【書籍化】ヤニ吸う寿音さんのお口が疼く~仕事を辞めたら長身デカパイヤニカスイケメンお姉さんに拾われて甘々セフレ生活が始まってしまったお話 作:37級犬築士
先日のキスがまだ忘れられない。粘膜の弱い部分で、まだディープキスの快感の味が残っている気がする。唾液でぬぐっても、残滓は消えない。
初めてを失った体験は深く刻まれてしまった。
あれから確か、自分はあの人を半ば強引に押し出して帰らせて、それから鍵を閉めて
何をしたんだ?
そうだ、久しくムラムラして、一人慰めようとして、でも悶々とする気持ちがいっぱい過ぎて、手を動かすどころじゃなくて、そのまま突っ伏して布団でバタ足を続けていた。
疲れもあったから、気づけばベッドで朝を迎えていた。
……消えない
あのお姉さんにキスされて、その前に生でおっぱいを見てしまって
それで、お姉さんは、お姉さんの……が、で
……消えない
……ずっと、頭の中で居座り続けている
……名前も知らない、痴女でタバコ臭くて、それでいて綺麗で
目線の位置に胸がある、高身長で顔の良い年上の異性、としかわからない。知らないことばかり、なのに生の乳房を見て知って、この口はあの人のキスの味をも知ってしまった。
煙草の苦み、酒の苦み、だけど否定しようのない、女の人の甘く芳醇な色気の味。
消えない甘味と苦みで、舌がずっとバカになっている。
想いは、ずっとあの人のことばかり。
………………名前、聞きそびれたな
× × ×
家に何もなかった。職場でコンビニ飯ばかり、スーパーで買い物して家に食材を置いてもすぐ腐らしてしまうから、だから碌なものが無い。
何もする予定も無い。空欄の脳内予定表に部屋の掃除と買い物を追加、原付のキーを手に、財布をもって玄関を開けた。
「……ぁ」
今は日中、玄関を出てまず出るこの通路は南に面していて、それで見下ろせば川がある。だから、日の光がいっぱいに入ってくる。通路側だけに
だけど、今は影が差している。おかしい、今日は晴れているのだ。
「……ぁ、あああぁ」
「お、開けて出迎えとは良い身構えだねぇ……いいよ、年上を敬う男の子はかーいーねぇ……よしよしよし」
「————ッ」
グワングワンと揺れる頭、いきなり撫でられるものだから頭が取れるかと思った。そして、触られたことで、これが幻や蜃気楼の一種ではないことは理解した。
「おっす、少年。それにしても君、今は11時だぜ。おそようだね……昨日のお詫びに来たよん♡」
玄関を開けて、目の前には麗しい長身の女性がいた。見上げる顔は力なく退廃的で、だけど整った顔はほろ苦い色気を醸す。
名前も知らない隣人の煙草が大好きな痴女、警戒して下がった僕はまたも同じミスをした。
「あらら、入っていいの?……じゃ、遠慮せずにお邪魔します」
「!」
一歩引いたことで侵入を許してしまった。今更訂正しようにも、勝手に他人の家の台所へと向かう。
台所に立って、勝手にコンロに火をつけて煙草に火を灯した。
「すぅ…………はあぁ」
一服、換気扇へと煙が吸い込まれていく。深く、三回ほど繰り返して、隣人の不法侵入無断タバコ吸いお姉さんは見返り美人顔をこちらに向けて、告げた。
「ねえ、灰皿ないかにゃ?」
「な、無いです……そんな」
何故律義に答えているのか、言うべきことはもっと他にあるはずなのに。流されている、ドンブラコどころじゃない。ダムが決壊するレベルの濁流で流されて何もできない状態が今の僕だ。
「……そっか、じゃあ仕方ない」
諦めるのか、と思えば、その手は冷蔵庫に伸びる。買い置きのビールを一缶手に、そして開けて
「発泡酒か、安酒はいいねぇ……ん、っく……こっく、こく……ん、ぷっはぁ……ぁ、あぁ、いひひ、お~いし~にゃぁ♡」
一気に、飲んでしまった。この間10秒もなかった、いや、いやいやいや
「ぁあ、ふいぃ……はいじゃら、できあがり……ひっく……あ、しゅわってていいよぉ……今から、お姉さん君に料理作ってあげるから……にゃはは」
「…………はあぁ」
どこから突っ込めばいいのやら、なんだか何を言ってもこの人の行動を変えられる気がしなくて、僕はそのまま座って後ろ姿を眺めることにした。
無論、酔っぱらって手を切りそうになったりこちらに包丁を投げそうになれば全力で止める。
「なあ、少年」
「僕……俺、これでも21です」
「へぇ、そっか……その一人称似合わないなぁ……僕でいいんじゃにゃあかな……そっちの方が可愛いよ」
「————ッ」
悩ましい、心の恥部をくすぐる言葉に反応が滞る。
ただ、くすぐられる心のむず痒さ、これ自体は、どうもそこまで嫌ではないみたい、だ。
同目を背けても、奇行をやり玉に挙げても、目の前にいるのは自分が今まで出会ったことも、ましてや話す機会も無いと断定しきっていた美人という存在だ。
名前も知らない、キスをされて、乳房を見て、そして今は自分に料理を作ってくれている。
そんな、女性。
「……あの」
「?」
酒を一缶入れた体でてきぱきと調理をこなす、そんな長身モデル体型のお姉さんに、僕はごく当たり前の質問をした。
「お名前、伺っても」
「……言ってなかったね」
「はい、昨夜いきなり押し入って、キスをしてきた相手の名前をどうか教えてください」
「にゃはは、辛辣だぁ……ひさね、寿音さんと呼んでくれ」
「……ひさ、ね」
「そう、久遠寿音……よろしく、少年」
「……だから、大人ですから」
やっと交わせた会話らしい会話。それも、平凡なやり取り。
耳にした名前は、響きの綺麗な女性の名前。
「良い名前だろ……少年、惚れて良いぜ」
「……別に、惚れません」
返答に若干ラグが生じたのは、断じてちょっと聞きほれたから、ではないと思いたい。
奇怪な美人、だけど名前を知った、確かな存在だと認識してしまった、名前を知るだけで向ける意識は変わる。
久遠寿音なる女性、その出で立ち、振る舞い、着ている物から指先に至る行動まで、つぶさに追ってしまう。
……服、ちゃんと着る人なんだ
昨日とは違う色合いだが、変わらずスリムフィットなデニムパンツを着用している。ベルトはしているがバックルは止めていない、だから緩む締め付けでずり下がって、見えてはいけない真っ黒のショーツの紐が、見えていた。
「……————ッ」
上はキャミソールを纏っていて、でも緩い布地はその中に収めた膨らみをまったく抑え込むつもりはない。
豊満な乳房は、下着なる拘束をされていない。だから揺れる、背後から見てもその揺れが端々に見えてしまう。
後ろ姿なのに乳房を見んと視線が悪さをする。罪悪感で別の場所に目を向けようとするが、質が悪いことに乳房以外も魅了するラインと膨らみで満たされている。悩ましい。
身長があるから、足も長くてセクシーで、肉付きの良い体をしているのにお腹はちゃんとくびれている。モデル体型という言葉をそのまま体現している。だけど、その胸は矛盾するかのように大きくたわわ、なんとも女性の魅力的な要素を良くばりに詰め込んでいるのだと感心してしまう。
「……ふんふ~ん、ふふん♪……ふん、ふっふ……ふっふふん、ふ~んふん♪」
「レッチリ」
酒が入って陽気な気分になっているようだ、聞き覚えのある洋楽を鼻歌で鳴らしていた。
寿音さんはてきぱきと調理を澄ましていく。持ち込んできた調理器具と、食材で、危ういことも無く包丁を振るってくれている。
次第に、部屋に良い匂いが漂ってきた。甘く、香ばしい匂い
……焼き鳥の匂い?
「酒のつまみが材料だからね、まあ適当に美味しく作るから許してみそ。ほら、机空けて」
「は、はい」
言われるまま、急いで資料や飲みかけのペットボトルが置かれた卓上を片付けていく。食卓として利用するのは、越してきたばかりの数日以来だろうか。
……久しぶりだな、ほんと
手作りの、それも出来立て
…………懐かしい
次回に続く
煙草好きの女性のお口はエッチ、だと勝手に思ってる建築士でございます。今愛も読了感謝です。
感想・評価頂けて大変励みになります。次回もエッチにヤニカスお姉さん、久遠寿音のお口エッチをお楽しみください。