~マミ視点~
「ふぅ……重たいわね」
大きなゴミ袋を持って、マンションの前のゴミ捨て場に私は向かう。
四年前の魔法少女だった頃と比べて腕力や運動能力は格段に落ちてしまったので、朝のゴミ出しも結構大変だった。
でも今の状態が普通なのであって、魔法少女の時代の私がおかしかったと思うと文句も言ってられない。
それに大学生になって初めての夏休みで冷房の効いた部屋でゴロゴロしていたせいでゴミ出しを怠けていたのも、原因の一つだから自業自得でもある。
こんなだらしないところ、間違っても夕田君たちには見せられないわね。運動系のサークルにでも入ればよかったかしら。
階段を下りてゴミ捨て場に辿り着くと、夏の日差しが私を迎える。もうそろそろ八月も終わるというのにまだまだ暑くてちょっと嫌になる。
大学生の夏休みは九月の半ばまで続くから、それまでには涼しくなっていてほしいわ。
「よいしょっと……」
空き瓶や缶が入った袋をゴミ捨て場に置いた時、『それ』が私の目に留まった。
それは簡素な紐で纏められた何冊かの雑誌の束だった。
「今日は缶・ビン類だけの日なのに。まったく誰かしら」
ゴミはちゃんと曜日を守って出さないと業者の人が困ってしまうのに時々こういう事をする人が居る。
何気なく、一番上にある雑誌の表紙を眺めるとそこには裸の女性がロープで縛り付けられている写真が載っていた。
「こ、これ……!」
成人男性が買ういやらしい本だとすぐに気が付いて、恥ずかしさに目を背ける。こんなものを買う人の気が知れない。
自分のゴミだけ出したらすぐに部屋に戻ろう。ここに居たら嫌でもその雑誌が目に付いてしまう。
けれど……。
ちらりと雑誌の束を一瞥する。
金髪の二十代くらい女性が口
縛られている女性は恍惚な、ひどく気持ちよさそうな表情を浮かべていた。
ごくりと私は生唾を一つ飲み込んだ。自然と頬が熱くなる。
ちょっと。ほんのちょっとだけ、雑誌の中身に興味が湧いた。
中学の時は魔法少女をしていたせいで手一杯で、高校も真面目に過ごしていたため、『そういう事』には手を出した事はなかった。
高校時代に男子に告白された事もなかった訳ではないけれど、どうしても夕田君と比べてしまうせいで付き合う気にはならなかったからだ。
周りをキョロキョロと数回見回した後、私は雑誌の束を小脇に抱えて早足で部屋に戻る。
これはゴミ収集業者さんが困るから、仕方なく私が所定の曜日まで預かるだけ。そんな言い訳を自分の中でしながら、浮き足立った気分を感じていた。
家に帰ると、さっそくリビングで雑誌を束ねている紐を挟みで切り、床に一冊一冊広げて置いていく。
雑誌は全部で十八冊あった。そのすべてが成人雑誌で、どれもSMプレイが中心になっているものばかりだ。
「……すごい」
何が凄いのか自分でもよく分からなかったが、取りあえず口から出たのはその一言だけだった。
おもむろに一冊手に取り、開いてからまじまじと中身を眺める。
目に飛び込んできたのは足を開かれ、『あそこ』に長い棒を突っ込まれている長い髪の女性とそれを行う男性の写真。
脳に衝撃が走り、反射的に雑誌を落として、両手で口元を覆う。
な、なんていやらしいの……! 『あそこ』に棒を突き入れるなんて。
これは読むべきではないわ。確かに年齢的には何の問題もないけれど、私には刺激が強すぎる。
しかし、私の思考とは裏腹に手は再び、雑誌を拾い上げていた。
ああ、駄目。待って。それはいけないわ。
理性が拒絶しても、本能は雑誌を広げて、じっくりと中身を閲覧し始める。
駄目なのに。駄目なのに。それでも見ちゃう……。
全部の雑誌を見終わった頃には既に五時間も時が過ぎていた。時刻はお昼近かったが、食欲はほとんどしない。
そっと自分のスカートの中の下着に指を這わせると、しっとりと湿っているのが分かった。
……はしたない。心からそう思うが、もう火照った身体を止められそうにない。
下着の中に指を差し入れて、陰部を下から擦り上げる。
「あ、ん……」
私の声とは思えないほど
いやらしい写真を広げた床の上で私はオナニーに
妄想の中では見ていた雑誌の女性と同じように、男の人にむちゃくちゃに乱暴される自分の姿があった。
*
服を脱がされ、下着まで剥ぎ取られて、ロープできつく縛られる。そうして、身動きのできなくなった私に後ろからお尻を叩かれた。
両腕は後ろに回され、お尻を突き出したままの体勢で膝を突いた私を何度も手のひらで叩き続ける。
痛くて嫌なはずなのに、それが次第に快楽になっていく。口から漏れる悲鳴が、喘ぎ声へと変わるのにそう時間は掛からなかった。
『お尻を叩かれて興奮するなんて、巴さんは変態なんですね。幻滅しましたよ』
いつの間にか、私のお尻を叩いていた男の人は夕田君になっていた。
彼はサディスティックな笑みを浮かべて、私を罵倒する。
『今まで頼りなる先輩だと思っていたのに。とんだメス豚ですね』
ひどいわ、夕田君……そんな事を言うなんて。
『酷い? こんな醜態晒しておいて何を言ってるんですか?』
一際、大きく夕田君が私のお尻を叩く。
あぅん……!
それを見た夕田君は殊更、笑みを強めて私を蔑む台詞を言う。
『ほら。悦んでる。ド変態のマゾ豚じゃないですか。これでよく酷いなんて言えましたね』
そ、それは……。
言い訳をしようと頭の中で言葉を巡らせるが、夕田君はお構いなしに私の『あそこ』へと手を伸ばした。
ひゃあっ! やめっ……。
彼の指先が『あそこ』の肉びらをかき分けて、愛液を溢す穴の周りをなぞる。
『こっちの方は正直ですね。大洪水じゃないですか。そんなに叩かれるのがよかったですか?』
ち、違うの。これは、これは……。
『まだ、そんなことを言うんですね。往生際の悪い人だ……なら、これでどうですか?』
夕田君は指先を『あそこ』の上部にある突起物――クリトリスを強く
あひぃ――!!
とても自分の口から出たとは思えない、情けない悲鳴が喉の奥から這い出した。
それを愉快そうに見つめながら、さらに夕田君はぐりぐりと人差し指と親指で
『これでもまだ、否定しますか? 何なら、もっと強く抓んでもいいんですよ?』
これよりももっと強く……? そんな事をされたら私は快感でおかしくなっちゃう……。
涙を流しながら、夕田君に正直に答える。
ごめんなさい。私、嘘を吐いてた。気持ちいいの……お尻を叩かれてよがっていたのぉ!!
『よく、言えましたね、ド変態のマゾ豚の巴さん。ご褒美を上げましょう』
後ろをちらりと見ると夕田君は黒のズボンのチャックを下ろし、大きく勃起した男の子の『それ』をチャックの隙間から出していた。
私の視線に気が付くと、夕田君はどうされるか分かっているだろいという眼差しを向けてくる。
ああ、夕田君に
期待と恐怖の入り混じった私の目をじっと見つめた後、夕田君は口元を歪めてズボンの中に『それ』をしまおうとする。
えっ? な、何で!? 何でしまっちゃうの!?
『いや、やっぱり止めておきます。僕にはほむらさんという恋人が居ますし、これ以上のことは……ねぇ?』
ひどいわ、夕田君。ここまでしておいて、そんな事言うなんてぇ……。
『浮気は駄目ですからね。でも、巴さんが僕の浮気相手じゃなくて、ただの性処理をするだけの肉便器になってくれるというのなら、挿れてもいいですよ? だって、単なる便器ならペニスを挿れても浮気にはなりませんから』
目を細めて私を見下ろすような視線で夕田君は聞いてくる。
そんな事は聞くまでもないって事くらい分かっているはずなのに、あえて夕田君は私の口から言わせようとする。
なんて嗜虐的なの……夕田君。私の女としての尊厳まで踏み躙って、凌辱するつもりなのね。
でも、ここまで来て我慢なんてできる訳がない。このままお預けされたら本当に狂ってしまう。
お、お願い、夕田君……ううん。お願いします、ご主人様……どうかこの肉便器のマミにご主人様の硬いものを挿れてください……。
私は自分が肉便器になる事を認めて、卑しくも挿入を懇願した。私の『あそこ』は愛液を垂らし、ご主人様の陰茎を迎える準備を整えている。
『お利口さんですね、巴さん。いや、今はただの肉便器でしたっけ。……なら、肉便器・マミ、お望みどおりにしてあげるよ』
曲がりなりにも、今まで敬語を使い、私の事を『巴さん』と呼んでいた夕田君はそれらを全て止めて、私のお尻を両手で掴み……そして。
――あうぅん!!
入った。入っちゃった……
処女膜をいとも容易く貫き、血が
そのまま、私は膣内を蹂躙される感触に没頭し、発情した雌犬みたいにご主人様の動きに合わせてお尻を振り続けた。
完全に雌に堕ちた私の様子を確認したご主人様は乱暴な腰使いとは真逆に、優しく囁くような口調で私に聞く。
『気分はどう、マミ?』
は、はい……最高、です。っぅん! ご、ご主人様に使ってもらえるなんて肉便器としては最上の幸せですぅ~!
もう既に身も心もご主人様の肉便器と化した私は、快楽に染まった言葉を吐き出す。そこには女としての尊厳は欠片も残っていなかった。
あるのは主人に使われる道具の悦びだけ。それ以外の全てはとうに捨て去っていた。
『僕はそろそろ、出したいと思うんだけど……膣に出していいよね? だって、お前は僕専用の肉便器なんだから』
はいぃ! 好きな時に好きなだけ射精してください。それを受け止める事だけが私の幸せです!
『ちゃんと妊娠してよ、マミ。必ず僕の赤ちゃんを産んでね』
赤ちゃん、作ります。孕ませて! 私を孕ませて下さい、ご主人様ぁ……!
その言葉を聞いて、ご主人様はまた嗜虐的に頬を吊り上げた。
『じゃあ、遠慮なく……!』
子宮に擦り着けられていたご主人様の『それ』が膨張をして、そして、私の膣中で弾け……。
**
唐突に軽快な音楽が耳に入ってきて、私は妄想の世界から急速に引き戻された。
目で音の先を辿ると、ソファの前にある背の低いサイドテーブルの上にある私のスマートフォンからだ。
最高のタイミングを邪魔したのはスマートフォンの着信音だった。
せっかく、一番いいところだったのに……。
むっとした目でスマートフォンを眺めていたが、鳴り続けるそれを放置する訳にもいかず、起き上がってから汚れていない方の手で取る。
「もしもし、巴ですっ……」
通話マークを押すと、不快感を隠さないで電話に出た。
普段ならこんな失礼な対応は絶対にしないけれど、今回だけは特別だ。本当なら何も言わずにそのまま切ってしまいたいくらいだ。
『あ、巴さん? 夕田ですけど……どうしました? 随分と機嫌悪いみたいですが』
「え、ご主人様!?」
向こうから聞こえてきた声は夕田君だった。さっきの妄想のせいで夕田君の事をつい間違えてご主人様と呼んでしまう。
『はい? ごしゅ……何ですって?』
夕田君は当然ながらそれに怪訝そうな声色で聞き返してくる。
どうしよう? 何とか誤魔化さないと。
「あ、ち、違うの。夕田君今のは……そ、そうメイド喫茶のバイトをしてみようかと思っ、その練習してだけで」
『それにしては最初の電話の受け答えがサービス業として落第点だった気がしますが……』
「ツ、ツンデレメイドの練習をしての! 本当にごめんなさい。私ったら画面も確認せずに」
『ツンデレメイド、ですか……いや、まあ気にしてませんよ。急に電話した僕の方にも責任はありますから』
本物の夕田君の声を聞いていると、さっきの妄想が再び、蘇ってきて恥ずかしくなる。
我ながら、なんて凄まじい妄想をしたのかしら。自分の欲求不満さに呆れてしまう。
『温泉に行ったのでお土産を巴さんにも渡そうと思って、家に居るかを聞くために電話をしたんですが、今お邪魔しても大丈夫ですか?』
「え? 今から?」
スマートフォンを耳に押し付けたまま、部屋の中を振り返る。
散乱する成人向けのいやらしい雑誌。いつの間にか脱いでいた、愛液でベタベタになったパンティ。
とてもではないけれど、夕田君には見せられない光景が広がっている。
「ちょ、ちょっと掃除するから一時間くらい待って!」
『あ、いえ。今じゃなくても平気なのでまた今度にしても……』
礼儀正しく遠慮しようとする夕田君だったが、私としてはそれはそれで嫌だった。
来年大学受験を控える三年生の彼はなかなか時間が取れない上に、彼の恋人の暁美さんが独占欲が強いせいでゆっくりと話ができる機会なんてほとんどないのだ。
「今日、予定もないし、大丈夫よ。それに久しぶりに夕田君とも話がしたいしね」
『そうですか。そう言ってもらえると嬉しいです。僕としても大学生活について巴さんの話を聞かせてもらいたいと思っていたところなので』
一時間後に約束を取り付けて、夕田君との電話を切る。
あと一時間で夕田君が私の家に来てくれると思うと、胸が高鳴った。別に変な意味合いではなく、純粋にドキドキしてくる。
床にばら撒かれた雑誌を全て回収して、自分の部屋のベッドの下に収納した。これは今夜改めてじっくり読もう。
リビングを丁寧に掃除機で掃いた後、カーペットを退かして雑巾で綺麗に磨く。さっきのせいで変な臭いが付いたかもしれないので消臭剤も念のために使っておいた。
お風呂場でシャワーを浴びて、無駄毛のチェックをした後、一番高くて大人っぽい下着を身に着ける。
他意はない。本当に全然、やましい事は考えていない。胸元の開いた少しだけ大胆な黄色のインナーや短めなスカートを選んだとしても私に後ろ暗いとことはないはず……。
汗の臭いがしたりしないかしら、でも、そっちの方が興奮する男の人も居ると前に本で読んだ気がする。
そわそわとしながら、玄関先で夕田君の来訪を待っていると、インターホンの鳴る音が聞こえた。
「はーい! 今空けるわね」
ドアを開くと、昔よりも背の高く、身体つきも男の人らしくなった夕田君が見えた。
童顔で可愛らしい顔立ちだった彼も今年で18歳。もう青年と言ってもいいくらいの年齢だ。
服装は無地の黒いTシャツに茶色のカーゴパンツを穿いていて、それがとても似合っていた。
「メイド喫茶のアルバイトの練習をしてるって聞いたから、てっきり『お帰りなさいませ、ご主人様』って出迎えて来るかと思って身構えてたんですけど、そんなことなかったですね」
出会い頭に軽くジョークを飛ばして、夕田君は軽く微笑んだ。
その笑顔を見て、下腹部がキュンと締め付けられる。
「ゆ、夕田君が望むなら、やり直すけど」
「いや、冗談ですから」
「随分とユニークな性格になったわね、マミ」
若干、微笑みを苦笑いに変えた夕田君の後ろから、長い黒髪の眼鏡をかけた白のワンピース姿の少女が出て来る。
「暁美さん! どうして?」
それは夕田君の恋人で、私と同じ元魔法少女の暁美ほむらさんだった。
暁美さんは私の格好を上から下までじっくり見ると、少しだけ険のある口調で聞いてくる。
「格好の方は随分と扇情的に見えるのは気のせいかしら」
「ま、毎日暑いから薄着をしているだけよ?」
内心焦りながらも誤魔化すと、暁美さんはそれ以上追及する事はなかった。
視線を再び、夕田君に戻すと片手を暁美さんの方に乗せて話し出す。
「巴さんの家にお土産持って行くって言ったら、ほむらも久しぶりに巴さんに会いたいって言い出して」
「人を聞き分けのない子供みたいに言わないで。彼氏を恋人の居ない一人暮らしの女の家に平然と送り出す女なんていないわ」
横目でちらりと私の事を見ながら言う暁美さんに夕田君は呆れた風に肩を竦めた。
「失礼な彼女でしょう? 巴さんはそんな人じゃないっていうのに」
私の事を信じてくれている真っ直ぐな夕田君の瞳を直視できずに思わず目を泳がせる。
ごめんなさい、夕田君。今日は、あなたの肖像権を大きく侵害したオナニーしてました……。
心の中で彼に土下座をしつつ、私は二人を家の中に招き入れた。もう妄想で夕田君を出さないようにしよう。
そう固く自分に誓ったその日の夜、昼間の妄想の続きを見て下着とシーツを濡らす事になるのをこの時の私はまだ知らない。
エロはいいですね。書いていて楽しかったです。
でも、これはほむらルートの後の話なので、政夫との絡みは妄想内でしかできませんでした。