※この作品はR-18です。

フェイクラバーズ   作:かえで

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いろんな愛のかたち ※

 

 

 13年前、セシルとローザの挙式の後に祝宴が開かれた

 それが終わりに近づいた頃、あたしは『エッジ』と1週間ぶりに再会した

 

 あたしは身にまとっていた深紅色のドレスを

 『エッジ』に見せびらかすように、くるりと1回転しながら

 『どう? 似合うでしょ?』と聞いてみたの

 

 どうせ『ガキがおめかししてる』と言って

 あたしをからかってくるだろうなと思っていたら

 『よく似合ってる』と言われてびっくりしちゃった

 

§

 

 それから13年過ぎた今日

 そのドレスを身にまとったあたしを見て

 姿を変えた『エッジ』は、今度はあたしを抱きしめながら

 似合っていると伝えてくれて、改めて確認したの

 

 13年前の『よく似合ってる』は、お世辞ではなくて

 『エッジ』のまごうことなき本音だったことに……

 

.

***

 

 

 —— —— ——

 リディアは、雨夜が大好きである。

 分厚いカーテンのように、激しい雨が自分たちの戯れを隠してくれる気がするから。

 叩きつけるような雨音が、部屋中に充満するいやらしい雰囲気をかき消してくれる気がするから。

 —— —— ——

 

 

——午後8時過ぎ ミスト

 

 

 食事の片付けを終えて事前予告通り、ツクヨミに食べられてから、早10数分が経過した。

 

 リディアはベッドの上で、壁にもたれて座りながら。

 身体を隠すようにシーツをかぶり、窓の外の雨音を聞くともなしに聞いていた。

 

 ツクヨミは現在、台所でお茶のカップを洗ってくれている。

 

 彼は以前と同じように、お茶を飲んだカップやポットの片付けを率先してやってくれる。

 リディアも目隠しの必要がなくなり、最初にお茶を作るようにしている。

 

「はぁ……」

 

 先ほど食べられた時の場面が、脳内に浮かんできて思わず息をついた。

 

(さっきもまた、中に出さなかった)

 ツクヨミが絶頂を迎える直前で、リディアの中から抜け出して。

 お腹の上に白液を出してくれた。

 そして以前と同じように、穢れた身体をきれいに拭いてくれた。

 

 こんなこと、今日に限った話ではない。

 ツクヨミと付き合い始めてから、かれこれ1年ほど経つが。

 彼はリディアの中を穢さないように、それはもう気を遣ってくれている。

 

(中に出して欲しい! 出せ! とまでは思わないけど……)

 ツクヨミの体質上、妊娠する可能性はないから、そこまで気にする必要はないのに。

 ……などと、ぼんやり考えていたら、扉を開ける音が聞こえて我に返った。

 

「あ、おかえり」

 

 ツクヨミが洗ったカップを手にして、寝室に戻ってきた。

 全裸ではなく、この家専用の濃紺色の浴衣を羽織っている。

 付き合うようになってすぐ、【ここに置かせて下さい】と、自ら持ってきた。

 

「いつもありがとう」

『……』

 

 いいえ、どういたしましてとばかりに。ツクヨミが首をゆるゆると横に振りながら。

 書机にカップを置いた代わりにノートとペンを手にして。ベッドの上に乗り、隣に座った。

 

 リディアがツクヨミの身体にシーツをかぶせれば、ピロートークのはじまりである。

 

(やっといちゃいちゃ出来る!!)

 ツクヨミはリディアの希望に応じて、毎回事後にピロートークの時間を設けてくれている。

 あまり間を置かずに2戦、3戦に突入していた『エッジ』とは大違い。

 

 セックス中以外、ツクヨミにはひそひそ声を控えてもらっている。

 そのため、この時間も会話は筆談方式。

 隣に座っているからツクヨミが何を記していくか、文字をすぐ追える。

 

 そしていつものように、ツクヨミがノートに文字を綴っていくのを。

 ふむふむとうなずきながら眺めていた。

 

【あなたには大変申し訳ないです】

「なにが?」

 

 トークが始まって早々の謝罪に、リディアは首をひねる。

 

(何かあったかな……?)

 リディアを食べたことでこれまで一度も謝られたことはない。

 本日謝るようなことをツクヨミがした記憶もない。

 過去を振り返っているうちに、ツクヨミがノートに続きを書いていく。

 

【僕は結婚する気はございません】

「……また結婚式の話聞いて、気になったんだ」

『……』

 

(14日も同じこと言ってそう)

 ツクヨミが一度うなずいてくれたが、思わず口をへの字に曲げてしまった。

 

 —— —— ——

 親友ふたり。兄姉のような夫婦……。

 親しいミストの者は、ほぼ全員ツクヨミの正体を知っている。

 

 結婚しなくても、つなぎとめておけば——恋人のまま——いい。

 某親友を除いて、みんなリディアのそんな意志を尊重してくれている。

 

 あれだけ嫌がっていたのに、ジャンヌもエッジに同情を寄せるようになった。

 自身と似たような立場だとわかったからだろう。

 

 その一方でツクヨミの正体を知らない住民は、未だにこう言ってくる者がちらほらいる。

 

『あんたたちもミネルバ見習って結(略)』

『いいのいいの。永遠の恋人だから、結婚と変わらないよ』

 

 リディアはその度に笑いながら、みんなを軽くあしらっている。

 

 ところが、ツクヨミはこういった場面に立ち会い、結婚の『け』の字を聞く度に。

 浮かない表情に変わり、後で『僕は結婚いたしません』とわざわざ伝えてくれる。

 —— —— ——

 

 そのことについて、ツクヨミはまだ申し訳なく思っているのだろうか?

 リディアがそう思っているうちにも、ツクヨミが更に言葉を記していく。

 

【任務もゆるいものから、厳しいものまでございます。毎回五体満足で戻ってこれるとは限りません】

「……お城勤だもんね」

 

(国王さまだもんね)

 民や国のために命を賭けることも止む無し。

 ツクヨミの中の人は、そんな覚悟をもって国王をつとめている人間だ。

 もしエブラーナで何かあったら、お城から飛び出すに違いない。

 

【こうして不規則かつ、将来不透明なお付き合いを強いている自覚がございます。あなたがそんな僕でも満足なさっているのか。時折不安になるのです】

「そう……」

 

(昔はこんなこと言わなかったのに)

 リディアが幻獣界に幽閉されるまで、それはもう積極的だったのに。

 恋人になった途端。ツクヨミは弱気なことを言うようになった。

 

 リディアはエブラーナ城に潜入し、様々な事実を知ったことで。

 ツクヨミだろうが、結婚しようがしなかろうが。

 ツクヨミの中の人——エッジ——と共に生きる覚悟を決めた。

 

 ツクヨミの中の人は、リディアと関わらなければ生きていけない人間だ。

 いい加減、覚悟をびしっと決めて欲しい。

 

(今日こそはっきり言ってやらなきゃ!)

 気合い入れとばかりに、シーツを握る両手にぐっと力を込めてから。

 隣に座る男の頬を両手で挟んで、こちらを向かせた。

 

『……?』

 

 お面では絶対に隠せない、ツクヨミの両瞳をじーっと見つめる。

 

「わたしは満足してるよ」

『……』

「ツクヨミさんと結婚するためじゃなくて、こうやってずっといっしょにいたいから、お付き合いしてるんだもん」

 

 そう告げてから、ツクヨミの頬から両手を離してシーツを引っ張った。

 自身の裸体を頑丈に隠して、ツクヨミからの返事を待つ。

 

『……』

 

 ツクヨミがしばらくノートに視線を向けたままでいたが。

 再びゆっくりと文字を綴り始めた。

 

【あなたは、この僕で本当によいのですか?】

 

(そんな自信ないこと言わないでよ……)

 ツクヨミの返事は中の人らしくない、何ともふがいないものだった。

 

「よくなかったら、寝込み襲おうなんて思わないよ」

『……』

「あのね。結婚や出産は義務じゃなくて、人生の選択肢のひとつに過ぎないの」

『……』

「当たり前の生き方じゃなくても、幸せになれる方法はいくらでもあるって、わたしの周りの人が教えてくれたもん」

 

(死ぬまで絆が切れずにいられたら、それでいいんだよ)

 結婚して夫婦となり、子を成して命をつなげていく。

 それが人としての義務、なおかつ幸せだと言われている。

 

 けれど、この世にはミゼルたちのように子を成せない夫婦もいる。

 夫婦になって子を成したら確実に幸せになる訳でもない。

 それをライザが自身の生き方をもって教えてくれた。

 

 この世で当たり前の生き方にとらわれなくても。本人次第で人としての幸せを得られる。

 自分たちの生き方を周囲に押し付けたり、迷惑を掛けたりしなければいい。

 この10年近くの出来事で、リディアはそう結論付けた。

 

「それとね……」

『??』

「いつかエブラーナで暮らそうって思ってるんだ」

『っ!』

 

(お城に住む訳じゃないし、別にいいと思うんだけど)

 ツクヨミと付き合うようになってから、胸に秘めていた将来設計を打ち明けたら。

 ツクヨミの息を呑む音が聞こえた。

 

「今はまだ無理……?」

【ミストを捨てるなんておやめください】

 

(昔はエブラーナ来いって言ってくれたのに)

 途中で言葉を切ってしまったのは、突然ツクヨミが乱雑に文字を綴り始めたから。

 けれど、それに対する答えも既に準備出来ている。

 

「お引越しとミスト捨てるは別だよ。ミストとは関わり続けるつもりだもん」

 

 ミストと縁切りや疎遠になるつもりは全くない。

 リディアの『芯』が『ミストで暮らす』から。『ミストに関わる』に変わるだけだから。

 

【子どもたちへの指導は】

「エライアみたいにミストに通えばいいよね」

 

 ツクヨミが素早い手つきで文字を書いてくれたが、けろっとした表情で答えた。

 

 —— —— ——

 昨年秋に、召喚術指導は黒魔法講座から独立した。

 現在リディアは、午後から3時間フルで子どもたちと幻獣の仲人ならぬ監督業をこなしている。

 

 オリバたち悪ガキトリオとラムウの交流も順調。

 3人揃って、今年の秋に契約する。ラムウからもそんな予告をいただいた。

 何事もなければ、秋にはミストの召喚士はひとりから4人に増えるだろう。

 

 昨年暮れにベスも念願だったシルフとの契約を果たして、召喚士への第一歩を踏みだした。

 現在はシヴァと交流を図っている。

 

 召喚士のたまごになるために、ユノをはじめに子どもたち数人も。

 日々チョコボやシルフと交流を重ねている。

 —— —— ——

 

 指導者問題は、現時点で先行き不透明。

 けれど召喚士がもっと増えたら、指導者志望の子どもが現れるに違いない。

 リディアやラルフは、そんな明るい展望を持っていた。

 

「ツクヨミさんも花火のお手伝いや、春と秋のピクニックに毎回参加してくれるじゃない」

 

 毎年ツクヨミは花火やピクニックの日になると、お手伝いとして参加してくれている。

 特に春のピクニックでは、国有艇でミストと薬草園を往復して参加者を運んでくれる。

 

「ツクヨミさんもエライアも、ここの人じゃないけど、キロンさんたちと比べたらよっぽどミストの住民してるよ」

 

 リディアが幻獣界に幽閉されてから。エライアは黒魔法講座の主講師に切り替わった。

 ミシディアから派遣されている黒魔法巡回指導の男性黒魔導士と共に。

 現在も黒魔法を教えに、バロンからミストに通ってくれている。

 

「ここに住んでなくてもミストのお手伝いは出来るって、ふたりが教えてくれたの」

 

 人より少し魔法が使えるから。ずっとミストに住んでるから。

 そんな理由で威張り散らして、悪事を働いていた一部の住民と比べたら、とても失礼なぐらいには。

 エライアとツクヨミの、ミスト村おこし貢献度はとても高い。

 

「ツクヨミさんがミストに来てくれるように……わたしもエブラーナであなたを支えてあげたくなったの」

『……!』

 

 ツクヨミの手から、こぼれるようにペンが離れた。

 ノートの上にぶつかり、シーツにころころ転がっていく。

 リディアの言葉に何か思うことがあったのだろうか。

 

「あ……っ!?」

『……』

 

 突然身体が大きく揺れて、視界が天井に切り替わった。

 

(押し倒された!)

 そう気付いた時には、ツクヨミがノートとペンをサイドテーブルに置いていた。

 いちゃいちゃの必需品を片付けたら、2戦目に突入する合図。

 

『……休憩はもう終わりです。抱かせてください……』

 

 ツクヨミがリディアの上に覆いかぶさり、耳元に口を寄せてささやいてきた。

 それだけで胸が高鳴り、身体の奥がかすかに震えてしまう。

 

「っ、あっ……わ、わかりま……」

 

 リディアに最後まで答える隙を与えず、ツクヨミが唇を合わせてきたことで。

 そのまま2戦目へとなだれこんだのであった。

 

 

——それから数十分後

 

 

 激しい雨音に、くちゅくちゅ卑猥な音が混ざる。

 数十分もの間、リディアは白狐の半面をかぶった赤い髪の男に。

 身体中を愛撫や口付けされ続けた。

 今は秘所を口で愛撫、秘筒の中を指でほぐされている。

 

「ぁ、あ……ぁ……は……」

 

 ツクヨミの髪をつかむように頭を抱えながら、時折腰を小刻みに震わせる。

 

 ***

 

——昨年の夏

 

 この日リディアは、親友ふたりと一緒にバロンの劇場を訪れた。

 毎年恒例ギルバートの演奏会を鑑賞するために。

 

 観客席に入ると、リディアたちの席のすぐ前に……いた。

 毎年演奏会でリディアたちの席の近くに座り、演奏そっちのけで眠っている赤い髪の男が。

 

(やっぱりこの人、エッジだ……)

 観客席の前に移動して男の顔を確認してみたら。髪型はフードを脱いだツクヨミとそっくり。

 なお、お面の代わりにサングラスを掛けていた。

 

(来年もいたら、それとなく声をかけてみよう)

 何の目的で、毎年演奏会にやってきているのかわからないけれど。

 ここで声をかけたら、正体を暴かれてしまうと警戒されるかもしれない。

 リディアはそう判断して、男に声をかけずに劇場を後にした。

 

 ***

 

 『変化の術』を使った、偽りの髪。そうわかっているのに。

 赤く短い髪まで愛しく思えてくるぐらいには、リディアはツクヨミ(の中の人)に堕ちていた。

 

§

 

「あ、あぁ、っ……!」

 

 ツクヨミが何も言わず、リディアの両足を左右に大きく開くと。

 張り詰めた楔を秘筒に押し入れてきた。

 既に濡れていたから簡単に侵入したが、事前予告なしでの挿入は珍しい。

 

『……僕で本当にいいんですね……』

 

 楔を秘筒になじませるように腰をゆるゆる動かしながら。

 ツクヨミがささやき声で、先ほどの話題をぶり返してきた。

 

(まだ不安なんだ……)

 楔で秘筒の中を縦横無尽に探られる度に、腰を中心に愉悦が広がっていく。

 

「ぁ、い、いいって……言ったぁ……何度も……言わせ、ないで、っ……」

『……その言葉、信じてよろしいのですね……』

「はぁ、っ……信じてよぉ……!」

 

 ツクヨミの問いに、あえぎながらも必死で答える。

 これは拷問なのかもしれない。そんな錯覚を覚えてしまいそう。

 

 しばらくツクヨミはゆるい律動を繰り返していたが、突然上体を起こすと。

 リディアの腰をがっちりつかみ、腰の動きを激しくさせた。

 

「あぁぁ、んっ……!!」

『……』

 

 最奥に楔がぶつかる度に、首を打ち振っていると。目の前にちかちかと星が飛び散る。

 

(1回目はやさしかったのに、どうしちゃったのかな)

 今のツクヨミは、やさしいとは思えない。それでも、がっつくとはなにか違う。

 どこか、リディアにすがっているようにも感じられる。

 先ほど見せた不安を、まだ引きずっているのだろうか?

 

「ツクヨミ……さん……」

『——ぅ、っ!!』

 

 肌と肌がぶつかる音や、あえぎ声が部屋中に響き渡る中。ツクヨミが腰を引いて中から出ようとする。

 そう察した瞬間。白く染まりかけていた意識が『今ここ』に引き戻された。

 

「っ……やだっ!」

『!?』

 

(このまま、ツクヨミさん……エッジが……あたしの前から、また消えちゃうかも……)

 突然そんな不安に駆られて。ツクヨミの身体にまわしていた両足に、思い切り力をこめた。

 

「行っちゃ、やだぁ……!」

『ぁ……』

「この、まま……おねがい……」

 

 ツクヨミを見上げながら、息も絶え絶えにせがんだ。

 

 自分の中から、逃げないで欲しい。

 自分の前から、消えないで欲しい。そんな思いを込めて。

 

『く、っ……!』

 

 困惑したような表情を見せていたツクヨミが。

 苦し気なうめき声を上げて、更に激しく腰を前後させた。

 リディアからおねだりされて、己に負けてしまったようだ。

 

『はぁ、っ……はあ……!』

「っ、あぁ、ん……あっ……」

 

 ツクヨミが荒い息をつきながら腰を振り続ける。

 楔が絶妙な具合で、リディアの中のいいところをかすめてくる。

 

 涙か汗かどっちなのか。ぽた、ぽたと上から何かが落ちてくる感触もおざなりに。

 リディアはツクヨミを見上げながら、矯声を上げ続ける。

 

 程なくして、それこそ腕や身体でリディアを閉じ込めんとばかりに。

 ツクヨミがリディアをきつく抱きしめ、覆いかぶさってきた。

 

『……っ、リディアさ、ま……っ……!』

「っ……! あ、ああっ、ぁぁ……!!」

 

 耳元で自身の名を呼ぶ、ささやき声を聞きながら。あられもない声を上げてリディアは絶頂に達した。

 

「う、ぁっ……!」

 

 直後にツクヨミも小さなうめき声を上げた。

 弾けた熱が胎内に注がれ、じわじわ中を埋め尽くしていく。

 

(あの日と同じ……きもち、いい……)

 なんて幸せなのだろう。

 浮ついた意識で、熱っぽい息をもらすツクヨミを見上げながら。

 胎内が熱でいっぱいになるのを感じていると。心までも満たされていくような気がした。

 

『は、ぁっ……はあ……』

「っ、ツクヨミ……さん、まだ……いる……」

『……』

「よかったぁ……!」

 

 力なく上げた両手で、荒い息をつくツクヨミの頬を挟むと。

 恍惚たる表情で見上げながら、途切れ途切れに心情をつぶやいた。

 

 —— —— ——

 確か、あの日もそうだった。

 リディアがルール——エッジの名を呼ぶ——を破った瞬間。ツクヨミの中の人が絶頂に達した。

 中出しされたリディアは、それまで感じたことがない快感に浸りながら、意識を失ってしまった。

 

 次に目を覚ましたら、まるで快感と引き換えかのように。

 ツクヨミの中の人は自宅から消えていて、その後ミストにもやってこなくなった。

 —— —— ——

 

 この人には、もう二度とそんなことをして欲しくない。ずっとそばにいて欲しい。

 ツクヨミという、顔を絶対に見せない謎の覆面忍者のままでいいから……。

 

.

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