※この作品はR-18です。

もしも旧魔王が原作を知っていたら   作:オルフェイス

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主人公はTSさせる(固い決意)


魔王のセカイ

 魔王の侵略によって造り直された世界、ラムダ。そこは本来なら大神たちと多くの神々によって運行される世界だった。しかしその神々も魔王グドゥラニスによって滅ぼされ、もはや残る神は皆無と言って良かった。

 

 しかし、未だに魔王に滅ぼされていない神々もいる。魔王が連れてきた邪神悪神の生き残りと、魔王が頂点となった後でラムダに誕生した神々だ。

 前者は魔王の悪逆を知っており、また逆らうことができないほどの力の差があるため、自分たちのテリトリー内でしか活動しない。しかし着実に力を溜め込み、いつの日か魔王を打倒することを目標とする神は多い。

 そのうちの一部は、丁度いいという理由で既にグドゥラニスの手中に収まっている。

 

 後者はグドゥラニスのいる世界しか知らず、またそれが正しいと『教育』されてきたため、何が間違っているのかもわかっていない。実質的に、グドゥラニスの傀儡だった。だからグドゥラニスの命じられるままに従い、それがどういう理由からなのかも聞かないし、疑問にも思わない。そういった都合の良い者たちしかグドゥラニスは神に任命していない。

 

 グドゥラニスが長期間に渡り活動したこともあってか、ラムダはグドゥラニスの知る『原作』と似た状況になりつつあった。

 偽りの過去を教え込まされたヴィダの腹から誕生した新種族たちと、元々存在していた人種たちによる争いがある世界。

 

 そこにグドゥラニスは、劇薬そのものであるヴァンダルーを投入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づけば生まれ落ちていた。天宮博人だった存在は、そのようなことを思った。

 

 あの神────結局名乗ることもしなかった神は、自分に呪いを掛けた。それがどのようなものなのかはわからないが……しかし、記憶に空白がある。恐らくあの神の呪いのせいで、自分は何かを忘れてしまったのだろう。

 

 そして、自分を抱く褐色の肌の女性。耳が尖っていることから、彼女はダークエルフか何かなのだろう。彼女の話す言葉から、この女性が自分の今世の母親なのだと理解した。

 

 あの神に与えられた知識から、この世界にはエルフがいるし魔法があることも知っている。前世では魔法───正確には魔術は一般的だったので、驚くことはなかった。

 

 母親の言葉を聞いているうちに、自分の名前がヴァンダルーであることと他種の血が混じる混血児であることがわかった。

 辺りを見渡しても、母親と自分のいる場所が洞窟であるのも、ヴァンダルーが混血児であることが原因なのかもしれない。

 

 そんなことを考えていたヴァンダルーだったが、しかし生まれたばかりの赤ん坊であるからか、睡魔が襲ってくる。その睡魔に抗うこともできずに、そのまま眠りについた。

 

 

 

 そうして眠ってはご飯、眠ってはご飯とを繰り返して約一(・)年(・)。

 

 その間に、色々なことを教わった。主にこの世界の地理やステータスについて。

 

 ヴァンダルーが赤ん坊であるから詳しい説明はなかったが、前世を経験していることもあって予想を立てることはできた。

 

 ステータスはゲームのそれと同じ。魔力(MP)があったり、生命力(HP)があったり、スキルがあったりした。呪いを確認することもできた。あと、自分の種族がダークエルフと吸血鬼のハーフ───ダンピールであることも確認できた。

 

 ただ呪いのせいで、前世で経験したことをステータスに持ち越すことができなかったのは残念だったが。

 

 しかし一番驚いたのは、性別が変わっていたことだろうか。

 

 下半身を見てみれば、本来あるはずの男の象徴がなくなっていたのだから驚いた。

 

 それに、身体の成長が予想以上に早い。というか早すぎる。まだ一年しか経っていないというのに、歩くことも走ることもできるようになっていた。具体的に言うと、肉体年齢は十代前半ほどになっていた。これほど成長速度が早いのも、ダンピールだからなのかもしれない。

 

なぜか喋るのには苦戦して、未だにまともな言語を喋れてないが。

 

 前世で覚えた死属性魔術は、こちらもなぜか上手く扱えず一年ほど経ってもレベルが2になる程度だった。

 

 そろそろ身体も育ってきたからか、母親であるダルシア母さんが故郷であるダークエルフの里に連れて行ってくれるらしい。どのようなところなのか、楽しみだった。

 

 

 

 

 ──────その日、ダルシアは外に行ったまま帰ってこなかった。

 

 

 

 

 肉体が育っているからか、食べ物には苦労しなかった。捕まえてあった野兎から血を啜れば、ダンピールであるヴァンダルーはそれだけで満腹感を覚える。

 

 しかし問題なのはそこではない。ダルシアが帰ってこない。それが重要だった。

 

 今まで試してこなかったアンデッド作成を行い、大量のアンデッドを作りダルシアを探す。

 洞窟の外は森だ。近くに街もあるが、そこはヴァンダルーにとって無縁の場所だった。

 

 いくら探しても、ダルシアはいなかった。森の中にはいないのなら、残るのは街の中だけだ。今度は街に向かってアンデッドを向かわせ、ダルシアを探した。

 

 小さな虫の死骸をアンデッドにして街を探し、外壁の一部をアンデッドにして無理矢理に道を開いた。

 

 そうして、ついにダルシアを見つけた。

 

 ──────死んで霊となった、ダルシアを。

 

 

 

 

 それからのことで、語ることはない。

 

 ヴァンダルーの心は狂い、復讐を決意した。昇天しそうだったダルシアは引き戻し、復活させることを誓った。

 

 ただそれだけの話だ。

 

 最も、それが叶うかどうかは、この世界の神次第だろう。

 

 

 

 

 

 




Tips
【ダルシア】
『ラムダ』で生きるダークエルフの女性。『原作』では主人公ことヴァンダルーの母親であり、後に女神の化身となっている。この世界においてはヴァンダルーを生み出すために調整、最適化された母体としてグドゥラニスによって作られた。
『原作』通りに肉体は焼かれ魂だけとなったが、復活した際にはスキルとして最初の肉体の特性を受け継いで誕生するだろう。

【ヴァンダルー】
『原作』の主人公。いずれ不完全な魔王グドゥラニスを倒すほどに成長するが、この世界でどうなるのかは未知数。
ダークエルフのダルシアと吸血鬼の父親からダンピールとして生まれ、死属性魔術への適性を持つが、その魂は人工的にグドゥラニスが作り出したものであり『原作』と同じ勇者の魂の末裔というわけではない。が、その魂の性質は『原作』となんら変わりない。
母体として生み出されたダルシアから生まれたため、肉体の成長速度が異常。ヴァンダルーはこれが普通なのだと誤認しているが、そんなわけはない。
いずれ、あるいはすぐにでも、グドゥラニスの齎す運命に巻き込まれることになる。
・呪い
【前世経験値持越し不能】
【限定的既存ジョブ不能】
【経験値自力取得不能】
【精神・魂魄干渉脆弱化】
【対■性■弱化】
【■欲■■】
etc

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