※この作品はR-18です。

【書籍化】ヤニ吸う寿音さんのお口が疼く~仕事を辞めたら長身デカパイヤニカスイケメンお姉さんに拾われて甘々セフレ生活が始まってしまったお話   作:37級犬築士

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前回に続き陰鬱な展開。

シリアスになると抜けなくなるかもしれないけど、どうしても必要な展開なのです。

この次はエッチエチになるはず


37~消えない傷

 責任をとれ、お前には責任がある

 

 母さんのよく吐く言葉だった。あの人は僕に対して執拗に責任を押し付けたがる。

 

 責任を放棄してるのは自分なのにもかかわらず、父さんも母さんも同じだ。同じ主義思想に染まっていた。

 

 自分の欠点や過ちには本気で気づいていないのか、それとも見て見ぬふりをしているのか、どっちにせよ苦しいことは全部僕のせい。

 僕の努力が足りないから自分達は幸せになれない。努めて何かをすることをあの人たちは知らない。知ることもない。

 

 唯一まともな母方の祖母と祖父は諌めるけども、あの人たちは取り繕うことに関しては誰よりも上手に口が回る。

 だから、生まれてきて家から出るまで、あの人達は親としての責任、大人としての責任を放棄して、その上で何もかもを僕に押し付けてきた。

 

 それしか、あの人たちは知らないのだ。身に付いた生き方は誰かに指図されて変わるものじゃない。

 

 清藤に生まれた父も、清藤に嫁いだ母も、責任から逃れ誰かに押し付けることを続けて生きてきた。

 それが正しいと、正論に整合性が無くても気付けない。理解すらできない。

 

 変わらない。変わるわけがないのだ。

 

 

 

 

 

◯

 

 

 

~寿音side~

 

  

 清藤はかつて大きく財産を築いた名家だった。昭和に事業を起こし三代に渡って成金として成功を妬まれていた。

 

 成金、そう言い切れてしまうぐらいに、その威光は過去のもの。

 

 三代目の跡取り息子を代に事業は停止。いくつかの土地を売りながら贅沢暮らしを維持していた。

 しかし、残る土地を借金の担保に奪われたことで、四代目の清藤孝太はただの市民に成り下がった。

 

 贅沢の味を知り、努力の尊さを知らない男に残ったのは他者に自らの責任を押し付ける生き方のみ。

 

 そんな男に共感する妻と、長男と、そして器量の良い次女。

 

 まともな家族絵図が描けるわけがないのは明確だ。

 

 

……ガンッ!ガンッ!ガンッ!

 

 

 ここまでは、凛から聞いた話。ひどい母親だとは思っていたけど、これは流石に

 

 糞にも劣る、糞以下のババアじゃないか。

 

 

「出なさい!あんた、居留守なんか使うなんて最低だよ!!親をなんだと思っているんだい!!」

 

 

 何てことのない。これは、よくある話だ。

 

 凛の言う通り、テンプレートに乗っ取った最低の一家。

  

 

「凛、あんたいるんでしょ!早く出てきなさい!!」

 

 器量の良さを台無しにするヒステリックな感情。感情が歪めたその面の悪さだけで吐き気を催す。

 そこに、実の親と言う鎖で繋がれてしまえば辛さも倍増するもの。。

 

 そんな中でも凛は苦しんできた。このヒステリックな初老の女性に、産みの母親によって

 

 醜い感情を一方的に押し付けられて、凛は人格も人権も人生も、何もかもを否定されてきたのだろう。

 

 

 

 

……許せない

 

 

 

 今この場にいない旦那も同類なら。あぁ、本当におぞましい。

 

 許せない。

 

 

……気に入らない、反吐が出る

 

 

  

「!」

 

 

 

 何度も何度もドアを叩いてきたくせに、開けてやったらやったでおののいて、視線もおぼつかない。

 

 身長は160もない。

 

 ただの出掛け中の主婦に見える。社会経験もない、何もしらないバカな女。

 

 夫の威を借りて、自分が一番傷つけてはいけない宝物に平気で爪を立てる。

 

 

 

……ふざけるな、なんであんたが

 

 

 

「……失礼、ご婦人」

 

 

 

……なんであんたみたいな屑の腹で、凛が生まれなくちゃならないんだッ

 

 

 

 

 

「何かご用ですか?ここは、私の部屋で……私はこのマンションの管理人の久遠寿音ですわ」

 

 

 

 

「ひ、ひッ!」

 

 

 

 

「この安マンションに何か御用で?」

 

 

 

 

「あ、あなた……だ、誰ですか?」

 

 

 

 

 見上げて驚いて、一歩引いた。着飾ったけばけばしいブランドの服に、醜い体型が嫌にはち切れてしまいそうだ。

 

 痩せて、落ち着きを戻せばそれなりの美貌もあるだろう。だか、あるのは食欲で崩れただろう醜い体。覆うブランドの衣類は全く醜さを隠しきれていない。

 

 むしろ、成金の根性を際立たせている。

 

 

「ここは、アタシの部屋……なにかしら」

 

「え、いや……ここに、息子が」

 

「そう……いないわ、ここはアタシの部屋」

 

「そ、そんなわけ……番号だって表札だって、あの子はここに住んでいるはずなのに!」

 

「違うって、大家が言ってるのよ」

 

「……隠してる、のね」

 

「なんのことかしら」

 

「とぼけないで!私はあのこの母親ですよ!」

 

 食って掛かる。

 

 ヒステリックに一歩踏み込んで、アタシを見上げて口を開いた。

 

 

「赤の他人なのに、私の子供をどうする気!……あの子は私たちのモノなのよ!!」 

 

 

 言い放った。怯えて震えながら、まるで勇気を出して言葉を振り絞ったような

 

 は?

 

 ふざけるな

 

 モノって自分で口にしてるくせに、それでも母親と言い張るのか?

 

 

 

「最低ね」

 

 

「な、なにを……い、いって」

 

 

……ジジ

 

 

 煙を口に、女の顔に吐き捨てる。

 

 アタシはアタシの怖さを知っている。

 

 ほら、虚勢を剥がしてやる。

 

 

 

 だから帰れ、糞女

 

 

 

 

「そうまでして、部屋に入りたいなんて」

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

「あなた……アタシに抱かれたいのかしら?」

 

 

 

 

「ひッ!?」

 

 

 

 

 暴力はしない。

 

 こいつらは勝手に自滅する。だから、こうやって追い払えばいい。

 

 美貌と背丈で圧をかけて、耳元で囁いてやれば簡単に方はつく。

 

 

 勝てない相手には尻尾を巻いて走り去る。

 

 

 

「や、やめ……ぁ、ああああああ!!?」

 

 

 

 凛の母親は、叫び散らして後退り。距離が空けば転身して走り出した。

 何度もこけながら、ほぼ四足の獣みたいに不健康な体が廊下を駆けていく。

 

 愚かな姿だ。動画にでも納めれば世界から失笑を貰えるだろう。

 大したことのない。本当に小物、本質は矮小な人間だ。

 

 だから、放っておけばいい。今は、この程度ですませればいい。

 

 

 

「……ッ」

 

 

 

 くずを追い払った。ここまでは問題じゃない。

 

 クズが来てしまった。凛が思い出してしまった。今クズを潰しても、その事実は覆せない。

 

 一刻も早く、向き合わないといけない。

 

 今も、あたしのシャツをその身にくるまって怯えてるのだから。 

 治療がいる。痛みを癒す、女にしかできない癒しが凛には必要だから。

 

 

「……凛ッ」

 

 

 クズを追い払うため、仕方ないとはいえ凛を離した。

 

 もう一度抱き締めて、温もりを注がないと冷えきって永遠に眠りかねない。

 

 凍てつく温度が心を壊す。結晶になり亀裂が入りバラバラになる。

 癒して幸せをあげた分、呼び戻すトラウマのショックはひどい結果を生む。

 

 そうさせないために癒そうとした。幸せにした。ずっと一緒にいた。なのに、あの母親が来たせいで!

 

 許せない、許せるわけがない!

 

 許されるなら、今すぐ背を追いかけて殺してやりたい。でも、今はッ

 

 

「凛!……ごめん、あたしのせいッ!!」

 

「――――」

 

 

 思った通り冷えていた。

 

 部屋で、アタシが着せたワイシャツに身をくるんで怯えていた。

 

 瞳はどこも見ていない。見ているのは、過去のフラッシュバックばかりだろう。

 

 

「……寿音、さん」

 

 

「大丈夫、もういない……寿音さんが怖い奴を追い払ったよ」

 

 

「……ぅ、アァ」

 

 

 限界が来た。

 

 溢れ変える涙が愛らしい顔を悲痛に歪める。

 

 癒しがいる。凛の欲しい癒し。温もりと柔らかさ。

 

 だから、上に来ているキャミソールを脱ぎ捨てた。裸になって、凛の顔にアタシの一番柔らかいものを押し付ける。

 

 乱れた呼吸が胸骨に擦り付けられる。

 

 熱い、息も涙も、何もかもが熱い。

 

 

「やだ、やだよ……もう、嫌だッ」

 

 

「……そうだね、嫌だね」

 

 

「ぅ、あぁ……ぃぁああああああッ!」

 

 

 壊れた声で泣き叫ぶ。

 

 乳房に擦り付ける涙が熱い。アタシも、熱が収まらない。

 

 

「やだぁ……もう、もう家族なんていらない…………ぅ、ぼくはッ……僕の家族を捨てたい、産んでくれなかったら良かったんだッ!!」

 

 

「凛……そうだね、いらないね…………大丈夫、凛を傷つける家族なんていらない。凛に似合わない」

 

 

 ひどい言葉を吐いている。

 

 産みの母親を拒絶するほどの慟哭を、君はずっと抱えていたんだろう。押さえ付けていたんだろう。

 

 

「大丈夫、凛は大丈夫……アタシがいる、寿音さんが側にいる」

 

 

「ぐず……ぅ、うぅ…………ひさね、ざん」

 

 

「引っ越そうか、凛を安全場所につれていく……安心して、寿音さんは何だって出来る。何でも持っている」

 

 そうだ、アタシには出来ないことなんてない。

 

 何もかもを持っている。失ったモノは、一つだけ。

 

 もう失わない。アタシも、アタシも幸せになる。そう決めた。

 

 

 

 あの子のためにも、もう失って悲しい顔をしていちゃあいけないんだ。

 

 

   

 

 

「一緒がいい、寿音さんが良い」

 

 

「……そうだね。ほんと、そうだ。凛、ずっと一緒だよ。約束する」

 

 

 アタシは貴方を幸せにする。

 

 幸せを邪魔する奴等は、どんなことをしてもはね除ける。

 

 力ならある。その気になれば、手段を正しくしなければ良い。

 

 

 

 

 

 

 




次回、慰めエッチ。

気ままに執筆。ストック分を投稿しきったのでまたお待たせしちゃうかも。

感想、評価などあれば幸い。読者の反応が作者の栄養。
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