この世界には、海がある。
だが、その海の種類は、かなりの数がある。
それを聞いたら、首を傾げるかもしれないが、実際に、その海の数は膨大だ。
「それにしても、相変わらずとんでもないな」
それは、本来の海水のある海、血によって出来ている海、はたまたヘドロによって出来ている海。
本当に一つに繋がっているのかどうか、疑問に思えるような海があり、それもまた、数多くの悪の組織が入り交じった事による影響だと、考える事が出来る。
そんな海の近くに、俺は来ているのには、訳がある。
「それで、まさか、そっちから呼び出すとはな」
「その言い方、どうかしらね」
そう、俺を呼び出した相手であるメズールは呆れたように言う。
外見はシャチをモチーフにした頭部や、イカやタコの様な吸盤の並んだ脚部、上半身についているウナギなど。
その姿から既に分かる通り、既に彼女は完全体となっている。
だが、そんな彼女だが、一人である。
「まぁ、少しは察したがな。どうせ、お前達の所も、全滅したという所だろうな」
「あら、そういうのは分かるのね」
彼らは組織ではない。
仮面ライダー、スーパー戦隊の中で言う所の組織というのではなく、グリードと呼ばれる存在が徒党を組んで活動している。
それは、ソノニとは違う意味で、単独行動をする事も多い。
そして、彼らにとっては、あまりにも活動するには不向きであった。
「ウヴァは、簡単に騙されてしまい、カザリは自分が騙しているつもりが騙されたわ。
ガメルは、私だと思っていた相手によって、殺されたわ」
「ある意味、グリードらしい欲望によっての自滅だな」
その言葉に、メズールもまた、頷く。
「あなたの所では、組織の残党も取り込んでいると聞くわ。
だからこそ、私もあなたの所に入りたい訳」
「そうか」
おそらくはメズールの本心だろう。
だが、こちらを誘うような甘い声は同時に自らの『愛情』や『母性』の欲求を満たすようにも見える。
さて、どうした事かと、俺は悩んでいると、ふとした疑問があった。
「あら、どうかしたのかしら?」
「いや、少しな、良いぞ」
「本当かしら」
そうメズールは笑みを浮かべる。
だが。
「ただし、これを受けてな」
「っ」
俺はそのままメズールの身体に触れる。
何をされたのかと警戒するメズール。
だが、俺はそのままゆっくりと身体を摩る。
「ひゃっ!?」
瞬間、メズールは甘い声を出す。
「ふむ」
物は試しにと、俺はメズールを抱き寄せ、そのまま軽くキスをする。
シャチという事で、これまでとは違う舌の感触に、驚きはある。
だが、それ以上に、メズールの身体は激しく痙攣する。
僅かなキスでの反応を見た後、俺はそのまま舌を離す。
「あなたっ、一体何をっ」
「ただ、与えただけだ、性行為によって、快感がある感覚だけを」
「えっ」
グリードとは、肉体的機能や感情的機能も人間に比べ退化している。
だが、そんなグリードであるメズールが、突然、それらの機能を初めて知れば、どうなるのか。
「さて、それじゃ、始めるか」
「待ってっ、こんなのっ初めてじゃっ」
メズールの言葉を無視し、俺はそのままメズールを連れていく事にする。