アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
結局どっちも買った。優柔不断な主を許してくれ。いやメアリーはマジで有能だから買って損はないと思うんだよ。もう一人の子は確実な厄ネタなんだけど。
で、特にトラブルもないまま彼女らの従属の呪いの引き継ぎと支払いを済ませ、やってきましたノズヴェルガーの店。
「おや、旦那さん。いらっしゃい……と、大所帯ですね」
「ああ、ついつい目についてな。コイツはここで買ったもので連れまわしているだけだが、この二人は衝動買いだ」
「流石ですなぁ、懐が広い広い。っとと、世間話もこれくらいで。今回はどんな奴隷がご入り用で?」
うーん。
家事出来る奴は実はメアリーで十分なので、あと欲しいのは純粋な戦闘奴隷かなぁ。ツバナの相手ができる奴。メアリーも……主人公パーティで育てれば育つには育つんだけど、一向に主人公君が現れないからなぁ。ワンチャン俺が主人公ポジだとしたら、あそこで買わなきゃ一生巡りあえなかったかもしれん。
ああそうじゃなくて、だからメアリーはまだ戦闘ポジにはいけないってことね。
「戦える奴が欲しい。人間種である必要はない。幾らか見繕ってくれ」
「あいよ! ちょいとお待ちくださいね!」
なお、シーファともう一人の子は全裸首輪なんだけど、メアリーだけメイド服に首輪だ。浮きまくっている。
だというのに周囲から奇異の目を向けられないってことは、アダルトMODが何か悪さしてんのか?
「人間種族以外って、魔族買うの?」
「馬鹿言え。お前以外の魔族は魔素漏れるだろ」
「でもツバナちみたいな鬼とかはこっちの大陸ほとんどいないと思うけど」
「ノズヴェルガーがいませんって言わなかったんだからいるんだろ。大人しく待ってろ」
「はぁい」
これはゲーム本編でわかることだけど、各大陸には各大陸の特色に合った種族がいて、それらは滅多に混ざらない。俺がノズヴェルガーを珍しいと言ったのもそういう理由だ。北の孤島に住まう妖狐族は基本的にあの島の外に出ない。あぁだから、ノズヴェルガーも妖狐だ。普通に男だが。
ツバナの鬼の国がある大陸は日本妖怪モチーフが多いので結構ざっくばらんだけど、まぁどういう分け方をしてるのか、までは俺は知らん。開発者に聞け。もしくはシナリオライター。
……ノズヴェルガーが奴隷選びに難航しているようなので、今のうちに聞くべきことを聞いておく。
「メアリー・スー。今の名はなんだ?」
「──成程、私の正体を見抜いた上でのご購入でしたか。失礼いたしました。──今はエリーゼと名乗っております」
「そうか。呪詛スキル:屈服。名の偽りを外せ」
「っ、ぐ……。しょ……承知いたしました、が、同意も無く勝手に呪いを強めるのは如何なものかと……」
「知らん。俺はラムナザール四世より強い。罰される謂れが無い」
「……」
「あは~、成程ね、オネーサンもなんかワルイコト考えてたクチなんだ。無理だよ~、下手なことすると眷属の呪いまでかけられて心まで操られちゃうからね」
「それは、遠慮願いたいですね……」
メアリー・スー。つまり山田太郎だ。
名前の無い女。貌の無い女。名前も声も姿も才能も、あらゆるものを変え、模倣し、なんにでもなれる上位種族。考察界隈じゃニャル様なんじゃないか、とか言われてたけど、屈服の呪いがかかるあたりそんな高位の存在じゃなさそうだな。結局種族はわからずじまいだけど。
えーと、で?
本名はメアリー……。
ほんとにぃ?
「お待たせしやした! お時間かけちまって申し訳ございやせん!」
「構わんさ。戦闘奴隷となると重量も増すだろうからな」
「お気遣いあやがとうごぜえやす。それで、どうしますか。とりあえず旦那が見ますかい?」
「そうさせてもらう」
「んじゃあっしはここで待たせていただきやすね!」
連れてこられたのは五人の奴隷。
お、男奴隷いんじゃーん。
まぁとりあえず端から見ていくか。
「キト。鞭使い……ん-」
「普通に無しでしょ。ツバナちの相手にはならないよ」
「ジュリア。弓使い。お、千里眼持ちだな」
「ツバナちの相手にはならないけど、まぁ有用だよね」
「セラス……コイツはちょいエグだな」
「何が?」
囚われの聖処女。
……呪われてる系か? そんでもって教会関係者だな。絶対ダルい。
「キンゾイ。おお、大剣使いじゃないか。ツバナの相手にもってこいだな」
「でも男だよ」
「別に俺は気にしない。お前が言ってたのも一般論だろ?」
「まぁそうだけど」
候補、だな。
そんで最後が。
「……ノズヴェルガー」
「はい! なんでございやしょう!」
「コイツ、魔物だぞ」
「へぇぁ!?」
魔物、という単語が出た瞬間、檻の中にいた少女は檻を叩き割り──。
「呪詛スキル:眷属」
「ァ、ガ!?」
「うーわ、相手が動いてても効くんだソレ……。ほんと、無理に逆らわなくて良かったかなーコレは」
俺には少女がイタチみたいな威嚇ポーズしてるようにしかみえないんだけど、シーファの目線が結構上に向いているあたり、かなり大きいのかな。
ノズヴェルガーも腰を抜かしているし。
「騒ぎになると面倒か。神官スキル:遮断。ついでにアサシンスキル:霧隠れ」
遮断結界に身隠しのスキルをかけて、人々の意識がこの結界に向かないようにする。
んでサーチサーチ。……ああ、成程。
「お前スライムなのか。道理で見抜けないはずだ」
「いやどーみてもスライムじゃん。どしたの? ご主人様らしくないなぁ」
スライム。
元のゲームにおいては、唯一の癒し枠。
下半身がグチャドロしているところさえ目を瞑れば、上半身はなんと女の子っぽい擬態をしているのである。アダルトMOD関係なしに、だ。
だからわからなかった。あとマップの青点が密集し過ぎてて、赤点が埋もれてたってのもある。
シーファはこう言ってるけど、多分今の今まで人間に擬態していたんだろう。それが看破されて正体を現した、と。
「どうする? スライムくらいなら私でも殺せるけど」
「ノズヴェルガー。どうする? 魔物でもお前の商品だが」
「い、いや! すいやせん完全にこちらの落ち度でさぁ! できるんなら殺してくださって全く問題ございやせん!」
「だってさ。やっていい?」
「どうやって殺すのかだけ聞く」
「食べる」
……んー。
んんー。それさぁ……エグない? 見た目。シーファがあのスライム少女を食べていく絵面見せつけられるんでしょ? エグない?
「コアを打ち砕く、という方法もありますよ」
「えー、コア動くから面倒くさいじゃん」
「お前達にはコアが見えているのか」
「え? ……さっきからご主人様どーしちゃったの? 半透明なんだから見えるに決まってんじゃん」
「見えないとすれば、そもそも何か違うものを見ているのでは? たとえば──魔力そのもの、とか」
いや全くの勘違いだが、これはマジで弊害だな。
俺の目には普通に美少女に見えてる。だからコアの位置なんかわからん。少なくとも目視では。
だけど、二人には見えているというのなら、二人にやってもらうのが吉──だが。
「メアリー。スライムは魔力の塊なのか?」
「ええ、そうですね。体の九割が液体であり、魔力を含んでいます。残りの一割がコアと外皮です」
「そうか。なら──呪詛スキル:眷属:MP分配」
眷属の呪いメニューから、今しがた眷属化したスライムのMPを俺自身に分配し直していく。
見た目は。
……変わらんな。
「おおおー! すごい、どんどんちっちゃくなってく!」
「眷属の呪いにこういう使い方があったとは。勉強になりますね」
いや、変わっている。段々身長が小さくなっていっている。
これは。
……残存MPを15%程にしたあたりで分配を終了。
手のひらサイズになったスライム。これは、他の奴らからしても小さくなって見えている、ということでいいんだよな?
「神官スキル:密封」
「わお」
そのちびっこをミニミニサイズの結界で閉じ込める。
漏れは……無さそうだな。
どう、なんだろうな。
もしMPを0にしていたら。スライムはどうなっていたのか。俺から見えるビジュアルはどうなっていたのか。
わからんが。
「大丈夫か、ノズヴェルガー」
「へ、ぁ、は、はい。あっしは何にも。ですが、す、すいやせん! お得意様でもある旦那さんに、危害を……あぁ、あっしは商売人失格で!」
「落ち着け、ノズヴェルガー。……だがそうだな。自分をそうも責めるのなら、今回の買い物を少しまけてくれないか?」
「無料でもいいくらいで!」
「そこまでは求めていない。そこの男奴隷。アレを買いたい」
「じゃあ金貨10枚でお売りいたしやす! これはホント、こっちの誠意だと思ってください!」
どちゃくそ安い。百万円だぞ。手取り10万十か月分で人生買えちゃうのエグ。
……が、こっちが引き下がらんとノズヴェルガーが罪悪感で潰れてしまいそうなので、それで手を打つ。
「いや本日は、ホントの本当にすいやせんでした!!」
「俺はお前を信頼している。だからそこまで卑屈になるな。それと、同じ事件が無いようにこれを渡して置く」
「こ、これは……?」
「【偽り外しのモノクル】というマジックアイテムだ。偽造品の看破ができるほか、今回みたいな擬態魔物も見抜けるようになる」
「──いや、いやいやいやいや! 旦那さん、旦那さん! これ、これ、商売人にとっちゃ白銀貨一千枚でもおつりが出るアイテムでっせ!? 今回こんだけの迷惑をかけたあっしに施していいもんじゃ」
ノズヴェルガーの肩にぽん、と手を置く。……あ、こいつもちょっとコリジョン違うのね。
「俺はお前を商人として信頼している。今回のは事故だし、魔物が悪い。いいか? これから先割引をしろ、とか言ってるわけじゃない。ただ今後とも清い商売を続けてくれって話だ。できるだろ?」
「……~~っわかりやした! これ以上うだうだ言うのはあっしの性に合わねえ。……誠心誠意! 頑張らせていただきやす!!」
「ああ。それじゃあ帰るぞ」
「ありがとうございやした! またのご来店をお待ちしております!」
ぶっちゃけ俺にも収穫合ったしなぁ。
スライム娘は見抜けない。結構重要な情報だ。ちゃんとミニマップ見るクセつけないと。
何にせよ──これでケルが楽になると良いんだけど。
ケル、俺。シーファ、ツバナ、グレイス、メアリー、キンゾイ。そして称号エグさで買って来た子、アウラニ。
うん、大所帯。
この家相当広いと思ってたけど、ちょいと増築するかね。地下とかに。
「ヴェルグ……奴隷市場に行くたびにいっぱい買ってくるの、悪い癖」
「今回は仕方ないと思ってくれ。キンゾイはツバナの修行用だし、メアリーはケルと交代で食事を作れる存在。ケル、お前はずっと要らないと言ってたけどな、休日を取ってほしいんだよ。んでさ、多分やり方わからねーとは思うけど、ようやくなれた人間をやってほしいし、女の子になってほしい。勝手な願いなのはわかってるけど、そういう時間必要だろ?」
「……」
「んで、そういうのの師匠がシーファだ。人間じゃないが」
「ふっふっふ、私にかかればこんな簡素な服を着ているケルちも! 一日で可愛い可愛い女の子に早変わり! 流行ファッションマイナーファッションオリジナルファッションなんでもござれ! さらにご主人様の資金は潤沢!」
「無駄遣いはダメ」
「あう」
ちなみにだけど、前に浪費癖があったのは実はケルの方だったりする。
それを正した……というか厳しくしたのがリアだ。アイツ、姫の癖に節約大好きだったなぁ。
「……でも、嬉しい。ヴェルグ」
「なんだ」
「可愛くなったら、私も抱いてくれる?」
「……いや、それはないかなぁ」
「な、なぜ」
「俺ロリコンじゃないんだよなぁ。身長差もそうだけど、絶対入りきらないし」
俺の身長が194㎝。ケルは150㎝に満たない。
無理だろ。
ちなみにグレイスは案外デカい。胸も尻もデカい。一番デカいのはツバナとキンゾイだな。あいつら2m越えてる。
「……シーファ」
「はいほいさ!」
「今すぐ身長を伸ばす方法を教えて欲しい」
「無理だね!!!」
「……」
なんだなんだ。
別に恋心とかなかったはずだろうに、なんで抱かれたがるんだ。
「……グレイスは積極的に抱いて、リアに寄られた時も……立場が無ければヤってた。でしょ?」
「まぁな。リアは見た目も悪くないし」
「私は、女としての魅力が、ない……」
「子供の内はそれで良いだろ別に。成長したら勝手に出るよ、色気なんて」
「──でも、メアリーとはするんでしょ?」
「求められたらするが、自分からはしないな。メアリーは……あー、ケル。お前が思ってるような奴じゃないぞ」
「シーファとは?」
「魔素漏れ研究次第」
「ツバナとは」
「しない。アイツは立場がエグすぎる」
「アウラニは」
「あれも子供判定だな。それ以外の問題があるから子供判定じゃなくてもやらんが」
なんだなんだ。本当に。
別に抱く抱かれるってステータスじゃないだろ。それともアダルトMODの影響で変な思考混じってんのか?
「ご主人様は女心全く分かってないから理解求めても一生無理だよケルち。それより私と女子トークしよ? メアリちにご飯任せてさ」
「……愚痴、いっぱい良い?」
「もちもち!」
多少思う所はあるけど、女のことは女に任せておくのが吉だ。誰も彼もがゴリマッチョな世界つったって子供は子供だろ、多分。絵面はそんなに悪くない……はず。
悪くてもどうでもいいけど。
しかし。
問題が増えた、か。いやまぁ毎日に刺激が増えて良いけどね。
ツバナ、グレイス、そしてアウラニ。……ワンチャンメアリーも。
あと、まだ密封結界に入ったままのスライムも。
さーて。
重い鉄のぶつかり合う音が響く。
火花を散らし、風圧で重厚さを醸し出し、剣閃が煌めき合い。
「そこだ!」
「っ……ふぅ。降参じゃ」
終わった。
まぁ、キンゾイの圧勝だな。
「いや、お前さん剣を握り始めて一か月も経ってないんだってな? じゃあ十分だよ。お前さんならすぐに金章冒険者も夢じゃねえ」
「そう言うということは、キンゾイは金章冒険者なのじゃ?」
「いや、銀章だよ。なんなら元、だな。奴隷になった時に剥奪された」
「なんじゃ、罪を犯して奴隷になったのか」
「ん-。まぁ、そんなところだ」
この家、当然なんだけど奴隷同士の仲は良い。
俺には一切口を利かないグレイスもシーファやツバナとは少しではあるものの口を開いているようだし、ツバナとキンゾイは一瞬で仲良くなった。
というか俺がぼっち説はある。グレイス、ケルとも話してるっぽい素振りあるし。
「キンゾイ、ツバナ」
「お、ご主人サマ。どうした、ツバナをボコってんのが気に食わねえか?」
「いや、存分にやってくれ。国が盗れるくらいの強さになってもらわないと困る」
「ヒュウ、白銀章持ちは言うことが物騒だ。……って、ん? どうしたよツバナ。そんな神妙な顔して」
ツバナは一心に俺を見ている。
察したのだろう。俺がどういうつもりなのか。
「……主よ。余計な気遣いは要らぬぞ」
「俺の所有物を俺が気遣って何が悪い。お前に拒否権はねーんだよ」
「あー、よくわからねーが、あんま虐めてやんなよご主人サマ? ツバナ、こんだけタッパでかいから勘違いするだろうが、中身は年頃の嬢ちゃんだぜ?」
「ええいうるさいわキンゾイ! ほれもう一戦じゃ!」
「はいはい」
なんか。
なんか、良い雰囲気だねそこ。
別に良いけどね。職場恋愛。本人たちが気まずくなって仕事効率落ちるとかじゃなきゃ、俺は全然認めるよ。
なんならキンゾイ君気付いてないけどその鬼姫超優良物件(曰く付き)だから、なんとかしてくっついてみたらいいんじゃないかな。俺はそういうのもアリだと思うよ。
「……気味悪ィ。自分の女盗られてあんな慈愛に満ちた目向けるかねフツー」
「キンゾイ、お主勘違いじゃよそれは。私は主の女ではないし、主は奴隷を分け隔てなく扱っておる。というより──眼中にない、が正しいように思うがの」
「流石は白銀章持ちサマ、ってか」
「そう卑屈になるでない。……キンゾイ。主とラムナザール四世との戦いは見たか?」
「いんや。そん時も奴隷商の檻の中だったよ」
「そうか。アレを見ていれば、卑屈さなど消えていたじゃろう。その気になれば、主は一夜で帝国を滅ぼし尽くせる」
「知ってるかツバナ。女も男も、好意がある相手に対しちゃ色眼鏡が付くんだ。つったって誇張し過ぎだよ。俺は他の白銀章持ちを知ってる。少なくともそいつらにゃ帝国を一晩で滅ぼすなんざ無理だ」
全部聞こえてるよー、とか思いながら、家の中に戻る。
ま。
人間関係さね。
このゲームの武具防具類は、シリーズというのが結構ある。奇跡剣シリーズとか楽章シリーズとか。
アンデッドキングのドロップアイテムである【終章】はその楽章シリーズの一つで、他にも【序章】、【断章】とかが存在するんだけど、逆にシリーズ無しの武具防具、というのが……なんて言ったらいいんだろうね。
曰く付きであることが多い、って言えばいいか。
「【血濡れのチェーンソー】……。まずチェーンソーがこの世界にあってねーだろ」
諸問題を抱えつつも回り始めたマイホームから出て、今ギルド。
今日スイはいないらしく、たまには俺も冒険者らしいことをするかぁ、と掲示板を視たら、幾つか「アイテムの鑑定依頼」というのがあったので一枚取ってみた。
取ったあとちゃんと後悔した。魔剣出てきたらどうしよう、って。
でもそんなことはなく。
「曾祖父の倉庫の片付けね。ま、追加サービスってところだが」
「申し訳ありません……まさか白銀章の方に来ていただけるとは思っておらず」
つまり低ランク冒険者ならこき使ってやろうって思ってたわけだ。
……善悪は人それぞれデェス。
「何か探し物があるのか?」
「はい。曾祖父が遺した【ケルディックの魔本】という本を探しています」
「魔本ね」
魔本。文字通りの存在だけど、魔物素材は使われていないのでとりあえず良し。
そんでもってみちゃいけないもの、とかでもない。ネクロノミコンみは確かに感じるけど違う。
すっげー簡単に言うと、レシピ書だ。それが合金レシピなのか料理レシピなのか調合レシピなのかは知らん。
ただ魔本は魔本というジャンルである、というだけでシリーズではなく、そしてシリーズではないからこそどーせエグいレシピ載ってんだろうなぁ、という想像。ケルディック……という名前に聞き覚えはない。
「ちなみに、何故今になって捜索を? 曾祖父ともなれば、先代先々代と探す機会はあっただろうに」
「先日、父が亡くなってしまって。本来私が父よりその技術や餌の調合材料を口伝の形で教わる予定だったのですが、それができなくなってしまった今、元の魔本を探す他なくなった次第です」
「成程」
口伝系だと、原本探しても途中で変わった所リセットされてて結局技術は途絶える結果になりそーだけどな、とか思いつつ、サーチで探していく。
この曾祖父とやら、すげー武器ため込んでんな。なお、すげー武器をため込んでいるのではなく武器をすげーため込んでいるという意味である。
先程の【血濡れのチェーンソー】だって、多分他の大陸から持ってきたものだろうけど、一回でも使ったのかね。
「これは、目的の本以外はどうする気なんだ?」
「ギルドに売って処分としようかと……」
「なら今俺が金貨100枚で買っても問題はないか?」
「ひゃ……え!? そ、それは、そんなにも価値があるものが眠っていたということですか!?」
「いや、ものが多すぎて面倒だから、一度インベ……アイテムボックスに全てを入れて、そこから【ケルディックの魔本】だけを取り出そうかと」
インベの検索はできるし。
それが一番効率良い。
「そ、そんな手法が」
「どうする? ああ、この白銀章に誓って言うが、この倉庫の中身全部売り払っても金貨50枚にも届かんぞ」
マジで珍しいだけのガラクタしかないし。
俺の倉庫の肥やしにはなるが、俺も持ってるのばっかだし。
「……ではそれでお願いします」
「ああ。では先に金貨100枚と」
倉庫そのものをインベにしまう……のは無理判定出たので、目に付いたもの全部インベにいれて行く。さながら掃除機のように。
完全に倉庫から物がなくなったのを確認し、インベントリ検索。【ケルディックの魔本】。ヒット二件。あ、俺も持ってたんだ。
「これで合っているか?」
「中身を検めさせてもらってもいいですか?」
「無論だ」
ペラペラと紙の捲られる音が響く。
……紙?
そんな高価なもの、曾祖父の代に?
「──確かにこれです。古いものではありますが、ケルディックの源流で間違いありません!」
「そうか。一応聞いておくのだが、ケルディックとはなんだ? ああ機密であれば構わんが」
「ああ、ご説明していませんでしたね。ケルディックというのは畜産技術の開発者の名なんです! あちら、見えますか? あの山一帯は私共の所有地でして、あそこの牧場にいる家畜から布や紙を作る技術を開発し、さらにそれら家畜を交配する方法まで編み出した天才なんですよ。曾祖父はそんな天才の弟子で──」
興味本位で弓兵スキル:千里眼を使ったのがマズかった。
いや、今回はエグくない。グロくない。
単純に──エロい。
裸の少女や美女達が四つん這いで放牧されていたり、搾乳されていたり、種付けされていたり。
あー。勃つー。あとでグレイスだなこれは。
ああいうのも、成程。人間牧場的に見えるんだなぁ。
毛刈りも、なんか髪の毛切ってるだけに見えるからグロくなくてGOOD.
搾乳は言わずもがなである。
「というわけです。ああ、話し過ぎましたね。ヴェルグ殿、これが完了証明書です」
「ああ、確かに」
うん。ああいうエロは、良いな。
最後には屠殺が待っていると考えたりするのはやめておこう。さぁこれをギルドに提出して、報酬貰って今日の仕事終わり。
……牧場か。
ちょっと、うん。今度見学とか行ってみようかなとか。うん。ね?