アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
マスカルウィン帝国の皇妃の呪い。
かけているのは「禁じられた聖森」と呼ばれているメチャ強魔物の出てくるフィールドの奥の奥にいる魔女なんだけど、かけている理由が「私より美しいから」とかいう白雪姫もびっくりな類似理由なのである。あと立ち位置なんなら逆だろっていう。
魔女はそれはもう皺くちゃの老婆で、半アンデッド化しているせいで超絶グロい……んだけど、そこはアダルトMOD。多分いい感じの女性になっていることだろう。
問題は、呪いを解く方法が二つしかないこと。
一つはその魔女を殺すこと。シンプルイズベスト、炎属性武器と呪い耐性系ぶっこんで回復二積パーティとかでいけば結構簡単に殺せる。
無理だねー。今の俺が美女を殺せる気がしない。あと今仲間がいない。
じゃあもう一つの方しかなくなるんだけど……。
「……そなたが、スイの言っておった……医者、かの?」
「医術の心得のある旅人だ。医者が本業じゃない」
「そうか……じゃが、スイが私のもとへ
なお、皇妃の娘であるスイが何故ギルドマスターなんかをしているのかというと、既に第一から第三までの皇子がいて、彼らが皇位継承権を争う予定──ゲームではそこまで描かれなかった──なので自由なのである。
それで、ギルドマスター直々の依頼がこれで、呪いを解けで……あーのー。ねー?
いやねー?
ベッドに入ってる皇妃様、まずね。まず。アダルトMOD入ってるせいでドエロいのよね。結構歳行ってたはずなんだけど、美女だし。なぜか半裸だし。
……さっき二つしかないって言ったけど、実はもう一つある。
それは殺せばいいって簡単な話。殺すと呪いは解ける。そのあと復活させればいいんだけど、それだとクエストは進まない。当然だな。まぁだから除外した。
えーと。
だから、その、やりづらーい最後の手段がね。
「……何をするかは、聞いているか」
「いや。……じゃが、国中のどの医者も匙を投げた。お主は……」
「解呪は可能だ。だが方法に難がある」
「……金で解決することか?」
「プライドで解決する問題だ」
プライド。
皇妃としてのプライド。
そう。
「従属の呪い。それが今の皇妃様にかかってる呪いだ。これはまぁ、知ってるだろ。奴隷市場なんかでよく見る呪い。そこに魔女が弱体と毒を常に織り込んでるからアンタはそこまで弱ってる。それを、もっと強い呪いで上書きする。──屈服の呪い。皇妃様、アンタが俺に屈服し、身も心も明け渡すことでこの問題は解決する」
「そ……れは」
「リスク的に無理なのはわかっている。だが、呪いの上書きは初めに呪いをかけた者のレベ……技量を上回る必要がある。ざっと見た感じ、この国に俺より上の呪い師はいなかった」
だから本来は魔女を殺しに行く。その方が色々簡単なんだ。魔女のレベルは結構高いので、こんな序盤でそれを越えている、なんてのも中々できない話で。
ただし、一国の主の妃、夫のいる身である彼女がどこの馬の骨とも知らねえ奴に屈服ってのは……まー無理だろ。
国で討伐隊組んでもらって、禁じられた聖森の魔女を殺しに行ってもらうのが早いかなー。
「よい、じゃろう……その呪いを……私にかけておくれ」
「マ? ああいや、そうじゃなくて。……わかっているのか? 俺が悪意を持った存在なら……この国を裏側から操ることだって」
突然ミニマップに表れた赤点。バックスタブの類と見て、インベから取り出した【奇跡の命剣】で対応する。これあれね。一撃死するダメージ受けたらHP1残る奴。異世界転生したってわかった瞬間からこれショートカットにいれた。いや蘇生系スキルもいっぱいあるけど、まず死にたくないじゃん?
結構強めの衝撃が命剣にぶち当たる……が、三周目ステータス舐めんなってことで、弾き飛ばす。
「ふ、ふふ……流石は白銀章。戦場から身を引いていると聞いたが、余の一撃を受けて無傷! 加えてその余裕……」
「ラムナザール四世か。娘の進言とはいえ、流石に嫁が心配になったか?」
「良い態度だ。そして、問題ない! 弱き者が悪しき心で我が妃を操るのであれば余も問題視したが、余より強き者がそうするのであれば従う他ない! はっはっは、それに、お主にその気はないだろう?」
「……ない。ないが、アンタが現場に行けるなら話は変わる。俺も他者に屈服の呪いなんかかけたくはない。奥方の呪いをかけているのがどこの誰なのかを俺が教えるから、アンタがそれを潰しに行け。それで解決だ」
「ならば問おう、我が妻ミミカよ。この男に屈服し、今楽になることと、余の剣を信じて数日を待ち、そこで解放されること──どちらを望む!」
「無論──今の解放を」
ええええ。
えええええ。
そこは夫を信じてやれよ!
「というわけだ! それはそれとしてミミカに呪いをかけた者の居場所は教えろ。全軍を上げて潰しに行く」
「いやだから、そうすりゃ解決するって……」
「馬鹿を言え。一刻も早く苦しみから解放されたい、という想いにどんな偽りがある!」
……そりゃそうなんだけどさ。
まぁ、言われたからにはやるけども。
「後になって文句とか言うなよ。──呪詛スキル:屈服」
直後、巨大で禍々しい──揺らめき立つ影の特徴的な魔法陣が部屋の中を埋め尽くす。
魔法陣に描かれた線の一本一本がぐらりと鎌首をもたげ、蛇となり、皇妃の身体に群がっていく。皇妃の身体も皇妃の身体で蛇が巻き付いているのだけど、その大きさも存在感もまるで違う。
あまりにも簡単に、あまりにも容易にその元の蛇は噛み千切られ──魔法陣から生まれた方の大蛇が皇妃をぐじゅるぐじゅると縛り付け始める。
ちなみになぜか亀甲縛りみたいになっているんだけど、これはアダルトMOD関係なかったりする。元のゲームの仕様だ。
それがすぅ、と身体の中に消えて行って、同時に俺の前にインターフェースが。屈服の呪いの内容決める奴な。
いくつかの項目があって、さらにMOD分のエロ制御もあるんだけど、まぁその辺は一旦スルー。
全制限解除、体力継続回復、状態異常半減……くらいでいいか? そう、屈服の呪いは言わば人間に対するテイミングなので、こういうバフもできるのだ。項目の八割がデバフ系だけど。
「お……おお?」
「ま、結構長期間縛られていたんだ。リハビリは必要だろうが、余計なモンは排除しておいた。ラムナザール四世、これが地図だ。ここに魔女がいる。あとは頑張れ」
「おおお! 体が軽い! 呼吸も苦しくない!! ……解けた! 呪いが解けたぞ!」
飛び上がって起きて、ラムナザール四世に抱き着く皇妃様。
良いな。
こういうエグくない任務なら全然やるよ俺。白銀章として。
ただマジで魔物討伐だけ勘弁。調理とかも。
「ほいじゃま、俺はこの辺りで退散──ん?」
「待て待て待て待て。お主は恩人だ。余が恩人にもてなしもせずに返すと本気で思っているのか?」
「……パーティとかは要らん。そういうのは好かん。そもそも人前に出ること自体があまり好ましくない」
「ならば! せめて!」
あぶねえ、豪勢な夕食、とかだったらエッグいのが出てきてたはずだ。
それを回避できただけでも──。
「余が誇るこの城の大浴場に入っていけ!!」
なぬ?
かぽーん、という音は流石にならないものの、久方ぶりの温かい風呂にリラックスする。
いやぁ。
いやぁ、いいね。風呂は良い。マジでいい。
というか本当に帝国良いな。定住しようかな。
……なんて考えていたのがフラグだったのだろう。
ふと。
大浴場の扉が開いて、全裸の少女が入って来た。
溜め息。
「年頃の娘が男の湯浴みに入ってくるんじゃない」
「なんで?」
「なんでって……ああ」
アダルトMOD、確か風呂とかトイレの男女差を消してたっけアレ。そうそう、装備の男女差を無くすついでに、とかって……こまけーよ。そんなに細かいことできるなら触手用意してくれよ。
「助かった、ヴェルグ。あんなに元気なお母様を見たのは久しぶり」
「そうか」
「……ついては礼をする必要がある。大浴場の件はお父様からの礼。お母様からは近々褒賞金があるらしい。そして私からは──」
スイは。
浴槽にどっぷり浸かっている俺の──オムスコ様の上に。
えーと、戦士スキル:水中回避。
「……なんで」
「身体なぞ礼にならん」
あと、今の俺のオムスコ様はエグいので、ロリ枠であるスイに挿れると大変なことになると思う。
スイの好感度イベントのエロさはおせっせそのものではなくフェラの方だ。小さな口と小さな体を使って主人公のオムスコ様を扱く姿がエロい。挿入は多分痛そうが勝る。そういう癖の奴には刺さるんだろうけど、俺は血がマジで無理なんで。
「何なら礼になる?」
「何も要らん」
正直ぶっちゃけた話をすると、NPCから貰えるものも奪えるものも大体持ってる。あといないのはゲームやってた頃のパーティメンバーくらいだけど、三周目開始時点ではそもそもゼロだったからいなくて当然だし。
あとは。
ああ。
「……家は、いるか」
「家。住居?」
「ああ。何せ、今はずっと宿暮らしの身だ。皇妃様から出る金で家を買うことも考えたが……ギルドなら、何か曰く付きの家なんかを保有しているんじゃないか?」
「ん、ある。結構。明日内見いく?」
「そうさせてもらう」
あと、多分だけど。
俺……どれほど美女でも、美少女でも。
グロくなければ多分斬れる。だから──幽霊とか。
翌日。
ハルフィーポーションの運搬仕事を終えた俺は、ギルドに来ていた。
最近よく顔を見せるのに依頼を一つも受けて行かないからだろう、ちょいと奇異の目線で見られ始めた俺は、こそこそとギルドの片隅に身を寄せて彼女を待つ。
あと視線云々だけじゃなくてやっぱエグい。その、狩ってきた魔物の換金風景が。エグいグロい。それを見て勃ってる俺もエグい。
「ヴェルグ。お待たせ」
「ああ」
仙人スキル:無の境地まで使って気分を宥めていた俺にかかった声。当然スイのものなんだけど、何やら周囲が騒がしい。
そちらを見れば。
「……いつものローブはどうした? それにカルラも見えないが」
「いいの」
明らかに「プライベートですよ」って感じの服の……ローブからワンピースになった、あれだけ目深にかぶっていたフードも狐耳全裸少女もいないスイがそこにいた。
こーれ後で勘違いされます。つかラムナザール四世か皇妃様あたりに「既成事実作ってこい」とか吹き込まれてないかコレ。余計な真似を。
「行くか」
「うん」
噂の広まりやすいギルドに長居するのは危険と判断し、彼女を連れて外に出る。
相変わらずの……相変わらずの、白目を剝いた全裸少女たちが所狭しと売られている市場を抜けて、目的地へ直進する。見ない見ない。俺は何も見ていない。はいはいエグいエグい。
そうして辿り着いた場所は、それはもう「見るからに」な洋館だった。
これは出る。確信がある。
よって霊体特効のついた剣を取り出しておいて、と。
「スイはどうする? 中に入るか?」
「勿論。内見についていかないわけがない」
「わけがないことも無いと思うが、まぁいい。自分の身は自分で守れよ」
カルラと大鎌のないスイがどれだけ戦えるかは知らないけど、まぁなんとかなるだろう。最悪死んだら蘇生くらいはしてやる。それくらいの情はもう湧いてるからな。
では、出陣──!
エッグい。
「多いね、魔物」
「……」
案の定、洋館の中は魔物に溢れていた。ただしゾンビ系は居らず、全てが幽霊……霊体系。それはいいんだ。
問題なのは、幽霊が当然のように全裸美少女なのと。
「死んだときのままなのは、中々ッ!」
「ヴェルグ……もしかして魔物に同情してるの?」
「それなりにトラウマがあるんだ、こっちには!」
「そっか……じゃあ、やっぱり私も戦う」
首がねじれていたり、目が無かったり手が無かったり。
元の魔物が何なのかは微妙に分からないけど、腕一本無いのとかは鳥系かなー。羽もがれてる的な。腸飛び出てるのは、あー、ボアの系統か。マジでゾンビじゃなくてよかった。
幽霊だから霊体特効で切れば消える。それだけがマジで救い。
もう使命感ってレベルで切って斬って斬りまくる。じゃないと目が開けられん。グロいよー。
「カルラも大鎌も室内での戦闘には向かんだろう。──仕方がない、俺が本気を出す。スイ、魔法防御を最大にしていろ」
「え、う、うん」
ちまちま斬っていたらキリがなさそうなので、魔法に切り替えることにする。
魔法スキル:スーパーノヴァ:構造物無視。
地形や構造物に被害を与えずに、その場にいる存在全てを光でぶっ飛ばす大魔法。ちなみにラスボスはこれ二十発くらい耐える。
これにより、全裸幽霊たちがジュッと消えていく。ジュッとだ。
苦しんだりもがいたり断末魔を放ったりしない。霊体と闇属性には超効くからな、これからも使っていきたい所存。
ミニマップ上の赤点が完全消滅したのを確認し、背後を見る──と。
「……あ、ダメだったか」
神官スキル:死者蘇生。
黒炭の灰となってしまったスイに蘇生魔法をかける。すると、みるみるうちに灰がヒトの形を取り戻し──なぜか服も着せられた。この辺はアダルトMOD関係ない元のゲームの仕様だ。
いやしかし。
この程度でもダメか。スイって初期レベいくつだっけな。加入レベルそんな低くなかったと思うんだけど……死ぬのか。
パーティメンバーには攻撃魔法って当たらないから、ゲームの時は打ち放題だったんだけど、こうなってくると結構問題だなー。
「……ぅ? ぁ、れ……私」
「起きたか。体に異常はないか?」
「ないけど……私、なんで寝て……」
「霊体に催眠術でもかけられたんじゃないか? そういう自衛くらいしっかりしてくれ」
あびねー。
やっぱ蘇生系は禁忌、あるいはロストテクノロジーか。だよな、人間がそう簡単に生き返って堪るかって話だし。基本隠す方向で行こう。
うーん、聖女スキルが使えたら最高なんだけどな。あれNPC専用なんだよなー。聖女を仲間にして、聖女が使ってくれるスキルに広域浄化とかサンクチュアリとかがあって、アレがあればこんなレベル低いお化け屋敷一瞬なんだけど。
まぁまぁまぁまぁ、ないものねだりだ。帝国派閥に所属しちゃうと教会と手を組む未来あんま見えないからそこも微妙だし。
……待てよ?
アダルトMOD、男女差を無くしてくれているのなら……ワンチャン俺聖女スキル取得いけるか?
あとで神殿行ってみるのはアリよりのアリだな、コレ。
という感じで。
夢のマイホームを手に入れたのである!