくて涙目になっていました。

 

「いえ、こんなにフラフラになるまで無理をさせてしまったのは私の落ち度です。ご容赦ください、ミシュリーヌ様」

 

 生まれ変わってから10年、前世を含めるとかなりのいい大人ですが、私の見た目はまだ幼い少女です。

 ベテラン騎士さんは子供を慰めるように優しく接してくださいます。

 

「ミシュリーヌ様の体調は優れないご様子ですから、帰り道は少々危険ですが近道を通りましょう。なに、所在の知れている罠なんてものは恐れるようなものではありません」

 

 私たちはダンジョンから速やかに撤収するため、罠があるけれども近道になる通路をすすむことになりました。

 罠の位置は事前調査であらかじめわかっており、回避は簡単です。

 ただ、盗賊職の方がパーティーにいないので、場所はわかっているのに解除はすることができませんでした。

 発見済みの罠が解除されずに残っている理由は、時間経過によって罠が復活するダンジョンの特性のためです。

 

「ミシュリーヌ様、踏み外さないようお気をつけて」

「はい、ありがとうございます」

 

 ベテラン騎士さんがあらかじめ調べてあった罠のない床の上を慎重に歩いていきます。

 私はそれをなぞるように歩く必要があるのですが……私とベテラン騎士さんでは歩幅がまるで違います。

 ベテラン騎士さんがひょいとまたいだ場所も、私はぴょんと飛び越えないと超えられません。 

 私は少しドキドキしながら軽く助走をつけて飛び上がり……

 

「えいっ……きゃっ!?」

「聖女様あああぁぁぁぁっ!」

 

 私の靴底は着地するはずだった床にふれることはありませんでした。

 レベルアップ酔いでフラフラになっていたうえに、レベルアップした身体能力を持て余した私は考えていた以上に飛びすぎてしまったのです。

 セーフティゾーンを飛び越えて反対側の落とし穴にハマってしまいました。

 

「きゃあああああああああああああああああっっっ!!」

 

 そのまま、私は奈落の底へと落ちていったのでした。




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