※この作品はR-18です。

フェイクラバーズ   作:かえで

148 / 160
女ともだち・1

 

 

——遡ること数時間前 午後1時過ぎ

 

 

 ミストは本日から2日連続の休日。

 昼いちばんから、ライザの自宅にお邪魔したリディアとクオレ。

 ライザの娘ベスとユノも交えて、お茶を飲みながら歓談していた。

 

「ああっ、新しいのつけてる!」

「……エッジ様にもらったの?」

『ああ。一昨日もらった』

「見せて見せてー!」

『っ、どうだ?』

 

 クオレが両サイドの髪を手でどかして、自身の耳元をベスとユノに見せてあげている。

 

 クオレは1ヶ月ほど前。アイリスにピアスの穴を開けてもらった。

 穴が安定するまで、お肌に優しい金のピアスをつけっぱなしにしていたが。

 一昨日、オリーブグリーン色の小さなペリドットのそれに変えたばかり。

 

「うんうん。かーわいーい」

「……似合ってるわ」

『ありがとう』

 

 ユノとベスに褒められ、クオレがかすかに口元を歪ませた。

 

 よく知らない人からは、『ちっとも嬉しそうに見えないねー』と言われかねない表情だが。

 これでもクオレはとっても喜んでいる。

 

 —— —— ——

 クオレの正式な年齢は定かでなく、現在9歳ということになっている。

 

 クオレは子どもも大人もみんな呼び捨てで呼ぶ。物言いも淡々としている。

 そのため、感情の起伏がない子どもらしからぬ子どものように思われがちだが。

 ただ表現に乏しいだけで、感情はきちんと持っている。

 —— —— ——

 

 リディアやエッジをはじめ、近しい者ならクオレの感情をすぐ察することが出来る。

 

§

 

 5人で歓談を始めてから、1時間ほど経過した頃。

 

「——遊びに行ってくる!」

『クオレも行く』

 

 突然ユノが叫びながら立ち上がり、クオレもその後に続いた。

 ふたりはこれから、南にある『入らずの森』に行くのだろう。

 

(やっぱり、今日もじっとしてられなかったね……)

 ユノは両親の離婚を機に、明るく活発な少女に変化を遂げた。

 ずっと家の中にいるのが耐えられない。そう普段からよくこぼしている。

 

「お姉ちゃん、どうする?」

「……遠慮しておくわ」

 

 ベスはユノの誘いを断ると、席を離れて自室へ向かった。

 おそらく部屋で読書をするのだろう。

 

「わかった。行こうクオレ」

『ああ』

 

 断られたにもかかわらず、ユノは動じることなくクオレと共に台所へ向かう。

 

 ベスは現在17歳。ひとつ違いの妹ユノと対照的に、昔から内向的な性格は変わらない。

 修行や家族との遠出以外は、自宅にこもりがち。

 

 そんな姉に断られるだろうけど、いつか気が変わるかもしれない。

 ユノはそう考えて、ベスへの声かけを怠らない。以前ライザからそう聞いたことがある。

 

「お母さーん、おやつってこれー?」

 

 ユノが台所に置いてあった紙袋をつかみ、こちらに見せながら母にたずねている。

 

「ええ。けんかしないで食べなさいね」

「はーい」

『ありがとう、ライザ』

「いいえ。どういたしまして」

 

 ライザはリディアたちが遊びに来ると、おやつを準備してくれる。

 本日は、お得意の『フロランタンもどき』だ。

 

 ユノとクオレは、おやつの時間は大抵外にいる。

 そのためライザは、出来上がったお菓子をあらかじめユノクオレ用とそれ以外に分けている。

 

「じゃ……」

「——クオレ待って」

 

 リディアはユノと共に玄関に向かうクオレを呼び止める。

 するとクオレが立ち止まり、肩越しに振り返った。

 

『なんだ』

「『アレ』、使っちゃだめだからね」

 

 リディアは真剣な表情でそう注意した。

 『アレ』とは一瞬にして、どこかに移動出来る瞬間移動能力のことだ。

 

 —— —— ——

 瞬間移動はとても珍しい特殊能力。幻獣界でも使える者は限られている。

 地上ではエッジが秘伝忍術——人生3回限定で使うことが出来た。

 しかし4年前に3回目を行使してしまい、今使える者はクオレだけしかいない。

 

§

 

 あれは真月の戦いが終わって、1ヶ月経ったぐらいだっただろうか。

 ユノやベス、アリサの娘ステラと一緒に遊んでいたら。突然クオレの姿が消えた。

 慌ててみんなが周囲を見回していたら、遠い場所で立っていた。

 それで初めてクオレが瞬間移動が使えることがわかった。

 

 驚く親友やその娘たちをそのままに、リディアが慌てて事情を聞いてみたら。

 生まれた瞬間から自分は瞬間移動を使えることを知っていたという。

 

 クオレはもともとマイナスの幼体である。

 マイナスは黒魔法や召喚術だけでなく、様々な特殊能力を駆使していた。

 その中で唯一瞬間移動だけが、クオレにも備わっていたようだ。

 

 リディアはその場で、緊急時を除く瞬間移動の使用を固く禁じた。

 するとクオレは『わかった』と答えて、それ以来能力を使わなくなった。

 —— —— ——

 

『ユノが穴に落っこちたりしないと使わないぞ』

「……うん。そういう時はいいよ」

 

 まだ言うかとばかりに、クオレが肩をすくめながら答えた。

 

(よかった、今日も使う気なくて……)

 クオレは身も心も青き星の人間として成長真っ只中。

 改めてそう感じて、胸をなでおろす。

 

「ユノも油断しちゃだめよ? あの森は昼間でも怖いんだから……」

「大丈夫大丈夫。——じゃ、いってきまぁす」

『いってきます』

「気を付けてね」

「暗くなる前に帰ってくるのよ?」

 

 ユノとクオレが楽しそうにしゃべりながら自宅から出ていった。

 

「【……」

 

 子どもたちが居間にいなくなり、『防音結界』を張ることにした。

 昔は盗聴防止に重宝していたが、今は使う機会がかなり減った。

 

「……】」

「念押し、そろそろやめていいんじゃない?」

「どうして?」

「さっきクオレが『またか』って顔してたように見えたもの」

「はは……」

 

 ライザが肩をすくめながら答えてくれて苦笑してしまった。

 やはり彼女もクオレの微妙な表情を感じ取っていたようだ。

 

 クオレが外に出る前に、瞬間移動を使わないよう注意していた。

 それも毎回なので、いい加減うんざりされているのも知っている。

 

「大人になったらやめるよ。あともうちょっとだけ」

「……うかつに使って何かあると困るのはクオレだから、心配になっちゃうのね」

「修行したら使えるようになれるものだったら、ここまで言わなかったと思うよ」

「本当にクオレだけしか使えないの?」

「うん。ミンウ様が無理って言ってた」

 

 —— —— ——

 瞬間移動を頻繁に使うクオレを見て、他の人間はどう思うか。

 当時ベスやユノ、ステラは『すごい』『かっこいー』。

 クオレをそう褒めていたし、今も能力を持っていることを称賛する時がある。

 

 けれど世の中、そんな人間ばかりではない。嫉妬する人間もいるだろう。

 努力してもこの能力を会得することが出来ないから、尚更だ。

 

 どこかへ行く度に使っていたら、それに甘えてろくな大人にならないし。

 悪用目的でクオレが狙われる可能性が高い。実験体にされたりでもしたら……。

 —— —— ——

 

 クオレの瞬間移動は、場所時間問わず使える。とても便利だと思う。

 けれどクオレが青き星で暮らす以上、メリットよりもデメリットの方が大きい。

 リディアはそう判断して、緊急時以外での使用を固く禁じていた。

 

「人間はテレポかデジョンがせいぜい……クオレにやっかむ人が出てきてもおかしくないわね」

「あのおばさんたちみたいにね」

「あの人たちもしつこいわ。クオレの成長が早いから余計かしら」

「お子さんが巣立ってミストの外に出ていったからひまなのかも。ほおっておけばいいよ」

「そうね……」

 

 あの人たち——北に住む主婦ふたり組は、以前リディアの風評を流したことがある。

 

 相変わらずふたりは、リディアたちを見かけると不愉快そうな顔をして逃げる。

 よほどリディアやクオレの姿を見るのが嫌と見える。

 

「けど、ユノもクオレも元気だよね。入らずの森行く女の子ってそういないよ?」

 

 明るく感情豊かなユノに対して、クオレはぱっと見無表情。

 好対照のふたりだが、姉妹のようにとっても仲がいい。

 

「ジャンヌさんそっくりね」

「あっ……!」

「どうしたの」

「おばちゃんたちに手紙書かなきゃ……」

 

 ミゼルとジャンヌは真月の戦い後、夜逃げのごとくミストから去った。

 

 リディアは事前にふたりから移住先を教えてもらっており、現在は手紙の交換。

 そして年に2、3回の頻度でクオレを連れて、ふたりに会いに行っている。

 

「昨日お手紙届いたわよ」

「ほんと?」

「いずれあなたの元にも届くでしょう。それからでいいんじゃない?」

 

 ミゼル夫婦のその後を知る者は、リディアとクオレ。ライザの家族全員。

 現ミストの定住医ローレル、ミゼルがお世話になった老医師夫婦だけである。

 

 —— —— ——

 ローレルは医師の修業を終えて、2年前に家族と共にミストに戻ってきた。

 ウリエルと交代して、定住医として自宅兼診療所で働いている。

 

 それまでそこで暮らしていたウリエルとアイリスは、ミゼル夫婦の元自宅にお引越し。

 その際ウリエルは医師人生の幕も下ろして、本格的な酒呑み生活に入った。

 妻のアイリスはローレルの補佐とお産を中心に、今もなお現役医師として活躍中である。

 —— —— ——

 

「それより、こーれ」

「えっ」

 

 突然ライザが、左手薬指のプラチナの指輪をちょんちょんとつついてきた。

 指輪は宝石がついていないごくシンプルなものだが、れっきとした結婚指輪である。

 

「クオレもだけど……あなたもよく似合ってるわ」

 

 ライザの言葉には、ほんの少しだけ羨望が混じっているように聞こえた。

 以前彼女もダイヤモンド付きの結婚指輪をつけていたが、今は外してしまったから。

 

 —— —— ——

 エッジが『ツクヨミ』に扮していた頃。リディアにペリドットの指輪を贈ってくれた。

 そんな大事な指輪は結婚指輪、そしてクオレのピアスに生まれ変わった。

 

§

 

 4年前、真月の戦いの年に行われた花火大会の夜に。

 リディアはエッジにこんなお願いをした。

 

『結婚指輪準備するの、復興が終わってからにしない?』

『いつになるかわかんねえぞ?』

『いいよ、おめでとう記念も兼ねて。その時、この指輪を……』

 

 指輪にあしらわれたペリドット4粒のうち、2粒をクオレのピアス。

 残り2粒をエッジとリディアそれぞれの結婚指輪の内側へ入れて欲しい。

 そんな希望を出したら、エッジは快諾してくれた。

 

§

 

 4年後——今年の夏、エブラーナの復興が終わってから。

 家族3人でトロイアの宝飾店を訪れ、指輪とピアスの製作を依頼した。

 今度は左薬指のサイズも店頭できちんと測ってもらった。

 

 そして一昨日。エッジがお店で商品を引き取ってから、ミストにやってきて。

 自宅で家族だけの贈呈式を行ったばかり。

 —— —— ——

 

「エッジ様は普段着けられないわね」

「ううん?」

「大丈夫なの? あちらではあなたたちの関係、内緒じゃ……」

「エブラーナの人はあまり指輪をはめないの。結婚や婚約する時にも指輪、贈らないんだって」

「エッジ様も忍者でしょ? いいの?」

「いいの。昔はアクセサリーじゃらじゃら付けてたよ? 忍者でお面以外のアクセサリーつける人、エッジぐらいしかいないみたい」

 

(今の服装になって地味になっちゃったけど……)

 実はリディアも、以前ライザと同じことを考えていて。

 結婚指輪を普段つけてくれるのかどうか。エッジに聞いたことがある。

 

 —— —— ——

 エッジいわく、エブラーナは民の多くが忍者。

 職業柄、余計なもの——宝飾類などをつけてはならない。

 そんな暗黙の了解があり、ファッション目的で身につけるなら、指輪よりもお面……。

 指輪をはめる者は非忍者、もしくは異国人。そんな風潮が強い。

 もちろん、結婚指輪や婚約指輪を贈る風習もないという。

 —— —— ——

 

「じゃあ、ず-っとつけて下さるのね?」

「うんっ!」

「よかったじゃない。お揃いの指輪って素敵……!」

「へへ……」

 

 ライザに向かって、リディアは照れ笑いを見せた。

 

 毎度のことだが、ライザはリディアの幸せがまるで自分の幸せのように喜んでくれる。

 ここにアリサがいたら、ライザを『リディア教の信者ー』と呼んでいただろう。

 

「それなら、いいこと教えてあげる」

「え、なになに?」

「ペリドットの石言葉のひとつに、『夫婦愛』っていうのがあるのよ」

「っ、それほんと!?」

「ええ」

 

 ライザの生まれ故郷トロイアでは、石言葉なるものが存在している。

 花言葉と同じように、それぞれの宝石に言葉が割り当てられている。

 

 ペリドットの石言葉は、『幸せ』『夫婦愛』『運命の絆』。

 古来より浮気を防止する魔除け石だったことから。『夫婦愛』が割り当てられたという。

 

「『運命の絆』もいいよね」

「そうね。いつまでも仲良くいられますようにって、お揃いでアクセサリーをつける夫婦もいるのよ」

「うわぁ……」

「エッジ様、実はペリドットの石言葉知っていたのかもね」

 

 ライザの話を聞いて、ペリドットとの運命的な縁を感じてならない。

 

 —— —— ——

 当時エッジは『ツクヨミ』としてリディアとお付き合いしていた。

 それでも夫婦になりたい願望を持っていたはずだ。

 

『リディアさまの色とお揃いになるよう、この石を選びました』

 

 指輪を贈ってくれた時、エッジは『ツクヨミ』の姿でそう話していたが。

 きっと店頭で指輪を選んでいる時に、無意識ながらも。

 『運命の絆』や『夫婦愛』の意味を持つペリドットに惹かれたのかもしれない。

 —— —— ——

 

「アリサには見せたの?」

「……昨日」

 

 アリサと聞いた途端。口をとがらせながら返事した。

 

「その感じだと、『別で買ってもらいなさいよー』かしら?」

「あははっ! 上手になったねぇ!」

「あなたには敵わないわ」

 

 からから笑いながら、アリサとそっくりな声色を褒めたら。

 ライザが苦笑で返してくれた。

 

 リディアたち3人が仲良くなってから、もう20年近く経つ。

 ついにライザも、アリサのものまねが出来る(そして似てる)ようになってしまった。

 

「……何を言われたの?」

「『リサイクルって、みみっちいわねー。腐っても国王なんだから、5、いえ10カラットダイヤ付きのリングおねだりしてもバチ当たんないのにー』」

「あぁ、やっぱりね……」

 

 ライザはおろか、リディアまでため息をついてしまった。

 アリサの相変わらずな反応をものまねで再現したら。現実味がより増してしまったせいで。

 

 —— —— ——

 アリサは宝石がだいすきだが、自分では決して買わない。

 男に買わせる——貢がせるのが至上の喜びと思っている。

 そのため宝飾類は、ほぼ全て結婚前からラルフに買ってもらったものだ。

 

『お父さんに「あたしたち」の分、買ってもらいましょーねー』

 

 仮にステラからアクセサリーが欲しいと訴えられたら。

 アリサがそう答える場面が容易に想像出来る。

 —— —— ——

 

 そんなアリサには、指輪を再利用して仕立てた結婚指輪やクオレのピアスが。

 とてもけちくさく見えて仕方がなかったと見える。

 

「……あの子には理解出来ないでしょう」

「宝石全種類制覇が人生の目標だからね。『あとはぁー? ダイヤモンドと真珠とエメラルドだけねー』だもん」

「ふふっ、あなた本当にお上手」

「ラルフさんにエブラーナ産の黒真珠買ってもらったかもね」

 

 本日アリサとステラは、朝からエブラーナ。

 ラルフが午後からエッジへ退任のご挨拶に行くのに乗じて、城下町にショッピングだ。

 

「かりんとうもね」

「ほんと、欲張りなんだから……」

「ラルフさんが甘すぎるから、調子に乗ってるところもあると思うわ」

 

 リディアは貢いでもらうより、家事を手伝ってもらいたい。

 ライザは離婚したけれど、あれこれやってもらうより相手に尽くすタイプだ。

 

 ふたりとも、アリサの貢ぎ物至上主義にはいささか首をひねってしまう。

 

「でも、いいことじゃない。夫婦揃ってエブラーナのこと気に入ってるようだし」

「そうなの。エッジもラルフさんのこと気に入ってるしね」

 

 —— —— ——

 公私共にエブラーナ復興を支援してもらったのをきっかけに。

 エッジはラルフに多大な信頼を寄せるようになった。

 

 リディアとクオレのエブラーナでの新しい家造りも、ラルフが手がけてくれた。

 アリサはアリサで、エブラーナの銘菓がお気に入り。

 末娘ステラもクオレと仲が良く、女児にしては珍しくエッジにも懐いている。

 —— —— ——

 

 今までも、そしてこれからも。

 ライザ一家はもとより、アリサ一家ともお付き合いが続くだろう。

 

 

——午後3時過ぎ

 

 

 ようやく待ちに待ったおやつの時間がやってきた。

 台所からおやつと新たに淹れたお茶を、ライザが居間机に運んできてくれた。

 

「うわぁ……!」

 

 お皿の上にででんと載せられた『フロランタンもどき』に目を輝かせる。

 

「ベスの分、少しいただくわね」

「えー? こっちに呼ぼうよ」

 

 クオレとユノが外に飛び出してから、ベスは自室にこもっている。

 

「ひとりが嫌ならいつでもこっち来なさいって言ってあるの。今日も来ないようだから」

「そう……」

 

 ライザが困ったような顔を見せながら、ベスの分を別のお皿に取り分けている。

 

(みんながあたしたちみたいなタイプじゃないもんね……)

 ベスは普段からお部屋でひとりおやつを食べていることが多い。

 ライザがそう言いたげで、改めて痛感させられる。

 

 リディアやクオレはみんなでわいわい食べる主義信条。

 けれど、この世は自分たちみたいな人間ばかりではないのだ、と。

 

「先に食べていいわよ」

「うん! いっただきまーす。——あーんっ」

 

 ライザがベスの部屋におやつを運んで行くのを見届けてから。

 『フロランタンもどき』の欠片をひとつつかんで。

 すぐさま口の中にぽいっとほおり込み、もぐもぐ口を動かす。

 

 上に散りばめられたアーモンドスライスと下敷きの食パンでさくさく感を感じていると。

 キャラメル特有の甘味とほろ苦さが、口いっぱいに広がる。

 

「うん、っ……あぁ……美味しいっ……!!」

 

 本家では味わえないこの食感が、ライザお手製『フロランタンもどき』の魅力だ。

 

「はぁ……」

「どうしたの?」

 

 お口の中に入っていた『フロランタンもどき』がなくなり、頬杖をついていると。

 居間に戻ってきたライザから声をかけられた。

 

「あぁ、おかえり……」

「珍しいわね。おやつを目の前にして、ため息つくなんて」

 

 ため息をついていたところをしっかり見られていたようだ。

 

「これからこうやって、しょっちゅう遊びにこれないって思うとね……」

「ミスト離れるの、寂しい?」

「うん……」

 

 リディアとクオレは約1ヶ月後、11の月に生まれ故郷を離れることになった。

 お引越し先は、もちろんエブラーナ。

 

 世界の行く末をかけた戦いや、10年近くに渡る幻獣界での生活を除けば。

 ここでずっと暮らしていたから、さすがに寂寥感を覚えてしまう。

 

「おやつやおかずのおすそ分けをしてもらえなくなるから嫌なんじゃなくて?」

「あっ、それは全然心配してないよ」

「あら、どうして?」

 

 ライザに向かって『フロランタンもどき』の欠片を手にしながら。

 おどけたようにこう言ってあげた。

 

「誰かさんにお願いしたら、こうやって作って待っててくれるからねっ」

「っ、ふふ……!」

 

 その誰かさん——ライザがくすくす笑い始めたのを見届けてから。

 欠片をお口の中にぽいっとほおり込んだ。

 

 リディアはエブラーナに移住してからも、召喚術の講師として。

 午後からミストに通うことになっている。

 前もって頼んでおけば、ライザがお菓子を作っておすそ分けしてくれるだろう。

 

「昼集合は続くから、まだマシよね」

「習得がんばったもんね。『ライザ先生』?」

「その呼び方、やめてちょうだい」

「ええ、どうして?」

「まだ見習いよ? 10年早いわ」

 

 困惑したような顔でライザから首を横に振られて、口をへの字にしてしまう。

 

 ライザは謙虚を通り越して、卑屈になるきらいがある。

 補助だろうが何だろうが、先生には変わりはないのだから、別にいいではないか……。

 

 —— —— ——

 真月の戦いが終わってからも、ライザはバロンの薬草店で働きながら。

 仕事の休日に母娘揃って、白魔法講座の講師アルベルトによる特別指導を受けていた。

 

 そんな生活が2年ほど続いた、ある日。ライザはアルベルトにこう言われた。

 

『君は素質があるから、ミストでなら指導者になれるよ。どう? 本格的に先生目指さない?』

 

 それをきっかけにお店を辞めてから、昼も夜も白魔法の習得に励むようになった。

 アルベルトの紹介で、何度も白魔道士団に足を運んだこともある。

 

 何より貯金を切り崩しながらの生活だったから、それはもう日々真剣に取り組んだ結果。

 ケアルラにレビテド、プロテスと全ての状態異常魔法。

 今年の春には、蘇生魔法レイズを習得した。

 

 この夏から、アルベルトの補助講師。そしてミストの白魔法担当者をつとめている。

 

 ミストの白魔法はバロンやミシディアと違い、初心者向け。

 ライザはすべての系統をおおむねカバー出来るため、補助講師に選ばれたのだ。

 —— —— ——

 

 教える内容は違うけれど、ライザも晴れてリディアの同僚だ。

 エブラーナに引っ越してからも、早めにミストを訪れたら。

 今まで通り昼集合を開催し、アリサも交えてほぼ毎日お弁当を食べながらおしゃべり出来る。

 

「あなたたちの引っ越しが今で、ちょうどよかったわ」

「ユノもクオレと遊んでばかりじゃいられないもんね」

「試験、面接もあるのよ? ご主人に認めてもらえるかしら……?」

「ご主人って、実質ウルキさんじゃない。あの人なら面接で即合格にしてくれるよ」

「そんなこと言っちゃだめよ。ご主人がかわいそう」

「ええ……? 本当のことなのに……」

 

 お母さんの薬草好きは、ユノに引き継がれた。

 目標としていたシルフとシヴァの契約を済ませると。

 召喚士の修行に一区切りつけて、薬草の勉強を始めた。

 

 来年の夏にエブラーナの薬草園の職員試験を受ける予定。

 クオレと一緒に入らずの森へ遊びに行くのは、植物や薬草の勉強も兼ねているのだ。

 

 なお採用されたら、薬草園で住み込みで働く気満々。

 ユノもミストを離れる日は近いのだ。

 

「なんか信じられないよね。昔は怖がりで泣き虫だったのに」

「離婚していなかったら、昔のままだったでしょうね」

 

 ライザいわく、ユノの内面の変化はミストからトロイアへの強制帰郷がきっかけだという。

 

 —— —— ——

 離婚と生活準備のために、トロイアの町で3人暮らしを始めてから。

 母親は仕事で朝から晩まで家にいない。姉も相変わらず。

 買い物など、結果的にユノが何かをやらねばならない機会がたくさん増えた。

 そのおかげで、自立心が芽生えて変化したのだろう、と。

 —— —— ——

 

「それより……」

「ベス?」

「ええ。こないだとうとう言われちゃったわ」

「早かったね。半年ぐらい黙ってると思ってたよ」

「ここでなら、ひとりで生きていけるでしょうけど……心配だわ」

 

 ユノからベスの話題に移ると同時に、ライザの表情に陰りが差した。

 3年前、オリバたちに続いてベスも召喚士になったものの。

 かねてからライザは、ユノよりベスの将来に不安を抱いているのだ。

 

 —— —— ——

 あれは1ヶ月ほど前の話だ。

 

『お母さんには……内緒にしてね……』

 

 ベスからそう前置きされた上で、リディアはこんな話を打ち明けられた。

 

『わたし……大きくなったら……先生みたいになりたいの』

『召喚術の先生になりたいってこと??』

『……うん』

 

(先生がふたりも増えるなんて、ミストの未来は安泰だぁ!)

 それを聞いて、もちろんリディアは大喜び。

 指導者になる。既にオリバがそう宣言していたが、べスも続いてくれるとは。

 

『ベスみたいなやさしい先生がいてくれると嬉しいよ! 先生応援する!』

『うん、がんばる……先生になれたら、ひとりで生きていけるから……』

『えっ』

 

 ……齢17にして独身宣言したベスに言葉も出なかった。

 

§

 

 その翌日、リディアはライザにこっそり報告した。

 

『いつか打ち明けてくれるでしょう。それまでは知らないふりしておくわ』

『うん……』

 

 当時ライザはそう話していたけれど。

 とうとうベスは、母親にまで独身宣言してしまったようだ。

 —— —— ——

 

「ベスはまだ若いもん。誰かいい人と出会ったら、わたしみたいにころーっと変わるかもしれないよ?」

「男の子が大きくなったら、全員手のひら返ししちゃうから難しいわね」

「うっ……」

 

 元来ベスは男性嫌い。それが両親の離婚で更に加速してしまった。

 彼女の許容範囲は、小さな男の子と(優しそうな)おじいさん。

 若い男性やおじさんとは一切しゃべらない。

 いい人だとわかっていても、エッジの姿を見たら逃げてしまう。

 オリバたちへごみのような視線を向けること、しばしば。

 

「まさか幻獣も選り好みするとは思わなかったの。ミストドラゴンと契約出来てよかったわ……」

「あの子はまだ子どもだし、人懐っこいもん。それ以前に、わたしやオリバたちを基準にしちゃだめだよ」

「幻獣も人間も相性があるってことね」

「うん。さすがにベスは選り好みしすぎかもしれないけどね」

 

 —— —— ——

 ベスの男嫌いは、人間だけでなく幻獣にまで及んでいる。

 

『契約全コンプリートするぞ!!』

 

 そう鼻息荒くする、オリバたち悪ガキトリオとは対照的に。

 これまでベスが契約した幻獣は、ミストドラゴン、シルフ、シヴァの3体だけ。

 3体とも女性、もしくは子どもだ。

 

 その時点で交流出来そうな幻獣が、アスラだけになってしまった。

 よって、ベスは幻獣界の女王様との契約を目標に掲げて。

 知性と精神を上げるために白黒魔法の修行に励んでいる。

 —— —— ——

 

 確かにベスがミストでひとりで生きるなら、召喚術の指導者はもってこいだ。

 召喚術の授業の生徒はもっぱら子ども。ベスは男の子なら気にならない。

 ……彼らが思春期に入れば、距離を置くだろうけれど。

 

「やっぱり、ベスにもお嫁さんになってほしい?」

「当たり前じゃない。わたしみたいになって欲しくないわ」

「っ……」

 

 珍しく声を荒げたライザに息を詰まらせる。

 娘には同じ道を歩ませたくないのだろう。

 

(ユノがそうじゃないから余計悩んじゃうよね)

 結婚願望がある次女と相反して、17歳で独身人生を選んだ長女。

 それがここのところ、ライザの悩みの種になっている。

 

 エッジと結ばれなかったら、ひとりでミストで生きていくつもりでいたから。

 リディアはベスの選んだ生き方に反対はしない。

 けれど、親としての立場からライザの気持ちもよくわかる。

 

「こればっかりはもう見守るしかないよ」

「そうね……」

「うっかりオリバとくっつくかもしれないし」

「弟さんたちならまだしも、あの子は無理でしょう」

 

 ベスがいる部屋の扉をちらりと見やりながら。

 浮かない顔でライザがつぶやくと、紅茶を一口すすったら。

 

こんこん

 

 玄関を叩く音が聞こえて、ライザがそこに向かうと、またすぐに戻ってきた。

 白い封筒を手にしながら。

 

「お手紙?」

「ええ……あら、ゲッコウさんね」

 

 ある日ライザが、復興支援でエブラーナを訪れた時に。

 エブラーナの御伽衆のひとり、ゲッコウから声をかけられた。

 それをきっかけに、ふたりは文通を始めるようになった。

 

 —— —— ——

 ライザは何も知らないが、エッジから聞いた話によると。

 真月の戦いの最中、ゲッコウは立ち寄ったミストでライザに一目惚れ。

 それ以来、彼女に好意を寄せているという。

 ライザに文通を申し出たのは、正式交際への足がかりだと思われる。

 —— —— ——

 

「文通続いてるね。3年前からだっけ?」

「ええ。字は綺麗で文面も丁寧だし、いつも気遣って下さるし……本当に真面目でいい人よね。——あとで読みましょう」

 

 そうつぶやきながら、ライザが台所へ向かう。

 棚を開けているから、中に手紙をしまっているのだろう。

 その様子を見て、リディアは思わず苦い顔をしてしまった。

 

(ゲッコウさん、諦めたほうがいいんじゃないかなぁ)

 恋愛や結婚に懲りてしまい、再婚しない。普段からライザはそう明言している。

 よって、彼女のゲッコウへの心象はずっと『真面目でいい人』止まり。

 ふたりが友人以上の関係に発展するのは厳しいように思える。

 

「エブラーナといえば、クオレは引っ越してからどうするの?」

 

 ライザがそう言いながら、居間机に戻ってきた。

 

「あ、忍者学校に通うことになったの」

「えっ……?」

 

 ライザが軽く驚いているように見える。

 

 クオレはエブラーナに移住後。城下町にある忍者学校に通うことに決めた。

 一昨日、エッジの前でもそう宣言した。彼がじきに編入手続きをしてくれることになっている。

 

「忍者学校だめなの?」

「そんなことないわ。ただ、あなたが残念そうじゃないのが意外で……」

「クオレ、昔からエッジに何かしてあげたいって言ってたし、自分で決めたことだもん。わたしは応援するよ」

「あちらのお子さん、もっと小さな頃から修行始めるそうじゃない。今から間に合うの?」

「何事もやってみないとわからないし、無理ならお城の中で働くって言ってるよ」

「そうなのね……」

 

 当初クオレの将来の夢は、『黒魔導士』『召喚士』であった。

 成長する度に『医者』『学者』などと変化して、最終的に『忍者』に落ち着いた。

 忍者なら瞬間移動を有効活用出来ると考えたようだ。

 

 忍者が無理なら、エブラーナ城の使用人。

 何にせよ、エッジが暮らすエブラーナのためになるお仕事がしたいようである。

 

 クオレは知能がずば抜けており、勉学に関しては申し分ない。

 ミストで午前中に行われている『学習』では、現在先生役として。

 同年代ないしは、年下の子どもたちの勉強を見ているぐらいだ。

 

「あの子は将来よりどりみどりよね。魔法もお勉強も運動も何でも一通り出来ちゃうもの」

 

 ライザの言葉通り。クオレならその気になれば、どんな職業にもつくことが出来るだろう。

 ただ……。

 

「店員さん以外は」

「まあ。お母さんが子どもの可能性を狭めるようなこと言っちゃだめよ」

「違うったら。自分でそう言ってるんだよ?」

 

 クオレは幼少の頃から感情表現が苦手。愛想がない子と誤解されがち。

 

 本人も自覚があるようで、将来の夢についての話題になると。

 クオレは決まって『クオレは愛想がないから、店員には絶対なれないな』と。

 胸を張ってリディアにそう言ってくれるのだから、どうしようもない。

 

「ごめんなさい、誤解してたわ」

「ううん、いいよ」

「クオレはすごく冷静よね。たまにあなたのお母さんみたいに見えるもの」

「……っ、はい」

 

(しっかりしなさいって言った覚えないんだけどな)

 そうなのだ。クオレは日々しっかりした子どもに成長している。

 逆説教されることも増えてきた。その度にクオレの子どもになったような気分に陥る。

 

「……ク、クオレとわたしよりね。問題はエッジだよ」

「何があったの?」

「忍者学校行くって聞いて、いい顔しなかったの」

 

 ***

 

 ——一昨日

 

 家族の証——アクセサリーの贈呈式を終えて、大喜びしていたら。

 クオレがエッジにこう言った。

 

『クオレはエブラーナに引っ越したら忍者学校に入るぞ』

「忍者になるつもりか」

『ああ。今修行を始めないと手遅れになる』

「やめとけ」

『なぜだ』

「おまえは召喚士の方が向いてる。リディアと一緒にミストに通えばいいじゃねえか」

 

 エッジは真っ先に忍者学校の入学を反対した。

 

 以前からエッジは召喚士になるよう、クオレに勧めていた。

 娘は母親と同じ道を歩むのが常。そう思っていたら。

 当のクオレが父親に関わる職につくと言い出したから、動揺しているように見えた。

 

『向いてるかどうかやってみないとわからない』

「オレに気ィ遣わなくていいんだよ。無理す」

『——そういうエッジがクオレたちに気を遣っているな』

「……!」

 

 クオレの一言がとどめとなり、編入手続きをすると答えてくれたが。

 その夜。クオレが眠ってから、エッジから『すまねえ』と謝られてしまった。

 

 ***

 

「謝るなんておかしいわ。あの人、まだあなたたちに遠慮しているのね」

「離れて暮らしてるだけなんだから、遠慮することないのに……」

 

 エッジは家族になってからも、リディアやクオレに引け目を感じている言動をよく見せる。

 一昨日はそれが顕著だった。

 

「しばらく様子を見ましょうよ」

「そうだね。エブラーナに引っ越したらまた変わるかもしれないもん」

「そういえば、あなたたち。荷造り始めてる?」

「……まだ」

 

 ばつが悪そうに答えた。

 ミストから去る日が決まったにもかかわらず、何の準備もしていない。

 

「だったら、それ。エッジ様にお任せしたらどう?」

「えー、どうして?」

「あなたとクオレの家族って自覚を持てる、ちょうどいい機会だと思うわ」

「……!」

「あなたたちも楽でしょう?」

「っ、あははっ……! それ、いい考えだね!」

 

 一緒に暮らすリディアの影響だろう。クオレもかなりものぐさな子ども。

 そんなふたりにとってもってこいな上に、エッジに気付きを与えることが出来る。

 ライザの一石二鳥の提案に、腹を抱えて笑いながら同意した。

 

「少しは手伝ってあげなきゃだめよ?」

「わかってま」

 

ばったーん!

 

 突然、玄関の扉が開く音が聞こえた。

 

「あれ?」

「早かったわね」

「う……ふぇっ!?」

「あら、まあ……」

 

 クオレとユノが戻ってきたのだろう。

 そう思って、ライザと一緒に玄関に視線を移したら。

 そこに立っていた意外な人物にぎょっとして思わず声を上げた。

 

「うちにいねえと思ったら、やっぱりここか……!」

 

 あ然とするリディアたちのそばに、エッジが足音立てて近付いてくる。

 

 今までエッジは、挨拶なしによそ様の家の中に入るような無礼を見せたことがない。

 一体何があったのか。リディアはそう戸惑うばかり。

 

「一昨日来た」

「——聞こえてないわよ」

「あっ、【……」

 

 ライザに指摘されて、慌てて詠唱を始めた。

 『防音結界』を張っている状態では、エッジに何を言っても伝わらない。

 

「すみません、エッジ様。少しだけお待ちください」

「……ああ」

 

 ライザが結界範囲の外に出て、エッジに待つようお願いしてくれた。

 

(これがアリサだったら怒鳴ってたんだろうなあ)

 エッジはライザにまあまあ優しい。

 『ツクヨミ』全盛期でも『エッジ』を批判しなかった貴重な住民だからだろうか?

 

 それから1分も経たないうちに。ぱりんぱりんと氷が割れるような音。

 結界が解除されたとわかり、エッジが腕組みしながらこう言った。

 

「……なんだ。オレの知らないところでこそこそ内緒話かぁ?」

「それぐらい別にいいでしょ!? それより何かあったの? お仕事は?」

「仕事なんかやってられっか! おまえらまた黙ってたろ!!」

「ちょっと。そんなに大きな声出しちゃ、ベスが怯え」

「——次の村長があの女って、どういうことだっ!!」

 

 またまたエッジが怒鳴ると、その場がしいんと静まり返った。

 

「えぇ……?」

「それだけで、ここに来ちゃったの?」

 

 リディアは困惑しながら、ライザと顔を見合わせた。

 

 昨夜の寄合で、ミストの新しい村長が決まった。

 本日ラルフからその人物を教えてもらったら、エッジはとても驚くだろう。

 そんな予想はしていたけれど、まさかその日に、それもすぐ。

 エブラーナからミストへ飛んで来るとは……。

 

.

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。