ハジメは、体全体が何か温かで柔らかな物に包まれているのを感じた。
なんだかとても懐かしい、なんだか安心する感覚。
そう、これは――ベッドと布団の感触のだ。
(……?)
ボーッとした意識の中、ハジメは妙な違和感を覚えた。
そして下半身が、甘い快感に包まれている。
ちょうどハジメの脚の間、布団が盛り上がってこんもりと丸くなっている部分。
ハジメはゆっくりと身体を起こすと、布団をめくった。
「ぢゅるっ、ぢゅるるるっ❤️ ん、んん、おはよう、ハジメ……❤️」
そこではユエが、一糸纏わぬ姿で肉棒を貪っていた。
ハジメが起きたことに気が付くと、口から肉棒を抜き、ハジメに柔らかな笑みを見せた。
「おチンポがガチガチだったから、処理してあげてた……❤️ 続き、するね❤️」
そうしてまた、ユエのお口奉仕が始まる。
といっても、肉体の修復に体力が使われていたので、彼女のフェラ奉仕は射精一回で終わった。
◆◇◆◇
「そういえば、ハジメ」
ハジメが起きて、性奉仕も終わると、ユエはふとそう続けて言う。
「ん?」
「私、こんなのが使えるようになって……」
すると、ユエは衣服が出現し、それを纏った。
今までは裸だったというのに、まるで一国の王女のような、白を基調もした豪華なドレス姿となったのだ。
「しかもこうやって服を纏うと、魔法の調子が良くなって」
「へぇ……僕のアレと似てるような……あ!」
ハジメは、ヒュドラと戦った時のアレを思い出す。
何も無い場所から武具を出現させ、新たな衣服を纏った。
まるで、今のユエみたいに。
「ユエ、僕のステータスプレートってどこ?」
「え? あ、うん。これ」
ステータスに変化があるのではないかと、ユエから渡されたプレートを確認した。
そしてその予想は、的中する。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル17
天職:錬成師
筋力:28 [+同調830]
体力:28 [+同調1390]
耐性:28 [+同調850]
敏捷:28 [+同調1820]
魔力:28 [+同調11990]
魔耐:28 [+同調14800]
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+高速錬成][+消費魔力減少]・魔力操作・魅了[+常時発動][+効果上昇Ⅰ][+効果範囲拡大Ⅰ]・眷属作成・同調(4)・武装顕現(王)・封印[+解放Ⅰ][+解放Ⅱ]・言語理解
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「武装顕現……王ってのは、僕が使うからか」
おそらくは、封印が一段階解かれたことにより、力が解放されたのだろう。
その名は“武装顕現”。
感情を実体化させるという、前世の超技術を用いて作られた武器と装備、それを出現させる魔法だ。
ハジメのものは“王”と記されている通り、これは前世で淫魔王と呼ばれたハジメ限定の能力なのだろう。
そしてユエも同じような能力を持っていることから、おそらく彼女も、ハジメの封印解除に反応し、似たような力を手にしたのだろう。
いや、ユエだけでなく、地上の香織や雫、リリアーナも、同じ力を手にしたかもしれない。
ハジメのが“武装顕現(王)”と呼ぶのなら、彼女達の場合は“武装顕現(妃)”とでも呼ぶのだろう。
「あ、それと……」
ユエはそう言うと、衣服を別のものへと変えた。
ドレスのようなものから、今度は娼婦のようなドスケベな下着姿に。
さらに次は、煽情的なバニー衣装に。
そんな感じに、衣服は色々なものへと変わっていった。
「こんな風に、見た目は色々変わるみたい。装備の強さや性質は変わってないみたいだけど」
最後に元のドレス姿に戻ると、ユエはそう言った。
「……あー、なんかアレだ」
そんな様子を見て、ハジメは頭を掻く。
「前世を思い出した。なんか色々なプレイにも使えるようにって、衣服には拡張性持たせてた……気が、する」
うっすらと、稀にフラッシュバックする程度にしか覚えていない前世の記憶。
自分のだけでなく、眷属達のためにも武装を作り上げた記憶が、朧気ではあるが、あるにはある。
そこでハジメの前世である淫魔王は、眷属達の衣服には特殊なギミックを仕込んだことを思い出した。
あくまで“気がする”程度のことではあるが。
「……じゃあ、する?」
「いや、今はいい。身体が疲れ切ってる」
そんな話をしながら、ハジメはユエに連れられ、この広大な空間を見て回った。
色々と見て回りながら話していくと、どうやらハジメは、丸一日眠っていたらしい。
身体はボロボロで、かなり危険な状態だった……らしいのだが、なんか神水を飲ませた上で性行為を行うことで、何故か再生力が向上した……らしい。
よく分からないが、性行為を通して精力を吸収したとか何かなのだろう。
そしてベッドルームの外は、とても広かった。
まず、目に入ったのは太陽。
ここは地下空間なので、本物の太陽ではないのだが、本物と勘違いしてしまうような輝きと青空が広がっていた。
しかも天候もあったり、夜には月と星が浮かんだりと、ひたすらに感心してしまうほどの造りだった。
加えて自然も人工的に再現されており、それなりの滝と川があり、水が流れており、小さな林もあったりする。
川から少し離れたところには大きめの畑や家畜小屋もあり、ある程度ならここで暮らせそうな、そんな造りをしていた。
そして一番の本題、ベッドルームに隣接した建築物。
建設物といっても、岩壁をそのまま加工して住居にした感じだが。
そこには、色々と施設があるらしい。
「少し調べたけど、開かない部屋も多かった……」
「ふーん……ちょっと気をつけるか」
石造りの住居は、全体的に白く石灰のような手触りだ。
全体的に清潔感があり、エントランスには温かみのある光球が天井から突き出す台座の先端に灯っていた。
上まで吹き抜けになっているようで、三階建てであることが分かる。
一階から見て回ると、暖炉や柔らかな絨毯、ソファのあるリビングらしき場所、台所、トイレを発見した。
どれも長年放置されていたような気配はなく、ホコリは積もっていない……にも関わらず、生活感は無いという、奇妙な状態だった。
言ってしまえば、今は誰も使っていないかのような、そんな感じに見えた。
さらに奥に進んで外に出ると、そこには風呂があった。
お湯は抜かれていたが、魔力を流すと設備が稼働し、お湯が出始めた。
それから、二階で書斎や工房らしき部屋を発見した。
しかし、書棚も工房の中の扉も封印がされているらしく、今のハジメでは、開けることはできなかった。
そして、三階の奥の部屋に向かった。
どうも三階は、一部屋しかないようだ。
奥の扉を開けると、そこには直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。
しかし、それよりも注目すべきなのは、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子に座った人影である。
人影は骸で、既に白骨化しており、黒に金の刺繍が施されたローブを羽織っている。
薄汚れた印象はなく、お化け屋敷などにあるそういうオブジェと言われれば納得してしまいそうだ。
「トラップ、とは思えないんだよなぁ。こんな住居っぽい所に作るはずがないし。けど、なら何の目的のために作られたのか……」
場所的にも、ただのトラップというよりかは、何かの目的のために作られたものだと、ハジメは考えていた。
あの骸のせいで嫌な予感は拭えないが……
「仕方無い、行くか」
ハジメは深呼吸すると、魔法陣へ向けて踏み出した。
そして、ハジメが魔法陣の中央に足を踏み込んだ瞬間、カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げる。
まぶしさに目を閉じるハジメ。
直後、何かが頭の中に侵入し、まるで走馬灯のように奈落に落ちてからのことが駆け巡った。
やがて光が収まり、目を開けたハジメの目の前には、黒衣の青年が立っていた。
『試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?』
話し始めた彼はオスカー・オルクスというらしい。
このオルクス大迷宮を作り出した人物とのこと。
『ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを』
そうして始まったオスカーの話は、ハジメが聖教教会で教わった歴史とは大きく異なる、驚愕すべきものだった。
簡単に言えば、人間族と魔人族の戦争の元凶は、エヒトであった、という話だ。
人間族はエヒトが、魔人族はエヒトの眷属である別の神が操り、戦争をさせていた。
その理由は遊戯、つまりは、エヒトはただの遊び、あるいは暇潰しで、人々を争わせていたわけだ。
それを止めようとしたのが、オスカー・オルクスをはじめとした反逆者……いや、解放者だ。
かつて解放者と名乗っていた彼らは、“神域”という場所にいる神を討たんとした。
だが、神に操られた人々によって追いやられ、今では反逆者と呼ばれるようになってしまった。
それでも、わずかな希望を、残った七人の解放者は、迷宮と共に未来へと託したのだ。
『君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。……君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを』
そう話を締めくくり、オスカーの記録映像はスっと消えた。
同時に、ハジメの脳裏に何かが侵入してくる。
ズキズキと痛むが、それがとある魔法を刷り込んでいたためと理解できたので大人しく耐えた。
同時に、過去がフラッシュバックする。
『創造魔法を教えてほしい? はぁ……████がやらなくても、何か作りたいんなら私が作るのに……』
『いや、これは僕がやらないとダメなんだ。みんなは、僕の手で守るんだ』
『フフッ……でも創造魔法って、元は私の魔法だよ?』
『いやまぁ、それはそうなんだけど……でも、僕が、自分でやる……そのことに、意味があると思うんだ』
『……そう。分かったよ、じゃあ教えるね。これは物質、その中でも無機物を操る魔法でね――』
◆◇◆◇
「……!」
ハジメの脳に刻まれた、あるいは思い出したモノ。
“生成魔法”という、無機物を操る神代魔法。
それこそ、他の魔法と比較すれば圧倒的とも言えるほどのスペックを持つ。
「……ハジメ?」
目を丸くして立ち尽くすハジメに、ユエは尋ねる。
「とりあえずユエ。危険性は無いから、この魔法陣の上に」
「……? 分かった」
ユエも言われるがままに、魔法陣に乗る。
そして数秒後、彼女も目を丸くして、驚いていた。
「……そう、なんだ」
「見た?」
「ん……色々と」
ユエも、世界の真実を知り、生成魔法を扱えるようになった。
「……でも、どうするの?」
そして、ユエがオスカーの話を聞いてどうするのかと尋ねる。
「別に襲われたりはしてないし、今は何もしない。今重要なのは、僕の“魅了”だ……下手したら、僕が世界の敵になっちゃうからね。それを何とかしたい」
一応、ハジメとしてもエヒトを倒し、戦争を終わらせたいと思わないことはなかった。
だが、それよりも重要なことがあるから、それを優先する。
自分の能力、もっと言うと“魅了”の制御を可能にしなければ……いつかまた、ハジメは前世と同じように、世界の敵と化す。
エヒトを倒すのは、そういうことをした後でも構わない。
「……確か前世では、“魅了”のせいで世界の敵になったんだったっけ?」
「うん。生成魔法だけじゃダメかもだけど、もし仮に他の神代魔法も使えるようになれば……制御できるようになるかもしれない」
神代魔法。
他の魔法とは比べ物にならないほどの性能の魔法であり、世界の根源にも関わる重大な魔法。
「そういえば、使えるようになったね。私はあまり使えなさそうだけど……」
とはいえ、適性というものがあり、ユエはあまり使いこなせなさそうらしい。
ハジメは、元が錬成師ということもあって親和性があったからか、使えそうだと感じていた。
「逆に僕は凄い使えそう。アーティファクトを作れる……というよりかは、無機物を操るって感じか? 性質を付与することで、新たな鉱物を作り出すと考えると……中々いいかも」
そんなこんなで、色々終えた後、オスカーの死体と思わしき躯は埋葬し、ハジメの能力でそれなりに綺麗な墓を立てたのであった。
その際、オスカーが嵌めていたと思われる指輪も頂いておいた。
その指輪には十字に円が重った文様が刻まれており、それが書斎や工房にあった封印の文様と同じだったので、鍵になっているのではと考えてのことだった。
・南雲ハジメ:前世の記憶も合わさり、生成魔法の本質に気付く。
・ユエ:ハジメの覚醒と合わさり、何か技能を得た。
創造魔法というのは、前世の世界では無機物と有機物、つまりは物質を操る魔法でした。トータスで言えば、生成魔法と変成魔法を合わせたような感じです。