※この作品はR-18です。

アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ   作:姫鼠まりあ

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新たなる芽吹き
新たなるフェチズムの目覚め(G度薄め)


 ゲームの世界に転生した。

 まぁまぁよくある話だ。昨今は。

 ストーリーは剣と魔法の世界+恋愛要素というこれまたありきたりのもの。恋愛要素がメインではなく、好感度システムがあるガッツリファンタジーって感じのゲームだった。

 このゲーム、ストーリー自体は幾つも道筋があってかなり遣り込めるんだけど、如何せんキャラクターが可愛くないというか、無骨すぎるというか、華がないというか。

 男は眼帯出っ歯スキンヘッド、女はアマゾネス、魔物は超グロテスク。

 

 この世界がその世界だと気付いた時は絶望したものだ。

 だってこの先、誰の好感度が上がろうと大体がゴリラだし、魔物と相対したら超グロテスクなのを直視しなきゃだし。

 幸いにしてステータスはこのゲームをやっていた時と同じもの。ラスボス倒して引き継いでニューゲームして周回判定で強くなったラスボスも公開された裏ボスも倒してさらにそれのニューゲーム、難易度:簡単にした時のステータス……なので、それはもうむちゃ強い。倉庫も消えてない。完全ソロゲーだからフレンドとかは関係ない。

 

 でもまー、転生してしまったので。

 

 俺TUEEEEでやっていきますかー、とか思っていた矢先のことだった。

 

 

「きゃあああああ!」

 

 

 という悲鳴が耳をつんざく。

 はいはいテンプレテンプレとか思いながら声のした場所に向かえば──。

 

 そこでは、なんか高そうな服を着た美女が、全裸の猫耳娘に襲われていた。

 

 

 あ、アダルトMOD入れっぱなしだコレ。

 

 

 

 

 アダルトMOD──。

 まぁ、良いものである、とは決して言わないけれど、公式が許しているMOD導入コンテンツにあるものだから完全な悪でもないと思う。

 それを入れていたんだ、まぁ。うん。だってゴリラ嫌だったし。モンスターもグロいの結構キツかったし。 

 

「あの……このたびは、なんとお礼を言ってよろしいものか」

 

 MODが何かを説明する必要はないと思う。昨今どのゲームも使うだろ、MODくらい。

 で、アダルトMODっていうのはまぁ本来ゲームではできないおせっせとかができるようになるMODね。服を消したり、乳首出したり、局部丸見えにしたり。

 当然18禁で、金がかかるものもある。

 

「つきましては、我が城でお礼を」

 

 入れていた。それはもうがっつり入れていた。

 野郎は世紀末から美男に、女の子のバリエーションは超豊富、アーマーもアダルティなものが多く、何より魔物を魔物娘だったりケモだったりに変える素晴らしいMODを入れていた。流石に触手云々は容量がエグいらしくて作られてなかったけど、それでも十分だった。

 そしてこのMODの目玉は、好感度が最大になった仲間とののおせっせが可能になる点だ。元来のゲームだとパーティに入れることで戦力が爆発的に上がる、とかなんだけど、野営や宿屋での宿泊を選ぶとおせっせの選択肢が生まれる。

 うーん神MOD。そして目玉でないにしても、超グロテスクな魔物が見目麗しい女の子に変わるのもかなりのアドで、顔をしかめながらやっていた戦闘が一気に華やかになったことを覚えている。

 

 それを入れっぱなしで転生したっぽいど。

 

「ああ、そういえば、お名前を聞いておりませんでした! 申し訳ありません、私としたことが……」

「名乗る名はありません。流れで旅してる者なんで。それじゃ、ジュワッ」

「えっ、あっ」

 

 三周目ステータスを遺憾なく発揮してその場から逃げ去る。

 

 考え事しながらだったから途中まで気付けなかったけど、あれ最初の頃にあるイベントだ。あれで頷いて王城まで行くと王城お抱え騎士ルートになって、さっきの姫様とか女騎士とかとの好感度を高められるんだけど、他の職業が軒並み潰れる。

 

 このゲームの自由度の高さの一因に「派閥システム」というのがある。

 よーするにどこの国所属とかどこの国敵対とか、邪神崇拝派だったり世界浄化教だったり、そういう派閥に参加することで新たなイベントが生まれていくのだ。入れる派閥は二つまでで、これに入っているとこっちに入れない、という組み合わせもあったりする。だから今すぐに王国派に、というのは、ね?

 

 とまぁそんな難しい話はどうでもいいのである。

 

 ──眼下。

 木の上に登り、森の中を見下ろして──おおおお、となっている。超なっている。

 

 いるわいるわ。

 四つん這いで歩く全裸の少女。の、群れ。

 見た目そんなでもないのにズシンズシンと大きな音を立てて緩慢に動く全裸の女性。木と木の間に不動でいる全裸の女性に、不用意に近づく妖精サイズの全裸少女。それがビュッと何かに巻き取られる。先ほどの不動の女性が口……じゃなく喉のあたりから出した触肢に巻き取られたのだ。

 それがゴリゴリと音を立てて飲み込まれ……うわぁ。

 

 うわ。

 やべ。

 

 アダルトMOD、超やりにくいかもしらん。

 

 このMODがなければあんなのただの生態系だ。食虫植物が虫を食った。そんだけだろう。

 それが……全部ヒトガタ、or準ヒトガタで、しかも見目麗しい少女の姿をしていると……ぐ、グロい。

 

 っていうか俺斬れんの? さっきの猫娘は魔物が嫌がる臭いの袋を投げつけて引き剥がしたんだけど、この先現れるだろうどうしようもないイベントでの魔物……斬れんの??

 無理では。

 いやいや、見た目はああでも中身はれっきとした魔物。やらねばこっちがやられ……るステータスではないものの、周囲のNPCはガンガン殺されていくだろう。

 それを。

 

 守れんの? 俺。

 

「よーし内勤になろう。やめよう冒険者」

 

 ムリムリ無理無理。

 元々グロいの苦手でMOD入れ始めてアダルトMODに辿り着いたんだぞ。斬るとかムリムリ。

 

 えー、じゃあ王国派に……なっちゃうと騎士になってパーヒャク戦わないといけなくなるので、どっかの村……は絶対狩猟イベが発生する。

 

 ……エグない?

 

 と……とりあえず、だ。

 この世界で一番平和な国に所属しよう。

 

 いざ、マスカルウィン帝国へ!

 

 

 

 

 えっぐい。えっっっぐい。

 

「おや、いらっしゃい! 何か食べていくね?」

「ああ……とりあえず果実水と、……いや果実水だけでいい。喉がカラカラなんだ」

「あいよ!」

 

 えぐいよこの世界。

 周りが見られない。そうだ、そうなのだ。

 この世界、獣がいない。植物と魔物しかいない。魔物の中には特に能力のないもの……それはつまり獣では? な奴も多いんだけど、全部が魔物扱いだ。

 だから、全部全裸の少女であり──狩猟されてくるのも、食材も"ソウ"である。

 

 エグい。見た目がもうエグい。俺では描写できないレベルでエグい。

 唯一の救いは植物は普通に植物なところか。いや植物型の魔物もいるので油断はできないけど、草木花果実は普通。ただ味があんまり、らしい。魔物の方が美味いと聞いた。いや食えねーよ。

 

「はいよ、果実水お待ち!」

「ありがと、……う」

 

 グラスが置かれて、とりあえず一杯、とそのグラスに目を向けたら──白目を剥いた少女がグラスの淵に跨っていた。

 

 エグいって。

 あれ? 果実は普通なんじゃないの? 何このレモンさしとくみたいなノリでお出しされる奴。

 

 おいおい黄色い果実水がソレに見えて来たじゃないか。やめろよそういう趣味はねーよ俺。

 

 恐る恐る、飲む。

 

 ううん。

 

「むっっっちゃスッキリする……」

 

 めちゃくちゃ美味い。めちゃくちゃ柑橘系。

 ゴックゴクいけるわマジで。

 

「お客さん、すんませんね、相席いいかい? ちょいと混んでて」

「ああ、そりゃ構わない」

「ありがとよ! そんじゃあアンタ、こっちのお客さんトコすわっとくれ!」

 

 マスカルウィン帝国は大陸最大の国だ。独裁国家……国のトップが絶対の権限を持っている国なんだけど、だからといって国民に圧政を敷いていたりはしない。というかかなり善良な皇帝だ。ただハチャメチャに強いってだけで。

 だからってわけじゃないけど、この国には強い奴が集まる。必然、戦わなくていい奴もたくさん生まれる。

 

 俺は人生二、三十回ニートしててもいいくらいの金を持っているので、働く必要はない。が、まぁ人として一応なんらかの労働はしたいと思っている。

 

「前、失礼します」

「ああ」

 

 目深にローブを被った少女。

 それが目の前に座った。

 

 ……。いやエグ。

 なんか首に狐耳の全裸少女巻いてるんですけど。なに? どういう民族?

 

「……?」

「あ、ああ、すまない。テイムモンスターにしては、見たことの無い種だったのでな」

「ああ。この子はカルラ。小さい時からの友達なの」

「そ、そうか」

 

 狐耳少女の背を撫でるローブ少女。

 落ち着け。そう、テイムモンスターをこうやって連れ歩くのは特におかしな話じゃない。というかゲーム時代俺もやってた。

 オチケツ。

 

「はいよ、お待ちどーさん! ニンフェの姿煮にユウギョのカルパッチョ! んでキンッキンに冷えたエールドライアド!」

「おお。やっぱりこれがないと」

「そっちの兄さんは? 食べもの、いいのかい?」

「──…………ああ、すまないな。持ち合わせがあまり無くて」

「奢ろうか?」

「い、いやいや。相席しただけの縁にそこまでしてもらうわけにはいかない。大丈夫だ」

 

 あぶねぇ、気絶しかけてた。

 

 エグい。

 エグい姿煮にエグいカルパッチョ。んでエグいエール。それを美味そうに食べる少女。時折ナイフとフォークで切り分けたそれを狐耳少女にも食わせている。

 

 何よりエグいのは。

 

 ……。

 

「はは」

「?」

「ああ、すまない。俺はそろそろ行くよ」

「そう? お金ないなら、お仕事紹介する? できる地位にある」

 

 フンスと胸を張る少女に断りを入れて、会計をして店を出る。

 そしてすぐさま路地裏に隠れ、気配遮断と姿消しのスキルを使用した。

 

 ははは。

 

「……エッグいわ、俺」

 

 視線を下に向ければ。

 

 そこには──バッキバキになった、オムスコ様がいたのであった。

 

 

 

 

「いやー、悪いね、ヴェルグさん。こんな給金でこんだけ働いてもらっちゃって……もうちょっと上げても良いんだよ?」

「いや、定住する気がない奴には妥当な給料だろう。気にしないでくれ」

「ん、わかった。じゃあこれ以上はこの話をしない!」

「ありがとう」

 

 結局俺は、運搬業者を選んだ。

 アイテムボックスという名の最強運搬道具があり、且つ走力のステータスがとんでもないことになっている俺は、いろんな仕入れ先からの色んな物品を最短ルートで最速でお届けできる。

 直接狩猟する必要も無ければ、調理の必要もない。

 

 ただ、絞められた魔物を見てオムスコ様を高ぶらせながら、それをインベにいれて運んで出す……それだけの作業だ。

 

 あの日。

 俺の性癖がエッグいことに気付いたあの日から、俺は見る専になった。

 いや、無理だったのだ。血が出るのとかはフツーに無理だった。グロにも色々種類があって、特に今ブシュ! ってなってたり、あと臭いがキツかったりすると普通に吐く。

 血抜き済み、乾燥済みで、ただそこにあるだけ状態になった奴なら……エロいと感じられる。感じられてしまう。

 

 エグい。

 

 所属派閥は普通に帝国を選んだ。もう一個をどこにするかは決めていないけれど、まぁここ住みやすいから問題なし。アダルトMODの恩恵で街ゆく人々が全員美男美女なのもデカい。いやどこの国もそうなんだけど。

 

 んで、俺が最も懇意にしているのが今のあっさりした性格の姉ちゃん。

 ポーション屋を営んでいて、「朝のこの時間にしか取れない秘草」とか「森の奥の奥にしか生らない実」とか、魔物以外の注文が多かったから気に入っている。勿論植物魔物の運搬依頼もあるのでそっちはそっちで割り切ってやってるけど。

 なお、ポーションの調合過程は──筆舌に尽くし難かった、と言っておこう。

 

「ああそうだヴェルグさん。ギルドって登録してる?」

「ああ、している」

「そっかそっか。一応ギルド章見せてもらえる? 定住しないとはいえ、正式に雇ってるワケだからさ。このまま口約束の契約だと色々ね」

「承知した」

 

 ギルド章。服に着けるワッペンみたいなものだ。

 自分の力を誇示したい奴は胸元とかにつけているけど、俺みたいなのは服の裏地とかにあることが多い。まぁ俺の場合はインベの中なんだけど。

 

 それを、まるでポッケから出した風に見せる。

 

「……白銀章?」

「あまり言いふらさないでくれると助かるが、そうだ」

「い、いやいや。じゃあなんでこんなとこに……」

「……少し前に色々あってな。血を……見れなくなった。ただ返上するわけにもいかず、形だけこうなっているわけだ」

「そりゃ……ん、わかった。それも聞かないよ」

 

 そういう設定にした。

 強いのに戦わないのは、血を見るのが無理になったからだと。実際無理だし。

 

 あ、白銀章ってのはギルドの階級のアレね。一番上ね。

 

 ポーション屋の姉ちゃんは必要事項を紙にサラサラ書き写すと、んじゃ、とギルド章を返してくれる。

 本当にさっぱりした姉ちゃんだ。マジでありがたい。

 

「あ、でも……この国には来たばっかり、だったよね?」

「ああ」

「んじゃ流石にギルド長への挨拶は必要かもね。隠したい過去なのかもしれないけど、体裁的に白銀が隠れ住んでる、ってのは問題があるから」

「……正論だな。今日行ってくる」

「ん、いってらっしゃい」

 

 そうだった。そういうのあったわ。

 ゲーム時代にも国がいくつかあって、新しい国に行くたびにギルドに行って登録をする。それで依頼を受けられるようになる。

 ギルド依頼なんざ絶対討伐系とかばっかりだろうから行く気サラサラなかったんだけど、そうだったね俺今働いてるからワンチャン問題だったね。

 

 ポーション屋の姉ちゃんに迷惑をかけるわけにはいかないので大人しく向かうことにしよう。

 

 

 向かうことにして──後悔した。

 

「……」

「オイ兄ちゃん、入り口につっ立ってんじゃねえ邪魔だろうが!」

「やめろ、キリニス。すぐにキレるな。だが邪魔なのは事実だ、諍いを起こさないために横に逸れることを推奨する」

「あ……ああ。すまない」

「……なんだよ物分かりいいじゃねえか。キレちまってすまねえな」

 

 美女二人組。

 が、血まみれの少女を担いでギルドに入っていった。それをカウンターにビタンと打ち付け、受付の人と値段交渉をしている。

 他にも──うん。

 エグい。グロい。

 キッツい。

 

「あれ」

「む……ああ、先日の」

 

 違う意味で目のやり場に困っていると、声をかけられた。

 目線を下に下げれば、いつぞやの相席少女。相変わらず全裸狐耳少女を首に巻いた状態で、目深なフードを取ろうともしない。

 

「ギルドに、何か用?」

「ああ、登録をしようと思ってな。俺は外国人ゆえ……」

「それなら、こっち」

 

 手を握られる。そして「ついてきて」と引っ張られた。

 ふにゃ、とした感触の手は、アダルトMOD関係なしにこの少女がちゃんと少女であることを知らせてくれる。

 

「一応聞く。訳アリ?」

「ああ」

「じゃあ個室ね」

 

 ふむ、対応が良いな。

 個室に通される。

 

 そして。

 

「ギルド章見せて」

「ああ、だが」

「──白銀章? ……偽物じゃない。どこの国で……」

「すまないがそれは言えない。それと、白銀章ではあるが、俺は戦えない。少し前にあったことがトラウマになっていてな、血を……見られないんだ」

「……少し前。言えない国。凄惨な戦い……。まさか、エンシェントデーモンの」

 

 そこまで言って少女は口に手を当てる。

 そして恐る恐るこちらを窺ってきた。ので、俺は肩をすくめておく。

 返って来たのは頷き。

 

 フ──主語の無いボディランゲージコミュニケーションはこういう勘違いが起きやすくていいな!

 

「名前は?」

「ヴェルグだ。今は北のハルフィーポーションという店の運搬作業員をしている」

「そ。……私はこのマスカルウィン帝国のギルドのギルド長、スイ。よろしく」

 

 瞬間、俺の脳裏に電流走る。

 

 テイムモンスターがカルラで? ギルドのスイ? おまけに白ローブ?

 

 いたわ! そんなやつ!

 ただカルラってめちゃくちゃ燃え盛ってる管狐だったはず……こんな見た目に変わるんか!

 

「もしかして、私を知ってた?」

「名前を聞いて思い出しただけだ。集炎(しゅうえん)のスイ。得物の大鎌がないとわからんな」

「……カルラ、相当目立つと思うけど」

「あぁ、まぁ、それくらいの魔物は腐るほど見て来た」

 

 見えてないからね! それ見えてないからね!

 とにかく、マスカルウィン帝国のスイは基本的に善良なキャラクターだから関わり合いを持てて良かったかもしれん。口も堅いし、何よりおせっせシーンがエロい。ああいや今の彼女とそうなりたいと言っているわけではなく、俺もほら、イチプレイヤーだからさ、人気キャラとかあんのよ。

 

 ただ王国派のイベントが序盤にあるせいで、大体の一周目プレイヤーは王国派に所属する。すると帝国派に入れなくなるから、スイとの好感度が上がらないっていう。スイを見るのは最後の最後、全面戦争になったあたりくらいなんじゃないかな。

 

「ヴェルグ。戦わなくていいから、白銀章への依頼がある。受けてくれる?」

「戦わなくていいなら俺でなくともいいだろう?」

 

 ふるふると首を振るスイ。

 そして──フードから覗く、キラキラとした目でこう言ってきた。

 

「お母様……皇妃様の呪いを、解いてほしいの」

 

 ──あったなぁ、そんなイベント。

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