アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
現世に戻った俺達は、当然だけど全く知らない場所にいたので、色々な面倒くささを考慮して皇妃様の屈服の呪いを解除し、そこからホームポイント帰還を選択。
外にいたかもしれない奴隷たちもみんなこぞっての帰還になっちゃうけど許してネ。
……ケルだけホームポイント帰還できないのはちょっと問題なので、ホームポイント帰還の設定方法をケルに教えて置く、か? 使えるかどうかはわからんが。
とにかく、である。
「ようやく、面と向かって、話せますね」
「うん! アウラニち、今までごめんね。ずっと気を遣わせちゃって。でももう大丈夫だから!」
「ええ。凄い、とても強い、力を、シーファさんから、感じます」
「ふふん! そう、とても強くなったのだー!」
仲良きことはなんとやら。
階位の上がったシーファはアウラニと接しても……面と向かっていてもなんともないようで、痛がる様子も苦しがる様子もない。強がりではないことは眷属メニューから確認済み。
「ああシーファ。今回お前にやったことは秘中の秘だ。絶対漏らすなよ」
「わかってる。まぁ真似なんかできないだろうけど、すごいことしたのは理解してるし」
「それと、触れるようになったからってアウラニを襲ったりするなよ」
「へ? ……私、ソッチの趣味あんまりないよ?」
「ん? 気付いてないのか? アウラニは天使だから」
「主様、そういう話は、私はあまり、好みません」
へぇ、珍しい。アダルトMODの環境下で下ネタ嫌いな奴、大聖堂のあのツンデレだけかと思ってたのに。
やっぱちゃんといるんだな。
「すまんすまん。まぁ種族が変わってるからシーファの異常性欲も消えてる可能性あるし、大丈夫だろ」
「え、アウラニち、もしかして──生えてるの!?」
「……」
「……」
今の話聞いてた?
「そういえば聞いたことあるのぅ。天使というのは両性具有で、男にも女にもなれると」
「成長段階でどっちになるか決める、って聞いてたけど、違うんだ。どっちもあるんだ。学んだ」
「皆さま、アウラニ様がそろそろ恥ずかしさで死んでしまいそうですので、そのあたりで。シーファ様もあまり見つめませんように」
「いや──ごめんアウラニち! 私超気になる! 今度ヤろう!!!」
「話を──聞いて──いましたか?」
「それでも好奇心が勝る!!!!」
アウラニのアルカイックスマイルに一切負けないシーファ。いいぞ、どっちが勝っても俺には関係ないし。ただ魔族って生殖機能あるんだろうか。流石に天使と人間のハーフと魔族のハーフはエゲつなそうだから、本当にヤるならアウラニに吸収無効オーラだけでも覚えさせないとだな。
「それよりヴェルグ。今日の午前中にリアが来てたよ」
「ああ、そりゃすまんことをしたな」
「うん。だから後で向かわせるって言っちゃったから、行ってきて」
「そこでそう言っちゃうのがケルだよな。……あー、じゃあそうだな。今回はメアリーを連れて行くか」
「はい? 私ですか?」
「ああ。ちょいと色々試したいことがあるんでな。ケル、あそこの喧嘩してんだかじゃれてんだかわかんないのの面倒頼む」
「はぁい」
リアか。
全く、伝言でも残して置けばいいのに、何故何も言わんのかね。
……なんて口に出した日には、「お前が言うか!」の大合唱だろうから言わないけど。
メアリーに「少し寄りたい場所があるのですが、よろしいでしょうか」と言われたので了承を返したのがマズかった。
市場──。
俺が一番苦手な場所。から、ちょっとだけ離れた場所。
「如何でしょうか、ご主人様」
「……」
「私、このメイド服一着しか持っておりませんので、私服が欲しかったのです。どうでしょう、こちらなどはミノタウロスの皮をすべて使ったうえでこのデザイン。感服ですね」
「……」
「ご主人様?」
メアリーにもちゃんと説明してある。俺が魔族斬れないこととか、魔族の素材見れない事とか。
その上でこれは、嫌がらせか?
「ご主人様。騙されたと思ってこちらを見てみてください」
「……」
「お願いいたします」
覚悟を決めるか。
そんな単純な嫌がらせ、メアリーがするとは……思えるんだよな。そういうキャラだし。
でもずっと後ろ向いてんのも悪いから。
「……ん?」
「如何でしょう。こちらがセイレーンの生皮を用いた、少しアダルトでセクシーさの溢れるシースルードレス。こちらはミノタウロスの皮を使った実用的且つセンスの光るバトルスーツ」
「……」
「それとも──ご主人様の目には、どちらもいつも通りのメイド服に映りますか?」
「……何が言いたい?」
そうだ。その通りだった。
コイツを奴隷商のとこで買った時もそうだったし、いつも家にいる時もそうだったけど。
んでもし、今……どちらかの服を試着しているとしたら。
俺にはそれが見えない。
いやでもおかしい。アダルトMOD入れた時のメアリーはちゃんと全裸になっていた。ゲームの時は。
こんな、ずっとメイド服、なんてことはないはずだ。
「やはり。成程、やはり、ですね」
「メアリー。主人に隠し事はよせ。眷属の呪いかけるぞ」
「おっと、からかいが過ぎましたか。ええと、では」
突然メアリーのメイド服がぐずりと崩れる。いやどろりと、でもいい。
とにかく、絵の具に水をかけたようにメイド服が解けて行き──そこには、全裸の少女の皮を全身に張り付けたメアリーがいた。
咄嗟に顔を逸らす。
「何をした」
「お気づきかとは思いますが、私は少々特殊な種族でして。"魂を着飾ることができる"のです。これにより普段はメイドでいようと、メイドで在らんとしているため、私の魂は常にメイド服を纏っております。たとえ奴隷として全裸に剥かれようと、こうして私服を着ておしゃれを楽しもうと」
「……ああ、俺がスライムのコア見えなかったのを怪しんでたのか」
「簡単に言えばそうです。はい、メイド服になったのでもう見て問題ありませんよ」
「いや、そっちを向くと商品が目に入る。欲しい服決めたらとっとと買って店出て来い」
「ちなみに予算額は」
「この店の一番高い服でも構わん。お前がそれを着る気があるならな」
「では、こちらのセイレーンの服と、スリーピーシープの寝間着を買わせていただきます」
「ああ」
魂、ね。
じゃあ何? アダルトMODで見えてる姿はソイツの魂の姿ってこと?
……あーでも確かに、スライムの時も、シーファの変身の時も……言われてみれば、か?
「買ってきました」
「そうか。……着替えないのか?」
「着替えてますよ。メイド服を脱いでないだけです」
「そうか。出来れば俺の前ではずっとそれでいてくれ」
「はい。これで皆様方より一つアドバンテージができましたね」
「別にお前俺を好いてないだろ。何張り合ってんだ」
「好きかどうかは関係ありません。自慢できるかどうか、です」
マウント厨か。
ツバナあたりが怒り狂いそう。あいつ、俺への好意云々じゃなくて、単純にマウント取られると怒るタイプだからこうかはばつぐんだ! なんだよな。
「それにしても、よく人とぶつかりませんね、ご主人様」
「目を瞑っているのに、ってか」
「はい。そんなに嫌ですか、魔物の素材を見るのは」
「ああ。比喩なく吐き気を催すよ。……俺は、本当に必要な時以外は見たくない。魔物の死体も、魔物の素材も、魔物が傷ついていく様も」
「買い食いはダメですか」
「あー。……目を瞑っててやるから、腹減ったなら買って来いよ。俺の分はいらんからな」
「はい。ちなみに買いに行くのはスクイッドのゲソ焼きです」
「説明するな」
絶対に嫌がらせだ。
……アダルトMOD入った状態の海洋魔物のグラフィックは全部覚えてる。何故ならアダルトMODの追加要素に「水着」があったから。いやさ、全裸もいいんだよ。CMNF的なエロがあるから。むしろそれ目的のアダルトMODだし。
でも水着も捨てがたいっていうか下着もいいよなっていう、この、ね!
「だから覚えてんだよな……」
「味を、ですか? やはり食べたいのでは」
「要らん。早く食え」
アダルトMODは、たとえば海洋魔物のように元グラの下半身が海に隠れちゃってるような魔物でも、全身モデルに仕立て上げ直してフィルタリングするようなMODだった。
だから余計に覚えている。何故か全体的にロリ調な海洋魔物たちがどんな姿を、どんな足をしていたのかを、ちゃんと。
「ちなみに私、スクイッド系魔物には少なからず因縁がありまして。美味しいのもそうですが、見つけたら速攻で仕留めて調理するくらいの因縁があります」
「そうか。勝手にやってろ俺のいないところで。……食ったら行くぞ」
「はい」
こいつなぁ。
有能なんだけど……性格がなぁ。
さて、帝国を出て森の中を突っ切ってエイルニルス公国を目指す。
森の中では相変わらずの食物連鎖が、生態系の一部が繰り広げられているけれど無視無視。ガン無視で進む。
「ところで、何故私をお連れに? こう言ってはなんですが、私は戦闘面ではあまり役に立ちませんよ?」
「知ってる」
「はあ。では尚更何故?」
「ちょいと会わせたい奴がいるだけだ」
「……? エイルニルス公国に知り合いなどはいなかったと思いますが……」
いや、ラクニシェルとメアリーを一緒のパーティに入れると、ちょっとしたイベントが起きるんだよな。
それが起きるのかどうか見たい。ラクニシェル別に俺のパーティってわけじゃないから一切関係ないのかもしれないけど、ただ見たさ一心で連れて来た。
「無言だと寂しいですね、ご主人様。そうですね、何か……楽しい話題をしましょう」
「構わんが」
「ではまず、率直に言って誰が好みですか? あの家の中で」
「顔と身体で別だな。あと性格」
「ではまず顔は」
「顔はツバナだろ。アイツ美人だし」
「ほう。では身体は?」
「アウラニかお前じゃね? あー、あとやりようによってはシーファ」
「性格は?」
「今んとこ微妙。全員ちょっと依存性高すぎて重い。ケルもアレ、サバサバしてるようにみせかけてるだけでかなり重い感情持ってるだろ。俺は割とさっぱりした関係が好きなんでね。ああそういう意味で言うとシーファか? アイツも別に恋愛感情でヤりたいヤりたい言ってるワケじゃないだろうし」
「成程。ご主人様、今の問いで一つ分かったことがあります」
「なんだ」
「案外ゲスいですね、ご主人様」
何を今更。
「キンゾイにも言われたことだけど、性処理用に女買った時点で当たり前だろ。あの時は"奴隷を等しく扱ってるだけ"とか言ったけどな、目に見えて家事も出来ない戦闘も出来ない奴買っておいて"何もできないから性処理に使ってる"なんて後付けも良い所だろ」
「それにしては現在向かっているエイルニルス公国然り、シーファ様然り、ケル様やグレイス様、キンゾイ様のことを含めて、厄介ごとを持ってきてはそれを解決する方向に動いているように見えますが」
「お前、エイルニルス公国のことは情報出てないぞ。気を付けろ」
「これは失礼。それで、私が持つこの印象との違いはなんでしょうか」
なんかな。
極論過ぎんだよな。
「瀕死の奴救ってソイツ幸せにした奴は、変なフェチも持ってなけりゃ種族差別もしない、善人一辺倒の人間である──ってのはさぁ、人間の人格っつーか性格っつーか、そういうモンの多様性を全否定してるよな」
「ああ──成程。理解しました」
「長々説明しないで良いのは助かるよ」
良いことした奴が良いことしかしない、なんて法則はない。悪いことしてる奴だって気まぐれで良いことするだろうし、あるいは日常的にもしてるかもしれない。ゲスい考え持ってる俺が厄介ごと集めてそれを解決してたって何にも不思議じゃないんだよ。
人間に一貫性なんかないの。その場その場で判断下して生きる生き物なんだから。
「ただ……それは、その考え方は、
「……どういう意味だ?」
「長々説明しないで良いのは助かる、のでは? 私も同じことを思っていますよ、ご主人様」
……。
ああ、そうだ。この世界的じゃない。その通りだ。
だってこの世界、善人は善人だし、悪人は悪人……善人は善なる行動しかできない。悪人は悪なる行動しかできない。まるでそう定められているかのように、どれほどの不条理を相手にしても一貫性のある行動を取る。
キンゾイもそうだし、ノズヴェルガーもそうだろ。リアもケルもツバナも、恐らくはシーファとアウラニも。
「メアリー。俺はお前を買って良かったと思ってるが、お前はどうだ。もっと馬鹿な主人の方が良かったか?」
「それは例えば、勇気と気合だけで世界を揺るがしてしまうような熱血漢──とかですか?」
「いいや。悪を挫き弱きを助け、十人以上の女に囲まれても誰か一人を決め切れないような優柔不断男とかだ」
天使が通り過ぎる……という慣用句は実際に天使がいる世界だと使いづらいな。
「ご主人様がそうでなくてよかった、という答えを返しておきましょう」
「そうか。あまり好奇心だけで踏み込んでくれるな。敵だと思いたくなる」
「思いたくないのですか?」
「俺はとっくにお前を身内認定してるよ。お前が嫌ならすぐにでも屈服の呪い解いて逃がすがね」
「いえ、それはダメですね。あの家にはまだまだお世話し足りない方々が多くいますので」
「それじゃあ余計な事言うなよ……」
「ふふふ、申し訳ございません。沈黙に耐えられない性質でして」
ああ、ただ。
そうだな。
「さっきの例えで言うなら、お前はお前が思っているよりこの世界的だよ。それも善人側のな」
「……本気ですか?」
「種族がどれだけ邪でも結局は本人次第だろ。……っと、そろそろ着くぞ、エイルニルス公国」
きょとんと、あるいは唖然とした表情になったメアリーに満足して、森を抜ける。抜けきる。
そこはあの時の崖。
けれど眼下に広がる光景は、酷く美しいものだった。
「……初めて来ました。ここがエイルニルス公国。先日まで亡国とまで言われていた国……」
「ここのなぁ、エインドフルーツって果実が超美味いんだけどなぁ。滅亡で全部枯れ落ちちまったらしくて、俺はそれが超絶悔しい」
「どんな味なのですか?」
「いや味は知らないんだわこれが」
「はい?」
エインドフルーツが美味しいのは経験値的に、だから。
食べると経験値入るフルーツはアレだけだった。戦闘できないパーティメンバーに食わせてレベル上げてステータス底上げできるふしぎなフルーツなのである。
「んじゃメアリー、ほれ」
「……?」
「抱いてやるから来い。お前一人じゃこの崖降りれないだろ」
「ああ……ええ?」
「お前アレだよなー。会話の時の余裕感と、こういう戦闘とか危ないことに対しての焦燥感で結構ブレブレなんだよな。はい姫抱き期限終了。俵抱きに変更」
掴んで──崖を滑り降りる。いや前みたいに跳んで着弾はエグすぎるだろ。
「きゃ……~~~っ!」
「へぇ、可愛い声出るじゃないか。口抑えなくていいぞ、お前のそういう声聞くと俺の中にあるサド部分が満たされる」
「最低ですね!」
「お前の叫び声も初めて聞いたよ。いいぞ、もっと焦れ。なんならお手玉してやろうか。慣性の法則さんはばっちり理解してるから落としたりしないぞ」
「──あんまり揶揄ってくるとメイド服を脱ぎますが、よろしいでしょうか?」
「おっと、じゃあ休戦と行こう。お互いあんまり刺激しないように、な?」
「ええ、それがよろしいかと。……あのそれで、抱え方は変わらないのですか」
「変えても良いけど余計怖いんじゃね? まぁいいか、変えてやろう」
俵抱きの状態から姫抱きの状態にするには一度ふわっとする必要があるから余計怖いはずなんだけど、リクエストだから仕方ないよなァ!
「~~~っ! お──覚えていてくださいね。私はちゃんと報復する女なので……!」
その台詞、普通の奴が言ったら可愛いんだけど、メアリーが言うとちゃんと怖い。これくらいにしておこう。
……どうしよ。朝起きたら部屋の家具全部魔物素材になってたりしたら。こえー。
さて、エイルニルス公国の正門についてすぐ、とある再会があった。
凄くありがたいことに鉱石系の鎧を着てくれている、長身長髪の女性騎士だ。
「……ヴェルグ、殿でしょうか。まさか」
「ああ。リアに呼ばれたので来た。アイツはどこに?」
「宮殿にいますが……すぐに案内の兵を呼びます! 少々お待ちください!」
ああ、名前聞きそびれた。
それと、アンデッドだったからアダルトMODで女性化してるんじゃなくて、ちゃんと女性なのな。俺あのくらいの身長だとホントタイプなんだよなー。
だからケルとかちっちゃすぎて……いや良い子なのはわかってるんだけどさ。
「何やら恐れられていませんでしたか?」
「そりゃ怖いだろうな。俺がやったことって一見すると奇跡だけど、明らかやべーことしてるし」
滅亡した国をたった一回のスキル行使で蘇らせること。
それがどれだけのことか、って。
「成程。感謝と恐怖が綯交ぜになって、と」
「あとはまぁ、見た目もありそうだが。あの騎士結構でかかっただろ。でも俺の方がでかいだろ。でかい奴は自分よりでかいやつに恐怖を抱くモンだぜ」
「キンゾイ様とツバナ様、怖いですか?」
「全く」
一般論の話だよそんなもん。
しばらくして、さっきの長身長髪の騎士と、案内役の……人の皮をプレートアーマーに張り付けた奴が来た。……まぁ、だよね。うん……。ああ人の皮に見えるってだけだからね。多分魔物素材だからね。そんな猟奇国家じゃないよエイルニルス公国は。
「アンフェルミーナ姫の元にお連れいたします! ……失礼ですが、そちらの女性は?」
「初めまして。私はご主人様の性奴隷をしております、メアリー・スーという者です」
「……はっ! メアリー様ですね。ではヴェルグ様、メアリー様、こちらです!」
エイルニルス公国に奴隷制度はない。
だから一瞬固まってしまった案内役の男性も、けれど職務に忠実なのだろう、何も聞かずに案内を再開してくれた。
えーと屈服メニュー開いて、アダルトMOD追加分から色情魔化でいいかな。眷属メニューからだと対象指定までできるんだけど屈服だと弱いなー勝手に眷属の呪いかけようかなー。
「ぅ、ふぅ……っ!?」
「休戦するんだろう? そっちがその気ならこっちも本気で行くが」
「い……いえ。謝りますので、これ解除してくださいませんか」
「リアに会って、リアが絶対俺に色々言ってくるから、それに対して弁解したら解除するよ。便乗してなんか追加したらもっとすごいことをする」
「こ、こんな疼きをさせておいて、放置ですか……」
シーファ曰く、狂うかと思った、らしい。まぁ屈服の呪いの制御だからシーファがなったのの半分くらいだろ。ヘーキヘーキ。
賑やかなエイルニルス公国は、でもやっぱり賑やかなだけあって売られているものが売られているものなので、ほとんど目を瞑りながら歩く。
案内の人が話しかけてくることもなければ、メアリーは自分の身体を抑えるのに精いっぱい。
非常に穏やかな時間を過ごせた。
そうして。
「──申し訳ありません、ヴェルグ様……ヴェルグさん。ご足労いただく形となってしまって……あら? そちらの女性は誰ですの?」
「ふぅぅ、んっ……ぁあ、は、っぁ……!」
「らしい」
「いえ、誰ですの? あなた、聞いていまして?」
「は、はい。ええと……その。こ、この方はメアリー様です。ええと、ヴェルグ様の、せ、せ、性奴隷、らしく……その!」
「……」
「……」
感動があった。
今、俺とリアはアイコンタクトで通じ合ったのだ。俺が「俺が一般人相手にそんな紹介をすると思うか?」と言い、リアが「わかっていますわ……この方の暴走ですのね」と肩を竦め、「だからこのままにしておくのが一番良いと思うんだがどうだ?」と返し、リアも「わかりましたわ。ノータッチで行きますの」と。
このラリーが! あったのだ!
「それでは下がってくださいな。ヴェルグさんとメアリーさんとのお話は、私と……そうですわね、ラクニシェルがいれば十分ですから」
「は、はい! 失礼します!」
ほら! やっぱり通じてる!
ばたん、と扉が閉まって。
「事情は大体理解しましたが、この方が発情している理由にはなっていませんわ。ヴェルグさん、そこの椅子に座ってくださいます? それで……ラクニシェル。メアリーさんを椅子に縛り付けてくださいな」
「へ? ……いやまぁいいけど。んじゃー失礼するね、ドレスのお嬢さん」
「あ、あんまりキツく縛らないでください! い、色々……!」
どうやらリアは、随分と強かに育ったらしい。
話って何だろうね。あとイベント起きなかったね。
……ちなみにどんなイベントが起きるかって言うと、どっちか片方が何故かずっこけてキスする、っていうレズイベントなんだけど、ゴリマッチョ二人のそれではなくこの美女二人のそれをみたかったって言う俺のこの……。
ね?