※この作品はR-18です。

真・女神転生〜ジャッジメントデビルサマナー〜   作:葉隠小太郎

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大分現実のコミケとは違う描写あるけど、めっちゃ表現的に寛容とかと思って欲しい。




第六話 夏 サブカル フェス

 

 

都内にある、印刷会社。

 

其処では小規模出版物の本やフルカラー等を主に取り扱う、謂わば"同人誌"の印刷所と言う。

 

心血を注ぎ、描き上がった本をデータとして送られてきた物を校正、そして印刷製本が始まる。

 

ざっくりとした会社概要であるが、現在進行系で忙しい状況が起こっている。

 

言わずもがな、【夏コミ】という同人誌即売会。

 

歴史は古く、かつては市民会館等の一室で行われていた小さな集まりから、徐々に同志と呼べる仲間が増え、参加人数は年々膨れ上がり、遂には国際展示場等の巨大施設を丸々貸し切りをする規模へとなった。

 

此処まで来ると、十人十色どころの問題でなく、万人万色とも言える膨大な同人誌から、描いたキャラクターのグッズ、場合によっては漫画ではなく、テキスト本やハウツー本等の様々な分野の入門書も作られている昨今、巨大市場という面もあった。

 

そうであれば印刷所もまた忙しい。

 

学校等からも依頼されたアルバム制作もあれば新しい政党ポスターの印刷もある以上、校正等の作業で共用コピー機からR指定同人誌も出てくるので絵面としては乾いた笑いが出るらしい。

 

それでも、本にして出す事を決めた作者の想いであることには変わらず、彼らの想いを実現するべく、印刷という仕事に打ち込んでいく。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「てなわけで原稿お願いします」

「ギャァァァ!!?」

 

夏コミ5日前にて生江ない世からの原稿データを渡された印刷所社員こと〔車治久〕君が悲鳴を上げている頃。

 

 

 

池袋

 

路肩駐車されていた軽バンがプレス機に潰されたかのような哀れな姿をさらし、電灯等を破壊され、辺りに煙などが立ち込める。

 

『池袋サンシャイン通りにて三十代男性が暴れまわっているとのこと。付近の警察官は直ちに急行。場合によっては発砲も許可する』

 

車止めに使われるポールをダーツ矢の如くふり投げ、到着したパトカーのボンネットを貫く。

 

異常に発達した筋肉と、青黒く浮き出た血管が男の身体中を駆け巡り、明らかな異形を見せつけていた。

 

「…抵抗を止めなさい!!発砲を許可されている!!直ぐに腹這いになれ!!」

 

交番勤務の若い巡査が制式採用の拳銃、S&W M360を構える。

 

警察学校では年に百発、勤務二年間で二百程度を射撃訓練で行ってきたが、人に向ける行為は今回が初めてである。

 

だが、其れを責める事はできない。

諸外国でも有数に治安の良い日本国で警官が被疑者等に発砲した回数は必然と少なく、定年退職まで発砲した事のない例も少なくない。

 

其れが日本という国の美徳であり、大量の銃器を所持もしくは使用が日常茶飯事の国と比べようもない事実である。

 

だが、この状況ではその言い訳も何の意味も持たない。

 

回転式の拳銃はその弾倉に5発の.38スペシャル弾が入っているだけ。

予備の銃弾を所持は禁止されており、これで制圧を行う。

 

しかし、出来るのだろうか?

 

距離にして約10m程度。

相手は巡査の声が届いているかどうか分からないものの、その視線は殺気に満ちており、次のボール投げの対象になっている事を示唆される。

 

どうしてもっと練習をしなかったのだろうか?

 

そんな後悔が頭の中に反芻させ、構えた拳銃が震え、引き金の重さが尋常じゃない程感じ取った。

 

巡査の葛藤の中、被疑者は足元に転がっていた鎖に目をやり、其れを掴む。

 

「う…動くなっ!!?」

 

ポールに取り付けられていたステンレス素材の鎖は人が数人乗って遊んでいても千切れない頑丈な物。

もしもそれを投げるなり振り回すなりで使われればどの様になるのか、理解させられる。

 

「あっ…アァァァァア゛!!!」

 

重かった筈の引き金が引かれる。

 

撃った拳銃は上へと跳ね、弾丸は薬莢内の発射ガスによって押し出されると共に飛翔。

一秒にも満たぬ速さで男の左肩に着弾した。

 

「…………」

 

当たったはず。

肩に当たった。

 

其れを確実にと判断したものの、痛がるどころか撃たれた素振りを見せること無く。

 

男(・)は(・)鎖(・)を(・)回(・)し(・)、(・)そ(・)の(・)遠(・)心(・)力(・)で(・)警(・)察(・)官(・)に(・)向(・)け(・)て(・)投(・)げ(・)よ(・)う(・)と(・)し(・)た(・)。

 

『伏せとけ』

 

巡査の無線に一言、男の声が聞こえた。

それと同時に、鎖を持った腕に何かが当たり、大量の出血と共に鎖を下へと落とす。

 

『低致死弾に変更。矢衾にしてやれ』

 

声と同時、断続的に発砲音が響かせる。

被疑者の男の身体が突然跳ね上がり、次々と身体を揺らして立つ瀬もなく、ボコボコに殴られたようになる。

 

何処からともなく何かで撃たれ続け、被疑者は意識を失い、そのまま地面へと倒れ伏せた。

 

『…対象沈黙。これより収容体制に移る』

 

巡査は口が空いたまま、周りを見渡すように何が起きたのかを確認するも、それを視認する事は叶わない。

 

唯一空(・)気(・)の(・)揺(・)ら(・)め(・)き(・)めいたものが見えたのみで、其れが何かを調べる前に、気絶した被疑者が宙に浮き、そのまま運ばれていくのを遠目で見るしか無かった。

 

 

 

…………

 

 

 

「………やはり」

 

警視庁科学捜査研究所内。

その中の検査鑑定室内にて電子顕微鏡を覗き込む白衣の男が口を開く。

 

「どうやはりなんだ?」

「都内で確認されている連続暴走暴行事件の被疑者から検出された薬物だが、ア(・)レ(・)が(・)塩(・)化(・)現(・)象(・)と(・)類(・)似(・)す(・)る(・)」

「何だって?」

 

隣の座椅子に座っていた男、〔バトー〕はその眠らぬ目の眉をひそめ、驚愕の声を出す。

 

「サンプル自体は多くあるから間違いない。ここ一ヶ月の間、急激に事例が減少している事を鑑みるとある意味"成功"していると思われる」

「意思に関係なく暴れまわる事がか?」

「相手の意図は分からんよ?だが、相当にやり方は選ばない組織であるみたいだが?」

 

目的はどうであれ、着実に使用薬物の精度が上がってきている事を想定し、分析したサンプルの結果を資料として記載していく。

 

バトーは収容した被疑者を直ぐに人工心肺や人工呼吸器等に取り付け、生命維持を優先したものの、その甲斐無く心肺停止と脳死が確認。

これで10人目の死亡が確認された。

 

「どちらとも同じ薬物か?」

「ああ、但し」

 

男は隣のコピー機から高精度のコピー写真とその主成分表を手に取り、バトーへと見せる。

 

「一(・)部(・)だ(・)け(・)構(・)成(・)を(・)作(・)り(・)変(・)え(・)て(・)い(・)る(・)。(・)恐らく用途が違うのでは無いか?とね」

 

成分表で最も下に位置する正体不明の物質。

特徴的な部分のみが書かれており、それ以上を示す事が出来なくなっている。

 

「私が思っている仮説だが、聞くかね?」

「一応」

「では………この薬物は二通り存在し、両(・)方(・)別(・)の(・)組(・)織(・)で(・)利(・)用(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)と考察される」

「……言いたい事はよく分かる」

 

でなければこの規模の騒ぎが起こるとは到底思えない。

 

少なくとも大手が関わっている。

 

バトーの考えは白衣の研究員と同一の物であった。

 

「気をつけ給え。障子に目あり」

「壁に耳あり…てか?」

 

何時何処で誰が聞いているか分からない。

そんな警告を発し、研究員はデスクへと戻り、再び薬物の分析とその再現を行うべく成分表から生成を試み始める。

 

「…〔桐生〕」

「何かな?」

「精々死ぬなよ?」

「生憎、私が死ぬ時というのはこの星の滅亡に匹敵すると思われる。まぁ鋼鉄製の箱と厚さ1mのコンクリートで覆われたら干涸らびる事となるかも?」

 

何だそりゃ?

と眉を顰めて訝しんだ顔で見つつ、バトーは科捜研から出ていく。

 

〔桐生佐馬斗〕

 

本性は色々と救い難い人物なれど、こと研究や医療行為についてはプロフェッショナル故に仕事はこなす科捜研所属の魔界医師である。

 

尚、嘱託医でもあるので悪対【悪魔対策室】の診療医でもあったりする。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

早朝からカンカン照りという言葉が正解とされる程の超高温と湿度計が壊れたかと思われる数値を出す。

 

それでも、日傘を差し、大きなブリム(つば)をした帽子を被り、日焼け止めはしっかりと、こまめな水分補給を行う長蛇の列が続く。

 

或者は目当ての同人サークルが壁側に設営された事を知り、また或者は長らく音沙汰無かったサークルが復活したことをSNSで知り、またまた或者は企業ブース出展に心躍らせる。

 

夏コミ。

 

有明の海がオタク達で埋め尽くされる。

 

3日間様々なジャンルが展開され、それに合わせて同好の士達が買っていくディープでカオスな世界は海外のオタクカルチャーメイトもその心の赴くままに進んでいく。

 

そんなイベントが始まる一時間前。

 

 

 

「……さて、SNSにアップして3日…いいねの数は千を超し、インプレも1万は見てくれている…後は座して待つのみ…あっ!お隣の方に献本しなきゃ!?」

「ない世。目的忘れてないか?」

 

刷り終わった同人誌をとりあえず十冊並べ、何時でも準備は出来ていると言わんばかりにソワソワと待つない世にニアスが一つ物申す。

 

「でも、ちゃんとコスプレしてくれてるじゃん」

「それはオリジナルで売るのに敵女幹部のコスを着てと言ったのはお前じゃないか」

「後で宮本さんとにゃんにゃんするのに使うなら気をつけてね?」

「するか馬鹿」

 

ニアスが身に纏う衣装。

同人誌の内容に登場する敵キャラクターで、 恐らく第二次大戦の独国将校をモデルとした軍服に太もも部分がスリットのタイトスカートと言うもの。

女幹部とだけあって、防寒コート(という名の通気性ありの薄布素材)を肩に羽織るスタイルで再現をした。

 

「まさか服の縫製までやるとは思わなかった」

「一日がかりだったねホント」

「まぁ、ショー当日に被ったケースがあったから即席でドレスを縫った事だってあるから慣れているがな?」

「本気でファッションデザインもやるつもりだったんだ?」

「やるからには全力投球だ。お陰で歌舞伎町では困らん」

「安価なコスプレ衣装製作に関わるのがパリコレNo.1モデルとは誰も思わないよね」

 

実戦慣れした歴戦の戦士じみた腕前のミシン使いとミリ単位も狂わぬ縫製でサテンからエナメル生地まで異なる素材を組み合わせていくのを間近で見ていたない世も、ただ感銘を受けるのみであった。

 

「とはいえ、本来の目的を忘れたとは言わせんぞ?」

「分かってますよぉ〜…ホントにやるか分かんないですけどね?」

 

流石にこれだけ手の込んだ事をしていた理由は忘れておらず、ない世もフンッと鼻を鳴らす。

 

本来の目的は、この夏コミ会場内にて不埒な輩が何かを起こすと情報にあった事。

これには依頼元である"ヤタガラス"も、スタッフ内に数名の構成員を入れ、ホール内複数箇所に設置されたセンサーや事前に改修された金属探知機等のゲートで安全を確認する。

 

無論、会場を盛り上げる側であるサークルや企業の関係者にも円滑なイベントスケジュール進行の為と、入念なチェックが入れられている。

 

『此方バリアントFive。西2は異常無し』

『了解バリアントFive。引き続き監視を』

『コピー』

 

ヤタガラスが用意した無線機から別箇所の監視の報告が流れる。

 

他サークルにもない世達同様に人員が配置されており、監視体制は最低限度有している事を示している。

 

「そういえば、あのリュック背負ってる人…明らかに所持(銃器)してません?」

「ああ。恐らくヤタガラス側で要請した【ディビジョンエージェント】じゃないか?」

「あ〜あ〜。予備自衛官とか元機動隊の人が入ってるやつでしたっけ?」

「あまり口に出す事ではないがな」

 

ディビジョンエージェント。

 

制式名称【|SHD《ストラテジック・ホームランド・ディビジョン》エージェント】と呼ばれる米国内では一般市民内で銃器訓練やサバイバル訓練、各種トレーニングを積んだ極秘準軍事グループを指す。

 

日本国内のみならず、西側諸国ではない世が語った様に、元軍人や特殊部隊出身者による予備役扱いでの配備も進められており、このような大型イベントにて密かに駆り出されるケースがある。

 

尚、有事化では特別権限がなされるものの、基本的に一般市民と同等の扱いであるため、そこまで強権的な行動は取ることが出来ない。

 

「まぁ、"目"は多い方が良いですからね。特にこの日は…」

「だな…」

 

とはいえ、何かが起きては意味がない。

 

その予兆を把握するべく、用意された人員を活用する。

 

其れが今出来る最大限の方法であった。

 

「サークル参加の皆さん!!只今よりコミケ開場となります!!体調不良やセルフケアを忘れず!楽しいオタクライフを送ってください!!しゅがーはーーーと!!!」

 

会場内をスタッフが走る。

 

此処に10数万人もの人が入り、目当てのサークルへと並ぶ。

 

そんなディープな世界が今始まる。

 

 

 

 

 

《》

 

 

 

 

 

開場から3時間後

 

埋め尽くされる程の人の数。

幅広い年齢層と男女問わずに入り乱れる中、宮本は企業ブースと呼ばれる南ホールにてパトロールを行っていた。

 

「……異常無し」

 

未だ売り上げに低迷中のアダルトゲームメーカーも手元のスマートフォンで情報入力を強化し、専用アプリで利用するアダルトタイプのソーシャルゲーム等で形を変え、生き残りを掛けている姿に、中々哀愁を感じさせた。

 

(まぁ、コンシューマでも出来る範囲でゲーム展開してるし、仕方がない訳だが…)

 

消費者側の宮本が出来ることと言えば、好きなメーカーの商品を買ってプレイするのみ。

ビジュアルノベルを脱却し、様々なゲーム性を付加した製品になれども、エロとゲーム性は相性的には不利な部分が多く、中々難しいとも考えられた。

 

(さて、そろそろコスプレエリアの方を見てみるか?)

 

もし動きがあればと企業ブースを抜け、数多くのコスプレイヤーが集まる外広場へと向かう。

 

決してソシャゲの限定スキンを着込むアダルティな女の子を観に行くわけではないらしい。

 

(……あっっっつ!!?)

 

我ながらスーツで来るべきじゃなかった。

 

そんな後悔をしつつも、防弾仕様のゼニアに身を包むのは騎士が戦場で鎧を着込むと同じく、大事なことだと心に書き留めながら、比較的日差しの入らない陰を通っていく。

 

「チェ◯ジ!!ゲッ◯ーワン!!トマホークブーメラン!!」

「イェーイ!ラブ注入♡♡」

「…飛べねぇ豚はただの豚だ」「馬鹿っ!!」

 

新旧様々、その作品の場面に登場したポーズを取る者も居れば昨年度テレビで有名になった場面を再現したコスプレ、仮装大賞じみたCMコスプレ等が入り交じる中で。

 

(マジかっ…!?半透明バニーだと…!?)

 

エナメル質の布地と厚手のビニール素材を合わせた確実にR指定対象の衣装を身に纏う大きな実の女性へ釘付けとなる。

 

流石に、デリケートゾーンにはニップレスや前貼り等で対処されており、公共性は一応保たれているが。

 

(ふっふっふ…だが内股姿勢時に浮き出てしまう筋と小豆さんは隠しきれんぞ…!!)

 

視力3.5の力を存分に発揮し、ガン見にならない程度の熱視線を向け、足先から豊かな臀部、第二のもっこりゾーンのヘソ下や鼠径部、今にも弾け飛びそうな乳房を眺め、脳内に焼き付けていくと。

 

「何ジロジロ見ているこの馬鹿者」

「ぐえっ…」

 

襟首を掴まれ、首が締まる。

 

一体誰なのかと背を後ろへ曲げて見てみる。

 

「おっと〔ボルチモア〕ちゃん」

「ちゃんは要らん」

 

ボルチモア。

 

マンションに突入した【首席連合】の即応部隊の一員であったが、半数以上の隊員が死亡。

宮本の殺傷が目的であるが達成する事は叶わず、死よりも恐ろしい惨状が待っていた所。

 

当のターゲットは面倒だと判断し、【個人防衛保護法】通称personal defense protection lawの範囲に基づき、新たに設立した民間警備防犯会社の社員に登用した。

 

この会社は元ヤクザや軽犯罪の前科がある人物を採用。

オレオレ詐欺やピッキング等の犯罪対策マニュアルと見守り安全管理を主に取り扱うが。

 

「まさかディビジョンエージェントまでやらされるとはな?」

「裏でも表でも秩序護ってる訳だし良いじゃないか?自分のスキルを十全に発揮出来るのは素晴らしいだろ?」

「其処は感謝している」

 

裏社会の仕事人(ウェットワーカー)であった彼女も表側でかつ人に誇れる仕事を得た事は感謝し、その意思を示す。

 

少なくとも生き残った仲間達も何事もなく移籍できた事で人質にされかけていた家族や恋人を日本国内に住むことが出来た。

 

国籍を変える手間はあるものの、日本国憲法で護られ、投票も出来、国民健康保険制度も利用出来る事から後悔はない。

 

「なら良かった…ってか中々際どいコスプレしてるけど?」

「ん?あぁ…。レースクイーンのヤツらしいが?」

「……マジか」

 

彼女のイメージカラーの青を基調とした衣装は、まるでビキニの様なコスチュームで、背中も丸見えなジャケットとV字ラインの高い黒ショーツが隠せないほどのエナメル質の布地。

 

これではレーサーもシフトレバーとナニを間違えてしまいかねないセクシーな衣装である。

 

「もしかして似合ってなかったか?」

「そんなわけない。むしろ似合い過ぎてて人に見せたくない」

「何を言ってる馬鹿者」

 

素っ裸よりも恥ずかしい格好では?と頭を捻るも、際どい箇所には肌色のガードルを着けており、見えないように対策は施されているらしい。

 

「内着着ないパターンも見てみたいなぁ〜…」

「あれは割れ目に食い込むから駄目だ……っ…!!」

 

顎を一発殴られる。

何を意味するのか気がつき、そのまま両頬をつねっては往復ビンタで締めた。

 

「いだいっ…!?」

「貴様のセクハラが原因であろうが……」

「やっぱ胸の部分の衣装、ニップレス付けてるのね?」

「その目と口は潰しておくのがベストか?」

「ドーモスイマセーン」

 

一応反省の色を地獄谷の猿程度に見せつつ平謝りの態度。

 

これ以上怒るにも恐らく茶化されるだろうと握った拳を振るうことを我慢し、少し鼻を鳴らす。

 

「…では私は他の所へ見に行く。何かあれば直ぐに連絡を入れろ」

「ハイハイ、分かりました」

「ハイは一回で良いだろう…」

 

若干調子を狂わせられる中でボルチモアはそのまま別の観測ポイントへと向かおうと足を向ける。

 

「おっと。ほい」

「ん?わわっ…!?」

 

突然宮本から声掛けと何かを手渡され、その正体を見る。

 

「………麦茶?」

「飲み終わったらペコっと潰しておいてくれ」

「あっ…ああ」

 

渡されたのはブリックパックの麦茶。

ストローを刺して飲むタイプであり、手の中でひんやりと冷たさを感じる。

 

「30分後位にまた来るわ。それじゃ」

「………あっ、あぁ…」

 

さりげない気遣いで怒りが鎮火する。

 

宮本が行っていたのは熱中症と診断する為、わざとらしく怒りを覚える会話を行い、脳機能が正常な状態かを見極めていた事。

 

少し汗ばむ程度での水分補給にスポーツ飲料等では高血糖等になりやすく、どちらかと言えば麦茶と水が適切である。

 

これにはボルチモアも怒りが薄れ、全くとため息をつく。

 

「………ふぅ…」

 

ストローを刺し、吸って飲む。

 

適度な冷たさが喉を通り、火照りを覚えた身体の中で欲していた水分で潤いを感じ取れた。

 

細かな気遣いには呆れると共に。

 

「……さて、戻るか」

 

平穏に終わりそうな祭りに戻っていく。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「賑やかだねぇ…」

「賑やかですね…」

 

遠くから下を見るように2人の人物がホール中を埋め尽くす人だかりに言葉を吐く。

 

1人は男。

白い背広を着た肥満体型で、その手には血の滴りを思わせる肉汁が流れ出るハンバーガーを掴む。

 

「いつも食べてますね?」

「生憎デブは一食抜いたら餓死してしまうのでね?」

 

そう言って口を大きく開き、ごまの振られたバンズと厚切りトマト、とろけたチェダーとゴーダ、黄色のマスタードと赤色のトマトケチャップ、そしてこんがり焼き焦がしたパティというフルコースを纏めた代物へ齧り付く。

 

もう1人は女。

黒のパンツスーツとワイシャツにネクタイをした長い赤毛を持っている。

 

「私から言えば君は食べなさ過ぎだよ?」

「エナジーブロック二切れあれば充分です」

「其れは其れで偏り過ぎだよ?」

 

口の周りをケチャップや肉汁で目一杯汚す姿を見ては一つため息を吐く。

 

「さて、とりあえずど(・)っ(・)ち(・)が(・)先(・)に(・)行(・)う(・)?(・)」

「そうですね……ではそちらから」

「ふふふっ。威力偵察(ごあいさつ)の役割。謹んでお受けしよう」

 

ハンバーガーを全て平らげ、持っていた紙ナプキンで口元を拭う。

 

「さぁ…楽しい愉しい戦争(クリーク)だ。皆が恐怖し、皆が泣き叫び、皆が神に祈る。素晴らしい戦争(クリーク)を始めよう…!!」

 

男は、顔を歪めて笑う。

 

心底徹頭徹尾一切合切。

彼は戦(・)争(・)が(・)大(・)好(・)き(・)で(・)あ(・)る(・)と(・)体(・)現(・)し(・)た(・)。

 

「ではこれにて。問題が発生した場合は直ぐに【トラポート】をお願いします」

「………気分によって」

「出来たならば気分は無しの方向で」

 

下手したら助けてくれなさそうだと男は思う。

 

しかしそれでもと口角を上げ、再び笑顔で。

 

「……戦争、闘争、撤退戦、塹壕戦、砲撃戦、追撃戦、艦砲戦、掃討戦、ゲリラ戦…」

 

「始めよう!!私の戦争を…!!」

 

言ってのけた。

 

 

  \カカカッ!!/

〔魔人:赤い騎手(レッド・ライダー)〕

 

 

 

 

 

 

to be continued

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