アダルトMOD入ってるせいで超やりにきぃ 作:姫鼠まりあ
トラベルチップ。
自身が行ったことのあるなしに関わらず、存在する「どこか」へ使用者を転移させるアイテムであり、このアイテムの使用有無でタイムアタックのレギュレーションが分かれるくらいには強力なもの。ただしそれはリセマラが可能な環境で在ればこそであり、俺みたいな普通にゲームしてるような奴にとってはただの劣化転移という認識だった。
基本このゲームは死に覚え……情報を集めることができても半分くらいまでで、小イベントをどれだけ経験値にできるか勝負なところが大きい。割合ぶっつけ本番で、対策しきれていなければGAME OVERになってセーブからやり直し。毒とか石化とか、対抗手段が何もないとどうしようもないスキルを何の説明もなく使ってくる敵ばっかなものだから、一周目は本当に苦労した。
だからトラベルチップは怖い。
どこに飛ばされるかわからないということは、何の対策をしておけばいいかわからない、ということでもあるのだから。
しかぁし、そこは三周目ステータスゴリ押しマン。
何より俺には二周分の知識+攻略サイト知識があるので、トラベルチップのデメリットはほぼないものだと言える。
「な、な、な」
「でもそれは俺の役目じゃねーと思うんだわな。神官スキル:遮断」
「なぜここに!? それより早く出て行ってください! 変態!!」
「おうおう、効かないけどナイフ投げるのはやり過ぎだぞカローライナ」
夢の世界からトラベルチップで出た先。
そこは──カローライナの寝室だった。んで着替え中のカローライナが目の前にいた。
「前も言ったけど、お前をノズヴェルガーから買う時に全裸は見てんだからさ。今更何を恥ずかしがってんのかさっぱりなんだわ」
「だから、それとこれとは別でしょう!!」
「つーかお前、世の中全て損得勘定のみ、ってキャラどこやったんだよ。そんなワーキャー叫ぶ奴じゃなかっただろ」
「……感情の全てを捨てることが損得勘定で動くことだと思っているのなら、それは甚だしい勘違いです」
肩を竦める。
そりゃそのとーりでごぜーやす。
「とにかく……何用ですか。貴方がわざわざ私の部屋に来たということは」
「うんにゃ、事故だな。来たくて来たわけじゃない」
「じゃあ早く出てってください!」
おかしいよなぁ。
アダルトMODでトイレとか風呂は男女兼用になってんのに、肌を見られることには抵抗あるの。……よく考えたらスイもそうじゃんな。アイツ大浴場に自ら全裸で来てたのに、海底遺跡では裸見られてうずくまるとか……まぁでもあれか。水着と肌着って布面積同じだけど、場所によって恥ずかしくなったり恥ずかしくなくなったりするアレ的なアレか。
んじゃまー出て行きますよ、と言おうとして……ふと。
「なぁ、カローライナ」
「なんですか」
「ラヴ・グラットルって冒険者、知らないか?」
「……馬鹿にしているんですか? 彼女は今や王国では英雄に近い位置にいます。いくら私が既に冒険者から足を洗った存在であるといっても、そういう情報の仕入れをやめるつもりはありませんよ」
「足を洗ったて。冒険者は盗賊とかじゃあないだろ」
「そうですね。表現を違えました。貴方のような冒険者から足を洗った、というべきでした」
「あーはいはい、そりゃ悪ぅござんした。……で、ラヴ・グラットルって今どこにいるとかわかる?」
「……まさか彼女にまで辱めを」
「だから俺がお前を買ったのは」
「いえ、今のは冗談です。ラヴ・グラットルさんがどこにいるかについては知りませんが、彼女がイグニスとよく行動を共にしているというのは聞いたことがあります」
「へえ」
善人は善人同士惹かれ合うってか。
キンゾイとグレイスとかもそういや王国に行かせたんだったか。アッシュ・ユアンと合流できてんなら、こう……変な化学反応があったりするのかね。
「あと、そうだ。エスカポーラスは全員検挙したんだろ? リシはいたか?」
「いいえ。スヴェロニカが尋問を行いましたが、リシなる名前も、姿すらみたことがないとエスカポーラス全メンバーが証言しています」
「……」
魔族大陸に帰った……としたら、今の魔族大陸はちょいと危険が過ぎる。あの賢者ならその辺見越してそうではあるけれど、だからといって奴の予知を完全に信じきるのもまた微妙。俺のことを組み込めているのかいないのか。
でも……少なくともリシがノズヴェルガーのもとにカローライナを送ったのは、間違いではなかったのだろうと思う。
「……中々出て行かなさそうなのでもうこのまま話しますが……ヴェルグ様」
「今更敬称なんざ要らん。なんだ」
「私は考えました。帝国と戦争をせずに済む方法を。そして一つの答えに辿り着いたのです」
「早いな。そういうのは一生かけて挑む問題なんじゃねーのか」
「王家のくだらないプライドと私の一生は釣り合いが取れませんから」
ヒュウ。
言うねえ。いやホント、ノズヴェルガーに焚きつけられたらしいけど、アイツは……カーッ、嫁さんもかっこよけりゃアイツもってか。
「頼みごとがあります」
「王家の呪縛を解け、ってか。高くつくぞ」
「ええ、ですが……今回はしっかりと貴方に益、報酬があります」
「というと?」
「ヴェルグさん。貴方は私達王家が何をこの地に抑え込んでいるのかを知っているのでしょう? 私はこれから、イグニスとラヴ・グラットルさんに王国地下の探索を依頼するつもりでいます。これは私の独断であると同時に、軽いクーデターです」
「軽く言うなよんなこと。俺が遮断結界張ってなかったらヤバかっただろ」
「張っていたから言ったまでですよ。私はこの依頼時、またひと時"銀閃のカローライナ"となり、彼女らの探索に同行します。そして地下の奥深くで封印を解除するつもりです」
……。
吹っ切れすぎだろ、と思った。
「避難は?」
「聖堂が」
「ああ、ラヴ・グラットルから辿って協力を取り付けたか」
「はい。一時的にではありますが、聖堂にはスキルの行使も許可しています。これも私の独断専行……本来そのような決定権はありませんので、事が終われば大罪人となるやもしれませんが、国外逃亡する準備はできているので問題ないでしょう」
「色々切り捨て過ぎだけど、まぁ準備してんならいいよ。で、俺についてきてほしいってのは」
「当然、保護者です。どう見積もっても私、イグニス、ラヴ・グラットルさんだけではアレを倒すことはできませんので、ヴェルグさんにやってもらいたく。ただ良い感じにやってください。王国は"ラヴ・グラットル"という英雄を擁立することで、信頼を失った王家の代わりに人々の混乱を抑えなければならないので」
「王家が落ちぶれることには何のためらいもないのか。家族だろう?」
「私は帝国との戦争の必要性の無さ、この国の地下に眠るモノの危うさ、そして名前こそ出しませんでしたが、貴方のような強力な存在の示唆……あるいは協力を仰げる可能性まで示しました。しかし彼ら彼女らに聞く耳はありませんでした。世界は護られなければならないの一点張りです。よって私は、彼らをデメリットであると考えました」
ああ出てる出てる。
損得勘定出てる出てる。
「私が貴方の奴隷であった時に得た最大の学びは、"幸運をふいにしないこと"です。チャンスとは常に眼前にあり、それが益となるか無益となるかは状況と行動次第。なれば幸運にも益となる兆しが見えたその瞬間、私は他の何を捨ててでもそれを掴まねばなりません。冒険者をしていた頃の私の損得勘定は、些か甘かったと言わざるを得ないでしょうね」
「……そんで、俺への報酬が、つまりラヴ・グラットルを間近で観察できること、か」
「はい。必要なのでしょう? 彼女の情報が」
回る回る。
なーにが計算に一日かかる、だ。今聞いたばっかの情報を組み込んできやがって。
「いいだろう。取引成立だ」
「ありがとうございます。つきましては作戦を詰める……のもそうですが、まず出て行ってください」
「いや、余計なのと鉢合わせになっても面倒だからここにいる。早く着替えろ」
「……はぁ」
少しずつ手繰り寄せていたシーツを手放し、着替えを再開するカローライナ。
あー。王家の服……豪華、だもんな。
魔物素材……使ってるよな。まぁ、うん、あー。
「……というかお前第二王女だろ。着替えとか、自分でやんのか」
「帰った当初は側仕えがやろうとしてくれましたが、断りました。様々な危険性を考えたら自分でやった方がいいでしょう」
「ふぅん。……なんか、奴隷でも何でもない王女様の生着替えって考えると普通にエロいなって」
「冒険者時代から下卑た視線を向けられることはよくありましたので今更気にしませんが、もう少し隠しませんか?」
「何だよ、じゃあお前、無言で"うわコイツの着替えエッロ"って思われてた方がいいってのかよ」
「どちらでも構いません。今のは隠した方が好感が持たれやすいですよ、という忠言であり、私にとってはどちらであろうと損はありませんから」
「だのに裸は嫌なのか」
「心構えができていれば問題はありません。咄嗟の反応でのみ生娘のような反応をしてしまうことをお許しください」
「ん? なんだお前、処女じゃねーの?」
「ええ。幼い頃に散らしました」
「……え、誰と?」
「姉と」
……ほーぉ。へーぇ。ふーぅん。
知らんかった。
「ちなみに姉の処女は残っていますが、どうですか?」
「誰が沈没予定の泥舟を買うんだよ」
「貴方がフレースヴェルグを名乗り、慈悲深い顔つきで帰還を宣言すれば、此度の依頼も相俟って王族との婚姻、及びその権威失墜の話も水泡と化し、王国で裕福な暮らしができるやもしれませんよ?」
「自分が欠片も想定していない未来を勧めてくるな」
「申し訳ありません。……一応聞いておきますが、地下のアレと貴方が戦った場合……どれほどの被害が予想できますか?」
「まず住宅区……城下町の中心区画は必ず崩落する。アレが立ち上がっただけでそれは起きる。立ち上がらせないように、はちょいとキツいな。最速で足を斬ればなんとかなるやもしれんが、アイツは起き抜けにビーム……もとい、ブレスを吐く。そんでもって扉から繋がる階段を降りた先の出口が奴の口の真ん前だ」
「詳しすぎませんか?」
「信用ならないか?」
「……いえ。今のは忘れてください。そして、その口振りから察するに、アレは私達が眼前に躍り出た瞬間に目を覚ますのですね」
「そうなる」
興味と好奇心、猜疑心さえも天秤にかけるか。
それでいて感情も持ち合わせるのなら、それはもう理想の施政者なんじゃねーのかな。
「だから、ラヴ・グラットルを立てる、という部分に関しては多少難しいと言わざるを得ない。詳細な弱点を教えることもできるが、それは望まないんだろ?」
「安全と自信。残念ながら私は"益のある方"を取りますので、後者を。私達が死んだら蘇生してください」
「あくまで初見の体で、ってか。だったら即効性のある毒でも用意しておけ。即死できるとは限らんぞ」
「即死できなかったら情報を落としますよ。全てが貴方の推測通り、という絶対を有しているわけではないのでしょう?」
いいねえ。
俺という絶対を買って作戦に組み込んで置きながら、俺を絶対だと信じない。
信用はするけど信頼はしない。あくまでビジネスパートナー。
「カローライナ。酒はいけるか?」
「飲めますが、思考が鈍るので好みません」
「ラヴ・グラットルとイグニスに依頼して、彼らがそれを受けるまでに時間があるだろう。一杯どうだ、今からでも」
「まだ昼過ぎですが」
「ばっか、昼から飲む酒が美味いんだろうが」
着替えの終わったカローライナを椅子に座らせて、インベから出したグラスを置く。
そこに注ぐは【パナケイア】という霊酒。ソーマとはまた違う不思議な色味を見せるこの酒は、芳醇な香りだけで人を酔わせるものがある。
……今更だけど昼過ぎなのか。夢の世界で寝て起きたのは、やっぱただの夢……夢の中の夢みたいなアレかね。
というかメアリー大丈夫か? 連絡なんもしてないけど、アイツ視点食べる気なかった俺を飲んだらいつの間にか俺が消えてたって……ははは、いい薬だろう。可哀想は可愛い。
「これは……美しいですね。飲むのが勿体ないほどに」
「まぁおまけ効果として状態異常、バッドステータスを回復して、さらに一定時間無効化する、とかあるからな。普通に飲むもんじゃないのは事実」
「……それでも出したのは、味が良いから、ですか?」
「ああ。コレの良い所は酔い過ぎないところだ。酔いもバッドステータスみたいなもんだからな。パナケイアはその成分で飲んだものを酔わせつつ、その効能で酔いを醒ます。だから鎮痛効果も併せ持つ。面白い酒だろ」
たぷたぷと揺れるパナケイア。
多少粘性の強い酒であるからか、グラスの淵を何度も駆け上がって、けれど零れない光景を繰り返す。
「まぁ騙されたと思って飲んでみな。酒への偏見が変わるぞ」
「……わかりました」
その代わり他の酒が飲めなくなると思うけど。
発展に犠牲はつきものだ。
何とも言えない美しさを見せるパナケイア。
一度ごくりと唾を飲み込んだカローライナは、そーっとそれを口にし──驚いたようにグラスを離した。
「口に合わなかったか?」
「いえ……舌で味わうつもりだったのですが、飲み込んでしまいました。まるで……喉や胃が早くこちらへ寄越せと言っているかのように」
「それは随分と素直な内臓だな。まぁ逸るな逸るな。それなりの量はある」
「そして味は、口に合わないどころか。とても美味しいです。心無しか気分もすっきりして……酩酊するどころか、思考がクリアになっていくようで」
「万能霊薬だからな。色々効果があるんだろう」
「ただ……」
ごく、と。
ごくごく、と。
ごくごくごくごくと。
カローライナは……グラスを取る手を止めない。あコレ。あコレじゃない?
「お代わり、いるか?」
「ぜひ!」
そして火に油を注ぐのが好きな奴が対面にいるのが運の尽き。
実際、あんまりにも美味そうに飲むものだから、注いでやりたくなってしまう。
「酔い、全然来ないだろ」
「はい! 全然!」
来てるね。かなり来てるね。
ん-、実際俺が飲んだ時は全然酔わなかったんだけどな。体質か?
「あ、でもこれ、ちょっと体温上昇が見受けられますね。脱ぎます」
「おお、さっきまでの嫌がり様はどこへ」
「何言ってるんですか? 暑かったら脱いだ方が効率的でしょう」
「だからって下着にまでなる必要はなくないか」
「肌の露出面積を増やした方が放熱は効率的になります。そんなこともわからないんですか?」
こーれは。
……これ……いや、俺が帝国所属の時に、奴隷としてのカローライナに手を出してたら、そりゃ火種だったけどさ。
今ってどうなんだろうね。
「……締め付けが邪魔くさいです。これも要りません」
「あらら」
「はぁ、普段から思っていることですが、どうして人は服を着るのでしょうね。邪魔じゃないですか? 場によって正式な服だの格式高い格好だの、応対する相手によっても色味とか装飾とか考えないといけなくて……何着たって大体隠れるところは隠れるんですから、どうでもいいんれふよ。というか着なくていいです。意味わからないでしょう。お風呂や排泄時には当然のようにそれを晒しているのに、なぜ普段は隠さないといけないのか。疑問以外の何物でもありません」
「んじゃ俺も脱いだ方が良いか?」
「寒いなら着てていいですよ。しょこを強制すぅつもりはありませんのれ」
呂律もぐっちゃぐちゃ。
パナケイアでこんなに酔えるのもう才能だよ。
折角なので脱ぐ。
「……ヴェルグさん」
「なんだ」
「腹筋触っていいですか」
「ああ、いいけど。……お前も凄いな腹筋」
「ふふん。鍛えてますから。……あれ、柔らかい……? ……違う、奥は硬い……不思議な」
基礎防御力と筋力は違うからなぁ。
筋肉がガッチガチ、ってわけじゃないんだよね俺の身体。だからオティヌティヌも鉄棒にはならないし。
カローライナは「へぇ~」とか「おぉ~」とか言いながら、俺の身体をペタペタ触りまくる。
あんまりにも無防備なので胸を触ってみた。
無反応。
「胸……割とあるな」
「んぅー? ……胸、邪魔なんですけどねぇ。動くにも揺れるし、縛れば苦しいし。小さい頃は薄くて楽だったのに、歳を追うごとに大きくなってきて……小さくする薬とかないんれふか?」
「無いなー。体形操作系は年齢操作にも繋がるからか、世界が許さなかったっぽいんだよな」
「そうでふか。……やっぱり小さい頃に姉が揉んできたのがダメだったんでしょうねぇ。揉むと大きくなるってほんとうだったんだぁ」
「姉……第一王女とは昔からそういうことしてたんだな。さっき処女を散らしたのも姉だと言っていたし」
「ですねぇ。わらひぁーそこまででもないんですけどー、姉は女の子がだいしゅきなのれー」
そうだっけ。
ああでもこの王国派のルートで王女と騎士の関係になって好感度最高まで行くと、なんかそんな話をしてきたような。初めて好きになった男性だのなんだの。あれって女性は含まれないって意味だったのか?
「これが、だんせーのしょーちょーですよねぇ。るうぃんさんにずぼずぼ挿してたの、ちょっと見てたんですよー」
「興味あるのか?」
「ないといえばうそになりますけどー、立場が面倒ですよねぇ」
「でもこの件終わったら国外逃亡して立場棄てるんだろ?」
「そういえば。……じゃあ問題ないですね! 戦士スキル:組み敷き」
「うお」
流石のヴェルグ君もこの雰囲気でスキル使われるとか思ってないから、何も反応できずにスキルの餌食になってしまった。
組み敷かれる。仰向けに。
そういえばパナケイアって元の神話的には子宝に関係あったりするんだよな。……多少なりとも媚薬効果あったりする?
「っと、魔剣士スキル:吸収無効オーラ。魔法スキル:グルーハント」
「冒険者はーぁ、何事も挑戦でーす。えい」
えい。
ずぶ。
何のためらいもなく、そして何の抵抗もなく俺のオティヌティヌ様がカローライナに食われる。
カローライナは「んんん」と唸ったあと、一頻り腰をくねくねさせる。多分気持ちのいい場所を探しているんだと思うんだけど、それ自体が気持ちいい。
「あはぁ、子供の頃の……お遊びの時とは、快楽の質がちがいまひゅねぇ。姉の細い指なんか比べ物にならない……ああこれ、いいですねぇ。こう、奥のとこ当たるの、とってもいい……」
「そりゃよかった。どうする? 俺が動いても良いが」
「んー……動かなくていいですよー。まだ全部入り切ってませんしぃ、痛くなるのは勿体ないので……もうちょっと自分で良い所探させてください」
「あいよ」
マグロご指名とあらば、御意に。
「んんぅ……ん-、ん-。……もうちょっとお酒ついかー」
「ホントに酒苦手なのか? 酒豪の飲み方だぞそれ」
「嗜むっていったれひょー。頭回んなくなるから苦手なだけで、味自体はすきですよー」
「今頭回んなくなってないか?」
「もー、そーやって私からおさけを離そうとする……みんなそーれすよねー。それとも勿体ないとかですか? まぁこんな美味しいおさけですしー」
「いや、量は気にしなくていい」
「それじゃ飲みますもういっぱい!」
いっぱい飲むカローライナ。
これはもう誰も止められない。唯一止められる奴に止める気が無いんだからもう無理だ。
「んっんっ……んぅー」
「どうした」
「もっと気持ちよさそうにしてくださいよー。私だけ気持ちいのなんか申し訳なくなっちゃうじゃないですかぁ」
「まぁ圧倒的に経験値が足りんな。自分だけ気持ちよくなってるだけじゃ、相手の良い所ってのはわからない、お?」
「こう、とかれすか? 腰……ああだから、先っぽをはめて、ぐりぐり動かすのがどっちも気持ちよくなれる最短手段……だから、効率を取るなら……戦士スキル:重量化」
メキメキと。
凄まじい勢いで経験値が。上手く、上手くなっていく。
「良いぞ、凄く……上達が早いな」
「ああ、やっぱり……えへへ、そうですよねぇ、そうなんですよぉ。わらひもきもちよくれー、あなたもきもちー。いつもー、損得勘定とかー、メリットデメリットとか言ってますけどー……どっちも得で、どっちもメリットの方がぁー、絶対良いんですよぉ……ねぇ」
「おお、そりゃそうだな」
「……だから、ほんとは……家族は救いたいですよー。だって、家族ですし……ほんとうは……全部救いたいですよー。……でもそれが無理なことくらい、知ってますから、取りこぼしては、ならない、ものだけ……」
……あのさ。
一番最初。最初の最初。はじまりのはじまり。
ケルの時も思ったけどさ……こういうさ、"そういうシーン"じゃない時に、そういうこと言うのやめてくんない?
俺だって辛くなりたいし、俺だって気持ちよく終わりたいんだわ。
「……すまんが、俺のスキルに王家の信用回復なんてものは無い。だから……まぁ、多少は頑張ってやるよ」
「何の話ですかぁ。もう取引は成立しましたからぁ、もう……なんでもない話……」
「あ、おい……寝るのかよ。昼間だぞ」
「ふんっ、昼間からお酒飲むのが一番楽しいならぁ……昼から寝るのが、一番きもちーんですよ……」
そのまま。
そのまま、俺に跨ったまま眠りに就くカローライナ。涎垂らして……ゲームの時でも見たこと無い柔らかい笑顔で。
優しさ、とかはさ。
俺の中にはほとんどないんだよ。優しさとかじゃないんだけどさ。
……はぁ。
魅せられたら仕方がない。
「吸収無効オーラ……無駄になったな。射精できなかったし」
上手かったけどね。上達速度も凄かった。
国外逃亡してあいつらのトコいったら、まずシーファに腰遣いでも学んでくれ。あと胸はそのままでいいぞ。良い大きさだしいい形だ。ただちょっと細っこ過ぎるな。鍛え上げられてはいるけれど、俺的にはもう少し肉付きがあった方が良い。
さて抜いて……ん?
「このままーれー」
「……」
んじゃアサシンスキル:弛緩。
飲んだのはあくまでパナケイア。目が覚めた時にはもっとスッキリしていることだろう。意識も思考も明瞭に。
そして記憶を飛ばす効果はないから、全部覚えているのだと思う。今までの酒からは考えられないくらいはっきりと。
──のたうち回るがいい。そして弛緩しているからのたうち回ることも抜くこともできずに悶絶するがいい。
ワンナイトラブ。俺は大歓迎である。
三時間後くらい、だろうか。
思ったより長い昼寝を取ったカローライナが目を覚ます。
彼女はきょろきょろと周囲を見渡し、そして眼下に広がる裸の俺を見て悲鳴を上げかけ──自身の股座にある違和感にさらなる悲鳴を上げようとして、ようやくそれができないことに気付いた。身体が弛緩している。顔を動かすことはできても上体を上げることは出来ない。それほどに。
「喋れはするだろ。どうだ、感想は」
「全て忘れてください」
「ここで今俺が動いたらどうなるかな。パナケイアの酔い無しでも喘ぐのかお前は」
「絶対にやめてください。……ああでも、普通に喘ぐと思いますよ。男性とのセックス、案外気持ちいいことを知ったので。幼い頃に姉に言われた"男は獣だから、獣欲に貪られるのが好きなら止めはしないけれど、貴女みたいな可憐な女の子は、私のようにしなやか指を持つ女の子に抱かれて、しとしととしたきめ細やかな快楽を得ていた方が、ずっといいと思うのよね"という言葉。あれは嘘だったのですね」
「あー、いや、それが好きって連中もいるぞ。男とは激しすぎて苦しすぎるから嫌だ、って奴らも」
「少なくとも私は気持ちよかったです。……さっきの魔剣士スキル。なるほど、吸収無効オーラで避妊を。それならば国交問題などに影響は出なさそうですし、事が終わったら、こんどはお酒を挟むことなく私と交わってくださいませんか? 色々研究したいので」
マジか。
酒で暴走した自分を恥じて悶絶するのを期待してたのに、冷静に分析して次を求めてくるのマジか。
「しかし……仮にあの家の方々がヴェルグさんとの既成事実を作らんとした場合、まず魔剣士スキルを封じなければならないとは。中々至難ですね」
「いやマジで俺がそいつを好きになって、マジで子供を作りたい、って思ったら、ちゃんと同意取った上で子作りセックスするよ。相手も俺のことが好きって大前提は勿論としてな」
「ほうほう……ありがとうございます。リーク材料として良質です。交渉材料としても」
「物騒だなオイ」
誰へのリークだよ。
んで誰との交渉に使えんだよ。
……まぁ、起きたなら。
そろそろ真面目にやりますか。