※この作品はR-18です。

セックスでチート付与できるならハーレムができるのは必然です~ただし、私はTS聖女でハーレム入りするほうです~   作:恋偲川幹

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TS転生聖女ミシュリーヌはジョブだけで人を語らない

 ダンジョンのトラップでかなり深い階層に落ちてしまった私は、そのダンジョンの奥底で美少年冒険者のセルティスに助けられました。

 しかし、セルティスもまた仲間とはぐれて遭難中であったのです。

 

「とはいえ、ここで救助を待つのは得策じゃないんです。まず、食料が1週間分あるかないかです。そして、もっと重要なのが僕たちが今いるエリアは過去に探索がなされた記録がないエリアです。おそらく、正規のルートからでは入ることができない隠しルートだと思われます」

 

 セルティスはちょっと困った表情でそのように語ります。

 私はその言葉を聞いて、背筋がゾクっとします。このまま、ここに置き去りにされてしまったら私一人では生きて脱出できないということになります。

 このままダンジョンの奥底で一人で餓死する恐怖に涙が自然に溢れ出てしまいます。

 

「……わたくしはセルティス様の足手まといになるのでしょうか?」

 

 私はセルティスに見捨てられたくないと思いながらも、精一杯の強がりで体裁を繕った質問を投げかけます。

 足手まといになるなら置いていってもらうほうが助かる人数は増えるのです。

 

「いいえ、僕はミシュリーヌが来てくださって助かったと思っています。僕は見ての通り前衛職ですから、神官職の人が援護してくださるならとても助かります。レベルが低いのも返って回復のチャンスが多いとみることもできるでしょう」

 

 レベルが低いと回復の機会が多い、というのはこの世界はレベルアップした時にHPやMPが全快するシステムのRPGのような仕様になっているからです。

 レベルがあがるたびに全回復するので、例えば使える『治癒(ヒーリング)』の回数も多くなるということです。

 

 私はセルティスの言葉にちゃんと理由があって私を見捨てないでくれるということを確信できたので、とてもほっとしました。

 

「そんな打算がなくても、こんな小さな子を見捨てていったら、目覚めが悪くなりますしね」

 

 セルティスはそういうと私の頭を優しく撫で回してくださるのでした。

 その手にドキドキしてしまう私は、ナデポされるヒロインのようにチョロいのかもしれないと思うのでした。

 

 前世では皆さん、ナデポをバカにしていましたけれど、こんな絶望的な状況下で優しく頭を撫でて安心させてくれる美少年なんてトキメかないほうがおかしいですよ!

 

「まずはミシュリーヌさんのステータスをもっと詳しく教えてくれますか? 作戦会議をしていきましょう」

 

 こうして、私とセルティスはダンジョン脱出のための作戦会議を始めるのでした。

 

 

「『聖弾(ホーリーブリッド)』!!」

「てやああああっっ!!」

 

 私の攻撃魔法で牽制した大熊のモンスターにセルティスが雄々しく斬りかかっていきます。

 一撃で斬り裂かれた大熊の巨体がズズンと床に崩れ落ち、それが光り輝く魔素の粒子となって分解されていきます。

 魔素の一部が私とセルティスに吸収されて経験値となっていきます。

 分解しきらなかった牙、毛皮、肉がその場に残されます。

 これがダンジョンから得られる恵みの一つの形態です。

 

「ふぅ。セルティス様はとてもお強いのですね。わたくしだけでしたら、聖結界を出た後にあっという間に……やられていたと思います」

「いいえ、僕のほうもミシュリーヌさんの援護に助けられています。さっきのソードマン・グリズリーは1対1での戦闘では恐るべき防御技術を持っているんです。ミシュリーヌさんの援護で隙を作ってもらえなければ、倒すのにもっと時間がかかっていました」

 

 セルティスは謙遜するように言いました。

 私は攻撃魔法をあてて、気をそらしてほしいと言われたとおりにやっただけです。

 セルティスの指示があればこそといわざるをえません。

 

「このエリアは基本的に罠にかかった少数の冒険者を確実に抹殺することを想定しているようです。先程のソードマン・グリズリーもそうですが、1対1では苦戦するようなタイプのモンスターが多いですね」

 

 聖結界を出て脱出ポイントを探すために動き始めてから、すでに数戦を経験しています。

 ダンジョンの深部に出現するモンスターは軒並み強いですが、ほとんどはセルティスが倒してくださいます。

 おかげでレベルの低い私はどんどんレベルがあがっていきます。

 レベルアップ酔いは相変わらず辛いですが、上層階で守られていた時とは違い、私の援護は微力ながらも決定的に役に立っているらしく、私も体調が悪いと甘えていることはできません。

 必死にセルティスの役に立つために戦闘に集中します。

 

「さすがはレアジョブの聖女ですね。攻撃、防御、補助の多岐に渡る神聖魔法が使えて隙がありません。本当にミシュリーヌさんがいて助かりました」

「いいえ、わたくしはセルティス様に守られているだけです」

「そういう謙遜もお上手なんですね。こんな素敵な聖女を擁する神殿というもの、少しは敬虔な気持ちで望まなくてはいけませんね」

「いえ、わたくしなどはジョブがたまたま聖女だったというだけの凡夫に過ぎません。事績によって列聖された本物の聖女様たちに比べたら、とてもとても」

 

 レアジョブくらいで調子に乗るのは、転生者にとっての破滅フラグです。

 聖女なんていうわかりやすい活躍ジョブに調子にのっていると、はずれジョブとかはずれスキルの『主人公』にザマァされる運命が待っているに違いありません。

 

「事績による聖女様ですか?」

「例えば、100年前にアーデルフェスト地方で飢饉が起きた時のことです。各地の食料在庫をまとめあげて、培ってきた全国規模の流通網を使って多くの人々を餓死からお救いくださった聖女リーゼマイル様のジョブは『商人』でした」

「なるほど、商人聖女リーゼマイル様のお話が聞いたことがあります」

 

 本物の聖女というのはジョブによってではなく、何を成し遂げたかで民衆からそう呼ばれるようになった人々のことを言うのです。

 リーゼマイル様は聖職者に関係のない「商人」ジョブでありながら、純粋な信仰心から聖職者になった方です。

 ジョブに関係ない職業で名を残すことができるということは、ジョブに頼っているだけで安泰ではないということです。

 リーゼマイル様は私が自分を戒めるために尊敬している聖女様なのです。

 

 そんな雑談も交えながらダンジョンを探索してモンスターと戦っていくうちに、レベルがあがった分だけ私もセルティスのお役に立てるようになっていきます。

 

 このまま二人で頑張れば、きっと脱出できるに違いません。

 

 




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