アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
この惑星にある火山はコールドスウォームただ一つだけ。
どうしてそうなったのか、どういう歴史があってそれしか陸上に出てきていないのかは知らないけれど、現時点の事実としてそうだ。そしてそのマグマの圧力は果てしない物……らしい。
コールドスウォームの根元。
未だに時間凍結が為されているその山の中心部では、天を衝かんとする勢いのマグマが凍り付き、鎖によって縛られているという何ともファンタジーな光景を見ることができる。
「まるで来たことがあるかのように歩くのね」
「ああ、何度も来たよ。ここは綺麗だから」
「……そう簡単に入れる場所ではないし、これを見て綺麗だというのは……危機感を損なっているとしか思えないけれど」
ゲーム画面越しだったからな。
危機感なんか覚えない。ただ美しいファンタジーの光景だ。コールドスウォームの外側の荘厳さが一番好きなのは変わりないけど、この根元部分も好きだ。あり得ない自然の光景が全般好きなのかもしれない。
「解く。少し下がってて」
「いや、ここでいい。万一解凍に時間がかからなかった場合、俺の転移で逃げた方が確実だからな」
「ここで死ぬのも、フレースヴェルグと戦って死ぬのも変わらない。違う?」
「違うな。お前は美しいから、輝きの中で死ね。逃げ遅れて死ぬ、なんて無様はさせん。マグマに飲み込まれようと引きずり出して蘇生して、フレースヴェルグと戦わせる」
「……フレースヴェルグより冷徹。ワォスタクラインより無慈悲。けれど──」
ヒポクリフがその手を翳す。実際のヒポクリフがどういう操作をしているのかはわからないけれど、俺が見えているヒポクリフはその手を前に突き出して──ゆっくりと小指から手を握る。
「契約スキル:
瞬間、熱が来た。振動が来た。
時を止められて固形化しているマグマが、今にも産声を上げんと高揚している。
「早くここをでないと、巻き込まれる」
「ああ。……名も知らぬ魔族の次元使い。命の代価……素直に尊敬するよ」
コールドスウォーム。
かつて起こったこの山の大噴火。魔族大陸の全てを飲み込まんとしたソレを、自らが存在した証拠を代価にしたスキル行使で火山内部にまで押し戻し、時を止めて封印した。だからコールドスウォームは凍っている。時間凍結に巻き込まれた魔物を含むすべてが凍り付いている。
それを解けば、どうなるか。
地鳴りは、地響きは、どこまでもどこまでも――。
俺達が魔王城に戻った時、そこは既に地獄に近かった。
血まみれのフレースヴェルグ。散乱する女性の惨殺死体。三つだけじゃない、無数の、だ。
四天王だけじゃなかったのだろう。フレースヴェルグに突っ込んできたのは。
ずるり、と。
今殺したのだろう女性の胸から剣を引き抜いて……フレースヴェルグがこちらを見る。
「なんだ、ヒポクリフ。逃げたんじゃなかったのか」
「契約を履行するために出ていた。……全員、負けたのね」
「ああ、斬った」
「……なら、やりましょう」
ヒポクリフに迷いはない。
無の境地は使わない。
その上で言う。
「俺は見届けないよ、ヒポクリフ」
「そう」
「フレースヴェルグもだ。……俺はもう帰る。お前達の輝きは、俺が見て良い物じゃなさそうだからさ」
「勝手にすりゃいいよ。じゃあな、ヴェルグ」
見たくないから見ないんじゃない。
見るべきじゃないから見ないんだ。
それは、向けられたものだけが見られる褒章だ。
「──魔素覚醒」
「やっぱりお前は、最初から全力だよな!」
「あの子が欠かなかった礼を私が欠くわけにはいかないもの」
転移する。
これ以上聞く権利が俺には無い。
さようなら、魔族大陸。
次来るときは──果たして俺は、誰の前に立っているのか。
「人工聖石の生産を中止、か。……どのような理由がある、ヴェルグ」
「キモい」
正直なところ、人間がそれを理解する日は来ないと思っている。
メルキオルら神殿関係者のような特殊な観点の持ち主や、シーファら魔族や魔物、そしてメアリーや俺のように魔物の言葉がわかる者。
人工聖石を嫌悪できるのはこれらだけ。
魔物を魔物としか見ることのできない人間には何がキモいのか理解できない。
「生産を中止せよ、と触れを出すことはできる。だが既に出回ったものについては」
「おいおい、そんな従順でいいのか? 対魔素技術は人間にとって喉から手が出る程に欲しいものだろう」
「充足とは、過ぎれば贅沢となり、贅沢に慣れれば欲を出す。人という種はあらゆるものがそうで、それは善悪を問わず逃れられぬ宿命だ。それは戦争の種であると同時、破滅への足掛けでもある。魔素は人類にとって確かに脅威であるが──他の命を摘み取ってまで排するものかと問われたら、それは違うと余は言おう」
「それはお前が強いからだろう、ラムナザール四世。俺もだが」
「然り。であるならばこちらからも問い返そう、ヴェルグ。お前の使う死者蘇生……老衰にも効くものであるか?」
「……いいや。老衰だけは死者蘇生できない。若返らせることも不可能だ」
予想外だった。
ラムナザール四世がここまでの理解を示すのが。いや……俺が浅かっただけかね。
魔族のことも、人間のことも。
舐め過ぎか。
「それと同じだ、ヴェルグ。老衰による死は避けられない。だから老衰を克服せんと医学を発展させる。魔素による魔化は根絶できない。だから魔素を克服せんと人工聖石を作る。──だが、果たして老いとは克服して良いものか? 生物が老いを克服した時、それは生物足り得るのか?」
このゲームにおける戦闘中の死はバッドステータス……状態異常の一種、あるいは病の一種だ。
死者蘇生を使えるのは俺だけじゃない。蘇生系スキルは死者蘇生だけではない。だから、出来得る者ならば死を克服し得る。
「余はそうは思わない。老衰によって死ぬことは、人類が人類で在り続ける唯一の意義である。余も歳をとる。ミミカもスイも歳を取る。赤子から子へ、子から大人へ、大人から老人へ。その推移は"老い"であるが、同時に"成長"だ。──老い衰えるということは、前に進むということだ」
「魔素も同じだと?」
「うむ。この世界がそれをそうだと定めた時から、それはそうだと決まっている。今人類は果たして困窮しているだろうか。老衰や魔素を取り除かなければ人類の足は止まってしまうのだろうか。否であろう、ヴェルグ。"進みやすくなること"と"進むことができること"は似ているようで違う。後者は権利だが、前者は贅沢であり欲だ。余はそれを心から望まない」
気持ちが悪いから、ではない。
人類には過分だから、人工聖石は要らないと……ラムナザール四世は言う。
「決心がついた、とは言っておく。最近の余は
「……やり過ぎれば反乱がおきるぞ。それに、お前がやらずとも俺が」
「お前に任せると"一度滅ぼして必要分だけ生き返らせればいい"などという馬鹿な言葉を吐きそうだからな。余がやる。なに、反乱などさせればいい。ここ帝国は、元よりそういう国だ」
理解されてーら。
……まぁ、なんだ。それで帝国がまた住みやすくなってくれたらありがたいよ。
「こっちでも目に付く範囲の人工聖石は消させてもらう。そして、ラムナザール四世。お前による人工聖石の根絶で、しかし抵抗が起きたり、拒否する者が現れたら──俺はそいつを殺しに行く。邪魔をしたければすると良い。全人類を敵に回しても、俺は人工聖石を許さない」
「肝に銘じておこう」
良かった、とは言っておくべきなんだろうな。
多分……知り合いを。レジーナを手に掛けた所で、俺の心は凪いだままだっただろうけれど。
手に掛けなくてよかったと、そう言うべきだ。
帝国を一望できる丘の上。
そこに生える木の一本を挟んで、俺達はいた。俺の背後に転移するのが大好きなメルキオル君だ。
「暇なの? お前」
「そんなわけがないだろう。神殿の再編、アモルファス聖との交渉、アポトシス聖の構想。結局のところ末端でしかない私は西へ東へ奔走する毎日だ」
「じゃあなんでここに来たんだよ」
「……わからん。ただ、私にとっても人工聖石は嫌悪感を抱くものだった」
「どうでもいいよ。お前がどう思っていようがいなかろうが関係ない。……ただ、そうだな。……手に入れた便利な道具を突然取り上げられた子供が何をするか。神殿の出番が来ないと良いな」
「同感だ」
聖石の研究は、転じて魔素の研究であるともいえる。
これだけ抑圧されたのなら、今度は「人類が魔素に適合する研究」とかを始めかねない。そうしたら……神殿はどう動くのか。
「ヴェルグ。一つ用事を思い出した」
「そうか、行ってこい。別に引き留めてるわけじゃねえし」
「違う、お前にだ」
「俺に?」
メルキオルは、それを言う。
「ラヴ・グラットルという少女について、何か知らないか」
「脳筋」
「……」
「……」
ん、なんか間違えたか俺。
格闘少女、とかよりこの方が伝わると思ったんだけど。アレ脳筋だろ確実に。
話し合うよりとりあえず殴って解決するタイプだ。ある意味気が合うけど、太陽娘過ぎて俺はできれば近づきたくない。疲れるから。
「……了解した」
「何をだよ」
「ブラックパウダー……粉末魔素が王国にまだ残っている、ということは知っているな」
「ああ、あれそんな呼び方されてんだ」
「アレの販売経路や販売先の割り出しを、神殿や聖堂ではなくギルドが行ったらしいのだ。イグニスというパーティを筆頭に、多くの冒険者がその根絶に精を出したと」
「へぇ。流石」
「その中でも目覚しい活躍を見せたのが、ラヴ・グラットルという少女だ。なんと粉末魔素によって魔族化まで行った相手を殴って殺したらしい」
「殴って」
「殴ってだ」
……マジ?
あれか? 水被って炎に突っ込むみたいに、聖水で濡らした拳で……みたいな? 血でも固まるだろ的な?
「……本当だとしたら、逸材も逸材だけど」
「ああ。神殿に勧誘しようかとも思ったが、今は忙しい時期だ。それに、先に聖堂が目をつけていたようでな。王国に近づこうとしたら聖獣に止められた」
そういやなんで聖堂が王国を守ってんのか結局聞かなかったけど、そういう話なのか。
ラヴ・グラットル。……チュートリアル女の子がそんな大出世を、ねぇ。
……俺別に特別察しが悪いとかじゃないからさぁ。
フツーに考えるなら……ラヴ・グラットルが三人目のフレースヴェルグなんじゃね、って。そう思っちゃうけど。
「以上だ。それではな、ヴェルグ」
「ああ」
転移の気配。
……アイツ結構ポンポン転移使ってるけど、MPどんだけあるんだろ。俺でも結構削れるのに。それとも装備がMP消費削減系なのかな。
んー。
「帰るかね」
小旅行、終わり。
帰ったら昼食の時間だったらしく、全員が食堂に居て──全員がそれはもうカニバリズムも真っ青な光景を展開していたから、全力で自室に帰った。
そ、そうだよね。俺いなかったら普通の食べるよね……。
「ご主人様」
「あー、メアリー。なんだ」
「お食事をお持ちいたしました」
「……アレは食わんぞ俺は」
「文句はルウィン様にどうぞ。なんだか当分の間家を空ける、みたいに話すものですから、その間は普通の食事を、と皆様にあれらを振る舞っていただけで、ご主人様用のお食事は作り置きしてあります」
「作り置きって……ああそうか、お前アイテムボックスあるのか」
「はい」
いや、俺も当分いなくなるつもりだったからマスカルウィンを責めることはないけど、そうか。
色々、そうか。としか。
「失礼します」
ドアを開ける音。
振り返れば。
「ではこちらがお食事に……如何されましたか?」
「……口元、ついてるぞ」
「おや。ふふふ、まるでカップルのような会話ですね」
ご飯粒とかならな。
十六分割された目の断片とかじゃなかったら、まるでだったな。
「すべて解決したのですか?」
「何を以て全てというかはわからんが、とりあえず魔族侵攻は向こう百年くらいは起きないよ」
「それはありがたいですね」
「メアリーも魔素は、完全に無理か」
「何を以て完全と言うかはわかりませんが、耐性はありません」
「完全は何を以たなくとも完全だろ。少しでも抵抗あれば完全じゃないし」
「私の種族特性として、最終手段に自切がありますので。激しい痛みがあるのでやりたくありませんが、魔素中毒になった部位だけを切り離せばあるいは、です」
「へぇ。その切り離した部分をルウィンに食わせたらいいんじゃないか? それでアイツも怪異スキルを使えるようになるだろ」
「今聞いてました? 痛いんです。凄く。というかご主人様までルウィン様と同じことを……。ご主人様がいない間、ルウィン様は隙あらば私を食べようとして来ていました。眷属の呪いで縛ってくださいませんか。アレ危険生物です」
……ふむ。
ここのところシリアスが続いたせいで……色々。
ジェスター・ハーネットに関しては確かにヌいたけど、あれもシリアス寄りだったし。
不可視のアレを用いて配膳していくメアリーに、久しぶりのサドっ気が鎌首をもたげる。
「なぁ、メアリー」
「はい」
「ソレ、男性器ではないって言ってたけどさ」
「……はい」
「挿入は……できるよな?」
メアリーの顔が歪む。
嫌悪感バリバリだコレ。
「噛み千切ってやりましょうか」
「できるならな。そうだ、口っつってたもんな。特殊なフェラができるわけだ」
「やりません。私は──」
「呪詛スキル:屈服:行動制限」
「怪異スキル:行動制限耐性!」
おお。
レジストされた。……へぇ、怪異スキルって強いんだな。
「でもすまん。全体の益を考えずに己の欲を優先する邪悪だからさ俺。ほい」
「……え」
驚いた顔のメアリー。
そりゃ驚くだろう。行動制限耐性を上げたのに、自分の身体が勝手に動いて麻痺ポーションを呷ったのだから。
何も不思議なことはない。
奴隷にアイテム分配して使用させただけだ。これは呪詛スキルっていうかシステムだからな。レジストとか存在しない。
その場に膝からがくんと崩れ落ちるメアリー。
一応蹴っ飛ばしたり踏み潰したりしないよう細心の注意を払って近づけば……ふにゅ。
あったこれだ。
えーと、弓兵スキルで色付けてー。
「おお……面白いな」
「あ、あの、やめてください、頭擦らないで……」
「亀頭責めキツいんだったか」
「だからっ、男性器ではないとっ!」
「魔法スキル:グルーハント」
「ひゃうっ!?」
潤滑剤も持ってるけど、まだアスガードの探索が終わってないからな。
ハルフィーさんとこに置いてあるような質の潤滑剤が無い可能性もある。ハルフィーさん謹製ポーションを使うのは勿体ない。
魔法で出した粘性の液体を、メアリーのソレに塗り込んで行く。
「だ……だからぁ、爪、立てないでって……」
「へぇ、グルーハント越しでも伝わるのか」
「う……私は食事を持って来ただけなのに」
「それについてはスマン。好意を無下にするとはまさにこのことだ」
十分濡らしたので、では。
一気に──突っ込む。
……ほむ。へむ。
「あんまりフェラって感じでも、膣に突っ込んでる感じもしないな」
「だから、なんども、そう言って……」
「麻痺ポーションが効きすぎてるか。締め付けが足りん。……ちょっとグレイスを思い出すな」
「比べられても、困ります……」
「んー。……やっぱりルウィンがいいな」
「最低男……」
そのまま崩れ落ちているメアリーの身体を起こし、メイド服を脱がせ……ん。
これ、魂のメイド服か。見えてる服通りの構造じゃねえなコレ。
「なにする、つもりですか」
「胸とか膣はどんな感じかなって」
「れ、レイプ魔がー。レイプ魔がいますー」
「棒読みだな」
「声張れないんですよ、麻痺ポーションで……」
……ヤバイ、難しい。
女の服は元から難しいんだけど、服の構造が見えないのはキツい。流石に破るのはなー、悪ふざけの延長にないからなー。
「この……このメイド服にぶっかけたら、ちゃんとかかるのか?」
「たーすーけーてー」
ジェスター・ハーネットがヒトガタだったから検証できてなかったけど、見えてるものと違いがあるものにぶっかけた場合ってどうなるんだろ。着ているもの、付着しているもの判定でアダルトMODがフィルタリングしてくるのかな。いやでもさっきの魔物食材は見えてたし。
気になる。
「ご主人様。……そろそろ私、怒りますよ」
「ほう。怒ったらどうなるんだ」
「『夢の世界』にご主人様を連れて行きます」
ああ、お前の限界突破用の世界。
良いけど別に。あそこ調べ尽くしたし。
「余裕そうな、顔ですね。……ムカっと来ました。怪異スキル:招来」
瞬間、世界が歪む。
溶けているのかと錯覚するほどにぐちゃぐちゃになる。
えー、一発出してからにしてほしかったな。不完全燃焼なんだけど。
──して、辿り着くは、魔族大陸よりも陰鬱で、ビビッドで、色彩のおかしな世界。
夢の世界。メアリーの限界突破を行う際に行かされる場所。ただしここがどこなのかはゲーム中では明言されておらず、当然のようにマップも使えない。スカイアントリオンの胃袋とかと同じような異空間説が濃厚。
「ふふ──さて、余裕を保っていられるのはいつまででしょうね、ご主人様。ここではすべてが思い通り──麻痺ポーションも効かなければ、ご主人様、あなたの数々のスキル群も」
「知ってる知ってる。全スキル無効でお前とここに出てくる魔物っぽい奴らだけスキル使えて、俺は基礎ステータスだけでどうにかしなきゃなんないんだろ? でもさ」
「ぁぇ? うしろ──」
俺の最たるはスキルの多さじゃねーんだわ、メアリー。それはどっちかというとマスカルウィンな。
いつも言ってるだろ。言ってないけど。
俺は三周目ステータスゴリ押しマン。スキル無くてもいーんだわコレが。
「ちょ……きゃあっ!? ど、どこ触って」
「ヘソだけど」
「違う、前言ったはずで、私の身体は肉を固めてあるだけで、ぁ、ちょ、ちょちょ」
「うん、だから膣も尻も胸も揉んだって挿入したって意味ないんだろ? ──でも位置的に、ヘソは透明なオティヌティヌの口と同じくらいの場所にあるよなぁって」
「だから男性器じゃ……指入れちゃダメ!!」
ガジ、と。
噛まれた。……フッフー、基礎防御力さん最強!
「これってどこまで入んの?」
「……は? う、……は!?」
痛くないし噛み千切られないのを良いことに、指だけでなく……手を、拳を、腕を入れていく。
フィストファック……になるのかなこれ。ファックではない気がするけど。
「グーパーしてみたりして」
「づ、ぅ」
「中の管をカリカリしてみたり」
「あ゛、ぐ」
「指の腹でぞりぞりしてみたり」
「う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛!」
痛がっている、という風ではない。
どちらかというと。
快感を我慢している、ような。
「射精はしないのか?」
「だがら゛、男性器ではな゛いと゛!」
「じゃあなんでこれどんどん硬くなってんの?」
「せ、生理反応です゛っ! 気持ちよくなくたっで、触られたらかた゛くなるでしょう゛!」
いやそれだからオティヌティヌの反応なんだよね。
わかるわー。いやさ、だから創作物における「なんでこんなことでチンコ勃起させてんの?」とか「見られただけで勃つとかキモーイ」とかは、オティヌティヌ様のことわかってねぇなって思うんだよ。案外些細なことで勃起はするよ。数学の授業中とかでもするんだから。
エロいこと考えてるかどうかじゃなくて、下半身に力込めたり血が集まったりしたら勃起はするんだよ。
「なぁメアリー」
「なにか゛っ!」
今度アウラニにも聞いてみるか。
セクハラってお前、アダルトMODアダルトMOD。
「今更だけど絵面エグいな。腹パンどころか腹に腕貫通してるのは中々エグい」
「ううううう!」
「ん……ん? なんか……液体が来たけど。これ精子?」
「違う、つってんだロ……怪異スキル:賢淵!」
「おおおお!?」
液体じゃない。
糸だ、これは。それが俺の腕に絡みつき……中へと飲み込もうとしている。
え、どうしよう。
抵抗は全然できるんだけど、これ……これ、飲み込まれた方が楽しそうじゃないか?
「俺食ったら腹壊すぞー」
「ふ……ふ、ふふ。食べる気は、ありませんよ。……その中で、反省してきてくださ、ひぃ!」
「中とやらに辿り着くまで身体動かしまくってやる」
中は暗い。
そして狭い。けれど伸縮性に富むのか、破れる気配はない。
背後から聞こえる「あ゛っ」とか「おぅ゛!」とかいう嬌声が聞こえなくなるまで全身運動を続け、聞こえなくなったら糸に引かれるがまま進んで行く。
結構長い。ツーかアレか、全長マスカルウィン城よりデカいんだっけ。
それくらいの長さがあったりするのか? それとも足だけだから半分?
……いや、光が見える。
案外出口は近かった、な……。
……ここは。
「あー、成程。そういうスキルか。……ダルいな」
そこは──俺の部屋、だった。
つまりまぁ、前世の。
トラウマとかそういうのを見せる系ね。はいはい。
だったらせめて魔族侵攻の場面とかにしてくれねーかな。その方が色々調べ甲斐があったのに。ま、所詮は俺の記憶か。
なんともまぁ、殺風景な部屋なことで。
「改めてみると……マジなんもないな。今の部屋の方が色々あるぞ」
照明器具。黒い足の白いテーブル。仕事用PCとゲーム用PC。ソファベッド。
フィギュアだの漫画だのは置いていない。PC類がないと精神ヤってんじゃないかって疑われそうなほど何もない部屋。
……でも。
な……んだ? さっきテンプレート的に「トラウマとか見せる系ね」って考えたけど、この部屋になんかトラウマあるか俺。別に部屋で自殺したとかじゃないし、いじめを受けていて引きこもっていたとかでもない。
え、なんだろう。
何したらいいんだ俺。
「この部屋破壊する……? それで過去との決別的な? いやでも俺後悔とかしてないけど」
……まぁ、やる?
あ、でもそうか、スキル使えないんだった。え、じゃあ殴る?
一応魔法スキル:スーパーノヴァ。……出ないか。
反省して来い、って言ってたけど……いやまぁ、じゃあ。
デスク前に座って、ゲーム……だと反省にならないから、仕事用PCをつける。まずメールボックスを見ると、溜まりに溜まった赤い通知が。うわぁ。
一つを開けば、懐かしいクライアントからの催促メール。次のは……早く会社に来いという励ましなんだか叱咤なんだかわからない同僚からのメール。その次も上司からとはいえ似たようなメール。業務メール、業務メール、業務メール……。
普通こういうのってさ、あっちの世界からの宛先が書いてあったりして「……思い、出した!」ってなるもんじゃないの?
普通に普通のメールなんだけど。返せんのかなコレ。ああ送信はできた。
つか今何時? 午前三時……まぁまぁ、普通なら寝てる時間だな。明日の仕事に関わるし。睡眠不足が一番ダメなんだよパフォーマンスを落とすから。寝坊しなけりゃいいって問題じゃないんだよね。効率が悪くなるのが一番ダメ。
じゃあ、寝る?
……寝るか。ゲームは、まぁいいだろ。ずっとやってるようなもんだし。
ソファベッドに横になって、目を瞑る。
起きた。
……えーと、午前六時十分。いつもの起床時間だ。んじゃ着替えて歯ぁ磨いて……朝食はどーすっかな。適当にコンビニでサンドイッチとか買ってくか。
あ、この世界なら俺普通に飯食えるんじゃね。今のところ部屋に魔物素材無いし。いや心和らぐわー魔物素材ない部屋。
えっと。
で、いつまでやればいいんだ? いいぞ別に仕事行っても。全然苦じゃないっつーか割と仕事人間だったし俺。
ああでも、苦痛云々で言うなら確かに今苦痛ではあるか。
暇、嫌いなんだよな。
んー。
まぁ、言わんとしていることはわかる。ゲームつけろって言いたいんだろ?
これ多分メアリーの意思じゃなくて世界からの干渉な気がするんだよなー。メアリーの怪異スキルに割り込んできたというか。
俺が世界の中で世界の外側を観測することで、世界が世界の外側に干渉できるようになる……みたいなこと目論んでそう。
けど、一つ忘れていないか、メアリー。世界も。
確かにスキルは封じられたけどさぁ。
「インベまで制限できるスキルは無いんだよねぇ……発動【トラベルチップ】」
効果は簡単。
使用者をランダムな位置に転移させる!
ランダム性強すぎて滅多に使わないアイテムだけど、さーてどこに飛ぶかな!