アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
シーファはムラムラしていた。
いいや、正確に言えばイライラしていたのだけど、その苛立ちを発散する方法を、彼女は性的なコト以外に知らないため──やっぱりムラムラしていた。
ただでさえ最近理解の出来ない行動を取り続けている大馬鹿野郎が、今日また奴隷を買って来た。散々周囲との衝突を繰り返し、そろそろ安定を取る……この膠着状態で良しとすることを学んだかと思ったら、すぐにこれだ。怒り心頭とはまさに今のシーファの状態であるが、暴力で勝てるはずもなく、そもそも暴力に頼ろうという選択肢の起きないシーファは、それはもうムラムラしていた。
今、シーファはツバナとツゥ、そしてアウラニという三人の奴隷を有している。自身の主人から譲渡されたこの三人との関係は、今のところ変わっていない。そしてシーファはその関係性をあまり壊したくないと思っている。
ツゥに関しては未だ付き合いが短い上に、心のどこかで「あれはケルちの女でしょ」という勝手な偏見があるので初めから選択肢に無いにしても、奴隷である以上、アウラニかツバナを性処理に使う──というのはできなくない話。
当然、シーファはそんな選択をしないのだが。
ただ。ただ、では、この収まり付かない鬱憤をどう晴らすべきか。オナニーするべきか。するべきなのだろう。他人に迷惑をかけない形でムラムラを発散するにはそれしかない。
そう思って割り当てられた自室に入って、シーファは心臓が口から飛び出るほどの驚きを得た。
「……あ、アウラニち……?」
「遅、かった……ですね、シーファ、んっ、さん……」
艶めかしい声、だけではない。わかる。シーファはそれはもう色んな資産家や好事家の家で奴隷となり、そういう扱いをされ、そして逃げて来たから、わかる。
その匂いは紛れもなく──精液の臭い。
なれば、アウラニが自身の部屋でナニをしていたのかなど。
なれば、彼女がその股座に持つナニでナニをしていたのかなど。
一目せずとも瞭然であった。
「す」
「……す?」
「──据え膳食わぬは──ッッ!!」
シーファは一瞬だけ魔素を操作し、自身の服の全てを脱ぎ去る。すぐにしまう。
そのままベッドにしなを作って座り込むアウラニへダイブした。彼女の主人が見れば「バカモンソイツが」とか言いそうな格好で。
突然の奇行に驚いたアウラニは、けれど彼女を受け入れる。されるがままに押し倒され、少しだけ上気した頬と潤んだ目でシーファを見る。もう目がぐるっぐるになって、口の端から涎を垂らし、これでもかというくらいに鼻息を荒くしたシーファを。
彼女はまるで狙いを定めるかのように腰を回すように振る。経験がそうさせるのだろう、見ずともわかる、と言わんばかりに、その腰を思いっきりアウラニの剛直へと打ち込んで──。
ピタ、と。
その入り口に入るか入らないかぐらいで、止めた。
「……これご主人様関わってる? なんか命令された?」
「いいえ、ヴェルグさんは、関係ありません。……恐らく、私が、完全な人間となった、ことで、抑えつけられていた、生物としての、欲求が、爆は──」
「じゃあもう何も気にしないから!」
ずぶん。
反り返るアウラニの剛直を、シーファの穴はすんなり受け入れる。流石にそこは仕方のない話だ。ニンフだった頃なら穴のキツさももう少し丁寧に変えられたけれど、ステュクスとなってしまった今、シーファの元の大きさと纏っている肉の大きさはあまり変わりがない。
つまり、穴の直径や伸縮の強度もそこまで自由が利かないのである。強いて言うなら入り口を狭くするくらいはできるけど、それをするとアウラニ側に負担がかかることも知っていたからやらなかった。男性器に対しどういうアプローチをかければいいか、どういう刺激を与えるとどういう反応を見せるか。
シーファは熟知している。仮に「男性器マスタリ」とでもいうべきパッシブスキルがあったとしたら、シーファの練度に追いつける者はその道十年、二十年以上の熟練の娼婦くらいなものだろう。
だから。
そんな穴に、そしてシーファが行った無意識の腰遣いに──アウラニの経験は追いついていなかった。
元々そういう行為を苦手に思っていたアウラニである。以前のジャイアントアネモネからの刺激で多少の経験値は得たものの、自ら積極的にやる、ということはなく、先述の通り天使の非生物的な本能が抑えつけていた数々の欲求のせいもあって、オナニーをするのすら初めてに近かったアウラニ。
何かに導かれるようにふらふらと、そしてギンギンに反り経ってしまった自身のソレに疑念と考察を覚えながら、アウラニはシーファの部屋に辿り着き──あとはもう、ほとんど記憶の無いままにオナニーをしていた。自慰をしていた。シーファの匂いに当てられた。シーファの衣服で彼女の裸を想像した。シーファのことを考えるだけで、竿も穴もじゅくじゅくと熱くなって、もうどうしようもなかった。
そんな──言葉を選ばずに表現するのなら、「がっつり拗らせた童貞」みたいなアウラニの剛直は、あまりにもふわとろで、けれど締め付けがあって、ぼこぼこしていてくねくねしていて、暖かくぬるぬるなその穴に耐えられるはずもなく。
たった一回の打ち付けで、びゅるりびゅるりと達してしまったのも、無理のないことだった。
「……」
「……ごめん、なさい……私」
「まだ行けそうだね!」
「え」
喜び。
シーファのナカにあるソレは、まだ元気だ。この歳になるまでずっとオナ禁していたようなものであるアウラニの剛直は剛直のまま。腰が砕ける程の快楽──射精感をアウラニが得ていたとしても、身体はそんなものでは満足できなかったらしい。
むしろ食らいついて、吸い付いてくるシーファの膣に、アウラニの腰自らが打ち付けんと……上下のピストンを始める。
「お、おお、おお! こういう純愛セックスは滅多にやらないけど、これはこれで良い、これはこれで……そうだアウラニちって、確か穴もあったよね」
「あ、うっ、うぁ、ああ……き、気持ちい、こ、れっ」
「わー、アウラニちトロ顔エッロ。……私そっちの気無かったはずなんだけどな、目覚めそう。それはそれとして、ずぶっと」
種族特性として、シーファは外側の肉をある程度操れる。それは魔素の関係ない話だ。
だから、たとえその剛直を自身の膣に受け止めているような姿勢であっても、その剛直の根元に存在する秘所に届く腕と指を作ることくらいワケはない。ただ変形の過程でアウラニに萎えられても困るので、こっそり背中に隠してそれを行い──ずっぽり行く。
「!?」
「うーわぐちゅぐちゅ。そして私の凄い所をお見せしよう!」
「……っ、な、なんですか……これ、シーファさんの、指……伸びて!」
「うひひひ、ほらほら、もう子宮口届いちゃった。ここを爪でツツーってされるの新感覚でしょ? あとはこの辺の、ちょっと出っ張った所を……あ、これかな」
「ひゃぁ!?」
「おお、オティヌティヌもびくんとなった……うわ、ふたなりって面白い。ナカを刺激するとこっちに影響が……え、じゃあ」
じゃあ、と。
好奇心の前に、もう人間の形とかどうでもよくなったシーファは、背中から尻尾のようなものを生やす。これも例に漏れず外側の肉を集めて作ったものだ。あんまりディティールに拘っていないから、恐らくこれでもかという程にグロテスクな見た目をしているだろうけど、ここにはそれを見て目を逸らす存在はいない。
そして好奇心の赴くままに、シーファはその肉腕……否触手を、アウラニの尻に番えた。
「……!」
「初めてじゃ、ないもんね。……あーでも一応、魔法スキル、グルーハント」
「んっ……それ、狩猟用の」
「そーだよ。でもこういう使われ方の方が多いんじゃないかな、これ」
魔法スキル:グルーハント。
粘着性のある液体を飛ばし、獲物を絡めとるスキル。粘度は使用者の思うままであり、量も色も自在に変えられるこの魔法は、実際に狩猟で使うよりコウイウ時に使われる方が多い。とシーファは思っている。
コウイウ時。
つまり、潤滑剤が手元にない時だ。
さて、グルーハントを触手にふんだんにまぶし、その触手から生やした触肢でアウラニの菊穴にもちょいちょいグルーハントを注入し、準備は完了。
あんまり太いと気持ちよさより違和感の方が勝ることを知っているシーファは、それこそジャイアントアネモネが使ったような細めの肉で侵入を試みる。
「……う、うぅ」
「痛い?」
「……そう、じゃ、なく」
「え、もしかしてもう気持ちいい? あ、そっか。前の時しこしこも一緒にされてたもんね。お尻の違和感と快楽がくっついて認識されちゃってるのかな。それは──それは最高の仕事かもしれない!」
"目的地"まで肉芽を侵入させたシーファは、けれどそこを刺激する前に、アウラニの腸を圧迫する触手の太さを少しずつ増加させていくことにした。勿論拡張の限度、その見極めは忘れない。なんなら触手に視覚器官を形成し、ちゃんと見て、そのラインを探る。
──ここまで。
職人技である。
「ふぅ……うぅ、あ、ぁああ」
「ね……ねぇ、わかる? アウラニち。今自分のが、どれくらい太くなってて、硬くなってるのか」
「わかり、ます……痛い、程に……!」
「痛い? 痛いかー、それは可哀想。──じゃあたっくさんヌッキヌキしてあげないと」
冒頭に思っていた「今の関係性を崩したくない」とか、シーファの脳内にはもう存在していなかった。性欲と好奇心はあらゆる理性を覆し、「今一番試してみたいこと」を実行させる。
即ち、竿と穴二つと──そして玉の、同時刺激。
竿だけでも「脳が弾けたかと思った」なんて
やろうと思えば乳房にまで手を伸ばすことも可能だった──けれど、それをやるにはもっと形を崩さないといけないので、今回はお預け。何よりシーファ自身があまりそっちの気に疎い、というのも理由の一つだ。
とはいえ、である。
たとえその二つが無くとも。あるいは快楽物質を分泌すると言われているキスやハグがなくとも。
つい先ほどまで童貞だったアウラニには──流石にエグ過ぎる快楽だったことは、言わないでもわかるだろう。
「ぁ」
アウラニの脳内で何か白いものがパチンと弾け、トぶ。
一気に弛緩する身体は、けれど剛直だけが剛直のまま。だからシーファは全く気付かなかったし、凄まじい反応を見せた竿に大喜びだった彼女は、同じ責めを何度も何度も、何度も何度もやって、だからアウラニが意識を取り戻しても大量の快楽が、またトんで、起きて、トんで、起きて。
百戦錬磨のシーファの体力は底なし。そしてアウラニの体力も──実は300レベルにまで無理矢理あげられているせいでとんでもないことになっているので。
メアリーが朝食の用意ができたことをシーファに伝えに来るまで、二人は濃厚とかそういうレベルじゃないセックスをし続け、無事メアリーから叱られることで終わりを迎えたのだった。掃除が面倒くさいらしい。
さて、ここでこの件は終わり、とはいかない。
されるがままだったアウラニの本性とでもいうべき部分。そう、彼女は決してマゾヒストではないし、なんならちょっと天然サドな気質がある。
……今はまだ、シーファを懲らしめることのできる手段がない。天使スキルも使えなくなってしまったし。
だから、今回はお預け。
だけど……。
「魔法スキルは、使い方次第、ですね」
なんか、悪いことだけは見習ったとか、なんとか。
朝、秘密裡に行っていたマイホーム拡張を終えたあたりで、メアリーが食事を運んできた。
「ご主人様……盛り過ぎでは?」
「ん、いや、俺別になんもしてないぞ。俺は今この家の改修工事をしてて、その間しゃぶらせてただけだ。臭いは確かに精液も混ざってるだろうけど、ルウィンがオナって勝手にイった量の方が多いだろ」
「はぁ。上は変態ふたなりレズプレイ、下は事務的性奴隷性処理プレイ。この家は終わりですね」
「何その魅力的なプレイ。上……ふたなりって、まさかアウラニとシーファついにヤったのか?」
「はい。ついに。二人の証言曰く、アウラニ様から誘ったようですよ。見境なくなって暴走したのは当然シーファ様ですが」
「ほぉー。それで、どうだった?」
「どう、とは」
「アウラニの子種って着床すんのかなって。ああいや、シーファ側がしないか」
「……そんなの調べるワケないじゃないですか」
「万が一を考えたら調べといた方が良いだろ」
元天使、けれど今は人間の両性具有。その精子に生殖機能はあるのか。
シーファが魔族だから大丈夫だとは思うけど、アウラニがその危険性を忘れて行きずりの女とおせっせしてデキちゃった、はあんまりアレだからな。その辺の性教育とかって帝国どうしてんだろ。この国学校無い割に倫理観高いの奇妙なんだよな。
「っぷはぁ……。……おい、女。それは食事か?」
「そうですが……ルウィン様、まずは口や身体の洗浄をされてからでお願いいたします。食器に精液がついてしまいますので」
「洗えば良いだろう。寄越せ。この人間、人間とは思えん程の体力と精力を有していてな、ふふふ、こちらが体力負けするなど、
「はぁ。……というか、洗えば良いだろうとかいうなら、家事手伝ってくれませんか? そこで精液の臭いを取る大変さを知れば──」
「良いぞ。そういうのも一興だ。あとで教えろ。三日……いや二日でお前においついてやる」
「ダメだ。ルウィンは俺の性奴隷。家事炊事用に買ったわけじゃない。そんで、メアリー。コレ使えコレ」
なんか張り合い始めたマスカルウィンの口に再度オティヌティヌを突っ込んで黙らせて、インベントリから取り出したポーションをメアリーに投げる。
「これは?」
「ハルフィーさんが最近作った消臭ポーション。臭いの元となる成分を根本的に消し飛ばす効果を持っていて、炊事洗濯掃除なんでもござれ、だそうだ。さらに人体に害はないし、比較的早く気化して消える。注意事項としては密閉空間で使わないことと、日に当てて保管しない事。保管温度はどうとでもなるらしい」
「……そんな素晴らしいポーションが。すぐにハルフィーポーションで買い占めてきます」
「買い占めはやめておけ。まだ材料が安定して供給できてないらしくてな、各御家庭や娼館なんかに回るようにしたいそうだから、必要分だけ買ってこい」
あのエゲつない自白剤や呪詛スキル:魅了の効果を発揮するポーションは確かに凄いんだけど、ハルフィーポーションの凄い所はどちらかというとこういう系の「生活を豊かに、便利にする」ポーションの作成技術と頭脳だ。
今回の万能匂い消しだけでなく、専用の容器に入れて噴射することで部屋の中の埃を一か所に纏める「掃除ポーション」や、効果時間は一日だけであるものの日光の温もりを遮断せずに日焼けだけを完全に防ぐポーションなど、何をどう使ったらそうなるんだ系便利ポーションを数多く販売している。
どうやら俺が繋いだパイプが結構役に立っているようで、新たな土地の新たな素材で作る便利ポーションがそれはもう毎日のように思い浮かんでくるのだとか。要らないと言ったのに給料が二倍になったくらいには売れ行きも好調らしい。
「ん-。ん-むーぐー」
「ああ、忘れてた」
無理矢理突っ込んでいたのを抜けば、マスカルウィンは「ぷはぁ」なんて
息なんかしてないくせに。
「ふふ、面白いものよな。しっかりと柔らかいくせに、噛み千切らんとすると顎が負ける。なんとも摩訶不思議な身体よ」
「そっちこそその口の中どうなってんだよ。喉奥になんか毛みたいな感触あったぞ」
「補繊毛という。体内に入れた食事を保存しておいたり、あるいは吐き出したりする時に使う毛だが、男根を撫でさするにも役立つと知ったのは此度が初めてだ」
「……まぁ、一応、流石処女、ってことではある、のか?」
「もう破られただろう、お前に」
クツクツと笑うマスカルウィン。
あんまりにも堂々と「構わん」とか言うから経験あるのかな、って思ってみたら、普通に膜あるでやんの。破るぞ、って言ったら「何をだ?」とか聞いてくる始末。知識が無いっていうか興味が無かったっぽい。破っても特に何の痛みも覚えてなかった上に、血も出なかった。
俺処女は邪魔としか思ってないから良いんだけど、ここまで無頓着だと逆になんか罪悪感生まれるんだよな……なんだろうなこれ。
「さて、では食えないお前とは違う、食えるものを食うとしようか」
「ああやっぱり食うつもりで歯ぁ立ててたのか」
「無論だ。ここまで硬いものに歯を立てたのは初めてだったが」
オティヌティヌだけでなく、おせっせ中もこっちに抱き着いて首筋噛んで来たり肩や腕を噛んできたりして、最初は感じてて無我夢中でそうしてんのかな、とか思ってたけど、全然、普通に食い破る気でいやがったコイツ。
「快楽は無かったのか?」
「いや? 美酒に勝るとも劣らない快楽はあった。だが生憎と、その程度に塗り潰されるような思考領域ではなくてな。快楽を覚えている自身を客観視して別の行動を取れるくらいには広い」
「まぁ気持ちよかったんならいいや。ただ苦痛なだけならやめてたから」
「異なことをいうものよ。購入時もそうだったが、ならばなんのために奴隷を買っているのやら。意に添わぬことをさせるのが奴隷というもの。意を汲んで仕事をさせるのならば、奴隷である必要が無いだろうに」
ド正論だと思う。その通り過ぎて二の句が継げない。
でも買い切りの奴隷の方がよくない? 人件費と比べるほど金に困ってるわけじゃないけどさ、働きに応じて給料を、とか考えるのダルいから、奴隷の方が楽なんだよ。俺経営者とことん向いてないからさ。儲けとかどうでもいいとはいえ。
「ま、色々あるんだこっちにも。んじゃ俺は先にシャワー浴びてカローライナのとこ行ってくるから、お前も食い終わったらシャワー浴びるなり風呂入るなりして、あとは好きにしてな。お前は戦闘奴隷で性奴隷として買ったから、家事もする必要はない。どうしてもというのなら……メアリーを手伝ってくれても良いが、基本は性奴隷だ」
「わかったわかった、そう連呼せずともよい。……しかしお前は役割というものに拘り過ぎるきらいがあるな。割り振られた仕事以外を熟す働き者は嫌いか?」
「管理が面倒だ」
「ふふふ、良い。予定外の事を嫌う心と、そもそも人心を繰るのに向いていない性格。そして人を使う、という……物言わぬ道具以外を使い慣れていない幼さ。実に面白いぞ、人間」
「勝手に面白がっててくれ。あああと、他の奴らの前で本名名乗るの禁止な。お前はルウィンだ」
「そこは流石にわかっておる。要らぬ混乱を招くし、何より呼びづらいだろうからな」
ヘンに常識人なのやめてほしい。
ワンチャン俺より真っ当な人間してる。人間じゃないけど。
……『初代皇帝』、マスカルウィン。種族は非人間とされていたけど、あれは非人間的の非人間ではなく、人間ではないという意味の非人間だ。ただ異種族とも違う。魔族でも天使でもない。上位種族ともまた違う。
人間でありながら、人間を逸脱した者。
……だったかな。ゲーム内でラムナザール四世と戦い、彼を下した時に聞ける彼のセリフ。
『お前が……真に、余を超える時が来たら。それは初代皇帝にも届く刃となるだろう。……人間でありながら、人間を逸脱した者。今も尚どこかで生きている御方を超える、真なる強者に──』
だ。確か。
アレなんだよね、ラムナザール四世との戦いって、どんだけ圧倒しても「成程……ここまでとはな」って戦闘終了後に全快して立ち上がる、所謂「負けはしたけど実は負けてない」みたいなイベントだから、マージで強いんだけどマージで主人公一行じゃ勝てないんだよね。
で、真にラムナザール四世を超える時、というイベントはゲーム内に用意されていないから、初代皇帝はただのフレーバーテキスト扱いだった……んだけど。
メアリーの用意した食事を珍しいものを食べる、みたいな顔で、そしてニッコニコしながら食べる女に溜息を吐く。つーか漏れる。
コレがかぁ。まぁ俺より強くなくて良かった、とか思っておけばいいかなぁ。
「なんだ、食わんのなら食うぞ」
「俺はシャワー浴びてから食べんの」
「む……アイテムボックスか。良いなぁ、それにだけは恵まれなかった。他の全ては努力で手に入るが、天賦が物を言うスキルや能力には及ばん及ばん」
「持ってないのか」
「持っていたら、今頃世界中の宝物を貯め込んでいたことだろうよ」
それは意外……だけど、割とそうなんだよね。
アイテムボックスはレアスキルというか、マジで生まれた時に持ってるか持ってないかが決まる運ゲー技能扱いらしく。イグニスメンバーは全員持ってるけど、ノズヴェルガーやカラバ村の戦士たちは持ってないし、ラムナザール四世は持ってるけど皇妃様とスイは持ってないし。
まぁスイは仲間にすれば主人公のインベを間借りする形で持ってるみたいな扱いにできるんだけど。
法則性らしい法則性は今のところ全く分かっておらず、資料館でもそこについて触れているテキストはなかったはずだ。
……主人公のインベントリはアイテムボックスとはまたちょっと違うんだけどね。
んじゃ、とだけ言って、その場を離れる。
後ろでカチャカチャと音を立てて……テーブルマナーのテの字も無い豪快さで食べ進めて行く美女に、なんとなーく残念感を覚えながら、シャワーへ向かう。
「む。……主か。う、また……グレイスがいた頃を思い出す臭いを」
「主じゃないよーもう。主はシーファ。まぁそのシーファもアウラニとヤってたらしいけど」
「そういえばそうじゃったか。じゃあこれからはヴェルグと……なんじゃと!? ついにヤったのかあの二人!」
「おう。メアリー曰くそれはもう濃厚ラブラブ変態ふたなりレズセックスだったらしい」
「濃厚ラブラブ変態ふたなりレズセックス……!?」
「俺もメアリーに聞いただけだから詳細は知らねーんだ。詳しくは当人に聞け」
「聞いてくる!」
……あいつも染まったな、とか。
もう俺の奴隷じゃないから戦闘技能は伸びなくても良いんだけど、あいつあのままだとただの野次馬モブに成り下がるぞ、とか。
いや俺は関係ねーし。俺ツバナに手ぇ出してないからあの変態さはアイツが獲得したものだし。あるいはシーファの影響だし。俺じゃねーし。
鬼の国の追手とかが来たとしても、今のツバナを見て「鬼の国の姫」と結び付けられないんじゃないかな。
ま、それは良いことのような、だけどアイツの称号買った時のままなんだよな、ってところが引っかかるような。
とりあえずシャワーシャワー。性臭を洗い流してご飯を食べよう。
そんで……カローライナ関連をどうするか決めようネー。