ホルアドに着いた翌日、予定通りハジメ達はオルクス大迷宮での訓練を行うこととなった。
オルクス大迷宮は、全百階層からなるとされている巨大洞窟であり、階層を降りていくほどに、出現する魔物は強力になっていく。
だが逆に言ってしまえば、前半であれば、そこまで強くない魔物ばかりということ。
もちろん、魔物なので危険であることには変わりないが、そういう事情もあり、このオルクス大迷宮は、新兵の訓練にはかなり向いているのだ。
というわけで、一階層から順番に戦闘を行っていく。
とはいえど、異世界から来た人達にとっては、低階層など簡単すぎたようで、魔物なんてあっさり撃破することができていたくらいだ。
むしろ魔法の威力過多で、軽く注意されてしまうくらいだった。
「っと……まぁ、まだ行けるな」
もちろんハジメの番になっても、余裕で敵を対処していく。
ハジメの場合は、剣術もできれば魔法も使えるので、攻撃手段に富んでいる。
しかも回復魔法に加え、最近では結界系統の魔法も扱えるようになったほど。
さらには、補正値も含めたステータスもとんでもなく高いと来たものだ。
この迷宮探索に際して、事前に数人のパーティを組んで連携するように言われていたのだが、ハジメはあまりにも強くて万能すぎたので、一人でやるようにと言われてしまった。
これはどちらかと言うと、ハジメ本人に対してではなく、他のクラスメイトへの配慮だろう。
ハジメ一人がパーティに入るだけで、基本的にほぼ全てハジメ一人で良くなるため、他の人にとっては訓練にならなくなるのだ。
それを防ぐための措置だった。
(香織と雫は……余裕そうか)
香織と雫に戦わせることを心苦しく思いながらも、どうしようもできないので、ハジメは二人を陰ながら見守っていた。
一応、眷属となってパワーアップしているっぽいので、今の所は苦戦はしていないが、わずかに不安は感じていた。
そんなこんなで二十階層。
一流か否かを分ける階層とされているのだが、あろうことか余裕で、そんな場所へ到達することができた。
「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」
メルド団長のかけ声がよく響く。
ここまで苦戦らしい苦戦はしていないが、念には念を入れて、ここまでで今日は終了するみたいだ。
それに、トラップ等の確認も含めると、それなりに時間が経過しており、地味に疲労も蓄積している。
トラップには、うっかり起動させたら即死というものもあるので、どうしても慎重になり、時間がかかってしまうのだ。
一行は二十階層の探索を行う。
所々で戦闘を行うことはあったが、魔物自体はある程度強くなっているが、数は少なめだったので、あっさりと倒すことができていた。
魔法等の感覚も掴めてきたみたいで、最初のような、威力過多といったことも少なくなってきている。
そうして、二十階層の最深部へとたどり着く。
二十階層の一番奥の空間は、まるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。
この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。
すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。
訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。
どうやら魔物のようだ。
「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」
メルド団長の忠告が飛ぶ。
その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。
壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。
そして胸を叩きドラミングを始めた。
どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。
「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」
メルド団長の言葉と共に、光輝達のグループの戦闘が始まる。
光輝のいるグループは、幼馴染である坂上龍太郎という大柄の男子と、あとはこれまた幼馴染の香織と雫、それと谷口鈴と中村恵里の六人で構成されている。
その中でも光輝と香織と雫の三人は特に強く、上手く敵を捌きながら、あっさりとは行かないものの、大した傷を負うこと無く倒すことができた。
「うむ、初めてにしては上々だ。今度からは、もう少しスマートに戦えるようにな」
メルド団長はそう言いながら頷く。
少し長引いてしまったため、壁は少し崩れていたりするが、崩落するほどではない。
今度は周りの安全にも配慮できるようにと、そう助言して、終わる。
「あれ、何かな? キラキラしてる……」
そう思った時、香織が、壁の少し崩れた部分を見ながら言った。
その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。
そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。
まるでインディコライトが内包された水晶のようである。
「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ、珍しい」
グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。
特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。
錬成師としての勉強もしていたハジメは、そういった鉱石についてのことも、ある程度は知識にあった。
「素敵……」
メルドも簡単にではあるが、そういった説明をしたらしく、それを聞いた香織は頬を染めながらうっとりとする。
「だったら俺らで回収しようぜ!」
そう言って唐突に動き出したのは、檜山大介という男子だった。
お調子者で騒がしい人というのがハジメのイメージだったが、そのイメージに違わず、彼は騎士達の間をすり抜け、ヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。
女子達がうっとりしていたこともあって、カッコいい所を見せたいとか、そういう想いもあったのかもしれない。
「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」
しかし、そんなメルド団長の制止も、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。
メルド団長は、止めようと檜山を追いかける。
同時に騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。
そして、一気に青褪めた。
「団長! トラップです!」
「ッ!?」
その言葉を聞いた時には、手遅れだった。
檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。
魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。
まるで、召喚されたあの日の再現のように。
「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」
メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。
◆◇◆◇
浮遊感を覚えつつも、ハジメは上手く着地して、周囲を見渡す。
光輝達や、騎士団員などは既に周囲を警戒していたので、同じように見てみると、そこは巨大な石造りの橋の上だった。
下がどれだけ深いかは分からないが、暗闇だけが広がっていて、とりあえず、落ちたらひとたまりもないであろうことは分かる。
橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。
ハジメ達はその巨大な橋の中間にいた。
橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。
それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。
「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」
雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出す生徒達。
しかし、脱出は容易には叶わなかった。
階段側の橋の入口に現れた魔法陣から、大量の魔物が出現し始めた。
骨格だけの体に剣を携えた魔物“トラウムソルジャー”が、数を増やしていく。
その数は既に百体近くに上っており、尚、増え続けているようだ。
しかし、それよりも危険なのが、
「まさか、ベヒモス……なのか……」
メルド団長や光輝、香織、雫と対峙する、全長十メートルを超える巨躯の四足の魔物。
もっとも近い既存の生物に例えるならトリケラトプスだろうか。
ただ、鋭い爪と牙を打ち鳴らし、頭部の兜から生えた角から炎を放っており、草食とは思えないほどの凶悪な雰囲気を纏っているが。
メルド団長が呟いた“ベヒモス”という魔物は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。
「グルァァァァァアアアアア!!」
「ッ!?」
その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」
「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」
メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。
「香織、雫……いや、でも」
ハジメも彼らに加勢したいところではあったが……
「キャァァァアア!!」
「やばいっ、早く逃げろぉぉ!」
後方では、逃げ惑うクラスメイト達がいる。
あんな大量の魔物が相手で、統率が取れていないとなると、流石に命が危ない。
「まずはそっちだ……!」
ハジメは急いで、逃げ惑うクラスメイトの支援へと向かった。
大量の魔物、とはいえクラスメイトは全員強いから、普段ならそれなりに対処はできるはず。
でも、この緊急事態は、互いが互いのことを考えずに戦うから、意図せず周りの仲間を妨害してしまう。
「あっ……」
そして一人の女子生徒が、そうした意図しない妨害により、足を取られて転倒してしまった。
「まずっ……!」
近くにはトラウムソルジャーが一体。
転んでしまったため、後は斬られてしまうばかり。
ハジメはすぐにそれに気付き、急いでその間に割って入る。
「させ、ないッ!」
そして、右手で剣を握り、抜刀切り。
トラウムソルジャーの胸部の骨を斬り、撃破した。
「間に合った……! 足の怪我とかは無い?」
軽く後ろを向き、助けた女子生徒――園部優花という栗色の髪の子の状態を確認する。
「う、うん……」
「よかった。なら落ち着いて、冷静に奥まで行くんだ。君達の実力なら、落ち着けばこいつらくらい倒せるはずだよ」
自信あり気にそう言うハジメに安心したのか、彼女は「うん! ありがとう!」と元気に返事をして駆け出していった。
騎士達も駆け付け、状況も少しずつ良くなっているように見える。
とはいえ、もしもの時がある。
ハジメは密かに、詠唱を使うことなく、オリジナルの魔法を発動した。
「広がれ……“魔晄”」
ハジメの手の上に出現した魔法陣、そこから現れた巨大な光は数メートル上の上空に打ち出される。
そして、百以上の細かな光の礫に分かれ、まるで機械のような直線軌道で、クラスメイトや騎士達の頭上を通り過ぎる。
そして、魔物を……正確には、魔物の体内に存在する生きた魔石の真上に到達すると、落下し、魔物を破壊していく。
対魔物を想定した、魔物を根絶するための魔法。
魔力操作のおかげもあって、複雑な新魔法であっても、大した時間をかけずに発動できた。
とりあえず、これで敵も少くなって、安全になったはずだ。
「よし、あっちだ……!」
ハジメは巨大な魔物の方へ走り出す。
◆◇◆◇
ベヒモスは、障壁に向かって突進を繰り返していた。
最初の方に、騎士達が強力な結界魔法である“聖絶”という魔法を使ったおかげで、何とか持ちこたえていた。
とはいえ、障壁に衝突する度に壮絶な衝撃波が周囲に撒き散らされ、石造りの橋が悲鳴を上げる。
障壁も既に全体に亀裂が入っており、砕けるのは時間の問題だ。
既にメルド団長も障壁の展開に加わっているが、焼け石に水だった。
「ええい、くそ! もうもたんぞ! 光輝、早く撤退しろ! お前達も早く行け!」
「嫌です! メルドさん達を置いていくわけには行きません! 絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時にわがままを……」
メルド団長は苦虫を噛み潰したような表情になる。
この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しい。
故に最善は、逃げ切るためには障壁を張り、押し出されるように撤退することだ。
しかし、その微妙なさじ加減は戦闘のベテランだからこそ出来るのであって、今の光輝達には難しい注文だ。
とはいえ、光輝達に詳しく説明をしている時間は無い。
そんな時間があれば、障壁の展開に時間を使った方が良いし、そうしないと危ない。
なので簡単に掻い摘む形で説明しているのだが、光輝は“置いていく”ということがどうしても納得できないらしく、また、自分ならベヒモスをどうにかできると思っているのか目の輝きが明らかに攻撃色を放っている。
「光輝! 団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」
雫は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴む。
「へっ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろ? 付き合うぜ、光輝!」
「龍太郎……ありがとな」
しかし、龍太郎の言葉に更にやる気を見せる光輝。それに雫は舌打ちする。
「状況に酔ってんじゃないわよ! この馬鹿ども!」
「雫ちゃん……」
苛立つ雫に心配そうな香織。
「……まずい、下がれェェ!!」
そして、ついに障壁が破壊される。
暴風のように荒れ狂う衝撃波。
吹き飛ばされそうになり、光輝達は体勢を崩す。
しかし、いつまで経っても、ベヒモスの突撃はやって来ない。
「なっ……お前、南雲!?」
なぜならそこに、ハジメがいたから。
ハジメの“聖絶”が、ベヒモスを再び阻んでいた。
詠唱無しのものにも関わらず、強度はメルド団長達が使っていたそれより上。
光輝は驚いた。
ハジメが強いのは知っていたが、まさかここまでとは思わなかったから。
というか、一対一では光輝の方が強かったから、こんな状況で助けられるとは思わなかった。
「天之河君! 早く! 後ろの皆のところに!」
「な、なにを急に――」
「数は減らして来た! けどまだみんなパニックなんだ!」
撤退するように言うハジメに反論する光輝だったが、逆にハジメも叫ぶ。
「あのパニックをまとめることができるのは、天之河君達だけ! だから早く!」
後ろを見ると、確かに訓練のことなど頭から抜け落ちたように誰も彼もが好き勝手に戦っている。
ハジメの魔法によって、魔物の数はかなり減ってはいるが、それでも不安定になった彼らは、ベストパフォーマンスを出せておらず、押されている。
それに“光輝だけしかいない”という言葉が、彼の心に強く響いた。
「ああ分かった、すぐ行く!」
「助かる! ありがとう!」
光輝達は後方へ向かっていく。
残るはハジメとメルド団長だけとなったが、
「メルド団長も、大丈夫です。僕なら一人でも何とかできます」
ハジメはそう断言した。
しかしハジメの戦闘力は、色々出来るとあうアドバンテージはあるものの、本気の光輝よりは確実に低い。
「なっ……いくらお前が強くても、あのベヒモスを倒すのは……」
「倒すつもりはありません。この橋の下に、落とすだけです」
「……!」
「ベヒモスを足を掬ってバランスを崩して、勢い良く吹き飛ばす。傷付けることはできなくても、この奈落です。落ちたら戻ってこれないはず……!」
ベヒモスの頑丈な身体に傷を入れることはできなくても、落とせば実質的には勝利だ。
そして、強引に吹き飛ばすだけであれば、不可能ではない。
魔力を大量に使って、強引に大きな衝撃波を発生させれば、不可能ではない。
「……できるのか?」
「はい。僕ならできます。僕だからこそ、できます」
ハジメはそれを、自分ならできると断言した。
決然とした眼差しを真っ直ぐ向けてくるハジメに、メルド団長は「ふっ」と笑みを浮かべる。
「頼もしい限りだな。お前に俺達の命を預ける……頼んだぞ!」
軽くハジメの背をたたくと、メルド団長も撤退する。
それなりに距離が離れたのを確認すると、ハジメは“聖絶”の重ね掛けを止め、ベヒモスからある程度の距離を取る。
イメージ練習も万全。
上手く行けば、確実に倒せる。
上手く行かなくても時間稼ぎはできたし、少しずつ後退すれば自分も撤退できる。
失敗するとちょっとカッコ悪いけど、とりあえず命だけはどうにかなる。
そしてついに、ハジメの張った障壁にヒビが入る。
「そろそろ……」
ビキッ、ビキビキッ……!
障壁のヒビが広がり、そしてついに、ベヒモスは勢い良く突き破った。
その勢いのまま、ハジメに向けてベヒモスは突進する。
「――“錬成”」
暴風すら発生させる恐ろしいほどの勢い。
故に、ベヒモスは対応できない。
足元に出現した、大きめの硬い出っ張りに。
ハジメの“錬成”により作られた、頑丈な出っ張りに引っ掛かったベヒモスは、足を取られて倒れそうになる。
「ここだっ、天之河君の技、使わせてもらうよ……!」
それに反応し、即座にベヒモスの下に潜り込むと、ハジメは剣を抜き、勢い良く振るう。
「――“神威”」
今光輝が使える、現状では最強の、光属性の魔法。
彼の持つ聖剣は無いが、大量の魔力にモノを言わせた一撃は、それに匹敵する。
「グォォオオオ!?」
傷は付いていないが、だが確実にベヒモスの身体を、宙に浮かせた。
「これでッ……」
そこに、左の何も持たない手を出し、構える。
「終わりだァッ!」
その掌に集まる、膨大な魔力。
先程の斬撃とは比にならない量の魔力は、光と熱へと還元され、凄まじい衝撃へと変わり、ベヒモスへと放たれた。
「くぁぁッ!」
同時にハジメも、後方へ吹き飛ばされる。
が、事前に“錬成”で作っておいた壁のおかげで、何とか橋の下に落ちることはなく、橋の上に留まることができた。
そして、ベヒモスは。
あの衝撃波で橋の上から押し出され、外へと吹き飛ばされ……そのまま雄叫びをあげながら、奈落へと落下していった。
「……」
立ち上がり、ハジメは奈落を軽く見る。
もちろん、落としたベヒモスの姿は見えなかった。
「……よし。撃破完了だ」
完全に真っ向から打ち倒す、といったことはできなかった。
だが確実に、今やれる手段と方法を用いて、最善の結果を出すことはできた。
クラスメイトの仲間達も、騎士達も、まさかここまでやるとは思っていなかったのか、呆然としていた。
しかし、数秒後、
「「「ウォォォォオオオオオ!!」」」
叫びが、響き渡った。
ハジメもそれには思わず笑顔になり、軽く手を振った。
その時だった。
誰もが油断した、ハジメすら油断していた、その時。
ハジメの頭上から、光が降り注ぐ。
「ッ――」
いち早く気付きたハジメだったが……そのまま彼は、光に包まれてしまった。
そして、気が付いた時には、ハジメはその場から姿を消していた。
◆◇◆◇
「イレギュラーの処分を完了しました」
・南雲ハジメ:ベヒモスを対処。だが何かしらの手によって消えた。
・????:リリアーナを眷属にした所でハジメを捕捉。その時から狙い続けていた。
本作では、檜山も光輝もハジメへのヘイトはあまり高くないので、こんな感じの展開になりました。香織も雫も、学校ではハジメとはあまり関わりませんからね。
よければ感想の方をもらえると嬉しいです。