アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
今までの幹部と違って、アモルファス聖はちゃんと強い。いや今までのもちゃんと強いんだけど、あくまで小細工でどうにかなる強さだ。
けれどアモルファス聖はそれが通用しない。
彼のパッシブスキルは「フェイント無効」。フェイント、というスキルは存在しないため、フェイントになり得るもの全てが無効化される。単純な戦闘時のフェイント、幻惑系スキル、分身スキル。恐らくスキルのブラフ……口頭で言ったスキルと違うスキルを使う、というのも多分無効化される。
よって。
「──それは」
ぶつかり合うは聖王の粛清剣。聖域は使わない。互いが使えると知っているんだから、互いにMP九割削るだけの結果になる。
だから正面突破だ。聖王の粛清剣──だけどこっちのは最終強化済み。戴冠の杖と同じく、本来は一振りしか存在しないこの剣のぶつかり合いは、激しい聖気を迸らせる。
どうせだ。
称号も変えるか。
セット、『最後の聖王』。
「むぅ……ふん!」
「魔法スキル:螺旋炎陣」
「アシッドタイダル!」
魔法スキル:アシッドタイダル。酸性の渦を発生させる水属性スキル。ご丁寧に放出ではなく座標にしてるから、効果時間が終わるまでコレは消えない。俺の螺旋炎陣は足元から発生するスキルだから、包囲されて消火されてさらにダメージも、って感じで抑え込まれる。
まぁ腐食耐性あるからダメージは入らないんだけど、炎は完全に消されたね。
上段からの斬り下ろしと下段からの斬り上げのぶつかり合い。拮抗は一瞬だ。
流石に俺の方がSTRが上なんで、彼の粛清剣を弾く。
「烈破!」
「その態勢から格闘家スキルか! 流石!」
モーションがどうのって言うのは多分わかってないけど、身体の動きがスキルに合わせられる、ということには気付いているのだろう。本来踏み込みを必要とする掌底を、剣を弾かれた姿勢から放ってきた。
この世界のNPCはほとんど知らないだろう、ノーモーションでのスキル使用。流石と言わざるを得ないし、何より──練度が高い。今さっき気付いた技術、とかじゃない。ちゃんと洗練された使い方だ。自身の隙潰し。烈破は威力よりノックバックに重きを置いたスキルだから、俺にダメージが通るかどうかは問題じゃない。
姿勢を整える時間さえ稼げればいい。
「水仙花! 山茶花! 鬼灯燈!」
「まだ上げられるだろう、アモルファス聖。格闘家スキルは連撃が命だ。まだ行けるだろう。まだ──」
「鳳凰衝!」
「聖騎士スキル:聖断!」
両腕を使う必要のあるスキルの発動タイミングで聖断を使用する。誘いはしたけど、こうも簡単に乗ってくれたのには理由があるはずだ。何故なら彼に不意打ちは通じないのだから。
「格闘家スキル:サマーソルト」
上手く行き過ぎた攻撃は危険。
だからサマーソルトキックを使って体を回転させて距離を取る。
瞬間、俺のいた位置にビームが撃ち込まれた。
「謝罪しよう、ヴェルグ。我は神の名のもとに在りし者。その道筋を妨げることはない」
「最初からそのつもりだよ、アモルファス聖。アンタも後ろの臆病者も斬る。なら、生きるための抵抗をするのは謝るべきことじゃあない」
神。否──神を名乗る魔物。臆病者、カワード。
アモルファス聖の背後にいる少女。
アダルトMODで少女の姿になっているこの紛い物は、だけどちゃんと強いしちゃんとエグいことをしてくる。まずこのビーム。この空間のどこにでも照射可能で、射程無限出力無限。
さらに溜めを挟めば赤土の陸地の範囲内であればどこへでも座標指定で元のHP五割固定ダメージとかいうビームを撃ってくる。無論敵対していればの話だ。アレだね、シレン系のRPGにおける商人みたいな強さなんだよねコイツ。
本体は聖気を放っているものの、魔素には弱い。魔素を弾けないというべきか。
そして強かで人語を解すが故に最初の信者……後に神殿を啓く者と出会い、神として崇め奉られたと。
「言葉を不要とするか」
「言葉でかき乱されたいなら止めはしない。こっちの剣のこととか、俺の称号のこととか、疑念は尽きないはずだ。ただ聞かれたことに対して真を話すとは限らないし、神の指示は恐らくまた別のことを言うだろう。それを処理できるのなら問答を続けよう、アモルファス聖」
「ならば問う。ヴェルグ──聖気とはなんぞや!」
「答えよう。聖気とは魔素を退ける力にして、輝かしき者達の血。智であり地であり血であり致であるもの。ただし、そこに正しさや善性は備わっていない。魔を悪と定めているから聖が善に見えているに過ぎない」
「問おう、ヴェルグ。なれば輝かしき者達はどこにいる。なぜ魔を滅ぼし尽くさない」
「答えよう。輝かしき者達にとって、魔は悪ではないからだ。聖と魔はただ違う性質を持っているだけの同僚。悲しきかな、輝かしき者達でさえ世界の奴隷なわけだ」
輝かしき者。つまり天使なんだけど、天使も魔物の一種って話ね。
天使は確かに魔素を嫌っているけれど、でも悪であるとはしていない。あれだけの軍勢がいて、魔素に対しては一方的に押しのけられる聖気の、その塊であるはずの天使が魔族大陸を滅ぼしたりしないのはそれが理由だ。
嫌いだから。害があるから。恨みがあるから。悪だと思うから。
そういう理由で、それだけの理由で「根絶やし」を選択するのは、少なくともこの世界じゃ人間だけ。
粛清剣が鍔迫り合い、しかし、やっぱり俺のSTRに負けて弾かれる。さらに俺は魔剣士スキル:物理上昇オーラ、物理無効オーラを発動。
照射されるビームを身代わり藁で避けて、再度アモルファス聖へ肉迫する。
「ならば問う、ヴェルグ。魔族とはなんぞや」
「消耗品だよ。舞台劇の。──そうでなくさせるために俺は今動いている。その研究資料を"魔素だから"なんて理由で消滅させられるのは困るのさ」
「なれば最後に問う。ヴェルグ。貴殿にとって、人間とはなんぞや!」
聖騎士スキル:聖断とビームの合わせ技。
ああ、残念だアモルファス聖。お前がお前の意思で戦えていれば、ガチバトルになっただろうに。
神の指示に合わせて動く、なんて余計なことをするから──こうなる。
「人間とは、スポットライトの照射先だ。俺にとってはただそうであるものでしかない」
戦士スキル:ペネトレイトスラッシュ。
効果は単純。敵二体にダメージを与える──貫通力のある斬撃スキル。
アモルファス聖の「フェイント無効」はあくまでアモルファス聖本人にだけ効果を発揮する。
だから、アモルファス聖とカワードの双方を狙いつつ、アモルファス聖だけを見て攻撃するという"カワードへのフェイント"は無効化されない。否、アモルファス聖は気付いていたのだろうけれど、それを指摘する時間が無かったというべきだろう。
結果として。
「あ……え?」
アモルファス聖の聖断とビームは俺に直撃した。
けれど──抜けない。
「なんと……全て、児戯である……か」
「基礎防御力だけだったらちゃんと効いてたよ。その前に物理無効オーラ使ってたからな。粛清剣のダメージをゼロに、聖断とイノセントレインの聖気だけを受けたわけだ。でも」
でも、だ。
魔素を使う敵がいて、魔素耐性があるのだから。
聖気を遣う敵がいる以上──聖気耐性があるのもまた当然の話。
「聖気単体で天使を超えるには、ちと足りない。せめてガブリエルかウリエルクラスを持ってこないとな」
カワードの使うイノセントレインは聖気ダメージしか与えられない。本来聖気耐性なんてものを持っているのは余程濃い魔素を持つ奴らだけなんだけど、余程濃い魔素を持つ奴らを倒しているのが三周目マンというものだ。
その時に獲得したドロップアイテムでつけられる耐性も勿論、だ。
「や……やだ、痛い、やだ……ねぇ、やだ、私、死ぬ……の?」
して──ただのペネトレイトスラッシュ。されど三周目ステータスのペネトレイトスラッシュ。アモルファス聖はまだまだ全然、ピンピンしているくらいだけど、カワードの方が先に限界を迎える、という形になる。
神の如き力を持つ魔物、カワード。ただ攻撃特化で防御力はほとんどない。だからこそアモルファス聖に自分を守らせていたわけだけど。
少女は一人、洞窟の奥でこちらに手を伸ばす。胴体を割断された状態で、弱々しく。
……無の境地は使わない。俺がやろうと思ってやったことだ。今回ばかりは。
だけど。
「呪詛スキル:眷属。及び召喚士スキル:テイムモンスター、神官スキル:死者蘇生、最大主教スキル:完全再生」
「……問う。何のつもりであるか」
「メルキオルはちょいと若すぎる。それに知識も乏しい。アモルファス聖、お前が三人目のフレースヴェルグの存在を知って考えを革めたのならば、その考えのもと神殿を動かしてもらう。ただし、俺の眷属として、だ」
「敗者に言葉は不要であるか。……我は構わぬ。だが、神は何故だ。なぜ蘇生させた?」
「やっていなかったことを思い出したからだ。アモルファス聖、神殿の運営に神は必要か?」
「……否。今の形の神殿を動かすことに、神は何ら関りが無い」
「じゃあ、貰っていく」
そういえば、と。
思い出したのだ。そういえば俺神と呼ばれる三柱のテイムやってないな、って。んで、こいつらは一柱一柱ではただの神が如き魔物なんだけど、それぞれちゃんとした役割みたいなのがあって、一か所に集うイベントがある。
それをテイムモンスターとしてやったら違う結果が起きるんじゃないかって。
「召喚士スキル:サモン:カワード」
「……あ」
「さて、じゃあ長い間神として崇め奉られてきた歴史とさようならをする時間だ、カワード。アモルファス聖に何か言うことはあるか?」
「……守って、くれるって……言ったのに」
「謝罪しよう、我が神。我の判断は悪しきものであった。故にドラゴンの尾を踏みにじり、この結末を招いた。全ては我の責である」
「でも……知ってたよ。あなたは、私のことなんか、どうでもいいって思ってること」
「否である。我は等しく──」
「すべてが等しいから、全てが無価値。これは最後の神のお告げ。あなたの直した方がいいところ」
それだけ言って、カワードは自己送還を選ぶ。
……召喚獣になりたてのクセに器用だな。
にしても。
「メルキオル、遅くないか。もう全部終わったけど」
「オトクレブ聖、サイトカイン聖、プラスミド聖も決して弱くはない。ヴェルグ。貴殿ならば知っていよう」
「そりゃ知ってるけど……ん、ちょっと様子を見てくるか。アモルファス聖、眷属の呪いはかけたけど、基本は自由にしてくれていい。俺達がぶっ壊した神殿の再建頑張れ」
「主人の命とあらば、承ろう」
さて。
どうした、メルキオル。なんかあったか?
なんかあったらしい。
メアリーを連れて再度神殿の上部まで来てみれば──あらまぁ殺人現場。
メルキオルと、彼の連れていた四人。そして神殿上層部の三人。
その全員が
……銃、じゃないな。この剣と魔法の世界に銃は存在しない。
これは矢だ。強力な矢の一撃が、彼らの頭蓋を射抜いている。
「弓兵スキルの達人……聖騎士と聖女の防御力抜ける奴……」
「あのご主人様。たまにご主人様の目が節穴になるのは何故ですか?」
「ん?」
「あそこです。天井の隅。そこに何者かがいます」
「魔法スキル:グルーハント」
べっちょり、どさ。
ホントにいたわ。
……しかし、マズイ。バレかけてるな。俺の感知がミニマップさん頼りである事実が。
ミニマップの使えないダンジョンだと感知が全くできなくなる事実は……結構なシークレットだ。
精霊力がどうたらでこっちの位置もバレるわ、狭所だと感知ができなくなるわ、最強の騎士団長フレースヴェルグと違ってただの三周目ステータスゴリ押しマンなのが露呈してきてる。
「で、何だこいつは」
「さぁ……?」
「こ……この! 離せ!」
「はい封印棺。……あと瞑想もしておくか。流石に削れた」
よくわからんので一旦封印棺に入れておく。
そしてメルキオル達を死者蘇生。本当に殺したかったら遺体を隠しておくべきだったな。俺がいる限りただ殺しただけでは死足りえんぞ。
「……っ!?」
「よう、メルキオル。負けたのか」
「……ヴェルグ? 待て、どういう……オトクレブ聖、サイトカイン聖、プラスミド聖……お前達まで」
「ああじゃあ、わけもわからず殺された感じか」
「殺され……ていたのか」
「ああ、頭蓋を撃ち抜かれて死んでたよ。で、どうする。アモルファス聖は俺が降した。眷属の呪いまでかけてな。此度の王国への策謀を立てていたクロマト聖は殺したし、エラストマ聖はこいつが殺した。俺の奴隷が」
「人聞きの悪いことを……食べただけです」
「余計悪いだろ」
ああでも、殺しと捕食は同列じゃないか。
その感覚はわかる気がしないでもない。
「……我々を殺した者は?」
「今そこで封印棺に入ってる。聖堂の装束を纏った女だ。髪色は明るい茶。心当たりは?」
「無い。聖堂と我らに大した関係はない。……それよりも聖堂関係者が神殿にいることの方が問題だ」
「それはそう。んじゃ後ろの四人も蘇生させるけど、聖達はどうする? そのままでいいか?」
「……ああ。アモルファス聖がヴェルグに降ったというのなら、彼とアポトシス聖、そして少数の神殿関係者だけでお前の望みは叶えられるだろう。余計な頭となる者は不要だ」
「そうかい。布面で見えないけど、今お前結構酷い顔してるから落ち着きな。人間を要否で考えるようになったら化け物になっちゃうぜ」
後ろの四人にも死者蘇生を使う。
死んでいる最中はMP回復が起きないから、昏睡した子はまだそのままだ。しかしこれだけの時間経って起きないってことは結構MP総量多いな。
「メルキオル。お前達が一撃で倒されたことを鑑みるに、この襲撃者は俺が預かるべきだと思うんだけど、どうだろう。事情聴取は俺がするから、結果だけ伝えるよ。ああいや、必要と在れば引き渡しもする」
「いや、それでいい。初めに言った通り、これよりしばらくの間神殿は機能しなくなる。それは争うからではなく、再建と再編のためだ。それが終わり次第、お前の力となることを約束しよう」
「了解。んじゃ、メアリー。帰るぞ」
封印棺に手を置いて、メアリーを抱き寄せて。
……化け物になっちゃったのは、果たして誰なのか。
みたいな。
はいはい転移転移。
案外早く帰ってきてしまったけれど、メアリーがいないながらもシーファはいい仕事をしたらしい。
目隠しと再度の猿轡をされたマスカルウィンは、「はぁーっ、はぁーっ」という深い呼気を吐いて、時折身体を痙攣させては艶めかしい声を出している。
メアリーに文字で「俺ちょっと隠れてみてるからヤりたいことやってくれ」という指示を出して、霧隠れで隠れる。
「遅くなりまして申し訳ございません、ルウィン様。帰り道にちょっとしたアクシデントがございまして」
「そ……うか。大丈夫、だったか、異族の女」
「ええ、一人お亡くなりになられましたが、問題はありませんでした。では責めを再開させていただきますね」
メアリーはアイテムボックスから何かを取り出す。
何か。……ん、なんだあれ。魔物なのは間違いないんだけど、小さいってコト以外の情報が無い。特徴の無いミニマム少女。
なんというか等身が低いとかじゃなく、サイズ感がそのまま小さい。
「時にルウィン様。麻痺ポーションの素材を知っていますか?」
「……ベースは、水と、キイロガエルの体液の混合物……んっ、ぅ……そこにグレイブバインの喉と頬にある、毒腺を漬けて……クロルフェネックの全身を熱しながら溶かし入れる……」
「おお、素材を聞いたのに製法まで。ええ、はい。そうです。ではなぜクロルフェネックの全身を溶かし入れる必要があるのでしょうか。グレイブバインの毒腺だけで十分に麻痺効果を持っているのに」
「クロルフェネックは、一定までの熱には強いが……一定以上の熱になると、耐えられず、溶解してしまう……ん、っふ、ぁ……ぁぁ……だ、だが、その時クロルフェネックは、子孫を残すための緊急手段として子種を体外に出す……それは水溶性ではない、グレイブバインの毒を細かい粒状に囲い込む……故に、グレイブバインを素材に使う場合は、クロルフェネックの子種が必須となる。無いと、下部でこずんでしまうからだ」
へぇー。
知らなかった。こいつポーションにも詳しいのか。ポーション制作もスキルにあったりするのか? ゲームには出てこなかったけど。
「正解です。ところでルウィン様は火傷耐性を50%も有していますよね」
「……まさか」
「はい。今私が握りしめているこのクロルフェネックは、眠らせてあるだけでまだ生きています。そしてこっちにはグレイブバインの毒腺も。問題です、これら二つをルウィン様の膣や肛門に入れて、温度を上げるとどうなると思いますか?」
「普通の……人間ならば、まず間違いなく死に、至る……」
「普通の人間ではないルウィン様ならばどうなるでしょう」
「試したことは、ないな……」
「そうですか? では質問を変えましょう。グレイブバインの毒腺を用いた麻痺ポーションは、何故麻痺するのでしょうか。いえ、グレイブバインの使う麻痺とはどのような状態を指すと思いますか?」
「……弛緩だろう? まさか、違うのか?」
「はい、違います。グレイブバインは少々特殊な魔物でして。彼らの毒は、獲物を弛緩させるのではなく抵抗できなくさせる毒なのです。似て非なるこの二つの最も違う部分は、感覚が残る、というところ」
ずちゅ、と。
メアリーは、そのミニマムな少女をルウィンの膣と尻に入れる。そして……内臓なのはわかるけど、どこの内臓かわからないものも彼女の穴にねじ込む。
「怪異スキル:迦楼羅炎」
「……ひゃっ!?」
突然マスカルウィンが可愛らしい声を出す。
魔物を溶かすとか言うから「オイオイやめてくれよお前俺の視界に理解あんじゃねーのかよ」とか思いながら目を瞑りかけていた俺も、思わず目を開いてしまうくらいの可愛らしい声。
「や……ぇ、あ? ひゃんっ!?」
「考えたのです。ルウィン様がどうしてそうも余裕なのか。つまるところ、快楽耐性とでもいうべきパッシブスキルがルウィン様の中で発生していて、それはつまり、逆に言えば"耐えようとする心"がルウィン様の中で常に働いているということでもあります。よって」
「ぁ……やだ、やだ、じゃない、なんだ、口が……言葉を、勝手に、きゃあ!?」
「己を律しようとするその心そのものをほぐしたのならば、本来の可愛らしいルウィン様が見られるのではないか、と。普段の気丈なふるまいや言動は長い年月を生きている間についた装飾品。それをこうして一枚一枚剥がしてやれば、最初の、本当に初めの、文字通り生まれたての無垢なルウィン様に出会えるという読みでしたが……」
メアリーの口が下弦の月も真っ青な程に曲がる。
怪異だ。あれは。フツーに妖怪だ。
「正解でしたね」
「や……やめて、やめて! 気持ちいの、やだ! あ、ぁあっ、だめだめ、来る、来るの嫌!」
霧隠れの先を察知できないからだろう、とりあえず、といった風にサムズアップするメアリー。
返す。いい仕事だ。
でもそろそろクロルフェネックが溶けそうなので顔を背けさせてもらう。
「あ、大丈夫ですよご主人様。温度管理は完璧です。クロルフェネックが溶けきらない範囲で、子種を出す温度。調節は」
「──ご主人様、だと?」
おい折角いい仕事だったのに!
案外プライド高いんだよその老眼の耄碌婆は。俺が近くにいるって知ったら自然由来の毒なんか分解するに決まってるだろ。
だけど!
「呪詛スキル:眷属:されるがままになれ」
「ッ……! の、覗き見とは、趣味の悪い……!」
「おいおいおいおいどうしたどうした。お前の思考領域は快楽程度には塗り潰されず、言語を操るのに支障はないんじゃなかったのか? え?」
「ひゃ、あ!? ちょ、ちょっと、回しちゃダメ、そんなこともわからないの!?」
「いえ、こうやって回さないとクロルフェネック全体に熱が回りませんので」
マスカルウィンの膣と尻に突き刺さったクロルフェネックをぐりぐり回すメアリー。
おーおー。どうしたどうした。いつもの尊大な口調はどこ行った。なんだ、普段のは演技か?
「抜いて、お願い、抜いて!」
「わかりました」
「おぅっ!?」
ゆっくり、とかじゃない。
ずるりとクロルフェネック、グレイブバインの毒腺を引き抜くメアリー。迦楼羅炎も消して。
「はぁ……っはぁー……この、ふざけた真似をする……」
「ところでルウィン様。今ここにご主人様がいるわけですが──どうでしょうか。何か感じませんか? 匂いませんか?」
「……っッ!」
ああそういや、まだ帰ってからシャワー浴びてねーや。
男の臭い、出ちゃってるか。……あんまり嬉しかねー導入だけど。
「どうですかご主人様。放置プレイを始めてから既に二十七時間が経とうとしていますが──そろそろご褒美を与えてみては」
「えー、でも今突っ込んだら俺もその麻痺食らうんだろ」
「効くのですか?」
「逆に聞くけどなんでルウィンは麻痺耐性持ってないの?」
「も……持っている。持っているが」
「怪異スキルには蛇睨みというものがありまして。ピンポイントに麻痺耐性を下げることができるのです。減少値は60%程」
エグ。
下がり過ぎだろ。ああでも、なるほど?
ゲーム本編におけるメアリーはヒーラー兼デバフ要員なんだけど、それで相手の耐性下げてたのか。知らんかった。
んー。
まぁ一応怖いから麻痺耐性上がる装備つけて、神官スキル:麻痺耐性でさらに向上させて。
「では私はこの辺りで失礼いたします。少しばかり疲弊しましたので、仮眠をば」
「ああ、休んでおけ。実際には戦っていないとはいえ、ストレスも多かっただろう」
「ありがとうございます。それではおやすみなさいませ」
閉じた。
そして、ぐばぁ、と開く──マスカルウィンの穴。
手足縛られてんのにこれ自分の筋肉だけでやってんのか? その辺はもう流石としか。
「人間、人間……っ! 頼む、後生だ、早く挿れてくれ!」
「まず、そろそろ名前で呼べ、ってのと、その口調やめてさっきの可愛い口調にしようぜ。その方がサド心が満たされる」
「そういうのは良いから、頼む!」
「……じゃあやーめぴ」
「ヴェルグ!!」
ニタァ。
今の俺は仮にも主人公顔なはずの顔を成せていないだろう。それはもう悪人面になっているはずだ。
いやぁ、じゃあ、一日の疲れをここで取りましょうかね。
いただきます。