※この作品はR-18です。

アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ   作:姫鼠まりあ

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動き出す天軍(G度中くらい)

「お前がその外法を知っていたことの方が驚きだが、知ってるよ」

 

 神官スキル:遮断。

 シーファとの会話はともかく、こっちは盗み聞きされると困るので結界を張る。

 

「施しては、いただけませんでしょうか」

「……理由は?」

「私は、シーファさんと、共にいたいと、そういう気持ちが、あります。けれど、先日、半覚醒とはいえ、覚醒を果たし……私の中の、天使である私が、とても、スッキリした気分になったことが、わかってしまいました。恐らく、私は、常から、このようにして、ストレスを、溜めていたものと、思われます」

「ま、だろうな。常時聖気を抑えるってだけでも大変だろうに、いつでも天使になれる年齢にもうなってるんだ。限界は近かっただろう」

 

 いつの日か、アウラニに「生えている」ことが知れた時の周囲のリアクション。

 天使は両性具有であり、成長でどっちになるか選べる……というのは、アウラニにとっては雌雄の話だけではないのだ。

 

 人間か、天使か。

 どちらになるか、もうそろそろ選ばなければならない。

 そしてどちらかになったが最後、もう選ばなかった方にはなれない。

 

「シーファさんのためにと、自分を抑えつけては、シーファさんが、悲しみます。けれど、抑えつけなければ、シーファさんとは、共に在れません」

「どちらにせよアイツは悲しみそうだが」

「そうかも、しれません。ですが、天使となって、一生話すことが、できないより……人間である私を、残して、天使となった方が、天使である私も、心が、軽くなります」

 

 あくまで自分本位だと、そう言いたいわけだ。

 

「その外法については知っているし可能だ。準備は必要だが」

「……私も、知っています。どんな準備が、必要なのかも」

「そうか。……やるならすぐにでもやるべきだ。限界を迎えてからでは遅い」

「はい。わかって、います」

 

 ただ。

 ただし、である。

 

 アウラニの言い分は尤もだが、それは第三者視点の話だ。

 彼女自身の目線に立てば、それがどれほどの外法なのかがわかるだろう。

 

 この外法を用いた時、彼女の意識は一度落ちる。

 そうして目を覚ました時、隣には自身がいる。寸分違わぬ記憶、人格、性格、思考を持つアウラニ本人が。この瞬間よりアウラニは天使だ。シーファには決して近づけない。たとえ彼女の種族階位が上がったとしても、一切関係なく蒸発させられるくらいの聖気を纏うはずだから。

 

 だから一刻も早く離れて、願うしかない。

 人間のアウラニが無事、シーファと再会し、その後幸せに暮らす、という結末を。──自身は天界の畔で孤独を味わいながら。

 

「……」

「なんだ、行かないのか? まぁ人間のお前が再会して事情を説明すれば、シーファは怒るか泣くかするだろうが、気持ちは伝えられるだろう。決心がつかないのなら、今から施術に取り掛かってもいい」

「……」

 

 永遠の別れ。口にするのは簡単だ。

 それに、それが死によるものであれば、どれほど割り切れずとも「前を向くしかない」という強制的な感情のシャットダウンによって分別がつけられる。

 だが、会おうと思えば会えてしまう──死別でない、ということが、どれほど苦しいか。会えば相手が死ぬ。だから会えない。会わずとも全く同じ気持ちの自分が彼女の側にいる。シーファの側にいて、シーファと幸福を掴む。

 それがどれほど、どれほど、どれほど。

 

「はぁ。あのな、俺にそういう甲斐性を期待しないでくれ。俺はそこまで、っつーか全然できた人間じゃない」

「いえ……別れの言葉を、」

「今俺は、シーファを魔族でなくする、魔素から切り離す方法を考えている」

「……っ!」

 

 その表情に込められた感情は、ああ、どんなものだろうな。

 いつも柔和なアウラニがする顔じゃないのだけは事実だ。

 

「残酷な……ことを、言うんですね、ヴェルグさん」

「期待させるな、ってか?」

「……だって、だって……もし、それが、できたら」

 

 そうだ。

 もしそれができたら。

 

 今選ばずに済む、のではなく。

 

「天使となった私も、シーファさんに、会いに行けると……そう、言うのですか?」

「何度も言うけど俺はそこまで頭良くないしできた人間じゃない。無理だと思えば諦める。できないことは言わない。だからまだ考え中だ。ただ、それでも……あー、だから」

 

 俺の口からそれを言うのは憚られる。

 けど。

 

()()()()()()()。いいかアウラニ。これは呪いの言葉となる。お前が天使となることで、天界や、世界中の、俺さえも行けないような場所にある手法。それをお前が見つけたら、カギを見つけたら」

「また、会える……」

 

 俺ができないことは言わない主義を掲げているのは、これが嫌だからだ。

 できないことをできると口にして、期待されたり、希望を持たれたりした時の、その後の絶望が嫌いだから、実現可能なことしか口にしない。

 

 だから決して、諦めない、とは言わない。それはあまりにも言葉として強い。

 まだ諦めていない。それだけだ。

 責任を取れるのはそこだけだ。

 

「……シーファさんに、お別れの言葉を、言ってきます」

「ああ。だが言葉は選べよ」

「ええ。お別れ……再会の約束を、してきます」

 

 左様なら(それでは)、また会いましょう、と。

 

 

 

 

 というわけで、俺とアウラニは今帝国や王国のある大陸でも、鬼の国のある大陸でも、魔族大陸でもない……一般に「秘境」とされるくらいの辺境にある大陸に来ている。

 

「どうだった?」

「泣かせて、しまいました。何度も、説明したのですが、ダメでした」

「そんなもんだろ、友人関係なんて」

「……ヴェルグさんに、友人関係を、慮る、心が……?」

「あのな、俺はお前たちが奴隷だからこういう態度を取ってるだけで、友人に対してはそこそこ人間らしいことするぞ。ノズヴェルガーとかリアとか」

「ケルさんや、スイさんは?」

「仲間と友人は違うだろ。スイはなんなら仕事仲間だし」

「……おかしな、線引き、ですね」

「今更だろ。そろそろ擦り過ぎだよ」

 

 この大陸には水が無い。

 日照り、旱魃ってレベルじゃない。雨が一切降らない上に川や湖がない。水源も水脈もない。

 サボテンの一本も立っていない──「赤土の陸地」と呼ばれる大陸。マップデザイナーが赤土テクスチャベターって塗っただけなんじゃないかってくらい何もない場所。

 ただ灼熱の恒星光線と、鋭い砂を運ぶ強風だけが吹き荒れる……無人の荒野。

 

「……この辺でいいか」

「そう、ですか? もう少し、奥へ、行かないと……巻き込んで、しまいませんか?」

「大丈夫だろ。威圧で周囲にいる魔物は全部追っ払ってるし。それでも付き纏って来てる奴がいたら、流石に俺も知らんよ」

「……わかり、ました。では」

 

 アウラニは……自ら、服を脱ぐ。

 それが邪魔になることを知っているから。

 服も、インナースーツもだ。だからアウラニがいつも隠したがっているイチモツもでんと出てくるし、着やせするからわかりづらいけど、結構デカめの胸もぼよんと飛び出す。ちなみにアウラニのふたなりはオティヌティヌの下にちゃんと穴があるタイプだ。何の情報なんだろうね。

 

「あの、そんなに、じっと、見ないでください」

「いや実際どうなってんのかなって。こっちはちゃんと子宮に繋がってて、こっちはちゃんと精巣があって……ってなってるんだろ?」

「ヴェルグ、さん」

「いいだろ他に人もいないんだし。そういやアウラニって性欲の発散はどっちで」

「天使スキル、光束招来」

 

 悪かったって。

 

 ……でもやっぱりふたなりは気になるよ俺は。

 

 

 気を取り直して、儀式の準備をしていく。

 

「塗るぞ」

「はい。……っう」

 

 事前に描いてきた陣の中心に全裸の彼女を乗せて、その身体に筆を使って色を塗っていく。黒と白、陰陽。当然性器にも塗ることになるが、流石にふざけ倒したあとなのでもうやめておく。ただアウラニの乳首とオティヌティヌとおぱんぽんに筆を滑らせたとき、ちゃんと艶めかしい声を出したことは明記しておく。あと鎖骨が弱い。

 

 さて、この黒と白。当然ただの絵具ではない。

 これは邪神崇拝の教団が作り出した特別なアイテムで、塗った対象の魂に深く侵食する。

 

 侵食する。だから、この黒白はアウラニの身体に取り込まれて行き。

 

「っ、ぁ、アアアアアアア!!」

 

 突然彼女悲鳴を上げた。普段の彼女からは想像もつかない大声を、喉の破れんばかりの大音量で叫ぶ。

 轟、と溢れ出るは聖気。今の一波でさえ、覚醒状態じゃないシーファが受けたら半身持っていかれるレベルの圧があった。

 

 仰向けになっている彼女の背に、大きな翼が明滅する。地面など関係なしに現れたり消えたりを繰り返すその翼は、周囲の空間をも歪めて溢れるように暴れまわる。

 

 それでもアウラニが動かないのは、俺がスキルと呪いで止めているからだ。

 今回コトにあたるに至って呪いを眷属の呪いにまで引き上げ、行動制限を強化した。じゃないと抑えつけられなかっただろうから。

 

「おーおー、まだ準備段階だっていうのに、めっちゃ力んでんな。もうバッキバキだぞバッキバキ」

「ヵ、ル──ク、チを、叩く、ヨユウ──が、ぁあ!」

「……今コレ扱いて射精させたら、分裂してもずっと射精したまんまとかになるのかな」

「ぶっと、バスゾ……この、変態……!」

 

 外面を取り繕う余裕がなくなってきてるな。

 普段の柔和な態度は、あくまで意識して不和を起こさないようにしてた結果ってわけだ。

 

 この儀式は心が浮き彫りになる。だからこの反応は正しいと言える。あ、この反応を見るために言ったのであって、揶揄いたかったとかそういうわけじゃないからな!

 

「もうちょっとだ、頑張れ」

「う、ゥウウウウ! アアァァアア!!」

「ちなみに今亀頭に触ったら怒るか?」

「ァァァァアアアアアッ!!」

 

 ありゃ、反応する余裕もないか。

 ま、文字通り身を引き裂かれる痛みらしいからな。ちょっとでも和らげてやろうというセクハラ……もとい軽口だったけど、これ以上は邪魔か。

 

 アウラニは叫ぶ。叫ぶ叫ぶ叫ぶ。

 実際に口から、恐らく喉からだろう血が噴き出しても関係ないと言わんばかりに叫びあげる。眼球は血走り、手や足は限界まで開いて、ギリギチと音を立てるにまで至って。

 

 そうして、収束する。

 

「最大主教スキル:完全再生」

「……ありがとう、ございます」

「おう」

 

 これで一段階目の準備は整った。

 今やったのは魂の分離。つまり、今までは完全に混ざり合った状態にあったアウラニの魂を、天使と人間のそれぞれに分けたのだ。

 そう、既にこの準備段階の時点で、アウラニには二つの魂が宿っていることとなる。

 

 よって次の準備は。

 

「んじゃ魂を育てるぞ。……ちゃんと覚悟しておけ。今の奴の数百倍エグいからな」

「はい……大丈夫。心の準備は、できてます」

 

 魂を育てる。今のアウラニの魂は、一人分のものを二つに分けた状態にある。だから人一人分の魂とは言えないのだ。

 それを無理矢理一人分に引き延ばす。時間をかけるやり方であるならば、レベル上げをしまくる、だけでもいいらしいんだけど、そんな時間ないから。

 

 格闘家スキル:霊衝拳で──アウラニの胸に手を突っ込む。

 

「行くぞ」

「はい。……──天使スキル、気絶耐性……準備、できました」

「痛覚軽減はいいのか?」

「痛みは、サイン、ですから」

「そうか」

 

 では。

 

「い──」

 

 それ以降は言葉としての形を為さない、音だけの叫び。

 痛みだ。痛いどころじゃないだろうけど。

 

 今何をしてるかって、殺して生き返らせてを連続でやっている。このゲームは、主人公が得た経験値をパーティメンバーに分配する、っていう基礎中の基礎みたいな機能を任意でON/OFFしたり、分配量まで操作したりができるんだけど、それをONにして、分配率を90%にして──アウラニを殺して経験値入れて生き返らせて殺して経験値入れて……という最悪の連鎖を行うことで、強制的なレベルアップを行う。

 これは資料館の知識だけど、経験値には取得相性みたいなのがあって、高位の種族、あるいは自身に近い、限界突破先の種族である、などの条件が重なると、高効率での経験値取得……通常の1.2xくらいの増加量が見込める、らしい。

 

 ただしこのレベリングにはいくらかのデメリットが存在する。 

 まず第一に、激痛であること。心臓潰して再生させてを繰り返しているんだ、その痛みたるや。

 第二に、意識を失ってはいけないこと。眠った状態、または死んだ状態の仲間には経験値分配ができない。ゆえにアウラニは気絶耐性をあげた。意識を失わないために。

 

 そして第三に。

 

「聖騎士スキル:聖域。……やっぱり来るんだな、こんな何にもない大陸にも」

 

 果てしない量の。

 おぞましい量の魔素を引き寄せる。……これはゲーム本編でも起きたことである。

 

 

 

 魔化についての原理の全容が明かされていない、というのは先述した通りだが、魔素についてもわかっていない部分は多い。

 ただ、魔素そのものの習性とでも言うべきものは、ゲーム終盤に明らかになる。ドゥームスが高らかに語るのだ。

 

 生物の死を感じ取り、寄り添い行くものだ、と。

 ゆえに魔素の濃いフィールドというのは多くが死んだ場所でもあり、そこに世界各地から魔素が流れ込んできて、そのフィールドが形成される。魔族大陸は当然死が隣人の大陸であるから、あんなにも濃いのだと。

 そしてドゥームスを倒した後にファントムから語られるのは、あの大陸が魔族大陸となる前に、人間の大量虐殺が起きた事件があった、という話。下手人はドラゴンで、国が四つ程為す術もなく消し飛んだとかなんとか。

 

 まぁその辺の話は追々にして、故に今だ。

 今、アウラニが生死をそれはもう凄い勢いで振りまきまくっているわけだから、魔素は「あそこに死があるぞー!」とばかりに寄ってくる。

 これがデメリットだ。イベント中も種族わけの最中に突然フィールドが変化し、防衛戦イベントが始まる。幸いにしてお助けNPC……仲間にはなってくれないNPCに無限に聖水持ってるマンがいるので聖水の枯渇は心配しなくていいんだけど、これが長い長い。

 

 ただまぁ今回は対象がアウラニ……天使と人間のハーフという高位種族なので、あのイベント程の時間はかからないはず。威圧ぶん回してるから魔族も来ないと思いたい。最初に魔物も引き剥がしたしな。

 

「ん」

 

 腕が掴まれる。強い、強い握力で、それを抜かんとするアウラニ。自身の指から血が出るほどに俺の腕に爪を立て、一本、また一本と折れて行く。

 

 無意識の自己防衛本能か?

 

「──ン゛、し゛ズギ、るぅ……天、ノ゛ォ゛……ぐん、ぜ──」

「おわ、マジか」

 

 カラァーンとどこぞから鐘が響く。

 空。空だ。

 天空に何か、荘厳な鐘の音が響き渡っている。

 

 天使スキル:天の軍勢。天使が敵対になった時に使ってくる増援スキル。戦乙女とかも似たようなのを使う。

 これの何が酷いって、呼んだ奴倒しても増援は消えないし、増援に来た奴も同じスキル使うから、範囲火力が無いと一生呼ばれ続ける。

 

 エグみ沢。

 

「神官スキル:遮断……ですよね」

 

 安っぽい音でパリンと割れる結界。ハーフじゃないガチ天使相手だもんね、そうだよね。

 

 俺の目に映る天使は翼のある全裸ふたなり少女。アウラニは普通に服着てるように見えるから、もしかしてこれ人間要素なのか? 人間のアウラニは普通に服見えて、天使のアウラニになったら全裸ふたなりに見えるようになるのか?

 それは……なんかあれ見たいでえっちだな。あの「普段」と「堕ちた時」を同時に載せる二コマの奴。

 

「魔法スキル:プラントバインド……うわ、地面が枯れ切ってて発動しない。そんなことあんのか!」

 

 確かにこれは植物の蔦を召喚して相手を縛るスキル。だからこの枯れ果てた大地には効果が無い。理屈はわかるが魔法って理屈じゃないだろ!

 

「魔剣士スキル:ダークオーラ! 魔法スキル:グラビティポイント!」

 

 一瞬リフレクト系のスキルで弾こうかと思ったけど、グロくなりそうなので重力発生装置を空中に設置して相手に遅延をかけるスキルに変更。

 ……が、おいおい。どんだけ来るんだ。あ、やべ。あの量に重力発生装置はぐちゃってなりそう。消さないと。

 

「天使スキル:調停」

「だよなぁ、アウラニに使えるんだからそりゃ使えるわな」

 

 しかもハーフのアウラニが使うそれより、強度がエグいな。俺じゃなかったら……これ魔王でも調停されるのでは。

 つーか天使ってこんなにいたんだね! 超レア生き物だとおもってたよ!

 

 まぁ。

 仕方がないので、攻撃を受け入れる。

 

「!」

「硬い!」

「なんだと、人間だろう」

「槍が通らん!」

 

 そしてやっぱり天使の声も聞こえるか。魔物判定でアダルトになっているだけはある。

 ちゃんとアウラニには当たらないようなスキルで、且つ俺を殺し得るものをどんどん使ってくるが……オーケー、全然効かない。三周目ステータス最高!

 

 ただその、あんまり目の前でふたなりオティヌティヌぶん回さないで貰えますか。いやふたなりだってわかっていればエロいんだけど、群がり過ぎてただオティヌティヌがたくさん目の前にあるだけになってて、俺あんまりそっちの趣味わかんなくて。いやふたなりとならおせっせできるんだけど、ただ突かれるだけとかはあんまり趣味になくて。

 

 あの。

 

「この、外道め! ガブリエル様の子から手を放せ!」

「ああ可哀想に、こんなに苦しんで! でも大丈夫、絶対にあなたを助けて見せるから」

「くそ、だが我々の槍では無理か! ならば、天使スキル、天の軍勢! もっと強き天使を呼べ!」

 

 ほら出た呼ばれた奴が呼ぶ奴。

 これでエグいことになるんだよね。

 

 つかなんつった? ガブリエルの子って言った?

 それ血筋って意味だけだよね。直の娘とかじゃないよね。

 

 

 ──見た目のエグさとか気にしないで、俺が持っている最強の魔剣をインベントリから出す。出して、背後からの突撃を受け止める。

 

 

「っ……オイオイオイオイ、何呼んでんだよ……」

「ようやく見つけたぞ、アウラニ!! 我が愛娘!!」

「それ本気で言ってるんだったら流石に手に余るぞ!」

 

 突っ込んできたのは、黄金色の無数の翼をひとくたにまとめて羽ばたかせる、巨乳全裸の女性。

 耐久値がゴリっと削れた魔剣をリペアストーンで直し、片手だけでメニューを操作して装備を整える。左手は今アウラニの心臓に突っ込んでるからな、右手だけでどうにかせにゃならん。

 

 ただ……熾天使が一人、ガブリエル。

 三周目ステータスでもその場から動かずに右手だけ縛りは、流石にキッツい相手かなー、なんて……。

 

 

 

 

 受ける。受ける受ける。

 引き合いに出すのはよくないとわかっているけれど、テュアナのそれとは練度が違う。無論彼女のは彼女ので熾烈だったけど、ガブリエルの連撃は大味なところが一つもない。

 一撃一撃が必殺。大技とかではなく、通常攻撃が最大威力。

 

「……奴は、何者だ。ガブリエル様の連撃を、片腕で」

「人間……よね? それにしては、聖気も、精霊力も……まるで」

 

 外野がうるさい。今久しぶりに集中してるから黙っててくれ。

 アウラニの心臓を殺すのと再生するのも手動でやってるんだ。どっちかがごっちゃになったらアウラニが危ないって状況で、こんな集中力要る作業させないでくれ。

 

「く──起きろ、起きろ、我が愛娘! このような下郎の手、引き抜いてしまえ!」

「そもそもなーにが愛娘だ。人間と番って産んで、そのまま放置したのはそっちだろうがよ。奴隷として買ったことを誇る気は無いがな、人間と天使のハーフが奴隷として売られていたことに熾天使としての責任感を覚えろよ」

「仕方のないことだろう! メルヒャクは人間だ! 人間と天使の間には寿命という大きな大河が流れている! 彼がアウラニを預かると決めた時点で我は身を引いた! だが、その後彼に起きた不幸は我にとっても予想外だった! そして探し続けて尚、アウラニはいなか……この下郎め、今天使の言葉を解したか!?」

 

 遅いよそのリアクションは。

 ただ速いよ攻撃は。なんでそんな喋りながらそんな槍捌きできるんだ。あと胸が揺れすぎるからせめてブラしてくれ気が散る。

 

「天使の言葉も魔物の言葉も魔族の言葉もわかるよ。それで、そりゃ言い訳になってないだろ。人間と番ったこと自体が問題だ。ハーフ天使の行く末なんてわかりきっていたことだっただろうに」

「たとえ半分であっても我が愛娘に変わりはない! それに人間を選ぶはずがない! 天使になる以外道は無かった!」

「なんでだ。下郎だからか? そのメルヒャクってのは下郎じゃねえのか」

「メルヒャクが堕胎はすべきでないと言ってくれた! 我はその判断を信じる! そしてメルヒャクは約束した! アウラニを必ず天使の道へ導くと!!」

 

 ……あれ、ガブリエルって女の天使だよな。

 今ふたなりなのはアダルトMODかゲームのせいだとしても。……ああいや、ふたなりになってるから孕ませられるってこと?

 そりゃまた。

 

「自分本位な親の考え、って感じがひしひしと伝わってくるのがヤになるな。子供の気持ちとか考えたことねーだろ」

「今まさにその愛娘を殺している貴様が何を言う!」

「そらごもっともでござぁ」

 

 それに、そんな人道を説けるような人間じゃねーけども。

 

 ……埒が明かないな。まぁ倒すのは無理でも防御はし続けられるのはわかった。

 あとはアウラニのレベルアップが終わるまで防ぎ続ければこっちの勝──。

 

「天使スキル:天の炎」

「魔剣士スキル:魔法無効オーラ!!」

 

 一瞬纏った魔法無効オーラが、しかし吹き飛ばされるようにして消える。

 いや、剥がされただけだ。剥がれたオーラがじくじくと燃え尽きて行くのが見えた。だからもう一度オーラを纏う。

 

「──ガブリエル。何を遊んでいる」

「ウリエル! 良い所へ来た! 我が娘が下郎によって弄ばれている! 手を貸してくれ!」

「……ほう」

 

 そーれーは。

 そーれーはーちょーっとむーりかなー!

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