※この作品はR-18です。

真・女神転生〜ジャッジメントデビルサマナー〜   作:葉隠小太郎

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Chapter3.5
生江ない世の裏バイト〜逃亡禁止〜


 

 

「……金が…ナッシングー!?」

 

大学の学生食堂内に響き渡る叫び声は、その場に居る学生達を一斉に振り向かせるも、主を見ては何事もなかったかのように前へと向いて終わる。

 

大多数は関わりたくない人物であることと、その大半が関わったことで身の毛がよだつ事態に巻き込まれた被害者であること。

この二つに別れているとされる。

 

「また無駄遣い?そろそろお金貯めることも覚えたほうが良いと思うんだよね?」

「そうなると確実に宮本氏の帳簿付けをして貰わないと駄目だと思う」

「ヒデェ!?そんなに信用ないのか!?」

 

しくしくと泣き真似をしては困った表情をする〔生江ない世〕に対し、ロンドンの【時計塔】から海外留学にやって来た真紅のようなフード付きローブと黒を基調とする衣服に身を纏う少女〔ルビー・ローズ〕は呆れ、助言をする。

もう一方で、角張った大きめのアホ毛を揺らし、男の目線が釘付けになるであろう豊満な胸部を持つ〔E,s〕は更に辛辣な言葉を突きつけるのだった。

 

「あっ、ルビー。昨日の異界で大きな宝石出たけどこれは何か分かるかな?」

「うーん?どれどれ?……わっ、苺水晶じゃん!?レアだよレア!?」

「おぉう!面倒くさくて話題そらしは酷いんじゃ無いかな!?」

 

珍しい苺水晶(ストロベリークォーツ)を手に入れたE,sに価値を教える中、無視されるない世は更に滝の如く涙を零す。

 

「ってか、どうしてそんなに使っちゃったの?生活費まで全ブッパって訳じゃないでしょ?」

「おぉ〜んっ……ガチャが…」

「私達が見るのは駄目だけど、そんなに使ってるのに当たらないもの?」

「いやさぁ…今やってる環境的にガチャが青天井だからねぇ…」

「ルビー。これはダメなヤツ」

「だねぇ…」

 

新しいガチャが現在進行系で集めるべきアイテム等を落とすから等、まぁまぁ厄介な状況と考えられる。

 

廃課金兵たるない世にはどうする事も難しいため、E,sとルビーはただ見守るしか出来ない。

 

「……しゃあない…バイトやるかぁ…」

「普通に異界に行って素材拾いとか目的の悪魔倒すとかのほうが良くない?」

「課金額的には其れがベター」

「ふふっふふ…実はもう紹介に上がっててね?ご心配には及ばないのよ…!!」

「わぁ…」

 

明らかにろくでもないと感じられる。

 

「……マダガスカル原産の香辛料的な名前の所で応募したの?」

「んなわけ無いじゃん。自分で言うのもアレだけど、このニッチな層向け体型じゃ雇って貰えないって」

「自分で言うのがキツいジョーク」

 

高収入を売り文句にする斡旋業者は使っていないと悲しき理由を踏まえて述べる。

これには流石に同情の余地があると思われる。

 

「じゃあ何をするの?」

「ん?……たしかぁ…」

 

一体どんなアルバイトなのか、不思議に感じたルビーは恐る恐る聞いてみると。

 

「2(・)4(・)時(・)間(・)見(・)張(・)っ(・)て(・)る(・)バ(・)イ(・)ト(・)」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

私、〔黒嶺ユメ〕は両親の借金と妹弟達の将来の為に手っ取り早く大金を稼ぐバイトに従事している。

 

偶然中学時代の同級生である〔白浜和美〕ちゃんと出会い、厄介極まりないアルバイト事情を潜り抜けては日々を過ごしている。

 

「あっ、今回新人来るから頼むぞ?」

 

裏バイト斡旋をしている〔赤川〕さんからいきなり言われて私とハマちゃん(白浜さんの愛称)は口が開いたまま硬直してしまった。

 

いきなり過ぎる新人研修に若干困り果てながらも。

 

「いいじゃんいいじゃん。場合によっては"カナリア"になってもらうからさ?」

 

私でもドン引きさせるハマちゃんの言動だが、自分の【匂い】が感知出来ない状況も少なからず存在し、もし説得に応じない人物であったら緊急避難として助けない事も致し方がない。

 

とはいえ。

 

「どうもこんにちわーー!私〔生江ない世〕って言います!宜しくね!!」

 

ロリが来た。

 

「うわっ!?ロリィ!!?」

「どうもチャース!」

「ユメちゃんロリだぞロリ!?これ合法なのか!?」

「ハマちゃん言い過ぎよ…」

 

顔とか容姿からは想像出来ないアグレッシブな女性(大学の学生証見せてもらったら同い年でした)で、正直〔橙〕ちゃんを思い出すけれど。

 

(………何か"クサイ")

 

あの子とは異なる部分が多すぎて全くの別物と思えてくる。

 

「まぁ、同世代といえども先に入ってるのが先輩なので宜しくですハマちゃん先輩!ユメちゃん先輩!!」

「ハッハッハッ!ノリ良いねー!それじゃあ明日に備えて駆けつけ一杯行こうか!!」

「イェーーイ!!」

「二人共それじゃ意味ないわ」

 

波長が合うのか、二人で酒盛りし始める。

 

一応バイト先から提供された部屋とはいえ一応待機するのが目的なのに…。

 

「……まぁいいわ」

 

とはいえ、今まで色々なバイトを潜り抜けてきたのだから束の間くらいは大丈夫でしょう。

 

 

 

…………

 

 

 

「……ぎも゛ち゛わ゛る゛ぅ゛…」

「流石にテキーラ5ショットは呑み過ぎですよ?」

「おめ゛ぇ゛…つ゛え゛ぇ゛じゃね゛ぇがぁぁ゛…うぷっ…」

「ハイハイ。おトイレ行きましょ」

 

あの後私が眠っている間ずっと酒盛りしてたみたいで、いつの間にか買っていたテキーラや度数の高いお酒を全て空にしていた。

 

恐らく一睡もしていないであろうない世ちゃんだけど、昨日と然程変わりない様子で、どんなウワバミなのかと思ってしまう。

 

「おはよう御座います皆さん!今日も良い日ですねぇ!」

 

私達へ言って向ける。

 

今居るのは関東圏内の某所ビル内。

 

私達を含めて10人の裏バイターが集まり、此処で責任者である中年男性から説明を受ける。

 

彼は〔内金望〕。

 

禿の人テンプレート的な頭頂部ツルッパゲで、ちょび髭の位置がダサさを際立たせている残念な人物。

私の胸部をチラチラ見てくる所からしてバレてないと思ってるのかも知れない所が更にいやらしい。

 

「今日皆さんが行って貰うのは唯一つだけです」

 

 

「絶(・)対(・)に(・)ア(・)ノ(・)箱(・)を(・)見(・)逃(・)さ(・)な(・)い(・)で(・)下(・)さ(・)い(・)」

 

 

 

…………

 

 

 

「ユメちゃん、どうなの?」

「……今の所は匂わないわ…うん…」

「じゃあ一先ず安心?」

 

責任者から言われた言葉に私達は身構えていた。

 

唯一つ。

 

その言葉の意味をするのはそれすら達成出来ない可能性があると暗に示しているから。

 

「でも気を付けて。私も匂いだけじゃ駄目かも知れないし…」

「まぁ此れだけで時給【五万円】なんて随分と高いなって思ったし、一日見張るのにこんな数揃えるか?って思ったけど…」

 

其処だ。

 

私達が居る部屋にポツンと中央に置かれたルービックキューブ大の箱。

 

材質や其れ等からして何か組木細工のパズルに見える。

 

「何なのアレ?」

「まぁ、気になるけど箱とかには曰く付き多いからなぁ…」

「そう…ね」

 

箱と名の付く代物は何度も目にして危険な事に巻き込まれてきた。

 

そう考えると、箱の中身よりも箱自体に恐怖を感じてしまう。

 

「ねぇねぇユメちゃん先輩」

「うぎゃっ!?ど、ど、どう!?どうしたのない世ちゃん!?」

「そんなに驚く所?」

 

ふとない世ちゃんから問いかけられる。

側に来るまで気が付かなかったから少々思い詰めすぎてるかも知れない。

 

「あの、これがバイト内容?」

「えっ…ええ…そう…なるわね?」

「うーん、もっとヤバいのかと思ったけど…やっぱヤバい?」

「……ごめんなさい、私でも断言出来ないわ」

「成る程成る程」

 

ぱっと見ても分かる通りに美少女が頷く姿は様になっている。

 

夜中に「チ○ポはサイズじゃなくて、紳士的(ジェントルマン)かどうかだよ!!」とウイスキーラッパ飲みしてたとは思えないけれど。

 

「大丈夫ですよ!ユメちゃん先輩良い人だから何かあったとしてもこのビルからは出られますって!」

 

流石にない胸を張っても不安は拭えない事だけ分かった。

 

「きぇぇえー!!」

「ちょっと!?胸掴むのやめぇて!?」

 

気にしていたらしく、両手でひん剥くように掴まれるとは思わなかった。

そしてハマちゃんは笑ってないで止めて欲しい。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

3時間が経過した。

 

時刻的には午後の6時。

二人一組で箱を見続けながら1時間ずつ交代し、休憩をしながら順番を待つ。

 

そのローテーションで私達の番が回ってきた。

 

「……なぁユメちゃん。これ3日やるんだよね?」

「ええ。そうよ?」

「……目茶苦茶暇だ…。休憩でもビルから出るなって言われてるし…」

「でも3日位なら大丈夫。まぁせめて本とか持ってくれば良かった」

 

ビル内には冷食や飲み物の自動販売機があるので食事には困らず、仮眠室とシャワーもある。

此れを交代制で使えば3日程度は充分だと思っていたけれど。

 

「そう言えばない世ちゃんがトランプとウノ持ってきてたわ。休憩でやりましょ?」

「そうだね。ここまで暇とは思わなかった」

 

外への通話も禁止と言われて携帯電話は回収(密かにトランシーバー持っていた人も電波が遮断されていると言っていた)されていて、暇を持て余す人も少なからずいる。

 

果たして大丈夫だろうか、そう考えるけれど。

 

「……無事やりきりましょ…!!」

「張り切ってんねぇー」

 

まだ匂いはしない。

ならば大丈夫だと思いながら、箱を見張る。

 

〚彼女達は知らない〛

〚箱が若干動き、カチャリと組木の一つがスライドしたことを〛

 

 

 

…………

 

 

 

2日目

 

「…クッサ…!?」

 

ユメちゃんが突然言い出したことには驚いた。

 

「えっ、まさか私のスメルですか!?ぎゃぁぁああ!?」

 

そして何故かない世が叫ぶ。

 

「やっぱりシャワーだけだとパ○パンでも臭っちゃうのかな…」

「いや、ちゃんと洗えば良いだろ?」

 

流石にノールックで猥談に走るのはどうかと思うけれど、勝手に勘違いしてくれたのでユメちゃんの特技を話さずに済む。

 

「あっ、私の当番の時間だ!二人共また後で!」

 

都合よく、ない世の当番になってくれた事でユメちゃんと今の状況を相談することが出来る。

 

「良いの?ない世ちゃんに話しておくべきじゃ…」

「下手に話して厄介事持ち込まれたら駄目。ユメちゃんだっていきなり匂い感じ始めた以上、此処から何が起こってもおかしくないよ?」

 

自分達の置かれている立場は地獄に吊り下がった蜘蛛の糸を手繰って昇っていると同じ。

基本的に変化のしない箱を眺め続けるのは苦では無いものの、これからは何時何が起こるか分からない。

 

3日経ってキチンと給与を貰えるのか?

 

そもそも命の保証すら存在しない裏バイトである以上、何があってもおかしくはない。

 

「兎も角、此処からはお互いだけだよ?」

「……う…うん」

 

ユメちゃんは優しい。

だから緊急避難的な行動はしたくないと考えているけれど、これも裏バイターの宿命。

 

死んだのは死んだやつのせい。

 

其れが裏バイトの世界の常識である。

 

「ちょっ!!!?誰か運ぶの手伝って!!」

「…はっ?」

 

と当番であったはずのない世が突然控室にやって来ては叫び散らした。

 

掻い摘んで聞いた話によると。

 

「アナフィラキシーショックですね。どうにもこの人甲殻類アレルギー持ちだったみたいですね。呼吸器とアドレナリン注射器あって良かった」

「…ってか随分と手慣れてたな」

「まぁ、セフレのお医者さんに教わったり、これでも看護師目指してるんで」

「マジかよ」

 

どうやら出てきた弁当の中に甲殻類が入る環境下で作ったとからしく、万が一の呼吸器やら自動注射器がバックの中にあったからすぐに打ったとのこと。

 

ホント見た目の割には肝が座ってるっていうか、思い切りが良すぎるとか。

まぁ一刻を争う医療現場に行く看護師になるなら必要な思考ってやつなんだろう。

 

「そんなのが裏バイトやってて大丈夫かよ…」

「むしろ持病のせいでまともな仕事にありつけないから裏バイトしかないのでは?」

「そ…そう…か……」

 

ただお金が欲しいというだけじゃない。

切実な理由を知って、一つ思ってしまう。

 

も(・)し(・)言(・)わ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)ら(・)、(・)な(・)い(・)世(・)は(・)ど(・)う(・)な(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)う(・)の(・)だ(・)ろ(・)う(・)と。

 

最初は見捨てるつもりであったが、精神性やら人間性を見ると囮にするには人が良すぎる部分がある。

 

「大丈夫ですよ。明日事情を説明すれば労災って形で貴方の分も払われると思いますから」

 

不安であったのか、少しだけ表情が和らぎ、目を閉じて寝息を立て始める。

 

管理者側が起こした不慮の事故である以上、バイト代は普通に支払われるだろう。

他のバイターにも不平不満は出てくるかも知れないが、其処は大人の対応をして貰うしかない。

 

「っで、説明はどうする?」

「私が彼女のシフトに入ります。それで反対してきたら足の甲にボールペン刺して怪我させようかと」

「お…おう…」

 

屈託なく笑みを浮かべるその顔が怖い。

確実無慈悲に行えるんだろうなと思いながら、話すことを決めた。

 

「なぁ、後でユメちゃんと3人で話すから手が空いたら頼む」

「あっ、はい。分かりました」

「後…シフト私もやってやるよ」

「……はい、ありがとう御座います。ハマちゃん先輩」

 

…実はぶりっ子してないよな?と思う。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

控室

 

 

ハマちゃんの突然の心境変化に驚きつつ、私はない世ちゃんに自分の持つ【匂い】を嗅ぐ能力を教えた。

 

「つまり、超常現象とか高位的な存在からの悪意とか殺気を匂いで判別出来るって事ですか…」

「ええ、今まで色んな裏バイトがあったけど基本的に匂いで危険とか分かったわ」

「一種のシックスセンスってやつですね。五感が別ベクトルで鋭い人は知ってるけどこういうタイプも居るんだなぁ…」

「おまえ、随分と理解度高いな…」

「まぁ、慣れっこですんで」

 

このコ裏バイト初めてって聞いたけど実際は別の場所で似たような経験し続けてるのかしら?

であれば若干匂いの濃くなった彼女の"存在"に納得する。

 

(クサイのは間違いないけど、私達に向けてないからか、直には来てないのよね?)

 

少なくとも、私達に敵意はない。

と言うより助けてくれる様子も感じられる。

 

今まで無かった状況で正直どうすれば良いのか分からないでいると。

 

「ってことはこれ何となくわかりますか?」

「……へっ?」

 

と突然、ない世ちゃんが何かを渡してくる。

 

其れは紛れもなく見張っていた"箱"であった。

 

「おっ!?おまっ!!ちょっ!!?」

 

流石に私も驚いて気絶しかけた。

 

「いやいや、其れ私が作ったフェイクですよフェイク」

「はっ!?……あっ、た…確かに…」

 

何とか持ち堪えた。

ハマちゃんが箱をじっくりと見てみるとどうやら言う通り、精巧なフェイクであることが分かる。

 

「このビル元々材木を加工する工場を併設してたみたいで、暇だから歩き回ったら廃材が沢山有りましてね?思わず造ってみたんですよ?」

「おいおい、そんな暇あったのか?」

「まぁ、眠くなかったんでカッターナイフとか切れるやつで彫ってみたり細部まで拘ったりと…」

 

いつの間にこんな代物を造っていたなんて…。

 

あれ?

 

「まさか、箱持ったの?裏側なんて見れないのに…」

「ええ。最初の当番の時に」

「馬鹿野郎!?何してんだ!!?」

「別に見張ってろとは言われてましたが、触るなとか動かすなとかは言われてませんし、あの部屋の中から持ち出さない限り大丈夫だと判断出来ましたから」

「……全く…」

 

ない世ちゃんの思い切りの良さは正直コッチが保たない。

 

しかし其れにしても精巧な出来ね。

 

「組木細工だったので開けてみたいなとは思いましたけど流石に其れはナンセンスなのでソッチは動きません」

「其処まで再現されたら怖いって…」

「でも其れが何なのかは彫ってて分かりました」

「えっ?どういうこと?」

 

何を知っているのか、ない世ちゃんが此処で説明をし始める。

 

「【リンフォン】というオカルトはご存知ですか?」

 

 

ある日、とあるカップルがデートの帰りに骨董品を扱う店であるモノを見つけた。

 

正20角形の不思議な箱で、其れは組木細工のように動かすことが出来るらしい。

 

彼女は其れをいたく気に入り、店主に購入を希望。

 

店主は驚いたように奥へと向かい、妻と思わしき老女と口論。

其れから黄ばんだ説明書を持ってその箱の説明をし始める。

 

これは【リンフォン】と呼ぶおもちゃで、両手で包み込むように撫でると動く仕組みで、最初は熊のイラストが出る。

 

次には鷹が出て、今度は魚が出る。

 

そんな知育玩具的なギミックの箱を購入すると彼女はのめり込むようにその箱を絵柄が出るように弄り始める。

 

それから数日、鷹のイラストが出たことを彼女が電話をする。

ただ、次の日に『貴方、昨日電話した?』と言われて否定すると、電話の先を見せられる。

 

其処に表示されたのは【彼方】とだけだった。

 

異変はこれだけではない。

 

彼女の部屋に泊まった際、大勢の裸の男女に追いかけられる夢を見る。

 

そして、女によって足を摑まれ。

 

『連れてってよぉ!!』

 

これで目が覚めた。

 

何が起こったのか分からず、カップルは界隈で有名な占い師の所へ向かうと、拒否された。

一緒に住んでいた猫達も一斉に威嚇し、逃げるように奥へと引っ込んだ事で何が起こったのかを示唆される。

 

占い師に何が起こっているのか説明を求めると。

 

『其れは極小の地獄だ。すぐに捨てなさい帰りなさい』

 

其れを期にリンフォンをテープでぐるぐる巻きにし、捨てたとのこと。

 

その後、リンフォンのアルファベットについて考えてみると。

 

【RINFONE】から【INFERNO】と。

 

アナグラムが隠されていた。

 

 

「INFERNO…つまり地獄ですね」

「極小の地獄…其れがあの箱の正体?」

「………いえ、多分違います」

 

思わず肩から力が抜ける。

 

今までの前フリは何だったんだろうかと。

 

「でも、類似するカテゴリーではありますよ?」

「類似だぁ?」

「箱で有名なのは"パンドラの箱"。開けたら世界中に災厄が充満しましたが、ちょっぴりの希望が残されてたという物です」

「結構引用してるアイテムねそれ」

 

箱というカテゴリーで言うならばそのリンフォンとパンドラの箱も似たような物。

ただ、もしもそのリンフォンが開くとしたならどうなっていたのだろうか?

 

「前置きが長くなっちゃいましたが、ユメちゃん先輩。その箱を見て何か感じません?」

「えっ…?う…うーん?」

 

何かと言われて眺めてみる。

 

見続けていたせいである程度どんな模様なのかは覚えている。

 

数字とアルファベットらしき文字が彫られ、このパズルボックスは開くことまでは出来ないまでも、細部まで再現されており、今にもはめ込めそうである。

 

「っで、どうすんのさ?」

「どうするとは?」

 

ハマちゃんの問いに問いで返すとしているさも当たり前のごとく。

 

「私達が無事に仕事を終えてお金貰える方法だよ?」

 

そう。

この様子だと私達がお金を貰えるどころか、無事に外を出る事も難しいと思う。

 

これにはない世ちゃんも腕を組んでうーんと唸っては行儀悪くテーブルに足を乗せる。

 

「…やっぱ私達だけでも逃げねぇ?(ヒソヒソ)」

「駄目よ。こうして話してくれたのに其れは良くないわ(ヒソヒソ)」

「う……ん…(ヒソヒソ)」

 

ない世ちゃんを置いていく事は出来ない。

他の人達についてはあまり分からないけれど、少なくとも彼女だけは信じても良いと思ったから。

 

ただ、これから起こったことを考えると、その判断もある意味正しかったと思う。

 

「……ん?………えっ?」

 

私の顔が病的に青ざめ始めた事でハマちゃんとない世ちゃんが目を見開いて驚いたのだろう。

まぁ、と 言うよりも。

 

「……クッッッサァ…!!?」

 

ヤバいほどクサくなってきた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

俺がこのバイトに応募したのは【帝愛】から逃れる為だった。

 

「えっ、ちょっ…おまっ…!!?」

 

何時も黒いスーツとサングラスを着けた通称【黒服】の男も流石に1日外出券を使ったと思えばこの仕事に応募するとは思っても居なかったらしく、顔を蒼白にした。

 

如何に警察やその他の所に力があろうとも、裏バイトの前ではただ見ているしか出来ない。

まぁ、この仕事もただ見てるだけで時給5万円✕拘束時間3日間なので360万円もの大金を稼ぐことが出来る。

 

帝愛にとっても借金が返済出来るならばこの裏技も適応されるだろうし、拘束されるから逃げられない。

 

まぁまぁ悪く無い手だと思っている。

 

ただ、あの箱をジッと見てて感じた事は。

 

(………開けたらどうなるのだろう?)

 

決して見逃すな、目を離すなとは言われているも。

手に触れるなとか"開けるな"とは言われていない。

 

見ていさえすればある程度モラルを遵守して触れる事はルール違反では無いだろう。

 

「…お、おい?どうした?」

 

そうと決まれば箱へ近付いていく。

 

「どうしたんだよおい!?」

 

ポツンと置かれた箱を手に取り、パズルの一つに指をかけて力を込めると。

 

「…あっ、動いた」

 

カチャンと音が鳴って動く。

 

プラスチックでもなく、木製でもない不思議な素材で出来た箱の一部がスライドすると、次の部分を動かせる様になる。

 

所謂上下左右空いた場所に動くタイプのパズルだ。

 

「此処をこうして…こうやって…」

「おいっ…!何してんだよ!?おい!!」

 

〚同シフトに組み込まれた男が声を荒げ、必死に問う〛

 

〚必死に組木細工へ挑む姿は何か妙な物に取り憑かれたのようだった〛

 

「…あっ、出来た」

 

アルファベットが揃う。

そもそもアルファベットなのかは分からないし、そもそもこの文字の意味も分からない。

 

ただ、出来た事だけはよく分かった。

 

〚箱の蓋の鍵が開く〛

〚男は其れを見たいと蓋に触れ、勢いよく開くと〛

 

「………そうか、こ(・)ん(・)な(・)世(・)界(・)嘘(・)っ(・)ぱ(・)ち(・)だ(・)っ(・)た(・)ん(・)だ(・)」

 

〚その言葉と共に、今まで煌々と点いていた部屋の電気が落ち、辺り全てが漆黒に包まれる〛

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

突然電気が切れた。

 

「おっ、何だこれ!?」

「ちょっとナニ!?」

「えっ…えっ!?」

 

他の部屋で待機していたバイター達も廊下を出たりと騒ぎが大きくなっていく。

 

「…うそ…クサイ…!?なにこれ…」

「ユメちゃん落ち着け。なっ?」

 

ヤバい。

最近は修羅場くぐり続けてたから心配なくなって来たけれど、此処で泡吹いて倒れたものなら万事休すだ。

 

「おい、ない世。これどうなってんだよ!?」

「うーーん」

 

全く動じてない所が時折橙に見えてきて頭を引っ叩きたくなる。

その図太い精神構造は一体どの様に出来たのかも知りたいくらいだが。

 

「……誰か開けましたね、箱」

「……はっ?」

「まぁ開けたくなる様に仕向けてるって言うのが正しいのかな?」

「はっ?」

 

それはどういう意味だ?

さっぱり分からない状況の中でない世は足をテーブルから下ろし、立ち上がっては。

 

「さて。安楽椅子って意外と面倒くさいのでそろそろお暇したいですし解決しましょ」

 

まるで事態の把握に勤しんでいたかのように振る舞う。

 

一体何なんだ。

 

「………お前まさか【Q】じゃないよな?」

「何ですか其れ?」

 

どうやらアレとは違うらしい。

 

今まで静観を決めていたのか何なのか、部屋のドアを開けて周りを見渡しながら。

 

「ユメちゃん先輩を運びましょう。今アレルギーで寝てる人の所がベターですね」

「はっ?そんなの玄関から出れば…」

「恐らくとうの昔に出ることは出来なくなってます」

「はっ??」

 

何か知っているような口ぶりの中、もう半分白目をむいたユメちゃんの両脇を抱え始め。

 

「ハマちゃん先輩、足の方をお願いします」

「お…おう…」

 

兎も角、何かが迫る前に運び出すことにする。

 

控室から医務室代わりの仮眠室までの距離は10m程度。

大の大人(小さい割に身体能力は高い)二人で運ぶならどうにかなると思いながら、ユメちゃんを運ぶ。

 

「……ヴッ…!?」

 

なにこれ。

部屋を出た途端、物凄い腐敗臭が充満しているのを分かる。

 

魚か肉か、蝿が飛び交って蛆が這いずり回っている状態の其れが辺り一帯に落ちている。

 

そんなイメージが漂っていた。

 

「な、なに…これっ…?」

「まぁ慣れないと頭痛いやつですねこれ。もうちょっとなんで頑張って」

 

慣れてるみたいで困る。

 

一体全体どうなってんだが…。

 

「多分ユメちゃん先輩の感じてるのってこういうヤツかな?所謂黒い匂い?」

「あっ、成る程…」

 

そう言われれば確かに突然こんなのが匂えばクサッって顔を顰めるわけだ。

そう考えるとちょっと引いたこととか謝らないとね…。

 

「さて着いた」

「……ぅ゛え゛…」

「あっ、ユメちゃん起きた」

 

仮眠室に辿り着き、同じタイミングでユメちゃんも気絶から目を覚ます。

とはいえまだ動くには忍びなく、顔色も若干悪い方に向いていたり。

 

「こっちのベッドに寝かせーの、色々置きーのでハイ完成」

「本当手慣れてるな…」

 

看護学校通ってるだけあってか本当に手早い。

 

「ふくしの大学に通ってるって言ったら通じそうですかね?」

「なまじ小○生にしか見えねぇから止めとけよ?」

 

セフレの男性?にはもうちょっと手綱を握ってて欲しい。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして

 

頭の中で犇めく声がこう叫ぶ。

 

「ツレテイッテヨォォオオオオ!!!」

 

その声に惹かれれば死ぬ。

隣で走っていた筈の人が虚ろな目で向こう側へ歩いて行ったのを見て確信した。

 

今まで色々な裏バイトをしてきて生き残って来たけれど、これは初見で見破れる訳が無い。

 

「はっ、はっ、はっ、」

 

必死に走る。

 

後ろに迫るナニカに追い付かれないように。

 

そして視界に映るビルの玄関まであと少しであるから。

 

「早く早く早く…!!?」

 

ビルの玄関はただの内開き式のドアが一つだけ。

ホールの方はシャッターが降ろされており、開くには警備室を開けねばならないと言われているけど、私達にはその権限は無く、此処だけが外に出口だった。

 

「開いてよ開いてよ…!?」

 

ガチャガチャとドアノブを回すも、手が震えていてロクに握れず滑ってしまう。

 

それでもガチャンと音が鳴り、ドアを開くことが出来た。

 

「……やっ…た…!」

 

私は勝利した。

 

今回も生き残ることが出来たのだと私はそのまま外へ歩き出し。

 

「……へっ?」

 

〚迫りくる白い手が視界いっぱいに飛び出し、彼女は身体中を摑まれ、彼方へと消え、扉が閉まる〛

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「……さて、一丁始めますか」

 

仮眠室へと着いてから数分、ない世は立ち上がり、やるべき事をすべく部屋の扉へと向かう。

 

「…な、何処行くんだよ!?」

 

少しだけ落ち着きを取り戻した白浜は何をするのか冷や汗をかいた顔で問う。

其れをない世は不敵かつ満面な笑みで答える。

 

「化(・)け(・)物(・)退(・)治(・)ですよ」

「………はっ?」

 

意味が分からないと言わんばかりの疑問の表情が浮かぶ。

 

其れもその筈。

 

今までに多くの裏バイトを行ってきた白浜と黒嶺であるが、基本的に逃げる事だけしか出来ず、撃退や斃すといった手段は不可能だと理解していた為である。

 

「や…やめとけ…そんな、訳わからないヤツと戦える訳が無いだろ?お前除霊とか成仏させる力あるわけ無いって…!?」

「うーん。まぁ、除霊とか成仏は専門外ですね確かに」

「だったら!?」

「………其(・)れ(・)以(・)外(・)ならまぁ…」

「…………へっ?」

 

意味深めな発言が白浜の脳に疑問を積み重ねていく。

 

その意味が理解出来るかどうか、其れを説明するのをない世は少し考えた後に面倒だと感じたのか。

 

「まぁ、私の分のバイト代預かってて下さい。それじゃ!」

「なっ…!?お、オイっ!?」

 

扉が開き、ない世は直ぐに廊下へと出ると共に扉を閉める。

 

白浜が直ぐにドアノブを捻るも万力を掛けられたかの様に回すことは叶わず、開けることは出来なくなっていた。

 

「……ハマちゃん」

「畜生!開けって!?クソッ!!」

 

両手で扉を叩きつけ、その悔しさを滲ませるも意味はない。

そのまま崩れるように両膝をつけ、小さく嗚咽が響いてくるのだった。

 

「………多分、大丈夫…うん」

 

黒嶺が自身で感じ取ったことを思い返す。

 

(ない世ちゃんの匂いは…)

 

 

(誰(・)か(・)を(・)助(・)け(・)る(・)事(・)が(・)で(・)き(・)る(・)も(・)の(・)だ(・)と(・)思(・)う(・))

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

3日目

 

 

1人男がビルの中へと入っていく。

 

男の正体は【ダークサマナー】。

悪魔の力を自己の利益のみに注視し、裏バイト等の世間的に消えても良い人間を使い潰す反社会的勢力の一つ。

 

この男が何のために裏バイターを雇ってこの事態を起こしたかを掻い摘んで語っていこう。

 

ない世が話した通り、あの箱はリンフォンの噂から模して造った物。

自身の仕事柄から似たような呪物を造ることに長けており、素材等も知識から様々な呪物を引用し、拘り抜いた代物となっている。

 

しかし、如何に素材や装飾等に拘っても肝心な事がある。

 

"呪い(まじない)"になるための力が必要であること、

 

龍の絵に目が無ければ完成しない事と同じく、その力を宿らせるには其れ相応の怨讐が込められなければならない。

 

その為、裏バイター達を呪いの依代として使い、汎ゆる形で魍魎たる存在を地獄から引き釣り上げ、箱の中へと納入する。

 

これで完成。

 

後は其れをとある人物へ届け、これまでかかった代金などを請求する予定。

 

その顔は出来上がった商品を今か今かと待ち侘びる職人に見えた。

 

「さて、最高の具合になってる事を期待して…」

 

出来上がった商品のある部屋へ駆け足気味に向かう。

階段を使い、ビルの中央に位置する部屋へ向かえばその中にたっぷりと"十二人"の魂を込めた呪物が完成している筈。

 

タイル張りの廊下を歩き、辿り着いた部屋の前の両開きの扉を開け放った。

 

「……へっ?」

 

但し、見るのは太めの建材による殴打であったが。

 

 

 

…………

 

 

 

「……午前10時23分、殺人及び身分偽造…後違法製造売買の容疑で現行犯逮捕。これより【悪対】に委譲します」

「了解、容疑者の移送は任せてくれ」

 

ダークサマナーは鼻をひしゃげ、前歯4本を粉々に砕けた顔で特別製の移送車両に乗せられ、付近の警察署へと向かっていった。

 

今後、悪魔犯罪として諸々の手続きと裁判を経て納得の行く沙汰が下される事を願う事だけ。

 

黒嶺、白浜はブランケットを羽織り、聞き取りを行う警察官から説明を受けていた。

 

「今回の件については基本的に口外禁止です。今後この様な危険なバイトに勤しまず、まともな就職を探すことをお勧めします」

「……はい」

「りょーかい(するか馬鹿)」

 

裏事情を知っていると思われる警察官も口頭注意のみで済ませるも、内心は関わってほしくないと思いつつ、ボードに必要事項を記し、会釈してから場を去っていく。

 

離れた事を確認後。

 

「ねぇ…ハマちゃん」

 

先ず最初に口を開いたのは黒嶺の方からだった。

 

「ん?どうしたん?」

 

先ず珍しいと感じつつ問いに耳を傾ける。

 

「ない世ちゃんって子は本当に居たのかな?って…」

「………居た…筈」

 

多分と考えるも、正直あまり断言が出来ないでいる。

 

ダークサマナーの男曰く、十(・)二(・)人(・)し(・)か(・)雇(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)と言い、リストにも〔生江ない世〕の名前は載っていなかった。

 

同時に、ない世と話していたという人物も行方不明という名の死亡判定になっている為、存在が不透明になっている。

 

自分達は幻覚を見ていたのでは?

 

居もしない誰かと話していただけでは?と思っていると。

 

「……ん?」

 

白浜が返却された手荷物の中に一つノートらしき罫線の入った紙が折り畳まれているのを見つける。

 

「……何だこれ」

 

恐る恐る中を開き、見てみる。

 

最初にあったのは〔生江ない世〕の名前。

それには目を丸くし、そのまま読み進めていく。

 

生江ない世
拝啓、白浜和美様、黒嶺ユメ様。

多分私のことで色々とあるかも知れないので予め書いておきます。

実は二人とは別口で依頼を受けた調査員みたいな者です。

その為、現れるであろう首謀者は私のことを知らないだろうし分からない様に細工もしておいたのです。

まぁ、此処で書いているのでどうなるかまでは分かりませんが、それでも二人だけは守って居ると思います。

ちなみにモノホンの箱は私が専門家の下で厳重に処分しておきますので御安心を。

もう二度と会うことは無いと思いますが、私にとって二人はささやかながらも大切な友人として大切に想っています。

二人共、こんな馬鹿らしい事から逃げ切って、まともな人生をエンジョイしてくれることを願います。

其れでは、さよならさよならさよなら…。

 

「……何だよこの手紙…」

「ええ、酷いわね…」

 

内容を見ては小さく鼻で笑い、徐々にその声が小さな涙を流し始める。

 

「……またな、合法ロリ」

「じゃあね、ない世ちゃん」

 

手紙を握り締め、穏やかな日常に帰ってきた二人は何れまた新たな命の駆け引きに乗り出す事となる。

 

自身の命に価値を付けるために。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

???

 

大量かつ様々な時計が並ぶ店内。

 

其処は誰も訪れることは無いであろう時計屋であると同時にとある筋が利用する曰く付きの店である。

 

「……ふむふむ。珍しくはないけど中々仕上がった品だね」

「でも処分しないと後々が大変ですけどね?」

「勿体無いなぁ…君が悪魔使いなら此れを合体素材で利用出来ると思っていたのに…」

 

この店の店主こと〔プロフェッサー〕は拡大鏡で持ち込まれた物品である【例の箱】を鑑定する。

 

「成る程…吾輩や君みたいな異能者には効かないが、一般ピープルはこれを触れたいとか弄くり回したい気持ちに苛まれる呪を付けられている」

「其れで開けちゃったと?」

「そもそも中身のない外身の為の箱…つまりスッカラカンの代物であるから厄介だ」

「まるで玉手箱みたいですね。開けてお爺ちゃんにならなくて良かったですね?」

「そうなったらもう認知障害してそうだから怖い」

 

隠された機能がどれほどのものがと話してはその真意を示していく。

 

「ってか合体素材に出来るんですかソレ?」

「まぁ、下手な悪魔を合体するより良いかな?って。ただ事故でも起きない限り基本【Dark】属性だと思うがね」

「へぇぇ…」

 

これだけ禍々しい雰囲気を出している以上、下手な悪魔が出てきてもおかしくはない。

 

「しかしよく倒したね。結構多かったんでしょ?」

「あっ、そこら辺は龍の眼光(プレスターンアイコン増加)と【コンセントレイト】に【バビロンの杯】で一掃」

「あぁ…」

 

軍勢として出てきた〔レギオン Lv44〕であったが、倍の攻撃力となった万能属性攻撃の前には砂塵と化すのは明白。

 

雑ではあれども、一対多数の戦いではこれがベスト。

 

悪いのはそれを予期しなかったダークサマナー側であったこと。

 

「とりあえず吾輩が預かろう。〔宮本〕君が今後合体で使うかも知れないし」

「すみませんねプロフェッサー」

「なぁに、お互い様だよ」

 

とりあえず物品については時計屋で預かることが決まり、ない世はそのまま帰宅していった。

 

「………しかし」

 

それを見送り、プロフェッサーは独り言ちるように呟く。

 

「地(・)獄(・)を(・)喚(・)び(・)出(・)す(・)か(・)ぁ(・)…(・)」

 

これ一つで出来るのか?

そんな疑念を感じつつ、箱を手に取り、店の奥へと歩きだしていく。

 

 

 

 

この後、診療所へと戻ったない世はぽつねんと立ち尽くす〔ニアス・グローリア〕と出会い、試験導入予定であったポールダンスや際どいラインのナース衣装を使ったピンク回診を行うのであった。

 

 

 

              to be continued






黒嶺 ユメによる(裏) 帳簿
勤務地:●●県 とあるビル 勤務期間:20XX年 5月24日~5月27日
黒嶺様 ユメ殿 時給5,0000円×出勤日数3日×出勤時間4時間(拘束時間20時間)
白浜 和美殿時給5,0000円×出勤日数3日×出勤時間4時間(拘束時間20時間) 計7,200,000円
※追記 あの後ない世ちゃんがひょっこり現れた。
何故かホテル行きませんか?と言われたけどそっちのケは無いのでと言ったらしょんぼりと帰っていった。
(その後ちゃんと連絡先交換した)
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