アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
それを聞いても尚と、ノズヴェルガーに契約を解いてもらった。
その後ホームポイント帰還を選択。時間停止したケルとグノーシス、あと焼け焦げたままにしてあるガーリーも連れてマイホームに帰ってくれば。
「終わった……というわけではなさそうですね。そちらの半死人は?」
「重要参考人の一人だ。死なない程度に治癒して拘束しておいてくれ」
「かしこまりました。アウラニ様、ご協力願えますか?」
「わかりました」
時間停止したケル、シーファ、そしてグノーシスをそれぞれ離れた所に置き、シーファはツバナに完全に抑え込んでもらった状態で解除する。
「私は! 徹底的に戦う──え、あれ」
「すまん全部無駄になった。憎むなら王国暗部を憎め。ただ無駄に傷つけたことは謝る」
「……ツバナち、私でもわかるように説明が欲しいです」
「お主は餌だったんじゃよ。敵を引き摺り出すためのな。しかし敵はお主に気を取られなかったし、気を取られたのは別の組織じゃった。そんなところかの」
「ああ、正確な認識だ」
「ええと、じゃあケルちは殺されない、で、いいの?」
「それは今後次第だが、あんな風にサクッと殺す程人情が無いわけじゃないことは伝えておく」
お、来たか。
「すまんなラムナザール四世。ツゥを運んでもらって」
「なーにが後処理は任せただこの大雑把め。わざわざ剣に子供を刺す姿を見せる時点で後処理も何も考えておらんではないか! ……どうにかあの子供が悪人であることは周囲に伝えたが、それで収まる噂ではないぞヴェルグ殿」
「ああ、迷惑をかける。流石に厳しそうだったら俺はまた失踪するよ」
「……まぁ、それも良いのやもしれんな」
「ツゥ、こっちへ来い」
「はい」
ハルフィーさんとこでの運搬業は今のところマスト……彼女の乗って来た事業への大事な繋がりだから止める気はないにしても、ヴェルグとしての俺はもう雲隠れしてもいいんじゃないかって思って来てる。
ま、そんな話は後にして。
「アウラニ、連続で済まないが、この二人にも調停を頼む」
「わかり、ました」
「疲れたか? ……ああいや魔力か。今分配した。どうだ?」
「ありがとう、ございます」
天使スキルはすさまじい性能を誇るだけあって、消費MPがエグいっぽいからな。
その辺気を付けてやんないと。
んじゃ、準備は整ったかね。
時間停止を解く──。
最初に言葉を発したのは、ケルだった。
「……これは、なんで……運命の契りが」
「ああ、解除した。必要だったら後でもう一回契れ」
「……ヴェルグ。それにみんなと……ラムナザール四世? ……え?」
グノーシスとガーリーの名を呼ぶこと無く、周囲を見渡して。
ケルはその少女に気付く。
「……嘘」
「いいえ、嘘じゃないですよ。長い時を死者の国で過ごしましたが……帰ってきました」
「嘘だよ。……じゃないと、なんのためにグノーシスと契りを交わしたのかわかんなくなる」
おお。大正解か、これ。
ツゥを持ってきてなかったらこうなってなかっただろ。
「貴女の今の名前は、ケル、というのですね。私はこの方から、ツゥという名を貰いました」
「……ツゥ」
「はい、ケル」
そのまま二人の世界に入る少女らを余所に、これは都合が良いと──ずっと黙っているグノーシスに声をかける。
「グノーシス。お前に喋る気が無いのであれば問答無用で殺すが、答える気概が欠片でもあるのなら質問に答えろ。まず第一に、お前はケルに対し、ツゥを……いいや、
「……」
「オーケーだ」
首を、折る。
そして完全再生。
「っ……!?」
「問答無用で殺すと言ったはずだが。それで、どうなんだ?」
「……」
「そうか」
呪詛スキル:病毒:神経毒。アサシンスキル:神経毒。
「ぎ、ぃぃぃあ、がっ!?」
「ここからもう一度死ぬまでの間に心変わりしてくれることを願う」
「ぁ、ぎ……ぅ」
神官スキル:死者蘇生。
「っは、っはぁ、っはぁ……」
「ふむ、まぁ意思は固いか。じゃあこれを飲め」
無理矢理に飲ませるは、いつぞやのポーション。
ハルフィーさん特製、自白剤っつーか脳のリミッター馬鹿にしてなんでもかんでも喋っちゃう薬~。
ちなみに正確な効能がわかってからは販売停止している。ハルフィーさんの判断だ。偉いとだろうねが綯交ぜになった感情が湧いたことを覚えている。
「グノーシス。お前の目的はなんだ?」
「い……言うわけが、ないだろう。……特に君みたいな大人に、言うはずがない」
「大人は嫌いか?」
「大嫌いだ……僕の全てを奪う奴ら……」
「子供は?
「当たり前だろ……ああやって育てないと、どれだけ純粋な子供でも、いずれ汚い大人になる……純粋な子供で居させ続けるためには、ああするしかない」
……これは善悪の判断が難しいな。単純サイコパスか。
ま、判断する必要は特にないか。
「何故今になってケルを?」
「偶然市場で会った……あの子とは昔、誓いあったんだ……いずれこのクソみたいな世界を浄化し、子供達だけの楽園を作るって……」
「その時のケルは、
「そんなの関係ないさ! 誓いは本物だ。そして奇跡の再会を果たした今、運命の契りを交わすのも当然だった。お互いを確かめあって、愛し合って……あの子は自ら僕とキスをするほどに、僕を求めてくれている。僕もそれに答える必要がある!」
「
「ガーリーと一緒に身寄りのない子供達を引き取ったり集めたりして、育成をしていたよ……あのまま放置していれば餓死しかねなかった子供や、大人に良い様に使われそうになっていた子供。奴隷として売られていた子供もたくさん買った……たくさん買ったよ」
「だがケルを売ったのもお前だったと聞いているが」
「最初は仕方がなかったんだ。彼女を養う術が僕らには無かったし、何より事業には元手が必要だ。彼女は可愛いから、高く売れると思ってたよ。それで、仮に誰かが買ってしまっても、取り戻せばいい。簡単な話だ」
「そうか」
そうか。
「らしいが、ケル。それでもまだこいつと運命の契りを結びたいか?」
「!」
十分に聞こえる距離にいた。
ハルフィーポーションで前後不覚になって正常な判断ができなくなっていただけだ。やべー薬過ぎるだろ。しかも服用者じゃなくてもセックスしただけで相手に効果移るとかエグい薬にも程がある。
「……ケル。私との思い出話よりも先に、為すべきことがあるようです」
「……うん。ちょっと、行ってくる」
「はい」
空気を読んだアウラニがケルの調停を解く。そしてゆっくりと……俺とグノーシスに近づいてくるケル。
彼女は。
──思いっきり、グノーシス少年の顔を蹴り飛ばす。ただ調停で動かないので、続け様に彼の股間のポークビッツをも。
「っ~~!?」
「子供のための楽園。初めてその構想を聞いた時は、賛同した。あの施設が要らなくなるようにとか、子供がもう悲しい想いをしないようにとか。……確かに私はあなたに心も体も許した。抱いた理想郷が、私も目指していいと、そう思える場所だったから。だけど……、……。……ううん、もういい。ヴェルグ、私はツゥと話をしたい。こんなのもうどうでもいい」
「了解した」
ツゥのもとへ歩いていくケル。一応確認すると、ミニマップの表示は青点に戻っている。
ってことで。
「グノーシス。最後に質問だ。そんな風に誓い合った仲であるケルに、何故自爆の呪いなど仕掛けた?」
「ぅ、ぅうう……は、はぁ? そんなの……仕掛けるワケ、ないだろ……」
「じゃあお前の言う"純粋な子供達"から記憶や知識を奪った理由は?」
「さっきから何の話を……僕らの作る楽園に、そんな邪なものは要らない! 呪いなんて以ての外だ!」
直後、爆発音が響く。三回……距離と方向からして、これはさっきの捨て駒か?
それ以外にも……外だ。帝国の外のどこか。これは。
「……ヒ。ヒヒヒヒ! そうだ! そうさ! 俺様だよ! 俺様がすべて操ってたんだ! グノーシスも、そっちのチビも! 簡単だったぜぇ? グノーシスの夢を叶えるために必要な犠牲を説いた後、チビが元から持ってた不満を増幅させて反転させてやれば、人間の感情程度コロっと転がせる!」
おお、縛るまでもなく吐いてくれた。ラッキーだな。MP使わなくて済む。
しかし感情の増幅と反転。これも知らんスキルだな。
「おっと俺を殺すなよ馬鹿共! ヒヒヒ、俺を殺せばその瞬間帝国中に放った子供たちがドーンだ! 今みたいに、"純粋な子供"を含む全員がな! 別にそのチビだけに仕掛けてたわけじゃねぇのさ! ラムナザール四世、アンタにも言ってるぜ。アンタの城の、アンタの嫁の側仕え。そいつらの中にも"純粋な子供"がいる! アンタの娘の元にもなぁ!」
「ふむ。助力を請えるか、ヴェルグ殿」
「じゃあさっきの俺の後処理でチャラな」
「構わん。尽力する」
取り出しますは俺の身の丈よりも長い杖──久遠の終楽章という装備。【楽章】シリーズ武器の最終章にあたる。
豪華絢爛な宝石がついているわけでも、高位魔物の素材が使われているわけでもないソレは、けれどそこにあるだけで異彩な空気を放つ。
効果は戴冠の杖と似たようなものだ。
「アウラニ、メアリー。魔力回復の準備を頼む」
「はい」
「できるとお伝えした覚えがないのですが……わかりました」
そうだ。
本来はこうやってNPCに指示を出してパーティプレイするゲームだからな、これ。
「次元スキル:時間停止:消費MPALL──止まれ、停まれ、世界よ留まれ。時を掴む杖の名のもと、凍てつけ時よ、世界よ凍れ!」
「天使スキル、聖気譲渡」
「怪異スキル、魔力譲渡」
一瞬落ちかけた意識は、けれど二人からの供給によって保たれる。俺もすぐに瞑想を使って回復。
「いいぞ」
「感謝する」
「おい聞いてんのかって──あ?」
一刀両断とはまさにこのことだろう。刀じゃないが。
ガーリーは、ラムナザール四世の剣によって両断され──死んだ。絶命した。
走る魔力反応。それは各地に向かわんとし──けれどこの家の外に出ようとした瞬間に固まる。残念、そっから先は時間が止まってるから壁になってんだわ。
エリクシールを飲む。
よーし。
「おや、今何か最高級に希少なものをなんでもないかのようにがぶ飲みする姿が見えたような」
「気のせいでは、ないでしょうか?」
「アウラニ様がそう言うのであればそうなのでしょうね」
いいんだよエリクシールなんかいっぱいあんだから。
勿体ぶる方がどうかしてるってくらいあんだから。
「ラムナザール四世、グノーシスの処断も任せる。俺は今からこの呪いの先にいる奴ら全員に消滅の呪いをかけてすぐに解除して、自爆の呪いを解いて回る作業をせにゃならん」
「何から何まですまぬな」
「見知らぬ誰かにゃ興味の無い俺だが、流石に帝国全土で爆発はエグい。知り合いが巻き込まれる可能性も捨てきれん。それだけだ」
「ああ、それで……それだけで構わぬ。礼を言う」
んじゃ速攻終わらせるぞ。
この規模の時間停止だ、後々ファントムが出てきて「やり過ぎだよ流石にズレがヤバいって~」とか言われそうだし。言われた所で「反省してる。すまん」くらいしか出て来ないけど。
なんにせよ。
良かったよ、ケルが本心から俺に敵対して無くて。
ちゃんと。
ちゃんと──安堵している自分がいる。これは愛恋じゃないがな、ノズヴェルガー。どうやら"必要"はちゃんとすぐそばにいたらしいぞ。
その後のお話。
グノーシスは処刑ではなく幽閉となった。
ガーリーはあの場で処刑。誰も治癒しないし蘇生もしない。自白剤ポーションによってだろうけど、グノーシスからも罵詈雑言を吐かれていたガーリーは、その後骨も残さず消し炭にされたとか。
ただし遺灰は残してある。まぁ、最悪の場合の保険ってな。
また、自爆の呪いがかけられていた……つまり新生
ガーリーの使っていた謎のスキルについては研究院──レジーナとは別の部門──が調べるとのことで、ここもグノーシスへの研究に関わるとかなんとか。
ま、奴らの話はこの辺でいいだろう。
俺達の話をしよう。
俺達は今、元
「……リザに魔物の供養方法を聞いちゃいるんだがな、一度会話をした仲だ。そこにいないと知っていても、墓くらい建てさせてくれ」
手を合わせる。
嫌な思い出しかないはずのここに来たいと言い出したのはケルとツゥ。たとえそうだとしても、巡りたいとかなんとか。
だから一旦別行動にして、俺は今ミラージュオウルの墓を建てているわけだが。
「あのさ、フレースヴェルグ。流石に今回のはやり過ぎじゃない? 帝国全土規模は流石にズレがヤバイって」
「お前想定通りの事言うの好きだな」
「あ、やっぱり想定してた? ボクもこのセリフ待ちかな~って思って慎重に言葉選んだんだよね」
突然どっかに身体が飛ばされて、目の前にいたのが全裸包帯女。
「いいだろ。今回の件はそこそこ"ストーリー性"もあっただろうし」
「それはね! 結構面白かったし、結構好きだった。黒幕二人がちょっと小物過ぎたのが難点だけどね。ボクが介入してたら、もっと悪役らしい奴を配置してたのに。ダメだよねーこの世界の人間って、こう、カタルシスってものを知らないよね。胸糞悪い展開、手に汗握るような展開。その後に胸のすくような展開……だけど、悪役がもっと悪役してて、動機や理由がもっと憎たらしくて吐き気を催すようなものでないと、消化不良で終わっちゃうんだ。そこがまったくわかってない! ホント嘆かわしい!」
「もうその話終わりでいいよ。あ、そういやヴァネッサはお前の仕業か?」
「あ、うん。でもごめん、精霊にはとことん嫌われててさ。あいつら上手く操作を受け付けてくれないから面倒になって、途中で放棄しちゃった」
「俺も面倒になって途中で諦めて彼方に飛ばした」
「ワオ、ボク達通じ合ってるぅ!」
いや精霊は面倒だよ。ちゃんと。
「で、そんだけか。そんだけのために繰り込み使ったのか?」
「いやいやまさか。ちゃんと言うことあってだよ」
「じゃあ早く言ってくれ。俺別にお前の事好きじゃないからどんどん興味が薄れてくんだよ。ダルくなってくる」
「流石だねフレースヴェルグ。面と向かってる相手にそういうこと言える人間中々いないよ」
「褒め言葉か? ありがとうな」
「君の仲間や君の奴隷の子たち、よくこんなのに好意を持てるよねぇ」
同意する。
そうなんだよなぁ。"ストーリー性"の部分以外ではコイツとかなり気が合うんだよな。サバサバしてるとことか、一人に入れ込み過ぎないとことか。
「君が疑問に思っている事を一つ答えておこうと思ってさ」
「俺が?」
「うん。──君はフレースヴェルグだ。だけど、魔族大陸には
……オイオイオイオイ。
「マジか」
「マジマジ」
「マジかー。じゃあちゃんといるんだな。失踪した最強の騎士団長フレースヴェルグってのは」
「完全に魔族になってるけどいるよ。いやボクも調べたんだよ。この速さで繰り込み覚えてるのは流石におかしくない? ってさ。そしたらちゃんとボクと同列くらいのフレースヴェルグが魔族になっててさ、いやあの時は驚いたよね」
俺も今超びっくりしてる。
だとすると、王国暗部と顔合わせたのマジ面倒だな。
「で、君誰なワケ? フレースヴェルグではあるんだよね?」
「俺はヴェルグだ。フレースヴェルグじゃない」
「いやいや偽名の話なんかどうでもよくってさ。明らかに今のボクやフレースヴェルグ、ううん、現行生物のあらゆるものより強い君は、一体なんなの?」
「……うーん。なんなの、って言われると……なんなんだろうなぁ」
「うーんこの適当人間感はほんっとうにフレースヴェルグなんだけど。……もしかして時間軸が違うとか? フレースヴェルグの未来の姿?」
「そんな歳行ってるように見えるか?」
「いや全然」
うーん。
この話、実はあるのか?
「あーっとだな、ファントム。俺は確かに今のお前より強いし、ドゥームスなんか片手で倒せるんだけど、だからといって手を出すつもりはない」
「ふんふん」
「魔族化したフレースヴェルグにも興味はない……が、芽吹きの方には少しばかり興味がある」
「へぇ?」
「というか多分、お前を倒すことになるのはその芽吹きの方だ。俺も魔族のフレースヴェルグも、お前をどうこうするつもりはないんじゃないか。魔族化した時点で意思とか無さそうだし」
ハードルガン上げですまないが。
それだけのポテンシャルがあると信じているぞ、未来の主人公君。
「……いいね! いいよ、ボクを倒す存在か。しかも君のお墨付き。ならボクはまた、新しい物語を用意して待っていることにしよう」
「それがいい。あぁあと、一つ頼みがあるんだが」
「頼み? 君がボクに?」
「一回でいい。これ着てみてくれないか」
言いながら渡すのは、天女の羽衣。何の効果も無い装備だけど、アダルトMODの追加アイテムで唯一乳首や局部が隠れている衣装だ。
「??? ……着たけど」
「おお。それでいこう! それやるわ!」
「え、あ、うん。ありがとう?」
おお。
隠れた! 全裸包帯女に、羽衣が追加された! これでシリアスシーンがシリアスシーンになる! ちゃんと! これは快挙だ!!
「そんじゃあな、ファントム。次から俺と対面する時はそれ着てくれ。紛失したら新しいのやる」
「あ、ありがとう?」
「おう!」
ファントム、アダルトMOD導入前は性別の無いナニカだったけど、まぁ天女ってついてても着れるのがアダルトMODの良い所!
いやホント、シリアスシーンでフェチズム全開の恰好じゃなくなってくれるだけでホントありがたいからな。……銀髪右目隠れ青目全裸包帯に羽衣、局部だけ隠れている、がフェチズム全開じゃないかどうかは、まぁ知らんが。
ぐん、と世界が戻る。
「ヴェルグ」
「ヴェルグさん」
「ん、もういいのか?」
「うん。みんなとも、お別れの挨拶してきたから」
「はい。ようやく私達はここを離れられます」
そうか。
なら、最後の質問をしなけりゃならんな。
剣を抜いて、ツゥに突き付ける。
「ツゥ。もう一度聞くぞ。──このままケルと共に生きたいか? それとも、摂理に従い、ここに骨を埋めたいか?」
「ヴェルグ!? 何を」
「生きたいです。たとえ摂理に逆らっていても、私の心はケルと共に在ります。……判断材料は、十分でした」
「そうか」
んじゃ、決まりだな。
「ケル、近い内に家買ってやるから、そっち住めよ。ツゥと一緒に」
「……」
「……」
「……ん? どうした?」
はぁ、これだから。
みたいな仕草だな。いやだって、お前からの俺への好意って、昔誓い合ったやつとのセックスの前に散るようなものだったんじゃねーの?
「実際俺は少し失踪しようかって迷ってんだ。ハルフィーさんとこの仕事だけ熟してな。ああそう考えると、あの家はお前を家主にした方がいいかもしれん」
「言っておくけど、ヴェルグ」
強いトーンで。
「私はまだ、ヴェルグの隣を諦めるつもりないから」
「……いやすまん、結婚するにはちょっとちっこすぎてな……」
「アサシンスキル:投擲……効かないか」
「あら? ケル、もしかして貴女、房中術を習わなかったの?」
「なにそれ」
「……そこも含めてグノーシスのお気に入りだったのかもね。でも、必要になったみたいだから、私が教えてあげます」
なんか怖い話してないか、あそこ。
あと効かないとはいえ俺のオティヌティヌ様に石を投げつけるのはやめてくれ。画が痛い。
「とりあえず諸々は後だ。帰るぞ」
二人とも、帰る場所ができたんだからさ。
あと晴れたし。晴らしたんだけど。
シーファは怒っていた。それはもう怒っていた。
敵を騙すにはまず味方から作戦は一応理解した。だけど結局意味なくて、結局なんかピエロになってて、その辺がとても不満で。
だから、もうなりふり構わず襲うことを決意した。
「……なんだシーファ。俺はもう寝るんだが」
「この際動かなくてもいいから騎乗位させて!」
「……ああ、そんなに溜まってんの? なんだ、アウラニは結局ヤらせてくれなかったのか?」
「ヤ……らせてくれるって約束は取り付けたけど、まだで」
「……まぁいいよ。一応魔素耐性上げるから、そっちももうちょっとでっかくなってくれ」
「ホントに!?」
なんだかあっさりすんなり通った希望に、今までの怒りなんかふっと忘れてシーファは喜ぶ。
喜び、ご希望通りの、元のシーファより結構大人な、それでいて扇情的な……グレイスを思わせるくらいの年齢になる。
「おお、いいぞ。胸はもう少し小さくて良い。奇乳超乳にはあまり憧れが無いんだ。尻はもう少し太めで、ああくびれはそんなになくて良い。折れそうなのを見ると心配が勝るんでな」
「うんうん、うんうん」
「で、普通にセックスでいいのか? それとも物扱いがいいんだったか?」
──究極の選択だった。
でもどちらかしか選べないのなら、決まっている。
「物扱いで!!!」
「いいだろう。んじゃ、アサシンスキル:サイレンス。アサシンスキル:弛緩。呪詛スキル:眷属:行動制限:完全。呪詛スキル:眷属:色情魔化。呪詛スキル:眷属:硬直。呪詛スキル:視界制限。神官スキル:遮断」
ヴェルグが遮断まで使った。さらにはその前の呪いの数々。
シーファのわくわくは最高潮に達した。
「よいしょ」
もう喋ることもできなくなったシーファの胸をむんずと掴んで、自分のベッドに引き入れるヴェルグ。ぐでんとした身体に力はなく、ドールよりも軟体化したその身を乱暴に位置調整し。
そのまま、何の合図も無しに挿入。
ヴェルグはシーファに覆いかぶさるようにして寝相を変え──。
眠りに就いた。
抗議の声を出そうにも身体が動かない。魔素も出せない。一応挿入はされているけど動きが無いから圧迫感があるだけ。自分で動くこともできない。あと本当に人間なのかと疑う程に身動ぎしないし息遣いも平坦。
抱きしめられているわけでもない。ただツッコまれて覆い被さられて、そのまま寝ているだけ。
これ物扱いっていうかただの無視では? シーファは怒った。
でも本気で何もできないまま全裸で抱かれているのはちょっと嬉しい。シーファは喜んだ。
そうしてそのまま、シーファの意識は──。
「はっ!?」
「よう、おはようシーファ」
「え……え! めくるめく物扱いの世界は!?」
「なんだよ、抱き枕扱いしてやっただろ。俺朝勃ちしねーからただ湿っただけであんまり心地よくなかったんだけど」
「え、なに!? もしかして私寝た!?」
「ぐーすかぴーすか寝てたよ。ああただ、すまん。アサシンスキルが思ったより強かったみたいでな。お前今体の感覚ないだろうけど、そりゃあもう大洪水だぞ」
指摘された通り、身体は動かせない。動かない。
ぐぎぎ、ともできないし、下半身が湿っていることも感じ取れない。
ただわかるのは、ヴェルグが既にシャワーを浴び終わったみたいな髪の毛をしていることと──。
「メアリーに掃除を頼んだから、まぁ安心しろ」
「メアリちに!? ……お願い! お願いご主人様それだけは許して! な、何をされるかわかったものじゃ」
「へえ、ならいいじゃん。相性良いんじゃねお前ら」
「メアリちは倫理観がゼロなんだよ!!」
この先に、シーファにとっての地獄が待ち受けているのだろう、ということだけだった。
次回、メアリーとシーファのエッグい虐め回──は始まりません。