※この作品はR-18です。

淫魔王ハジメは世界最強   作:木崎楓

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幕間1 王都にて

 ここで時間は少し遡り、ハジメが奈落に落ちてから数週間後の話。

 

 まさかの死者が出たということもあり、多くの人が多大なショックを受けてしまった。

 ハジメはクラスの中心というわけではないが、嫌われ者というわけではなく、クラスでは皆とそれなりに仲良くやっていたため、影響は大きかった。

 

 その中でも、立ち直れないくらいにショックを受けてしまったのが、香織と雫だ。

 

 クラスメイトは誰一人として知らないが、二人はハジメの恋人だ。

 故に、ハジメの死にひどくショックを受け、引きこもるようになってしまった。

 

「うぅ……ハジメ、ハジメぇ……」

 

 布団の中で、雫は泣き続ける。

 王都へ戻ってからは、ほとんど食事を取ることはなくなり、部屋に閉じこもり、涙を流し続けていた。

 香織の方はまだマシではあるが、そちらも似たような状況だ。

 

 クラスメイトは、心優しい二人だから、ハジメの死に心を痛めていると言っていたが。

 そんなのじゃない。

 最愛の人が目の前で死んだ、それがどれだけ辛く苦しいことか。

 皆の危機を救ったハジメが、成す術無く、トラップか魔法かも分からない何かによって死んだ。

 ショックどころの話ではなかった。

 

 

 

 今日も涙が止まらなかった。

 

 

 

 

 

 ドドドドド……

 

「……?」

 

 ふと、廊下を勢い良く走る音が聞こえてきた。

 雫は布団から顔を出し、不思議そうに見る。

 そもそもクラスに、こんな騒がしく廊下を走るような人はいなかったはず……そんなことを考えていると、音はどんどん大きくなっていく。

 

 というか、自分の部屋に近づいてきている。

 

 ドバン!

 

 そして、勢い良く扉が開き、

 

「雫ちゃん!」

 

 香織が、雫に勢い良く抱きついてきた。

 

「えっ、あの、香織……?」

 

 面食らったかのように、おろおろと困惑する雫だが、香織はそんなことは気にせずに言う。

 

「雫ちゃん! ハジメくんが……ハジメくんが、生きてる!」

「……え?」

 

 ハジメが生きてる。

 あの光に飲み込まれ、死に、消えた、それが雫の出した結論だったが。

 香織は生きていると言った。

 ただひたすらに、何でなのか、意味が分からなかった。

 

「ほら、これ見て!」

 

 そんな首を傾げる雫に、香織は自分のステータスプレートを見せた。

 

 

 

====================================

白崎香織 17歳 女 レベル:10

天職:治癒師

筋力:90

体力:180

耐性:110

敏捷:160

魔力:400

魔耐:400

技能:回復魔法[+回復効果上昇]・光属性適性・高速魔力回復・魔力操作・武装顕現(妃)・封印[+解放Ⅰ]・言語理解

====================================

 

 

 

 見せられたステータスを、ジッと見る雫。

 

「解放、それと、武装顕現……?」

 

 そして、新たなる技能に気が付いた。

 封印が一段階解かれ、新たなる技能が追加されている。

 自分達は、封印を解くようなことは何もしていないのにも関わらず。

 

「そう! 多分ハジメくんが生きてて、何かしたんだよ! だから私達の方も、封印が解放されたの! ほら、雫ちゃんも多分同じ風になってると思うから!」

「え? う、うん」

 

 雫も言われるがまま、自分のステータスを見てみる。

 

 

 

====================================

八重樫雫 17歳 女 レベル:10

天職:剣士

筋力:170

体力:200

耐性:160

敏捷:500

魔力:150

魔耐:150

技能:剣術[+斬撃速度上昇][+抜刀速度上昇]・縮地・先読・気配感知・隠業・魔力操作・武装顕現(妃)・封印[+解放Ⅰ]・言語理解

====================================

 

 

 

 そこには、香織と同じく、新たな技能が現れていた。

 

「本当だ……まさか、本当に……」

「うん! 生きてるんだって! それに私達、まだ眷属じゃなくなってないし!」

「……!」

 

 ハジメが死んだら、眷属は眷属ではなくなる。

 ハジメが死ねば、眷属の下腹部に刻まれた淫紋は消え、ハジメの支配から解放される。

 つまり淫紋が消えれば、ハジメは死んだと言い換えることができる。

 

 雫は、改めて自分の下腹部を見てみるが、淫紋は、残っていた。

 

「そういえば確かに……何で、気付かなかったんだろう」

 

 取り乱しすぎて、そんな単純なことにも気が付かなかった。

 自分達がまだ眷属である以上、主であるハジメは確実に生きているというのに。

 

「……ねぇ、雫ちゃん」

「うん」

「頑張ろう、一緒に。ハジメくんは絶対に戻って来るから、その時のために」

「……そうね」

 

 そうして二人は、立ち上がるのであった。




・白崎香織:めっちゃショックを受けて寝込んでいた。が、雫よりはマシで、ある程度立ち直れてはいた。

・八重樫雫:精神面で言えば、香織よりも酷い状態だった。ろくに食事も食べずに、誰とも会わずに部屋に閉じこもっていた。

・リリアーナ:ここでは出てきていないが、彼女も眷属なので、けっこうショックを受けていた。流石に二人ほどではないが。
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