※この作品はR-18です。

フェイクラバーズ   作:かえで

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オリキャラ視点


(幕間)類は友を呼ぶ

 

 

「ふたりとも、明後日頼むよー」

「はーい」

「……がんばります」

 

 明後日、ミストで白魔法巡回指導の打ち合わせが行われる。

 バロンにある巡回指導の運営本部から訪れる職員と、ライザとミゼル。

 そして、ライザにどうしてもとせがまれて、リディアも参加する予定だ。

 

「おばちゃんたちによろしくね」

「はいはい、伝えとくよ」

「——おみやげ開けちゃだめだよっ!?」

「開けませんってー」

 

ばたん

 

「はぁ……」

 

 最後にリディアから、きっとにらまれたが笑って見送ってあげてから。

 玄関の扉を閉めると同時に大きなため息をついてしまった。

 

「やっぱり、わかんなかったか」

 

 ミゼルは苦笑を浮かべながら、居間机の端に木箱を置いた。

 

(あの人が言った通りだったな)

 木箱に入っている、青い石。

 その正式名称——撒菱は、忍者によほど興味がある者でないとわからない。

 リディアはその名を知っていても、実物はおそらく見たことがない。

 本日の昼間、そう話してくれた人物が脳裏によぎった。

 

 この撒菱が青く塗られている理由。青い撒菱を使う人物や使用目的。

 これをライザ経由でリディアに託した人物とその理由……。

 ミゼルは、撒菱にまつわる事情を全部知っていたけれど。

 リディアたちの前では、あえて知らないふりをした。

 近いうちに、名称だけは教えてあげるつもりでいる。

 

§

 

「さて、晩ごはん食べますかぁ」

 

 居間机周辺の床に散らばっている紙くずを集める。

 それらをどさどさごみ箱に投げ入れてやった。

 引き続き、取っ散らかった机の上を片付け始める。

 

 ミゼルは、妻のようなずぼらさを一切持ち合わせていない。

 散らかった場所では、ごはんが食べられない人間であった。

 

 机に転がる、ブリキ缶ふたつを視界に入れた途端。表情を渋くさせた。

 缶同士が長い糸で繋がれているそれは、ある男性がくれたものである。

 

 —— —— ——

 男性は、誰かさんを支える年配おふたり様の片割れ。

 彼は本日、ミストにリディアもノアもいない。

 それをわかった上で、ミゼルに会いにわざわざやってきてくれた。

 

 男性は、ある会へミゼルを勧誘するためにミストにやってきたという。

 ミゼルが快く入会に応じると、すすり泣くような声でこう話してくれた。

 

『会が存続出来るのも、ミゼル殿のおかげであります……うう、っ』

 

 —— —— ——

 

 はっきり言おう。あの名称と入会条件では、会員が増える訳がない。

 遠い国からここに足を運んでいただいたから、男性に何も言わなかったけれど。

 

(分断に必死だなあ……ぼくたちは邪魔するつもりないのに)

 ブリキ缶は、その男性と会話するために必要不可欠なアイテムだった。

 ただ、この家は狭すぎたので、長い廊下がある公民館へ行った。

 そんなしち面倒くさいことをしないと、あの人たちと連絡が取れないとは……。

 そういう風にしてしまった誰かさんに呆れてしまう。

 

§

 

 リディアから預かった木箱を、ブリキ缶の片割れの中に入れてから。

 それらを両手に抱えて隣の寝室へ向かった。

 

 寝室内は居間から漏れる照明の光に薄く照らされている。

 部屋の奥へ進み、自分用引き出しの前で腰を降ろした。

 引き出しを開けて、手にしていたブリキ缶を隠すように奥にしまい込むと。

 突然、頭の中に何かがひらめいた。

 

「『       会』なんてどうかなあ……?」

 

 まるで童心に帰ったように、ミゼルは楽しそうにつぶやいた。

 今度あの人たちに連絡を取れたら、進言してあげよう。

 これなら会員は増えに増えて、会長も副会長も大喜びするだろう。

 

 ミゼルは引き出しを閉めて立ち上がると、片付けの続きを行うため。

 明るい居間に戻ったのであった。

 

 亡き幼なじみの娘であり、妹分のリディアが幸せになれるなら。

 村長でいられる間、出来る限りのことをしてやりたい。

 それと共に、リディアに思いを寄せる誰かさんにも……。

 

.

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